私はあのジン・フリークスという男に会ってからハンターについて調べた。
調べつくしたけどジン・フリークスというハンターについての情報は本当に少なかった。
ルルカ遺跡の発掘、二首オオカミの繁殖法の確立などの功績は出てきたが詳しくはどこにも記されていなかった。
おそらく、閲覧制限がかけられている。
「あ~、知りたい‼知らないことばかりで気になる‼」
メルはベッドの上でパソコンや本を広げてゴロゴロと転がった。
その様子を見ていたイリアは深いため息をつくのであった。
私の主人は20歳にしてこのレイス家の顔と言われるほど優れた暗殺者。
仕事の依頼はあのゾルディック家とも引けを取らない。
尊敬し忠誠を誓った主が今‼ハンターに魅了されている‼
これは有識事態だ!
「あ~気になる‼ハンター気になる‼」
メルは相変わらずベッドで転がりながら本を読み漁っていた。
見かねたイリアは耳につけている無線で他の部下へ指示を出した。
「こちらイリア。メル様はまだハンターについて知らべておられる。ハンターはなかなか奥が深い職業だ。一から全部知らべているときりがない。メル様の興味を薄れさせるために早くハンターに関する書類をまとめ上げろ‼」
別のところで部下たちは総出でメルに捧げる資料を徹夜で作り続けていた。
ルイスの使用人ともなれば様々な教養が備わっていないと付けず、特に優秀なメルの使用人達が本気を出せば何とも分かりやすくハンターについての魅力を語った参考書類が出来上がったのであった。
それから数日後。
メルはある考えに至ったのだ。
よし、ハンター試験を受けよう‼
不覚にもイリア達の労力はすべて水の泡となるのであった。
ハンター試験を受けるにはまず申し込みをしなければならない。
その申し込みをするにもなかなか一人で外へは出られる環境では無い。
必ず協力者が必要なのだ。
「…ラルお兄様しかいない‼」
ルイス家にはメルの他にも兄弟がいるのだ。
長男、エル・ルイス。次男、ラル・ルイス。
長男のエルは暗殺業に身を置き、メルと共に数々の仕事をこなしている。
次男のラルは、ルイス家が手掛ける多くの企業の副取締役代表を務めているのだ。
エル兄様と違ってラル兄様は暗殺業以外の職業について明るい。
きっと私を応援してくれる筈‼
メルはラルの部屋のドアをノックした。
「どうぞ」という声を聞いてから、ドアノブに手をかける。
重厚感のある扉の向こうには、本棚が何重にも立ち並ぶまるで図書館の様な部屋であった。
所々に趣味の観葉植物が多く置かれている。
背の高い男は、窓際にあるディスクに座り、本を片手に碧眼の瞳の中にメルを映していた。
プラチナブロンドの長い髪を一つに束ね、最愛の妹を見るなり目を細めて笑みを見せている。
メルと同じく美形のその顔は、そこらの女性より色気があり美しい。
「おや?どうしたんだい?」
ラルはパタンと本を閉じた。
「ラル兄様…、実はお願いがあって…」
そういうと、ラルは右手を口元に当てくすくすと笑っていた。
メルの頭の中には「?」が浮かぶ。
「ごめんごめん、そろそろ来る頃だと思ってね」
「何をお願いしようとしていたか分かっているの?」
するとラルはメルをしっかりと見据えて「ハンター試験の事だろう?」と言ったのだ。
メルは驚き目を見開いた。
「え!?なんでわかったの?」
「僕の所にもメルがハンターに関心があるって情報は届いているよ?それにあれだけ使用人が毎夜資料を作っているんだから誰でも分かるよ」
言い終わるとまたクスクスと笑う。
「笑いすぎです兄様!私真剣なんです!ハンター試験を受けてハンターの資格を取りたいの。ハンターになって自分が知らない世界を見てみたいの!それにハンターライセンスがあれば普段行けないような場所での依頼も可能だし、ちゃんと仕事にも活かせるから……お願いします!」
頭を下げると、コツコツと足音が近づいてくるのが分かった。
すると温かい大きな手がメルの頭に置かれた。
「いいよ。行っておいで」
優しく頭を撫でるラル。
メルは、そんなに簡単に許しがもらえるとは思ってはいなかった為ぽかんとした表情でラルを見ていた。
「なんて顔してるの?メルが真剣なのは分かっていたよ。行くからには必ずライセンスを取ってくるんだよ?」
「……はい!あ、エルお兄様には内緒にしてね?バレルと凄く怒られそうだから……」
「はいはい、分かっているよ。申込日に間に合うように、5日後に屋敷を出ようか。僕の念能力”
「ラル兄様ありがとう~‼」
メルはラルに抱き着いた。
ふわっとラルがつけているシプレの香りが鼻をくすぐった。
「はいはい。じゃぁちゃんと準備しておくんだよ?あ、そうだ。仕事の依頼はどうにかして振り分けておくから試験中は仕事のこと忘れて精いっぱいやっておいで」
流石ラルお兄様‼
本当に頼りになる‼
メルは鼻歌を歌いながら自室へと戻った。
メルが出ていくと本棚の後ろに隠れていた、ラルと同等の背丈の男がゆっくりと姿を現した。
黒いスーツを着て、プラチナブロンドの髪をオールバックにしている。鋭い青の眼光はラルを捕らえていた。
その姿を見るなりラルはブッと噴出すように笑った。
「メルってば兄さんがいることに全く気付いていなかったね!」
腹を抱えてケラケラと笑うラルを見て、長男エルは深いため息と共に瞳を閉じた。
「暗殺者としてなっていない。まだまだ未熟な証拠だ」
「でもハンター試験を受けに行くことに関しては賛成なんでしょ?兄さんにしては珍しいよね」
「大事な妹だ。たった一人では行かせんよ」
その発言にラルは笑いを止める。
「もしかして……、ついていくつもりじゃないよね?それ、メルが知ったら相当嫌われるよ?」
真剣な顔でやめておけと言うラルに対してエルは再びため息をつくのであった。
「俺じゃないよ」
「?」
誰か知り合いが今回の試験受験するのか?
兄さんがメルを任せる程の人って誰だろう。
相当な実力者だと思うけど…?
挿絵にエルとラルのラフ画挿入しています。
よければご覧下さい♪
ルイス家の兄妹は美形設定なのでイケメンに描くのが大変でした。
もう少し描きこめば良かったのですが……時間が足りませんでした。
とりあえずUpです。
小説投稿しながら画力も徐々に上げていきます!
ようやく本編のハンター試験へメルが挑戦します。
次から原作沿いになっていきます!