H×H イル×メル   作:@れんか

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30話 フロアマスター×ト×念

 

 

選手の出入口ゲート前まで行くと、キルアは不満そうな顔で私を見ていた。

 

やはりズシが念を使ったのに気付いたな?

念と知らずとしてもそれが危険なものであると感覚で察したんだね。

 

「メル、あいつの、さっきの何?もしかして俺たちが身に着ける強さって、あれのことなのか?」

「さすがキルアだね。まさかこのクラスで使える人がいるとは思わなくて気を抜いていたよ。その様子じゃ気になって次の試合どころじゃないと思うから今から教えてあげる。二人ともついてきて」

 

メルは慣れた足つきでエレベーター前へと移動する。

そしてメルが選択した階は245階。

「ちょっ、メル!押す階数間違えてないか!?」

「言ってなかったけど、私245階のフロアマスターなんだ」

 

「は!?」

「えぇ!?」

キルアとゴンは顔を見合わせて驚くのであった。

 

「ったくメルってばいつの間にフロアマスターになってたんだよ!」

キルアは少し悔しそうな顔でメルを見ていた。

 

「実は修行した時にフロアマスターまで行ったんだ。バトルオリンピアへの出場権も与えられているけど、流石にまだ一度も参加はできていないんだけどね」

 

そして、メルが所有するフロアへと到着した。

床や壁は全て光沢のある白い石で囲まれており、等間隔で温かい間接照明が置かれており神秘的な空間が広がっていた。

そこに、濃い青の絨毯が敷かれており白の床に青がよく映えている。

 

降りるとすぐにフロントがあり、メルを見るなりフロントに座っていた女は目に涙を貯めながら走ってきた。

「メル様ぁあああ!」

女はメルに抱き着いて肩を震わせている。

 

「久しぶりだねタキ」

「久しぶりだね、じゃないですよぅ!!メル様が多忙なのは知っていますがあまりにもここに戻って来て下さらないので私は一人でずっと待ってたんですよぉお!!」

わんわんと泣く女を見てキルアとゴンは少し引いている様子であった。

 

わっ、二人ともそんな目でタキを見ないで!!

良い子なんだから!

「キルア、ゴン、紹介するよ。私のフロアのフロントを担当してくれているタキだよ」

二人に紹介すると目をこすりながらタキはゆっくりとメルの隣にいる少年二人に目をやる。

 

「何ですかこの子たちは?」

「あぁ、私の弟子だよ。タキ、練習部屋を使わせてもらうよ。タキのことだからすぐに使える準備はできているよね?」

「メル様の弟子!?なんて羨ましいガキ…コホンッ。はい!もちろんお部屋の準備はできておりますよ。こちらへどうぞ」

 

タキは歩きながら、二人にこのフロアの説明をしてくれていた。

「このフロアにもフロントが設けられており、245階以下のフロアマスターはメル様にフロントを通して戦いを挑むことができるのです。ですが、メル様はご多忙な故なかなかその試合が通ることはなく、私はいつもその苦情処理をしているのです」

 

タキストレスがかなりかかってるみたいだな。

ごめんねいつもありがとうタキ。

メルは申し訳なさそうにタキを見た。

 

「でもさ、試合を何回も蹴ってたら流石にフロアマスターと言えども降格させられるか、最悪登録を消されたりするんじゃねぇの?」

 

「普通の選手ならばそうなります。ですが、メル様は普通の選手ではありません」

「どういうこと?」

ゴンは首をかしげる。

するとよくぞ聞いてくれましたと言わんばかりにタキは不気味な笑いをし始める。

 

「メル様の艶麗なこのお姿!むさ苦しい闘技場に現れた一凛の華!!これ程までに艶やかで美しいメル様には単純に熱烈なファンが多いのです!!そして、可憐なお姿から想像できない程の圧倒的な強さ!!この闘技場においてメル様は超人気選手の1人なのです!!そんなメル様を闘技場運営サイドは簡単に切り捨てることもできず、もしそんなことをしてしまえばメル様推しのファン達が暴動を起こすことでしょう。それも考慮してメル様のこの階は永久欠番扱いになっているのです!!」

 

