H×H イル×メル   作:@れんか

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41話 動く心×ト×襲撃事件

 

ビスケの家は、シェラードアイランドでも一等地と呼ばれる場所にあった。閑静な住宅街に建てられており、ひと際キラキラと輝いている家が1つある。

 

 

窓や扉などの金具には、ビスケのこだわりが詰まっているのか、宝石でできているのだ。ドアノブはなんと、巨大なブルーサファイアでできており、値段はつけられそうにもない。

 

 

惜しみなく宝石が散りばめられた家が、こうしてなんの被害もなく建てられているのには、ルイス家が統括しているこのシェラードアイランドという場所のおかげでもあった。

 

 

この島で犯罪を犯してしまえば、ルイス家の手の者により処分される。それを同意しなければこの島には入れないのである。つまり、この島で犯罪行為を犯してしまえば、永遠にルイス家から追われることとなるのだ。

 

 

その為、この島では犯罪を犯す者はなく、ビスケの様に宝石を外壁に散りばめていても盗む者は1人も存在しないという訳なのである。

 

 

中に入ると、玄関ホールからリビングまで、今までビスケが採取してきた数々の宝石が並べられている。

 

「凄い宝石。これ全部売ったら一体いくらになるんだろうね」

イルミは並んでいる宝石を値踏みし始めた。

「コラ!!!!!売るなんてとんでもない!!!!!なんてこと言うんだわさアンタ!!!」

ベシンッとイルミの頬に強烈なビンタが飛んできた。

 

 

「!!!」

イルミがビンタされてる!?

しかもすさまじく早いビンタ!!!

イルミが反応できないなんて!!!

 

 

 

するとイルミはギロリとビスケを見据える。その瞳には殺気が籠っていた。

……まずい。

 

 

 

 

メルはイルミの前に立ってぎこちない笑顔を向けた。

「イ、 イルミ!見て、この宝石。キルアにぴったりじゃない?あ、こっちのダイヤモンドなんかゴンみたいだよねぇ」

「……んー、キルアはこっちのブルーサファイアじゃない?ゴンはなんでもいいけどうちのキルには安っぽそうな宝石は似合わないよね」

 

 

ふぅ、どうやら気を紛らわすことに成功したみたい。

困ったらキルアの名前をしばらく出させてもらおう。

 

 

「さてさて、とりあえずこっちに座りなさいな。お菓子も用意してあるし」

リビングには宝石の様にキラキラとしたお菓子が用意されており、メルもイルミも目をキラキラとさせていた。

 

 

「ふふ、二人ともお菓子には目が無いようね。好きなだけ食べるといいだわさ!」

「わぁあ!ありがとうございます!!」

 

 

「ところで、何であんたたちはこの島に来ているのだわさ?あんたたち、仕事柄忙しいんじゃない?」

 

「兄様が代わりに仕事をこなしてくれているの」

「へぇ?エルが?あの子そんな一面もあるのねぇ。全く想像できないわ」

 

「エルは妹馬鹿だからね。あ、メル、こっちも美味しいよ」

「え?どれ?……あ、本当!!ん~あまぁい!!イルミ、こっちのフルーツのってるやつイルミの好みだと思うよ」

「ほんとだ。これもいけるね」

 

 

そんな様子を見ていて、ビスケは首を傾げるのであった。

 

 

何であんた達まだどうこうなってないんだわさ。こんな仲良しなのに。

メルがイルミにホの字なのは分かるけど、イルミの方は何考えてるか全く分からないだわさ。

行動はメルに気がある様には見えるけど。

一体どうしてやろうか。

あの生意気兄弟の妹だけど、メルは素直で良い子だし、シファのクーポンをもらい、かつ、施術師まで紹介してくれたし、このビスケちゃんが恋のキューピットとして一肌脱いじゃうわよ!!!!!

