クルタ族であるメルの部下、レンの過去夢から始まります。
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自然豊かな土地で定期的に住処を変えながら生活をしている部族があった。クルタ族、それが俺の故郷だ。世界7大美色に数えられる、興奮した時発現する緋色の瞳。それがあるせいで、外部の人間からは恐ろしい存在として扱われていた為に、こんな森の奥地に住まいを構え一定の時期が来たらまた移動をしていた。
その日もいつもと同じ日々。
仲間と訓練をして、食事を作り、馬鹿な話をして……
皆笑顔で、とても楽しい日だった。
それが一瞬にして地獄へと変えられた。
血の様に赤い夕暮れ時、奴らは突然現れた。
まず、森の木のみを取り終え、戻ってきたニッパの腕が獣の様な男に引きちぎられた。ニッパの言葉にならない声が響き渡り、全員で取り囲んだ。
俺が到着する頃にはニッパの赤い眼光が黒い男に引き抜かれていた。男は血を滴らせながら宝石を見るかの如くニッパの眼球を見ていた。その光景のなんと悍ましい事か。全員に皮膚が粟立ち、緋の目に一瞬にして変わっていた。
鍛えられたクルタ族の大人たちと共に俺も、やつらと戦った。だが、レベルが違ったのだ。1人1人があまりにも強く、次々と同胞の悲鳴が上がり、瞳が抜き取られていく。俺は叫びながら剣を振るが、空を切るばかりで状況を変える事などできなかった。
するといつの間にか俺の体は地に這っていた。気づくと髪の長い男に取り押さえられていたのだ。
「君の目。一番素敵だよ」
と、不敵に笑みを零す男。その手の甲には、幻影旅団の証である蜘蛛の入れ墨に4と書かれていた。
こいつらがあの、幻影旅団!!!
やられる!!
そう思い目を瞑ると、横から強い衝撃が来て俺の体は吹き飛ばされ男の手から離れた。
その衝撃は、村長であった。
「逃げろレン!!!」
村長が体をぶつけ、身を挺して突っ込んできたのだ。
いつも悪さばかりをし、よく村長の拳骨をもらっていた。父親のいない俺にとって、村長は俺の父親代わりだった。
「アンタ残して逃げれるかよ!!!!」
「こんな時くらいいう事を聞かんか馬鹿者!!!!!」
これが最後なのだ、と嫌でも分かる。ここで逃げてしまえば村長は、親父とは二度と会えないのであろう。
「お前は全く手のかかるやつじゃった。じゃが、よくここまで大きく育ってくれた。わしが死んでも、お前さえ生きてくれたらそれでええ。はよぅ行け」
親父の最後は笑顔だった。満面の笑みを俺に向けながら、親父の首は跳ね飛ばされた。ただの肉塊と化した親父の体は無惨にも鈍い音を立てて地面に倒れ落ちた。
「最後の別れも済ませたし、君も、もういいよね?」
男はじりじりと距離を詰めてくる。
俺は震える足を奮い立たせ、なんとか立ち上がり這うように逃げた。
「親父ぃ……―っ!!!!!!」
涙が溢れ今までの思いでが次々に蘇ってくる。
こんな情けない息子でごめん、ごめん…っ
俺の気持ちに同調するかのように瞳が痛いくらいに赤くなっていた。
この目のせいで親父は……、皆は……!!!
ぐっと歯を食いしばった。
外の街で生まれた俺は目が紅くなる事が気味悪がられ、父親に捨てられた。クルタ族であった母親は、山の中へと戻り俺を村長に預け、その後病で亡くなった。
クラピカやパイロが瞳の色を変えずに外の街から戻って来られるか監視役として、同行した時、パイロが傷つけられクラピカが緋の目を出現させてしまった。その時も『悪魔』『鬼の子』と酷い言われようだ。
それも緋の目のせい。
そして今回だ。世界7大美色になった為幻影旅団なんて化け物集団に狙われる羽目になった。全てがこの目のせいだ。
こんな目、いらない
不幸になるばかりじゃないか!!!
息を切らし、辺りを見渡すと開けた場所までやってきていた。この道を真っすぐ進むと近くの街に出る。そこまで行けばなんとか助かるだろう。さすがに大勢の人の前で殺したりはしないだろう。
少し安堵したのもつかの間。背後から鋭い殺気がした。あの男だった。
執拗に、俺ばかりを追ってくるあの長髪の男。
「おや?逃げるのはもうやめたのかい?」
「なんで俺ばかり……」
「気づいていないのかい?君、ほんとに美しいくらい綺麗な赤い瞳をしているんだよ。僕のお人形に相応しい!!」
男は狂気じみた笑顔を見せながら距離を詰めてくる。
皮膚を鋭く抉る様な殺気は、俺の足を竦ませるには十分であった。
疲労と恐怖で足がガクガクと震える。
俺はここまでなのか?
俺の人生は一体なんだったんだ。
この目に振舞わされるばかりの人生、本当にうんざりする。
だけど、この目のおかげでかけがえのない人達に出会えた。
親父…皆……
俺の足はもう限界だった様で、力が抜け地面にドサッと膝をついた。
その時だ。
白い天使が俺と男の間に降り立った。
なんだ、アレは……?本当に天使なのか?死を前に変なものが見えているのか?
