H×H イル×メル   作:@れんか

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36話 メル×ノ×新技

 

仕掛けたのはヒソカからだった。

今にも裂けてしまいそうな笑みを浮かべながら私の顔面に目掛けて振り上げられた右足。

 

服の上からでも分かる!

なんて鍛え上げられた肉体だろう。

イルミといい勝負してるんじゃないかな。

でも、体術戦は私も得意分野!

あのスパルタイルミにしっかりと仕込まれてるんだからね!

 

メルは少し微笑みながら真っ向からヒソカの蹴りを受け止めた。そこから目にも留まらぬ速さの高度な攻防戦が始まった。念の達人同士の戦いに、観客たちは何が起こっているのか理解できずに息を飲みながらリング上を見つめていた。

 

素早く正確なオーラの攻防力移動を可能にしているのはもちろん両者の圧倒的な戦闘センスもあるが、1番は積み上げてきた経験が大きかった。

 

 

僕と互角とはね♡

やるね、メル。

伸縮自在の愛 (バンジーガム)を見せてあげるよ。

 

 

ヒソカが念能力を発動させようとした時、イルミによって極限にまで研ぎ澄まされたメルの五感はそれを察知したのだ。それと同時にメルも自身の念能力を発動させた。

 

神の略奪者(テオスプランダラ)”!!

一瞬にしてメルの右手に現れた白く美しい刀を見てヒソカはすぐに距離を取った。

 

 

危ない危ない。

あの刀はやばいね。

ハンター試験の時にも見たけど、対峙してみたらかなり危ない匂いがするね。

 

 

「流石だねヒソカ」

「それはこっちのセリフさ。よく僕が念能力を発動させようとしてるのに気づいたね♡こんなこと初めてだよ」

ヒソカは人差し指を立てており、その先からはピンク色のガム上のオーラがぶら下がっていた。

 

 

ゴンとの試合時にも見たけど、戦闘中にアレを張り付けられたらかなり不利になるから気をつけないとね。

 

 

「私も、あんなに近距離にいたのに斬れなかったのは初めてだよ。能力を発動する時間は遅くはないはずなんだけどなぁ」

メルはにっこりと笑みを浮かべながらヒソカを見据える。

 

 

本当に、厄介な相手(奇術師)だ。

さてそろそろ、イルミが言った通り私の強みを生かしていかないとね。

カプ、出番だよ。

 

 

私の足元には円形の術式が浮かび上がり同時にカプの声が頭の中に響いてきた。

『はい、マスター!なんの能力をご所望でしょうか?』

 

 

ヒソカは私を見て目を大きく見開かせてさらに笑みを濃くする。

あぁ、メル!!!!

なんていいオーラなんだ!!

「さぁ!!見せておくれよ!!君の力を!!!!」

ヒソカはタガが外れた様に私に飛び掛かってきた。

 

 

カプ、今戦っている相手と同じような念能力が欲しい。伸び縮みする様な、まるでガムみたいな能力!!!!

『了解しましたマスター。4割ほどのオーラを使ってしまいますがよろしいでしょうか』

構わないわ。

 

 

ヒソカは私にオーラをくっつけようと陰を使って次々と伸ばしてくる。

これに触れる訳にはいかない!!

 

 

メルは避けながら隠し持っていた暗器のナイフを投げ込みヒソカのリズムを崩していく。

カプ、能力創造にかかる時間はどのくらい?

『10分です』

10分か。カプにしては時間がかかるね。

 

『申し訳ありませんマスター。今マスターが戦っている相手の能力の解析に少し時間がかかるのです。マスターが目で見て感じた情報を更に分析しているのです。1度あの能力に触れれば完成する時間を早められるのですが……』

 

なるほど。

……カプの能力は私もまだ知らないことが多い。相手の能力に似た能力を創造する時はそれなりの情報が必要って訳だね。

 

『マスター、今から別の能力を創造することは出来かねますのでご注意を』

分かっているよカプ。1度お願いした能力は創造するまでお願いできない、でしょ?