 

 

 

「あら?お菓子がもう底をつきそうだわ。メルならこの島のこと詳しいし、おすすめのお菓子を買ってきてくれないかしら?」

「あ!確か、すぐ近くに美味しいお菓子屋さんがあったの!私買い出しに行ってくるね」

するとイルミも立ち上がろうとするが、それをビスケが阻止した。

 

 

「あんたには、ここの片づけをお願いするわ。次のお菓子が来るんだから、テーブルを片付けたいし、手伝いなさいよ」

「ビスケとか言ったね?お前、俺に命令してるの?」

「イルミ!今から行くお店、イルミの好きなお菓子もあるんだよねぇ。だからビスケの手伝いして待ってて?すぐ近くだし、この島はルイス家の島だし大丈夫だよ」

 

 

「……メルがそういうならいいけど。寄り道せずに早く戻ってくるんだよ?」

「は~い、行ってきます!」

 

 

メルは手を振りながら出ていった。

「で、ビスケ。メルを追い出してまで俺に何を聞きたいわけ?理由によっちゃ、ただでは済まさないけど」

「なんだ、気づいていたのね。大した役者ぶりだわさ。でもまぁ、あんたにとってメルが相当大事なことは分かっただわさ」

イルミは静かに針を握る。

 

 

「アタシとやろうってのかい?物騒なモンをしまいな。危害を加えるつもりなんざ更々ないわよ。生意気兄弟の妹は私としても身内みたいなもんだわさ」

 

「お前の目的はなに?」

 

「単刀直入に聞くけど、あんたメルのこと好きなの?」

「……」

イルミはまた静かに針を構える。

 

「だから、それをしまいなさいって言ってるでしょうが!!あたしはねぇ、心躍ることが好きなわけ。お互い思い合っているのになかなかくっつけずにいる若者を見て、あたしが協力してやろうって言ってんだわさ!!!」

 

イルミは怪訝な顔をしながらクリンと首を傾げる。

「……お前、暇なの?」

「いちいち腹が立つわねあんた」

「メルと俺をくっつけて、お前に何の得があるわけ?」

 

「この年になるとねぇ、心ときめく出来事なんてそう起こることないのよねぇ。メルはいい子だし、あの馬鹿どもの妹ってこともあるし、幸せになってもらいたい親心ってもんが短い間だけど湧いちゃったわけ。あんたも分かってるかもしれないけど、メルは相当あんたにほれ込んでるよ。女の気持ちはコロコロ動きやすいものなのよ。今のうちに奪ってしまいなさいよ」

 

「……メルが、俺を?」

「あんたまさか気付いてなかったの?あんなに好意を向けられてるのに」

 

 

イルミは口元を押さえて少し考え込んだ。

「メルは好きなやつがいるって言ってたんだ」

「そう。あんた、自分のことだって思わなかったわけ?」

「……」

イルミは黙って頷いた。

 

「呆れた。鈍感にもほどがあるだわさ」

 

するとそこにタイミングよくメルが帰ってきた。

「ただいま~!思ってたより近くてね……、て、どうしたの?2人とも。テーブル全然片付いてないけど……あ!イルミサボったんでしょー!」

「いやビスケがさぁ、宝石について熱弁するからそれを聞いてやってたの」

イルミはチラッとビスケを見据える。

 

はいはい、合わせろってことね。

「こいつ宝石の魅力全く理解していないから説明してやってたのよ」

 

「へぇ、そう言えば私宝石についてはまだ未知の分野の1つだったなぁ。今度とことん調べてみようかなぁ」

するとビスケは目を輝かせながらメルの両手を握る。

 

「メル!!!あんたって子はなんて素敵なのだわさ!!!もぅ、私の弟子にならない!?」

「えぇ!?」

「私ならあんたのレベルをまだまだ磨く事ができるだわさ!!!光を放つ宝石を更に磨き上げる……あぁ、なんてワクワクするの!!」

「た、確かに兄様が体術で敵わなかったビスケから教わることは多いと思うけれど、う~ん」

 

 

今はあまり時間がないんだよね。

せっかくのお誘いだけどイルミともう少し過ごしたいし……。

 

 

するとイルミはビスケからメルを引っぺがした。

「メルの師匠は間に合ってるよビスケ」

後ろから抱きしめる様にメルに手を回すイルミ。

ちらっと視線を落とすと、メルは白い肌をほんのりと赤らめていた。

 

 

 

ビスケの言葉が頭の中で繰り返される。

メル、俺を意識しているの?

だから赤くなってるの?

