H×H イル×メル   作:@れんか

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32話 ヒソカ×ト×ゴン

 

 

「驚いたよ♡」

ゲート場の壁にもたれかかっていた奇術師は嬉しそうに私たちを見下ろしていた。

 

「ヒソカ!!」

ゴンは警戒してヒソカを睨みつける。

「まさか短期間でここまで成長しているなんてね。余程師匠が良い様だ。これなら僕とも楽しく戦えそうだね」

 

「絶対お前にプレートを返してやる!!」

ゴンは人差し指をヒソカに向けて言い切った。

 

「ククク。楽しみにしておくよ♡その左腕の怪我が治ってから試合の日にちを決めよう。日にちは君が決めていいよ。連絡、待っているよ」

それだけ言い残してヒソカは暗闇の中へと姿を消していく。

 

 

「ヒソカとの試合もあるし、まずはその腕をなんとかしなきゃだね。……そうだ。せっかくだし凝を教えてあげる」

「凝?なにそれ?」

クリッと首をかしげる弟子たちは「?」を浮かべる。

 

「さ、私の部屋へ戻るよ!!」

メル達はすぐに245階へと戻り、練習室へと足を踏み入れる。

 

「初めに教えた、纏・絶・練・発は基本技っていうのは覚えているよね?これらを応用した高等技術の1つが、凝!凝は、練の応用技になるの。肉体の一部にオーラを集中させる。まさしくゴンがさっきやってたことだよ」

 

「えっ!そうなの?」

「うん、ゴンは右手に力を込めていたけど通常凝を使う時は目にオーラを集めるの。凝をすると、オーラをみにくくする技、陰を見破ることができる。私が今から念能力を発動させるからそれを凝を使ってみて欲しいんだ」

 

「やってみる!!」

2人とも息を整えて、目にオーラを集中させる。

 

高貴なる者の義務(ノブレスオブリージュ)を発動させた。

凝が出来たならば私の両手に集まる高密度のオーラが見える筈。

 

「さぁ、何が見える?」

 

「うぅ……、これ結構きついな。よく戦いの最中に維持することができたなゴン」

キルアは顔をゆがませながらなんとか私を見る。

 

「……メルの両手が……白く光っている様に見える」

「ゴンは?」

「同じ。凄く濃いオーラが集まっている!!」

 

「2人とも流石だね。凝を維持しておくのはまだきついでしょ?もう解いていいよ」

メルのその言葉で2人はぜえぜえと息をしながら地面に倒れる。

 

「思ったより疲れるな~!!」

「ほんとに、あの時は戦いの最中だったからあまり気付かなかったけどちゃんと凝をしたらこんなに神経使うなんて!!」

 

メルは笑いながらゴンの左腕に手を添える。

すると赤く腫れあがっていた個所は見る見るうちに引いていく。

 

「まったくすげぇ能力だよなー。どんな傷でも治してしまえるのならメルを倒せるやつなんていないんじゃねぇのか?」

「ん?この能力は自分自身には使えないよ?」

 

「はぁ!?」

「え!?」

2人は驚いて飛び起きる。

 

「自分に使えないのになんでそんな能力作ったんだよ!!持ってても意味ねぇじゃん!」

「意味ないことないよ?だってこうしてゴンの怪我を治してあげれているし、ルイス家はよく部下と仕事をすることが多いからね。その時に怪我をした部下を助けられるでしょ?」

 

「そ、それはそうだけどさぁ。~…メル、お前の能力って結構危険なんじゃないか?能力を創造する能力とか、他人の傷なら何でも治せる能力とか……、相当のリスクがありそうなんだけど」

キルアは私の顔を伺いながら聞いてくる。

 

「流石キルアだね。うん、リスクはあるよ。」

2人になら知られててもいいか。

 

「……気まぐれな皇帝(カプリスエンペラー)は能力が能力だからオーラをかなり消費するんだよね。1つの能力を創造するたびに全オーラ量の3~4割は持っていかれる。だから戦闘中に能力を創り出せても2つか3つが限界。しかもこの能力を使用中にオーラが0になってしまえば、足りない分は私の命を削ってでも創造される。それも自動的にね。1度欲しいとカプにお願いしたら何が何でも創造する。たとえ私の命がなくなってもね」