それに、今回はヒソカの伸縮自在の愛(バンジーガム)に似た能力で戦わないと意味がないの。

 

『理由を聞いても?』

同じ能力で負けた時ってかなり屈辱なんだよね。自分が今まで積み上げてきたモノを簡単に崩されるなんて、最悪だと思わない?それをヒソカには味わってもらう。私の弟子を目の前で殺されかけたんだからね。きっちりとお返しはさせてもらうんだから。

 

『さすがマスターです!どこまでもお供致します!!』

……時々カプが念能力だってこと忘れそうになるよ。さ、カプ。なるべく早く能力の創造お願いね。少しでも早く創造できるよう協力するからね。

『了解しましたマスター』

 

 

メルは逃げるのをやめて、ヒソカと向き合った。

その行動にヒソカは頭に「?」を浮かべる。

「一体何を企んでいるのかな?」

 

こちらへ向かっていた足を止めてヒソカはどうやら警戒しているみたいだ。

「ヒソカを楽しませてあげる為に逃げるのをやめてみただけだよ。私も近距離戦は得意だしね」

「ふぅん」

 

足元に浮かんでる術式を使った念能力も気になるけど……

これから仕掛けてくるのかな?

まぁなんにせよ、念能力者同士の戦いは()ってみないと分からないね。

 

 

ヒソカとメルは再び距離を詰める。

メルは刀を、ヒソカはトランプを握り激しい攻防戦が始まった。

 

 

私は幼いころから暗殺術を身に着ける為に数々の武器を扱ってきた。

その中でも1番しっくりときたのが刀。

それもあって、神の略奪者(テオスプランダラ)の形は刀の姿をしているんだと思う。

刀なら誰にも負けない自信がある。

なのにっ……

ほんとにどうなってるんだか。

私の剣撃をあんな周をしただけのトランプで防がれちゃうなんて。

認めざる得ない。

ヒソカは強い!!!

 

 

私が刀を振り下ろしてヒソカがまた見事にトランプで受け止めた時だった。ぬるっとするようなまるでスライムに切っ先が埋まってしまったような感覚だった。メルはすぐに察した。

 

 

ヒソカの念能力が発動してる!これを待ってたよヒソカ。

カプ!!分析頼んだよ!!

 

『お任せくださいマスター!!』

 

刀を振り上げようとしても伸縮自在の愛(バンジーガム)はカッチリと、刀とトランプとを固定してしまっていた。

ヒソカの念に触れることが目的で近距離戦を挑んだけど、このまままやられる訳にはいかない。

オーラ量を腕に集中させて無理やり引きはがしにかかったメルは、目を丸くした。

 

「あれっ、取れないや」

 

「ククク、1度着いたら付けるも剥がすも僕次第さ♡」

 

こんなにオーラを込めても剥がれないんだ。いい情報をありがとうヒソカ。

するとカプの声がその時を告げる。

 

『マスター、分析完了。あと10秒で能力発動できます。能力名はー……』

 

 

 

 

「メル」

 

カプが今から能力名を教えてくれるところで同時にヒソカは口を開いた。

 

「いいことを教えてあげようか」

「いいこと?」

ヒソカは笑顔で見つめる。

 

 

 

「イルミの想い人♡」

 

 

 

私は一瞬頭が真っ白になった。

「は?」

 

 

 

イルミ好きな人がいるの!?

全然知らなかったんだけど!?

しかもなんで今それを言う!!!

にっこり微笑みながら私にとっての爆弾発言をこんな状況でかましてくるなんて!!!!

 

 

 

あまりにもふいな発言に、私はついオーラを緩めて同様してしまったのだ。

しかもそれと同時に能力創造が完成してしまい私のオーラは一時的に減少してしまっていた。

それを見逃すヒソカではなく、伸縮自在の愛(バンジーガム)が私の左腕に付着し、勢いよく体が引っ張られて地面に思い切り叩きつけられたのだ。

 

「かはっ!!!!」

 

私がぶつかったリングの石面は粉々に砕けていかにその衝撃が強かったのか物語っている。

しかも、オーラが十分でなかった為内臓にかなりのダメージを負ってしまっていた。

口からはたらりと赤黒い血液が流れてぽたぽたと地面に落ちていく。

 

そして間髪入れずにヒソカの右手は私の細い首を掴み上げた。

簡単に宙に浮く私を見つめてヒソカはこれ以上ない程の笑みを見せている。

 

 

「あぁ、メル……!!いいよその表情!!!ダメージを受けてなお僕をヤる気満々のその瞳!!!!あぁあああ!!実にそそられるよ!!!!!」

ヒソカはペロリとメルの頬に飛んだ血液を舐めとった。

 

 

ひぃっ、今舐められた!?