他人から言われたことを真に受けたくはないけれど、思い返してみればメルが見せる反応はいつも俺を受け入れてくれるものだった。

でもこれで違って、変に押してしまったら、もうこの関係には戻れないんだろうな。

……はぁ、この俺がこんなこと考えてるなんて、昔の俺からしたら本当に驚きだよね。

さて、どうしたものか。

 

 

 

「まぁ、いいわ。それより、メルが買ってきたのって、……まさか!!」

メルが大事そうに持っているのは、可愛らしい紙袋であった。

 

「あぁ、“ミルミル”のケーキだよ!それも1番人気のイチゴが乗ってるやつだよ!!」

「きゃああああ!!!!あんた“ミルミル”っていやぁ、世界でもトップクラスの美食ハンターが経営する超高級店じゃない!!しかもそこのイチゴケーキなんて予約がいっぱいで数か月待たないと買えないと言われる程の幻のケーキ!!!!!」

 

「美味しいよねぇ、ミルミルのケーキ。私小さい頃よく食べてたんだぁ~」

「あ、よくうちにメルが持ってきてくれてたやつ?」

「そうそう!イルミも好きだったよねぇ」

 

「ルイス家の特権ってやつね!!小さい頃から“ミルミル”を食べてたなんてまぁああなんて贅沢してたのよ!!!」

「店に行ったら奥に連れて行ってくれてね、沢山もらっちゃって、後で他のお菓子も届けてくれるんだって」

 

「え!!??本当!?きゃあああ!!!!」

 

ビスケは飛び上がる様に喜んでいた。

その後、ビスケの家には沢山の“ミルミル”のスイーツが続々と届いたのであった。

3人はひとしきりお菓子を食べきり一息ついていた頃、テレビに何気なく流れたニュースに釘付けになっていた。

 

 

『緊急速報です。あの、ルイス家の本社が何者かに襲撃を受けました!!犯人は現在逃走中です。被害状況ですが、12名もの死者が出ている模様です。負傷者は正確な人数はまだ確認されていませんが、現時点で100名程負傷者が出ているという情報が入りました!!』

 

「ルイス家の本社が襲われた!?一体何が起きてるのだわさ!!!」

 

「……メル?」

イルミは自分のすぐ隣にいるメルに目を落とすと、小刻みにメルは震えていた。

 

メルは身近な人間の死にはかなり敏感だっ、て天空闘技場の時に分かったけど、こんなに怯えるなんて。

母親を亡くしたトラウマは相当根深いね。

 

イルミは携帯を取り出してエルに電話を掛けた。

 

 

「あ、エル?今ニュースで見たんだけど大丈夫なの?……うん、ふうん。……そうなんだ。うん、いいよ。……メル、エルが話があるって」

イルミはメルの耳に自分の携帯を押しあてた。

 

 

『今どこにいる?』

「今はビスケの家にいるの。エ、エル兄様……、ラル兄様や父様は大丈夫でしょうか……」

『ゴホッゴホッ、……今なんて?ビスケの家?なんで筋肉ババアと一緒に……まぁいい。逆に好都合だ』

「え?」

 

 

するとコンコンとドアをノックする音がした。

「誰かしら。あ!追加のお菓子が来たんじゃないかしら!!!」

ビスケはスキップしながら玄関の扉を開けると、そこには携帯を耳に当てたエルと満面の笑みを見せているウィリアムが立っていた。

 

 

「筋肉ババ……、ビスケ、久しぶりだな」

そう言うとビスケは笑顔のままエルをぶん殴った。

 

 

「こんのクソガキ。全く変わってないわね!!!」

 

 

「君がビスケットクルーガーさんですね。息子がお世話になっています。僕はウィリアム・ルイスです。お目にかかれて光栄です」

「まっ!♡」

 

 

この人がウィリアムルイス!!!!

直で見ると本当に良い男だわぁ!!!!