白い天使はどこからともなく剣を出し、男を一撃で眠らせてしまったのだ。
天使はゆっくりと俺の目の前までやって来た。
よく見ると、白い肌をしたプラチナブロンドの美しい少女であった。
「大丈夫?」
まだ小さな手は、俺を頬に添えられる。
幻影旅団の一味かとも思ったが、俺を心配する表情に嘘はない。
「何があったの?」
助かった……
俺は助かったんだ。
そう思うとまた、涙が溢れてきた。
いくつも年下であろう彼女の前で、子供の様に声をあげて泣いた。
俺は少女に幻影旅団に襲撃された事を伝えた。
すると、臆する事もなくその場に行くと言い出す彼女。
いくら強いからと言ってこんな少女を行かせる訳にはいかない。
「私の名前は、メル・ルイス。暗殺者一家の一員。殺しは慣れているの」
その姿からは想像もつかない事を言い放つ少女。やはりその目に迷いもなく嘘もみえなかった。
「お…、俺も行く」
「……でも」
「一人で行かせることはできない」
あの幻影旅団だ。あのルイス家と言えど、まだこんな子供だ。危ない瞬間もあるだろう。その時は、この俺の命の恩人を肉の壁になってでも守ろう。
俺の意思を組んでくれたのか、少女は俺と一緒に行くことを受け入れくれた。
村に着くと、火の手が上がっていた家は徐々に沈下している所であった。旅団の姿も見えない。同時に、生きている同胞の姿も無かった。
「酷い」
少女は小さく呟く。
全員が首を跳ねられていた。首が繋がっていても、両目を抉り出されている。
足をつぶされ、逃げれない様にしてから殺されている死体も多くあった。
殺しを楽しんだ者が荒らした光景だ。
少女は眉を顰め、その光景を目に焼き付けた。
「……誰も……もういないのか」
本当に独りぼっちになってしまった。ここだけが俺の唯一の居場所だった。
「皆……」
その場に蹲り、拳を震わせた。
その拳に小さな手が添えられる。
「大切な人を失った悲しみの痛みと、亡き人への愛は表裏一体。今、あなたは痛みに胸を貫かれているのでしょう。それは亡き人と、誰も断ち切る事のできない強い絆で結ばれているという事。本質的な物は何もなくならない」
そのまま少女は続ける。
「私と一緒に来る?」
少女は俺に手を差し伸べた。
「私があなたの居場所になってあげる」
辺りは真っ暗なのに、今俺たちがいるこの場所だけが眩く照らし出されている様であった。
圧倒的な光。
俺はその光に手を伸ばした。
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「メル様が無事にお帰りになられた!!!」
他の人間が歓喜の余り叫んでいるのが聞こえ、目が覚めた。頭がズキズキと痛む。メル様があの忌々しい幻影旅団に捕まったと聞いた時は、全身が沸騰するような怒りと同時にあの恐ろしい夜の恐怖が思い出された。
あの時の様に痛いほどに両の目が紅くなっていた。あまりに取り乱す様を見て俺だけはウィリアム様に眠らされ、メル様が攫われる現況となったテイラー家を襲撃するという役割を側近である5人に指示を出されたが、俺だけは外され眠らされた。
寝たことで頭が冷静になっていた。
なんという失態だ。メル様は誰よりも強く優秀なお方。ミスを犯す事などほとんどない。いつも役に立ちたいと思っていたが、なかなかその機会がなかった。今回がその時であったのに、何の役にも立てなかった。なんと不甲斐ない。
俺の足は自然と玄関ホールへと向かっていた。その距離が今は何故か遠く感じてしまう。早く主人の無事な姿をこの目で確認しなければ、と次第に息が荒くなった。いつも見慣れた屋敷の中のはずなのに、あの夢のせいであの村の森を走っているかの様だ。あの時と同様に、嗚咽しそうになるのをぐっと抑え込む。
ホールには既に大勢の使用人が集まっていた。人をかき分けると、美しい光が見えた。
あぁ、……良かった。
俺の光は無事だ。
「レン!」
そう言って俺の頬に手を添えてくれる。
「泣かないで」
え?
自分でも気が付かないうちに涙が零れていた。
「心配かけてごめんね」
そうだ、この光があの悪党どもに消されてしまったんじゃないかと俺は怖かったんだ。また失うのが恐ろしかったのだ。主人を前にこの体たらく。全くなっていない。普段部下に対して厳しく言いつけているのに、全く立ち背がないじゃないか。
ただ、今だけは。
このままで……。
俺はあの時の様に蹲り、拳を震わせた。
この光だけは絶対に守ってみせる。レンは心に深く刻み込んだ。
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メルの部下まとめ
レン
クルタ族。旅団に襲われ命を助けられる。特質系 能力:重力操作。
元々は操作系。後天的に特質系へと変化した。人間の重さを変える事ができる。メルが関与している事象の時のみ物質にも関与可能になる。その代わり、能力全開放後全身の筋肉が断裂する。
フレッチャー
ゴンキルアと同い年くらいの少年。特質系。能力:未来予知
これから起きる事象を予知する事ができる。だが、その未来は回避行動をすれば変えることが可能。メルの予知の場合のみ、回避できない確実に起きる未来が分かる。だが、それがいつ起こるのかまでは分からない。
レイ
常に冷静。特質系。能力:分解者 生命体以外の物質を分解する事ができる。メルが関する時のみ、分解の対象となる制限がなくなり、あらゆる物質を分解する事ができる。だが、能力を使う度自身の寿命が無くなっていく。
イリア 代々ルイス家に仕えている家の出。特質系 能力:異空間アナザーワールド
空間を捻じ曲げ作り出す歪みに何でも収納可能。空間と空間をつなぐ事もでき、物質を移動させることができる。ただ、自分が行った事のある場所でなければ使用できず、また、メルが関与する事象でなければならない。
リリー 神の祝福シエルギフト メルの傷であれば全て回復させる事ができる。メルの傷以外にこの能力を使用した場合、その者の傷を自身が負担しなければならない。医学知識も豊富で別名で有名な医者として評判がある。