 

「で、でも能力が完成してもメルが死んだら使えないんじゃ……」

「そうだよ、術者が死んじゃったらお願いしても無駄になっちゃうっ」

 

「それがそうでもないんだよ。念には死後、強まる念も存在する。自分が死んでも相手を殺したい、誰かを守りたいっていう時に使える。これは私の奥の手なんだ。まぁ、今のところ使うつもりはないけどね」

その言葉を聞いて2人はメルが置かれている環境を改めて認識した。

 

メルは暗殺一家ルイス家という特殊な環境で育ち、死と向き合いながら日々生きてきた。

だからこそ生まれた能力なのではないか、と。

キルアは生い立ちが似ているメルを見て少し拳を震わせる。

 

「ちなみに、さっき使った高貴なる者の義務(ノブレスオブリージュ)は自身には使えないけど他人の傷なら100%治すことが可能。それは肉体だけでなく、疲労やオーラまで回復することができる。でも、その傷は全て蓄積されていてね、この能力を定期的に使っていないと蓄積された痛みは全て術者である私に返ってくる仕組みなの。まぁ、返ってこられたら死んじゃうんだけどね」

 

「ったんに……な」

キルアは体を震わせながら俯いていた。

 

「ん?キルどうし

「簡単に死ぬとか言うな!!!!」

 

「!」

キルアを見ると大きな瞳に涙を貯めて私を見ていた。

「キル…

「メルのバカ!!!なんでそんなに自分を犠牲にする様な能力ばっか作ってんだよ!!!お前の事大事に思ってる奴は沢山いるんだぜ!?そいつらのこと考えたのか!?」

「うん、ごめんね」

震えながら私を心から心配してくれているキルアを抱きしめた。

 

「ありがとうキルア。でも、私には守りたい人が沢山いるんだよ。だから生まれた能力なんだ」

「メルのバカっ!!!」

「はいはい」

メルは微笑みながらキルアの頭を撫でる。

 

「俺、怪我したらメルの所に行くよ。それで俺の傷、また治してね?メル」

ゴンも心配そうに私を見つめている。

「もちろんだよゴン。いつでも治してあげる。……さぁ、話が反れちゃったね。2人とも?実感したと思うけど凝は維持するのが始めはかなり疲れる。まずはそれに慣れるところから始めないとね。毎日30分凝を続ける所から始めようか。その後は、疲れるまで練を継続すること!!まだ教えたいことが沢山あるけど、1度に詰め込みすぎるのもよくないからね」

 

「おう!!」

キルは涙をぬぐって返事をする。

「分かったよ!!」

ゴンもしっかりとメルを見つめて力強く頷いた。

 

それから3週間後。

 

ゴンはヒソカとの試合の日を決めてヒソカにもそれを伝えた。

そして試合当日。

 

 

「今のゴンならヒソカに一発と言わず数発は食わらせることができると思うよ。でも、油断はしないこと!ギド戦みたいに無茶はしないこと!いいね?」

「うん!」

 

ん~まっすぐ見つめてくれるのはいいけどちょっと心配なんだよね。

ギド戦の時のゴンを見てしまったらどうしてもまた無茶をしそうだし

しかも相手がヒソカとなると、ゴンをうっかり殺しかねない。

やっぱり渡しておこう。

 

「ゴン、手を出して?」

「ん?」

 

メルはゴンの右手の薬指に指輪をはめた。

「わぁ、綺麗な指輪だね!」

白い薔薇の形に削られた石がはめ込まれたシルバーの指輪はゴンの手で輝いている。

 

「お守りだよ。ヒソカは強敵だけど、油断せずに自分が今できる全てを出し切ってきてね」

「うん!!!!」

 

 

私はキルアと共に観戦席へと向かう。

今日の試合は一段と人気らしく、チケットは直ぐに完売。私はフロアマスターの特権を使って簡単にチケットを手に入れることができたけど普通に手に入れるとなるとかなりの倍率だろう。

 

時間が来ると辺りが暗くなり派手にライトが点滅する。そして元気いっぱいに解説者がマイクを握る。

 