 

 

ヒソカの怪しげなその瞳は観客席に座るイルミを捉えている。

イルミはポーカーフェイスを崩さずにその試合を見ていた。

キルアとゴンは立ち上がり「メルー!!!」と叫び、小さな拳を震わせていた。

 

「兄貴!!!メルが!!!!」

「うん。少しは落ち着きなよキルア」

「何でそんな冷静にいられるんだ!!!」

「冷静?俺が?」

 

イルミが座っている座席のひじ掛けは無残にもは粉々に砕け散っていたのだ。

 

「感情が出すぎているぞイルミ」

後ろからエルの低い声が響く。

「よく言うよ。エルこそ、その殺気なんとかしたら?」

 

「人の妹を舐めるなんて、兄さん。あいつやっぱり今やってしまった方がいいんじゃない?」

ラルも青筋を浮かべながらヒソカを冷たく睨む。

「しかもあいつ、こっちに気付いて見せつけてる様だし。俺が目に見えない行為(インビジブルアクト)で近づいて気付かれない様にやってこようか」

 

エルは何も言わずに冷たい殺気をヒソカへと送る。

ヒソカはもちろんそれを感じてゾクゾクと自身を高ぶらせていた。

 

 

暗殺一家の人間だというのにあまりにも取り乱す3人を見て、シルバとウィリアムはそれを諫めた。

「イルミ、落ち着け」

 

「エル、ラル。メルの試合に手を出すことは僕が許さないよ。最後まで見届けなさい」

 

 

その言葉で3人はスッと殺気を消し去った。

シルバは目線だけをイルミに向ける。

「イルミ、お前にそんな一面があるとは知らなかったぞ」

「別に。メルは俺の弟子だしあんなヤツに好きにやられたらそりゃいい気はしないでしょ」

そう言うとシルバは意味深な表情でフッと笑みを浮かべる。

 

 

「ラルはともかくエル、お前はルイス家の暗殺家業を継ぐ人間だ。それが妹が少し舐められたくらいでそう取り乱してはいけないよ」

「……すみません」

「今は冷静に落ち着いて観察するんだ。気を見て、その時にヤればいい」

にっこりと微笑むウィリアムを見てエルは目を伏せる。

 

 

父さんはいつも笑っていて何を考えているか分かりづらい。

でも、怒っているのは確かな様だ。

無駄を嫌う父さんが仕事でもないのにヤればいい、だなんて。

エルは少し口角をあげて、リングへと視線を移した。

 

 

「クククククッ。つくづく君といるといいことばかり起きそうで先が楽しみだよ。君がここで死んだらどうなると思う?君の次は超一流の暗殺者達とやれそうなんだ♡僕ってば運がいいよね。最後になると思うしメル、さっきの答え教えてやろうか。あくまで僕たち“友達”だし♡」

 

気道を徐々に圧迫されてそろそろ息ができなくなってきた。

「うぅ……」

 

ヒソカは私の耳元で囁く。

 

 

 

「君が1番よく知るとっても可愛くて強い子さ♡。じゃぁね、メル」

 

 

 

「うぅっ……やめて!!!!」

ヒソカは私の首を握り潰す勢いで力を込めた。

ポッキリと折れてしまうはずの私の首。

でも折れることはなくまだ綺麗につながっている。

ヒソカは目を見開いた。

 

 

「なんてね」

ぺろっと舌を出しながらヒソカを見ると目を丸くしていた。

 

 

「“変幻自在な愛”」

 

カプってば名前までそっくりにしちゃって。

 

そう呟くと、私のオーラ性質は変わっていき粘着性のあるモノへと変化した。

そして私の首を掴むヒソカの右手にぴたりとくっつき、ヒソカは一切腕を動かすことができなくなっていたのだ。

 

「なんだいその能力…」

「ヒソカの伸縮自在の愛(バンジーガム)を真似て作ってみたんだ。どう?うまくできているでしょ?」

 

私のオーラに包まれたヒソカの右手はググッと徐々に開かれていき、私の首から離れた。

ようやく地面に足をつくことができた私はヒソカににっこりと笑いかけてみる。

 