 

 

「聞けば、メルもこの中にいるとか。娘までお世話になってしまい申し訳ありません」

「いやいいんですの!このクソガキ……ゴホンッ、エルはともかくメルは本当に素直で良い子ですもの」

「誉めていただけて僕も嬉しく思います」

 

すると、ビスケの後ろから青ざめた顔のメルがイルミに連れられてやって来た。

「兄様、父様っ!…良かった、無事で……、ラル兄様は…!?し、死者が12名も出たって……」

 

ウィリアムは優しくメルを抱きしめた。

「メル、落ち着いて。ラルは無事だよ。ラルのおかげで被害が最小限に済んだみたいだ。かすり傷一つ負っていないそうだよ」

「そ、そう……良かった……」

「……」

 

 

ウィリアムは少し思案する様子で、イルミを見つめた。

「そうそう、僕たちがここに来たのはイルミ君に謝罪をする為なんだよ。大人げなく意地悪なことを言ってしまってすまないね。でも、勘違いしないで欲しいのは、僕は君を高く評価しているということ。今から言うことも、イルミ君だから、と受け入れて欲しいのだけれど……。僕とエルはこれからルイス家本社にいるラルと合流し、今回の騒動の犯人を捜さないといけない。その間、メルのことを君にお願いしたいんだ」

 

 

「なっ、……父さま‼犯人探しなら私が‼」

そう言うと、ウィリアムは鋭い眼光でメルを見据えた。

 

 

「今回の件、メルは関わるな。いいかい?これは命令だ」

「!!」

 

 

父様が私に命令……!?

「……分かりました……」

 

 

「そう落ち込むことはないよ。メルの手を使う程じゃないということだよ。イルミ君も数日休みがあることだし、今は2人で過ごしなさい」

「……はい」

 

 

「イルミ、世話をかける」

エルはビスケにぶたれた頬を赤くさせながら相変わらずポーカーフェイスだ。

 

 

「その顔で言わないでくれる?まぁ、元々メルとはこの休みずっと一緒にいるつもりだったからね」

「イルミ君、苦労をかけるね。この島はルイス家のものだから、遠慮せず自由にのびのびと過ごせばいいよ。この島を堪能するには、数日はかかるからね。隅から隅まで楽しんでおくれ」

そう言うと、足早に2人は姿を消した。

 

 

 

なるほどね。

この件、メルを関わらせない為にこの島でメルを留めて置けってことね。

メルの力を借りればすぐに犯人なんて捜すことができるのに、そうしなかったということは、既に犯人に検討がついているからか。

しかも、その犯人とメルを接触させたくない様子。

命令までして、どうしても犯人と接触させたくない理由……。

そんなの分かり切っている。

メルのトラウマ……、つまり母親を殺した者が絡んでいるということ。

あの件が少しでも絡むとメルは震えて、動けなくなってしまうからね。

 

 

 

メルの方を見ると、少し顔色は戻ったが元気はない。

まぁ、無理もないね。

自分だけ外されたんだからね。

 

 

「メル、仲直りできてよかったね」

「あ、……うん」

「そうだ、メルの父さんがこの島を堪能しろって言ってたけど、ここってそんなに観光スポット多いの?俺そういうのあんまり知らないんだよね」

「あー、かなりたくさんあるよ?でももう日が暮れるし、……どうしようかな」

「せっかくなら1番のホテルに行こうよ」

「ん~、それなら“アルヴァホテル”だね!」

 

 

「なんですってぇえええ!!あんた達今からあの超高級ホテル、アルヴァに行くって言うの!!!???」

 

 

「そうだけど。なに?ビスケ、お前も行きたいっていうんじゃないだろうね」

イルミは怪訝な顔をしてビスケを一睨みする。

 

 

「ビスケも行きたいなら一緒にどう?せっかくだしね!」

メルはにっこりと微笑みながら提案してくれるが、ビスケは葛藤していた。

 

 

 

超超超超行きたいー!!!!!!!

でも、あたしがここで行ってしまったら邪魔になっちゃうのよねぇ。

さっきからイルミが来るなって顔で睨んでるし……

仕方ない、ここは引き下がるか。

 

 

 

ビスケは泣く泣くメルの誘いを断り、2人を見送ることにした。

 

 

「イルミ、あんた。メルのこと頼んだわさ」

「お前に言われる筋合いないね」

「泣かすんじゃないわよ」

「俺が?そんなことする訳ないだろ」

 

 

 

そう呟いて、イルミはメルの隣へと歩き、ビスケの家を後にした。

 

 

 






これからメルの過去編が絡んできます。
母親を殺した事件と、イルミとの恋愛が同時に進んでいく展開になります。
原作とはかけ離れたオリジナルになってますのでご注意ください。

この件が終わったら、ヨークシンシティー編やグリードアイランド編に移っていきます!

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