『レディースエンドジェントルマン!!!これより開始致しますのはぁ、未だ無敗の男!!奇術師ヒソカ選手とおおお、ギド選手を完膚なきまで吹き飛ばしたゴン選手との戦いです!!!!チケットは1時間もしない間に完売となりこの試合がいかに注目されているかが伺えますうううう!!!さああて、一体この試合!!どうなるのでしょうかあああ!!!!』

 

「うおおおおおおおおおおお!!!」

 

会場の熱気は始めからピークに達しており観客の声で空気が振動する様にびりびりとしていた。

そして、それぞれの入場ゲートからはヒソカとゴンが姿を現し更に会場は湧き上がった。

 

「そういや、メルがゴンに渡してたあの指輪ってなに?試合直前に渡したってことは何か秘密があるんだろ?」

「全く鋭いねキルアは。あの指輪は、私が事前にカプで作ったモノなんだ。能力名は“白薔薇の指輪”。右手の薬指にはめた者の死を探知するとどんな攻撃でも1度無効化することができる。まぁ、使わなかったらそれでいいんだけど、なんだか胸騒ぎがしてね」

「まぁ、相手がヒソカだからな。何が起こるか分からない」

 

 

 

ヒソカはいつもの様にニタリと不気味な笑みを浮かべてゴンを見ている。

すると会場が静まり返るような殺気がぶわっとヒソカから発せられた。

どうやらゴンがあまりにも真っすぐに自分を見つめているからたぎっている様だ。

あまりの高ぶりについ感情が抑えきれずに漏れた殺気。

全観客が息を飲んで2人に注目した。

 

まず動いたのはゴンからであった。足にオーラを集中させて人間離れした速さでヒソカへと向かっていく。通常の人間であればゴンの残像しか見えていない。そして右手でパンチを繰り出し、次に左足でヒソカの顔面目掛けて蹴り上げる。だがどれもヒソカは綺麗に交わしていくのだ。その顔はやはり笑っていてゴンの成長ぶりに興味津々という様子であった。

 

ヒソカはゴンのパンチを交わしながらゴンの小さな背中に肘を打ち付ける。その攻撃は纏をしていてもつい息が止まりそうなくらいの衝撃であった。「くぅっ」と苦しい声を上げるもゴンはなんとか体制を立て直してまたヒソカに高速ラッシュをお見舞いさせる。

だがやはり戦闘経験の差が顕著に表れていく。ゴンの攻撃は一発も決まらず、しかも攻撃の際にできる隙をヒソカが見逃すはずもなく、そこをつかれて仕掛けた筈のゴンがダメージを受けていたのだ。

 

ゴンは跳躍して1度ヒソカから距離を取った。

「ふぅ」と一息つき呼吸をまずは整える。

 

メルから教わったことを思い出すんだ。体術なんかは前と比べ者にならないくらい動けるようになったけどそれでもヒソカ相手だとどうしてもまだ劣ってしまっている。でも、ヒソカにも必ず隙ができる筈なんだ!!

 

“いい?ゴン。どんな相手にも隙は必ずできる。隙がないなら自分からそうなる様に仕掛けなさい”

メルの言葉が頭に響く。

「よし!!」

ゴンは右手にオーラを集中させる。

 

それを見たヒソカは目を大きく見開かせた。

「おりゃあああああああ!!」

ゴンは固い地面を砕き割ると、その衝撃で土煙が上がり沢山のコンクリート片が宙を舞う。

体の小ささを生かしてゴンはその欠片に身を隠しながら移動する。

 

絶はメルからお墨付きをもらっているんだ!!!!