「君の念能力はあの刀を具現化ところをみると具現化系だ、と思い込んでいたよ。オーラを僕の念の様にゴムみたいな粘着性のあるモノへと変化させ、そしてその能力を君は 作ってみた と言った。つまり君は、特質系だね?」

 

「正解」

 

「考えたくはないけど、もしかして能力を好きに作りだせちゃったりして♡」

メルは笑顔を浮かべてまた「正解」と言う。

 

 

それを聞いてヒソカは目を大きく見開いた。

「あっははは、そんなとんでも能力がこの世に存在しているなんてね。メル、君はどうやら特別な様だ。それだけの能力を使いこなすには普通なら、メモリ不足になるものだよ」

 

 

「それがどうやら私にはないみたいなんだよね。特質系だからなのか私個人に原因があるのか、そこはハッキリしないけど、今のところ私は修行によって幾らでも念能力を習得することができる」

 

「そんな話、聞いたことも見たこともなかったよ。ますます君に興味が湧いて来たよ」

ヒソカから禍々しいオーラが放たれる。

ヒソカは全力で私と勝負したいという気持ちがひしひしと伝わってきた。

 

 

「全力のヒソカを叩き潰す!!!!」

「きなよメル」

「のぞむところよ!!!」

 

 

私はヒソカの右手を引っ張り地面にヒソカを叩きつけて刀を振り下ろす。

紙一重で交わしたヒソカの服はパックリと切れて、鍛え上げられた分厚い胸板が見え隠れしていた。

 

 

惜しいな。

服が切れただけか。

でもこの能力は神の略奪者(テオスプランダラ)と相性がいい。

相手が離れたらすぐに引き寄せて叩き切るチャンスが生まれるし、相手の重心も引っ張ればすぐに崩せるし応用がかなり利く能力だ。

でも、流石ヒソカ。

体制を崩されてもぎりぎりで避けていくし、たまに蹴りやパンチが決まってもあまりダメージを負っていないみたい。

 

 

私がある床に着地した時だ。ぬめっとした感触を感じて、凝をしてみるとヒソカの伸縮自在の愛(バンジーガム)が陰で隠されていたのだ。

しまった、左足に……!!

 

 

ヒソカはすかさず私の左足を引っ張り自身へと引き寄せた。

ううっ!!すごいスピードだっ……!!

私もやってやる!!!!

 

 

ヒソカの右腕をグイッと引っ張り上げてヒソカと私はお互いを引き寄せあった。

そして寸での所で私はヒソカを地面へと叩き落とし、ヒソカは私をブンッと遠くへ放り投げる。

 

私は観客席まで勢いよく飛ばされた。観客を庇いながらの体制になった為足首を捻ってしまい、ズキンとする痛みを感じた。

すぐにオーラを巡らせて痛みを和らげる。

 

 

「大丈夫ですか!?」

私がもう少しで下敷きにしてしまう所だった観客に目を移そうとすると、目の際でヒソカこちらに向かってきているのが見えた。

容赦なく観客席へと飛んできて鋭い一撃をきめようとしていたのだ。

私は避ける訳にはいかず、それを受け止める。

 

 

「早く逃げてください!!」

観客たちは悲鳴を上げてその場から走り去っていく。

 

 

「いけないなぁ♡僕をみていなきゃ」と言い、頬にぬめっとしたオーラが付着した感触がした。

「しまった!!!!」

 

 

ヒソカは勢いよく私の頬を引っ張り上げて振りかぶった右拳で殴りつけた。

「っあ!」

一瞬視界がぐらつくも、すぐに私は体制を整える。

 

 

こんなところで戦う訳にはいかない!!

メルはリング上へと戻ろうとヒソカから距離を取ろうとするも、左足に付いたヒソカのオーラが急速に縮められてすぐ真下にいる観客席へと落とされた。

 

 

ふいに引っ張られた為観客を避けることができず、勢いよく観客の海にダイブしてしまう。

いけない!!人の上にもろに落ちてしまった!!!!

 

 

目を開けると「メル、大丈夫?」と聞きなれた声が聞こえてきた。

 

 

 

落とされた場所はなんとイルミの上だったらしく、私を横抱きにしていたのだ。

「イッ、イルミ!?」

「人が邪魔で戦えないんだろ?なら、アレでしとめてしまいなよ」

 

 

 

アレ、……イルミと作った新技!!!