「メルってそんなに人気あったのか!?」

まぁ、容姿は言うまでもないし強さを求めた猛者が集まるこの天空闘技場においてはメルの強さは崇めたくなるような熱狂的な信者がついても可笑しくないか。

 

「私のことはそこまでにして、さっ!早速“念”について教えていくよ」

 

メルの練習部屋は、芝生が生えているゾーンや険しい岩場で作られたゾーン、木の床でできた道場の様なゾーンなど、様々な環境下での修業が可能になっていた。

 

「兄貴やメルの強さは念っていう技なのか?」

「そう。自分自身のオーラ、生命エネルギーを自在に操る力のことを念というの。邪念をもって無防備の人間を攻撃すれば、オーラだけで人を殺すことも可能。まぁ、実際に体験してみるのが早いかな」

 

メルは練をしてみせた。

そしてそのまま、そこに少し殺気を込める。

するとキルアは耐えられなくなり、天井に張り付き私から距離を取った。

 

「キルアがイルミに感じていたのはコレでしょう?」

「あ、あぁ。それのもっと何倍も嫌な感じにしたやつが、兄貴の念ってことか」

 

「まずは、基礎から教えるよ。大きく分けて念には4つの基本技があるの。纏・絶・練・発、これら4つから説明していくわ」

メルはホワイトボードを取り出してキュッキュとペンを走らせる。

 

「まず、纏。たれ流しになっている生命エネルギーを肉体にとどめる技術。これにより肉体は頑強になるわ。次に絶。これはオーラを絶つ技術。気配を消したり極度の疲労をいやす時などに効果があるの。ゴンは自然にできていたから驚いたわ」

 

「えっ?俺が?」

「うん。恐らく自然に身に付いたんだろうね。たまにゴンみたいな人いるのよね。次は練!これは通常以上のオーラを生み出す技術のこと。そして最後に発。オーラを自在に操る技術のことよ。念能力の集大成なの。例えば、私が触れただけで怪我を完治させた所みたことあるでしょ?それは私の発なんだ」

 

「なるほどな。今までメルが特別そんな力が使えるのかと思っていたけど……俺も念を身に着ければ同じ能力を身に着けられるということか」

 

「それは少し違うよ?念は奥が深いんだ。オーラには6つの属性があって、誰もが生まれつきそのどれかに属しているの。

強化系、放出系、操作系、特質系、具現化系、変化系。各系統は円を描くようにして並んでおり、隣り合うものほど相性がいいんだ。ちなみに、私は特質系。各属性によって得意不得意があるし、同じ属性だとしても全く同じ能力を創りだすことは恐らく難しいかな?発は自分自身と向き合いながら能力を形にしていくもの。誰かと同じ能力を創ろうとしても全く同じものを創ることは恐らくできないね」

 

するとゴンはプシューと音を立てた。

どうやらショートしている様だ。

「ゴン!大丈夫?」

メルは頭から水をかける。

 

「んー、なんだか話が難しくて……」

「ゴンは実践型だからね。1つずつクリアしていけば良いからね」

「うん」

ゴンは少し自信無し気に答える。

 

「オーラが出る穴のことを精孔っていうんだけど、通常は座禅や瞑想でオーラの流れを体感しながらゆっくり開いていくの。でも今回はもう1つの方法で精孔を開くわ」

 

「もう一つの方法?」

「オーラを他人の肉体にぶつけて無理やり開くの。普通ならばこの方法はオーラを持たない者にオーラをぶつける訳だからとても危険で、場合によっては死もありえる。外道と呼ばれる方法でもあるわ。でも、二人には私がいる。死ぬことはあり得ないから安心して?疲労や怪我を回復させる能力もあるし、私には能力を創造する能力がある。だから二人は安心して修行できるってわけ」

 

能力を創造する能力だと!?

それって最強なんじゃ……

だって相手の弱点になる能力を創り出せたら実質メルは敵なしじゃないか。

でも、そんな都合のいい能力あるのか?