 

ヒソカはオーラを感じないゴンを追うのは辞めて、土煙の動きに注目していた。

わずかに動いた土煙の方向を向いたその時だ。

鈍い痛みを感じ、今ゴンに殴られていることにヒソカは気づいた。ギロリと鋭い黄色の眼光が嬉しそうにゴンを映す。

ゴンに殴られた衝撃を、足に踏ん張りをかけて耐えたヒソカは「ククク」と低い声で喉を鳴らしていた。

 

すると両者は顔を見合わせたかと思えばリングの中央に向かってゆっくりと歩き出す。そしてゴンは44番のナンバープレートをヒソカに手渡した。ヒソカは何も言わずにそのプレート受け取った。そしてすぐに2人は十分な間合いを取る為リングの両端へと跳躍する。

 

「ククク。君、メルからどこまで念を習った?」

「基礎と、応用技を少し」

「そうかい♡さっきの、硬だろう?すごいねぇ、短期間でここまで仕上げてくるなんて。少し驚いたよ♡もっと僕を楽しませておくれよ」

 

そう言って今度はヒソカから仕掛けてきた。

猛スピードで笑いながら迫られてくると誰でも身じろいでしまいそうになる。だがゴンは勇敢にもそれに立ち向かっていく。その様子を見てヒソカは更に笑みを深くする。

「君、最高だよ。いいモノを見せてあげるよ♡」

 

そう言ってヒソカは人差し指を立てる。そしてクイッと指を曲げると、それに引っ張られるようにゴンはヒソカの方へと向かっていく。

「くそっ!!凝!!」

凝をすると自分の頬に粘着質なガムの様なものが付着しており、びよーんとヒソカの人差し指に繋がっている。それが縮み、ゴンの体は簡単に宙を斬りながらヒソカの方へと向かっていたのだ。

 

「どう避ける?ゴン!!!♡」

ヒソカは拳を既に振りかぶっている。

「逃げられないのなら向かっていくまでだあああああ!!!!!!」

ゴンは体制を崩しながらも右拳にオーラを込め始める。

「うおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

 

徐々にオーラが練られていく右拳を見てヒソカは今までにないくらいの高揚を感じていた。

良い!!!!

良い!!!!!!!

実に良いよゴン!!!!!!

その拳、その目、その心意気!!!1

あぁ、……今すぐ君を

コワシタイ!!!!!!!!!!!!!!

 

あぁ、でも我慢我慢。

青い果実は実ってから。

もっと、もっと、崩すのが勿体なくなるくらい熟れてから!!

高く積みあがるまでの我慢

 

ヒソカはゴンの硬を正面から受け止める為堅をしてみせる。

そしてゴンに自身の重たいパンチを振り下ろす。

 

「っかは!!!」

 

ゴンの視界はぐらつき、一瞬意識が飛びそうになる。

「くぅっ」

唇をかみしめて何とか耐えきるとまた距離を取った。

 

肩で息をしながら呼吸を整えるゴン。

「はぁはぁはぁっ」

蓄積されたダメージはかなり大きく、立ち上がるのもつらい。だがゴンはこの戦いを、いかに戦い抜くかということで頭がいっぱいであった。

 

何度殴り返しても変わらず闘志を燃やす瞳で向かってくるゴンに対してヒソカは更にヤる気を見せ始める。

「少し、本気をだしてもいいかもしれないね♡」

 

本気をだしてもいいだと!?

やっぱり今までのは本気じゃなかったのか!!!

「くそー!!!!」

その悔しさに、怒りに、感情的に地面に殴る。するとビキビキッと地面に亀裂が入った。

 

「ククク♡君、強化系だろう?単純一途な所がかわいいね。変化形の僕とは相性バッチリ。でも気をつけなきゃ。変化形は気まぐれだからね」

 

そう言ってヒソカはトランプのカードをどこからか取り出す。凝をしてトランプを見ると、鋭利な程研ぎ澄まされたオーラが纏われている。ゴンはゴクリを生唾を飲み込んだ。斬られた所によると即死だと嫌でも理解してしまう。それがゴンに緊張をもたらせていた。

 

「いくよ、ゴン!!!!」

 

ヒソカは狂気じみた笑みを浮かべまた人差し指をクイッと曲げてゴンを自身の方へと引き寄せていく。

怖い……、でもそれ以上に悔しい!!!!!見てろヒソカ!!!!!一泡吹かせてやる!!!!!!