「うん!!!やってくる!!!」

 

 

 

するとヒソカは私の足をまた勢いよく引っ張る。

「僕と戦っているのに他のヤツにくっつくなよ♡」

 

 

「ヒソカが落としたんでしょ!!」

「あぁそうだった」

「私、ヒソカと戦う為に修行したんだ。新技の初めの獲物になってもらうよヒソカ」

「それは光栄だね♡」

 

 

そう余裕な表情をしていられるのも今のうちだよヒソカ!!!

……カプ、ありがとう。あれを使うからもう下がってて。

『はい、マスター』

メルの足元にあった術式は消え、同時にヒソカに付着した能力も消える。

 

 

傲慢な絶対君主(リベラロード)

 

 

メルを中心にぶわっと空気が変わった。

ルイス家とゾルディック家の暗殺者達は近くでメルの変化する様に目を見張った。

 

メルのプラチナブロンドの髪は黒く染まっていき、青い宝石の様な瞳も黒く吸い込まれそうな瞳へと変化していったのだ。

同時に、メルを取り巻くオーラはあまりにも禍々しくその能力の底知れない恐ろしさを醸し出していた。

 

 

エルは眉を顰めながらイルミを見る。

「イルミ、メルに何をした」

 

「修行してみて思ったよ。メルは天才だっ、て。俺はメルの背中を少し押したまでさ」

 

 

ヒソカはメルの豹変ぶりに目を輝かせ、まるで愛しいモノを見るかのような瞳でメルを眺めていた。

メルの黒いオーラはまるで生き物の様にグネグネと動き触手の様な形になっていく。

それからは一瞬であった。

 

 

その触手はヒソカ目掛けて飛び掛かり、逃げるヒソカを簡単にとらえてしまったのだ。

腰にぐるりと巻き付いた触手は、ゆっくりと私の前にヒソカを連れてきた。

 

 

「なんだいこの能力は」

「実感した方が早いよ」

 

 

するとヒソカの顔色が徐々に変わっていく。

「君、本当に…嫌な能力を…創ってくれたね」

初めて表情を崩すヒソカを見てメルはにっこりと微笑んだ。

 

 

傲慢な絶対君主(リベラロード)は相手のオーラを吸い取る能力。しかもこうして拘束することも可能なの。ヒソカも知っていると思うけど、私は2つの能力を同時に扱うことができる。それを生かして考えてみたの。神の略奪者(テオスプランダラ)は、傷さえつければ相手のモノならどんなモノでも奪うことができる。能力は強いけど、ヒソカレベルになると警戒されて当てること自体難しい。だから傲慢な絶対君主(リベラロード)で動きを止めて、オーラを奪い、そして神の略奪者(テオスプランダラ)で確実に相手に傷をつけて、能力やモノを奪う」

 

 

 

「ククク、君が暗殺者だってことをスッカリ忘れていたよ。全く容赦のない能力だ」

「さて、ヒソカ。貴方から何をもらおうか」

「ククク、何でもあげるよ。君になら殺されてもいいと思ってしまったからね」

 

 

 

すると後ろからひょっこりと顔を出すイルミ。

「そう。なら殺してしまいなよメル」

 

 

 

「イルミ!……私は仕事でもないのに命を奪ったりはしたくはないわ」

「じゃぁこういうのはどうだい?♡」

 

「ヒソカ、お前に選択権はないんだけど」

イルミは首をかしげる。

 

 

 

 

「メル、“友達”から“親友”にならないかい?“親友”にならただの友達に言えなかったことも言える様になるんだけどなぁ」

それはヒソカがあの時に言った、イルミの好きな人が誰か教えるってこと!?

 

でも、

「ヒソカの言う事なんて信用できない」

「僕は1度した約束は破らないよ。そんなに心配なら、君に嘘をついたら僕が死ぬような念を作ればいいじゃないか」

「あ、それ良い手だね」

 

 

するとイルミが私の頬をつねってきた。

「いはは!いはいよイフミ!!」

「なに相手の口車に乗せられようとしてるの。それに、何をそんなに知りたがってるのさ」

 

 

「イッ、イルミには内緒だよ」

「そう♡これはメルと僕だけの秘密のー…

「黙らないと殺しちゃうよヒソカ」

イルミは禍々しい針を構える。

 

 

「とにかく、まだ試合中なんだから口出しはなしだよイルミ!」

そう言って私は神の略奪者(テオスプランダラ)をしまい、カプを呼んだ。

 

術式が展開されたことで気まぐれな皇帝(カプリスエンペラー)を使用していることが簡単にばれてしまう。

 

 

 

あ、メルってばカプで本当にヒソカとの約束を拘束する能力を創る気だね。

イルミの目はスッと細められる。

 

 

 

イルミから嫌なオーラ出てるけど……怖くて見れないから無視無視!