それなりに扱うにはかなりのリスクを伴わないと割に合わない能力だけど……

 

キルアは思案しながらメルを見つめていた。

 

「さ、二人とも上着を脱いで?さっそく二人にオーラを送り込むよ」

 

キルアとゴンは上着を脱いで背中をメルに向ける。

メルの手が触れた所が熱くなり、徐々に全身が迸るような熱を帯びていく。

 

「何だっ!?体中から白い湯気みたいなのが出てる!!」

ゴンは自身の体を見て声を上げた。

 

「目の精孔も開いているからね。それがオーラだよ。でも、その勢いのまま垂れ流し続けるのは危ないよ?全部出し切ると全身疲労で立てなくなる。さぁ、二人とも目を閉じてイメージして?オーラを自分の体の表面に留めるの。自然に体を巡るイメージだよ」

 

それだけの説明で十分だったのか、二人はすぐに纏をマスターしたのであった。

メルは目を見開いた。

 

これだけのアドバイスでできるものなのか。

私が初めて纏をマスターしたのは戦闘の最中だったからなぁ。

相手が念使いでオーラでの攻撃を仕掛けられて無理やり起こす方法になってしまったんだよね。

死と隣り合わせのあの緊迫した状況だったからこそできたと今でも思ってる。

やはりキルアとゴンには天性の才能がある。

 

「二人ともいいね。ちゃんとできているよ。じゃぁもう一度私が本気で練をして見せる。今度は始めよりも強く殺気を込めるよ」

「おう!」

「うん!」

 

するとメルは右手を前方へ伸ばしてオーラを放つ。

鋭い殺気は二人を簡単に包み込んでいく。

 

「うっ」

「-っく」

ゴンとキルアは少し怯むもなんとか堪えていた。

 

なんて殺気だ。

冷たい、怖い……!!

でも、この皮一枚纏った状態でならなんとか耐えられる……!!!!

 

 

するとメルはにっこりと笑い「合格」と言って二人の頭を撫でた。

「よくできたね。本当に呑み込みが早くて助かるよ」

 

「俺、自分が何の系統なのか気になるんだけど……、それって今すぐに分かるものなのか?」

「あっ、それ俺も気になる!!」

 

「うん、すぐに分かるよ。タキ、コップとお水持ってきてくれないかしら」

「はい!」

タキはすぐに透明なグラスを3つ持ってくる。そしてメルは森エリアから葉を摘んできて、グラスに乗せた。

 

「簡単に自分が何の系統かどうか確かめる方法を“水見式”と言うの。グラスを両手包み込むようにして練をするの。すると系統に合わせた反応が起きる。強化系は水の量が変わる、放出系は水の色が変わる、操作系は葉が動く、具現化系は水に不純物が出現する、変化系は水の味が変わる、特質系ならその他の変化が起きる。まぁまずは見てて?」

 

メルはオーラを手に集中させる。

するとグラスの中に入っていた水は紅く染まり、葉は枝を形成し花を実らせていた。

 

「この赤い水にはヘモグロビンが出現しているみたい。ヘモグロビンは酸素と結びつく事でこんなにも鮮やかな赤になるの。つまりこの水は血液になったってこと。これが私が特質系という証拠。さ、二人とも手にオーラを集中させてみて?」

 

すると、ゴンは水が少しずつあふれだす。

「ゴンはどうやら強化系の様だね。ゴンには合ってる系統だと思うよ」

 

キルアの方を見ると見た身は何も変わっていない様子だ。

「あれっ、俺ってばもしかして才能ない?」

少し焦るキルア。

メルはペロッとキルアの水を舐める。

 

「キルアは変化形だね。水が甘くなってるよ?」

「!」

 

キルアも自身の水を舐める。

「ほんとだ、少し甘い!」

「確かシルバさんも変化形だったよ。ちなみにイルミは操作系。ミルキ君も操作系だよ」

「そうなのか、父さんと同じ系統か」

キルアはどこか嬉しそうだった。

 

「纏を常に行って、試合が終わったら練を毎日疲れるまでやること!いいね?」

「うん!」

「おう!」

二人は力強く返事をする。

 

それからキルアとゴンは順調に階を重ねていきあっという間に200階クラスへと到達してしまうのであった。

 

 





誤字脱字が多くて毎回読みにくいと思われますがご容赦下さい。
気付き次第直していきます♪

文字数を徐々に増やしているのですが読みにくくないでしょうか?
これからもう少し文字数増えるかもしれません。
しんどかったらコメントにて教えて下さい。
調整します。

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