 

 

ゴンは正真正銘全身全霊で今持ちうるオーラを全て右拳へと込める。念を知らない者でも分かるほど空気は乾き、振動し、ゴンを中心に何かが渦巻いていると理解できた。観客は声を出すことも忘れてその試合にのめりこむ様に見入っていた。

 

ゴンは右手で殴るかと思いきや、なんとわずかにオーラを込めた左足でヒソカのトランプを蹴飛ばし、右こぶしをヒソカの腹へとぶち込んだ。

「うおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

「っは!」ヒソカは口から少し血を吐く。だが致命傷にまでは至らない。ヒソカは高度なオーラの攻防力移動が可能。この程度の窮地は幾度となく経験済みであったのだ。素早く腹へオーラを集めて衝撃に耐えきって見せたのだ。

 

ヒソカはギラついた瞳でゴンを見つめた時だ。完全にヒソカの瞳はゴンを殺すことしか考えてはいない様子。既に狩っしまっても良いのではないか?という疑問を持ち始めたヒソカはその行動を止められない。

「ゴオオンンンンンンンン!!!!!!♡」

 

その時だ。審判はゴンにダウンを告げてヒソカの勝利を判定した。

だがヒソカの振り下ろされた右腕は止まらない。倒れこむゴンの背中から心臓を一突きしようとしていたのだ。

 

「こら!!!止めなさい!!!」

審判員の言葉など高揚しきったヒソカの耳に届く訳もなくヒソカはゴンの柔らかい肉をえぐり取ろうとしたその時だ。

メルが渡していた“白薔薇の指輪”が発動した。

ゴンの体を包みこむ様にいくつもの蔓がゴンの体を覆い、沢山の白く美しい花を実らせていく。

ヒソカの右腕はその蔓に巻き取られて完全に動きを静止させられる。この蔓に触れているとオーラを練ることができず、完全に絶の状態を強制されているとヒソカは瞬時に気付いた。

 

ふと、観客席に座るメルの姿が目に入る。冷たい瞳でこちらを睨みつける青く美しい眼光にヒソカはゾクゾクと更なる高まりを感じたのであった。

 

ヒソカは高ぶった感情をなんとか抑え込み、メルという極上の獲物との戦いへと頭を切り替える。先ほどまで自身を楽しませてくれたゴンを見下ろし「もう少し強くなったら、次はここではなく真剣勝負をしよう」そう言い残して退場ゲートへと向かっていくのであった。

 

ゴンは完全に気を失っており担架に乗せられて運ばれていく。

私とキルアは急いで医務室へと向かう。ゴンはベッドの上で眠っており、背骨にヒビ、頭部外傷、打撲、擦過傷、両腕骨折、左足脛骨ヒビが入っていると天空闘技場の医師から告げられる。私はゴンを自身の部屋へ運び看病すると言って半ば無理やりゴンを自室へと連れて帰った。

 

「渡していてよかったな、指輪」

キルアはぼそっと呟く。

「うん。渡していなかったらゴンは心臓を抉られていた……」

 

キルアはビクッと肩を上げる。

メルから静かで、だが深く鋭い殺気が放たれていたからだ。

 

杞憂で終わってほしかったけどヒソカ、やはりあなたはゴンを殺そうとした。

それがどうしても許せない。

 

ヒソカは一応“友達”

イルミの事を教えてくれる大事な“協力者”

でも私の大切な人を傷つけるなら許さない。

 

ゴン、仇は必ず打ってあげるよ。

 

メルはゴンの頬に手を添える。ゴンの傷はスッと消失していく。

「メル、大丈夫か?」

 

私を心配そうに見上げるキルア。

「大丈夫だよ。次は私の番だね」

「どういうこと?」

「私、ヒソカと戦う約束してたの。お互い念能力を極めた者の戦いになるから見ごたえはあると思うよ。凝を一秒でも長く継続できるように修行しててね?最後まで見逃さずに私の戦いを見て欲しい。見るだけでも勉強になる試合をするよ」

 

「!!」

 

キルアはメルの話を聞いてから考え込んでいた。

あの試合が終わってからメルの様子がおかしい。

あまり笑わなくなったし、笑ってもどこか無理をしているみたいだ。

ゴンを傷つけられたからか?

それにしてもなにか他に理由がありそうな感じだ。

 

キルアは数日迷ったが、ある男に電話をすることを決意するのであった。

 

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