さてと!

相手と約束をして、その約束を違えることがあれば相手を死に至らしめる能力を創りたいんだけどできる?

 

 

『可能ですマスター!ですが、かなりの拘束力を持つ念能力になってしまう為いつもよりオーラが必要になるのですがよろしいでしょうか?』

どのくらい?

『7割です』

あぁ、今なら大丈夫だよ。オーラの供給源は捕まえてあるから好きにしていいよ。

『流石ですマスター!』

 

 

「てことで、ヒソカ。今からオーラをかなり使わせてもらうよ。私に負けたから文句はなしね?」

「ククク、いいさ。すきにするといいさ

言いかけた時だ。ヒソカの顔が少し歪むのが見えた。

 

 

「くっ……これかなりきついんだけど」

「文句は言いっこなしだからね!ヒソカは私のゴンに手を出そうとしたんだから!!!0に近くなるまで搾り取らせてもらうんだからね!!!!」

 

 

それからしばらくしてヒソカはぐったりとした様子で触手に掴まれていた。

相当堪えたみたいだねヒソカ。

少しおもしろいかも。

 

 

「“拘束する戒めのリング”」

そう呟くとヒソカの指には黒いリングが自動的に嵌められる。

 

 

「私には嘘はつかず、困ったことがあれば必ず協力すること。守らなければこのリングから体内に毒が注入されてヒソカは確実に死ぬ。いいね?」

ヒソカは声を出す元気もないのか、1度頷いた。

 

 

「このリング外すことはできないからねヒソカ。指を切ってもまた別の指にはめられる。指を全部切ったときは……どうなるんだろ?カプ…、どうなるの?うんうん、へぇ。指を仮に全部切ってしまえば体内の血管にはめられるらしいよ。だからはずそうだなんて思わないことだねヒソカ」

 

 

もうなんでもいいから早く休ませてくれと言わなくても伝わってくる。

まぁ無理もないか。

本当に0に近くなるほどオーラを奪ってしまったからね。

 

 

ヒソカも流石に懲りただろう。

「審判さん!勝敗は?」

おーいと叫ぶと、「ヒっ、ヒソカ選手ノックアウト!!!しょ、勝者!!メル選手―!!!」と勝敗が決した。

 

 

 

観客たちは遅れて歓声を上げる。

「うおおおおおおおおおおおおおおお!」

「メル様あああああああ!!!」

 

 

 

メルはやっと終わった、と一息ついた。

 

 

「メル、久しぶりだね。随分と成長した様だ」

振り向くと父ウィリアムが手を振っているのを見て、メルは目を見張る。

そして駆け足でウィリアムの胸に飛びついた。

 

 

 

「お父様!」

ウィリアムはよしよしと愛娘を撫でる。

 

 

「それにしても凄い能力じゃないか。僕でもメルに勝てるかどうか怪しいくらいだ」

「そ、そんなことないです!私がお父様に及ぶなんて……」

「これも全てイルミ君のおかげだね」

 

 

ウィリアムはイルミを見据える。

「メル、いい機会だからこのままうちへおいで。イルミ君と、君の弟子2人を連れてね」

「いいのですか!」

「もちろんだよ。メルがお世話になっているからね。ぜひお礼をさせて欲しいしね。てことで、君の息子2人、借りていくけどいいよねシルバ?」

 

「……構わん」

 

「シルバもああ言ってることだし、行こうか」

「待って父様。ヒソカも連れて行っていい?」

 

 

その発言に全員固まる。

「メル、馬鹿なの?」

イルミはメルの頬を引っ張る。

「いはいよイフミ!!」

「今から自分の家に行こうってなってるのに、自分の弟子を殺しかけてさっきまで本気でメルを殺そうとしてたやつを連れて行きたいだって?どこまで甘いの?」

「ヒソカはもう大丈夫だよ。私の能力で何もできないし、しばらくあんな調子だから」

 

 

ヒソカはぐったりと床に倒れている。

「連れて行ってなにする気?」

「それはー…」

ヒソカの知ってることを洗いざらい話してもらいたいんだけど……

 

 

イルミは私の顔を覗き込んできた。

「ヒソカから何か聞き出すつもりなんだろ?何が知りたいの?念について?それとも戦い方?」

「うぅ……えっと……」

「なに?俺にも言えないことを聞き出そうとしてるの?メル怪しい」

 

 

言えないものは言えないよ!!

もうどうしたらいいのー!

 

 

「イルミ、そこまでにしてやれ」

メルの肩に手を置いて助け船をくれたのはエルだった。

「聞かれたくないことの1つや2つお前にもあるだろ」

「んー、まあね。メル、危ないことしようとしてるならまず俺に相談してからにしてよね」

 

 

私はうんうんと首を縦に振った。

なんとかなった……

メルは両手を合わせてエルに「ありがとう兄様」と言う。

 

 

「俺はお前の能力も信じているからね。ヒソカはもうメルに何もできない。メルに絶対服従を虐げられているようなものだ。協力しなければ死ぬ、か。殺し屋らしくなったじゃないかメル」

 

 

こんなことで誉めてくれるのは恐らく私の家族だけだろうなぁ。

なんて思っているとシルバとキキョウ、ゼノがやって来た。

なんか今思ったけどなんだろうこの凄いメンバー!?

全員揃ってるし!?

ミルキ君とカルト君とマハさんがいないけど……この一角にルイスとゾルディックが集まってたの!?

 

 

 

シルバはニヒルに笑いながら私の頭を撫でる。

「いい試合だった。たまに気が抜けている所がなければ完璧だったぞ」

「あ、ありがとうございます」

 

「フォッフォッフォッ、ゆずよ、成長したようじゃな。またいつでも修行でもなんでも見てやるぞ?」

「え!!それは嬉しいです!!」

 

「ゆずちゃん!なんて素晴らしい能力なのおおお!」

キキョウさん、相変わらずいつも通りだな。

 

 

 

皆やけに誉めてくれるなぁ。

まぁ、傲慢な絶対君主(リベラロード)神の略奪者(テオスプランダラ)との相性良すぎて正直負ける気がしない程自分でも自信はあるけど……。

まだわかっていない部分があるから気を付けて使わないとね。

ていうか早くここから離れた方がいいな。

私達物凄く目立っちゃってるし!!!

 

 

するとハクお爺様の察した様だ。

「そろそろお開きとしようかのぅ。イリアを待機させておるから“異空間(アナザーワールド)”で帰るとええわい。メルよ、お疲れさん。でも、敵の口車に乗せられて油断するとは何事じゃ。帰ったらまだまだ修行が必要じゃな」

「はい、お爺様」

 

 

するとハクの頭を祖母ミラはパシンとしばいた。

「このくそじじい!メルが落ち込んでしまうわ!!メルや、そう気を落とさなくてもいいのよ?たった1か月で新しい能力を手に入れたのは凄いことなんだからね」

「ミラお婆様ありがとう!」

 

 

「このくそばばあ!痛いわ!」

「その年にもなって相変わらずデリカシーがないのねぇ!」

「なんじゃとお!」

 

 

 

それを見たウィリアムは「はいはい2人ともそこまでですよ」と仲裁に入る。

私は兄様達の後に続いて、会場を後にした。

ヒソカはイルミが担いでくれて、なんとか回収することができた。

 

 

キルアとゴンは私の試合を見てから目を輝かせて自分たちがどんな念能力にするか思案している様だ。

なんだか天空闘技場には長いことお世話になった気がするなぁ。

また来るね、天空闘技場。

 

 

あ、タキに連絡入れとかないとね。

 

 

なんて思いながらメルはルイス家に向かうべくイリアの異空間(アナザーワールド)へと足を踏み入れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




天空闘技場編は36話で終了です!
メルとヒソカ戦は一気に書ききってしまいました。
今回も文字数が多いのですが、ここまで読んでいいただきありがとうございました。
分かりにくい個所などありましたらぜひコメント下さい♪

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