RRRRRRRRin
けたたましくベルの鳴る音が鳴り響いた。
「大変お待たせいたしました。ただいまをもってハンター試験受付時間を終了いたします。では、これより、ハンター試験を開始いたします!私はサトツ、試験官を務めます」
紫紺のスーツに身を包んだ試験官が現れると同時に大きな石の壁が開いた。
「最終確認です。この試験は運が悪かったり実力が乏しかったりすると大怪我をし、最悪死に至ることもあります。それでも構わないという方のみ、私に付いて来てください。そうでない方は後ろのエレベーターから速やかにお帰り下さい」
ここで帰ったら来た意味がない。
あたりを見渡すも誰も微動だにしない。
…やっぱり誰も帰らないよね!
「承知しました。第一次試験、457名全員参加ですね」
そう言うとサトツはクルッと方向転換し、前へと歩き出した。
サトツさん…
ハンターについて調べ上げた時に名前があったな。
確か…、遺跡ハンター。
ジンさんとも仕事をしたことがあるとか…。
話聞きたいなぁ。
メルはワクワクしながら歩いた。
ん?…普通に歩いているように見えるけどサトツさん足早いな…。
走らないと追いつけないな。
「言い忘れておりました。私は今から貴方たちを二次試験会場へ案内します。」
二次?じゃぁ一次試験は…?
「一次試験は、二次試験会場まで私について来ること、それが一次試験です」
サトツさんの説明に受験者たちはざわついた。
「場所や到着時刻はお伝え出来ません。ただ、付いて来てもらいます」
どこまでついていけばいいのか分からないということは身体的、精神的にもかなり負担がかかる。
なるほど、なかなか面白い試験だね。
…私は念を足をに集中させて滑る様に走っているから殆ど疲労はないけれど他の受験者たちはこの試験かなり堪えるだろうな。
試験開始から二時間。
受験者たちが走った距離はスタートから30㎞を超えていた。先の見えない単調なコースが数名の脱落者を出していた。
「コラ待てガキィイイ‼てめぇハンター試験舐めてんのか!?」
後ろの方で男の怒鳴る声が聞こえてきた。
ガキって…、子供も参加しているのかな?
メルはスピードを落として声のする方へと向かった。
「そのスケボー反則だろ‼」
眼鏡をかけた叔父さんにスケボーに乗ってる男の子が絡まれてたってわけね。
…って、あの子…‼キルア…!?
昔、キルアの修行を私はよく見ていた。
キルアは慕ってくれていて、新しい技を教えてってせがまれたっけ…。
大きくなったねキルア。
キルアはすぐ近くにいる男に声をかけていた。
キルアとよく似た年頃の子もいる。
キルならこの試験クリアできると思うけどあの子はどうだろうか。
子供にとってはこの試験は少し過酷すぎる。
せっかくハンターになりたくてここまで頑張ってきたのになんだか可哀そうだな。
バレない様にサポートできたらいいのだけど…。
「ねぇ、そこのお姉さん。さっきから何?人の事じろじろ見て」
「あー…」
見すぎた…。
この際ばれてもいいか。
私の髪の毛の色は珍しいけどこの状況下で他人の事に意識なんていかないよね。
つまり、目立たない、よね?
メルは自分に言い聞かせる様に繰り返して、帽子をとった。
ふわっと長いプラチナブロンドの髪が靡く。
その姿を見てキルアは目を大きく見開いた。
「メッ、メルゥウウ!?」
「久しぶりキルア」
「久しぶり、じゃねぇ‼ルイス家がなんでここに付き人も無しにたった一人でいるんだよ‼」
「それはキルアだって同じじゃない。それに私に護衛なんかいらないよ」
「ま、まぁメルの強さなら護衛は必要ないのかもしれないけどさぁ。~ったく、驚かせてくれるぜ」
「はは、私も驚いたよ。まさかキルアに会えるとは思わなかったからね」
メルは久しぶりのキルアが可愛くてついつい頭を撫でまわした。
「メ、メルっ。俺もうそんなガキじゃねぇよ」
少し照れた顔でこちらをみるキルア。
可愛い‼
私に弟がいればきっとこんな感じなんだろうな。
「キルアの知り合い?」
ひょこっと顔を出して来たのは先ほどキルアと喋っていた子供だった。
するとキルアが紹介してくれた。
「あぁ、この人は一時期俺の修行の師匠をしてくれてたメル。そんで、メル、こいつはさっき知り合ったゴン。俺たち同い年なんだ」
「そうなんだ、よろしくねゴン」
「こっちこそよろしく!メルさん!凄く綺麗な人だね」
「わぁ、ありがとう。私の事は呼び捨てでいいよ」
「本当?ならメルって呼ぶね」
「うん!」
一気に二人も弟ができた気分だった。
するとすぐ横にいた眼鏡をかけた叔父さんはゴンに「おい、俺も紹介しろよ」と呟いていた。
「メル、俺の仲間も紹介するよ。こっちはレオリオ。医者を目指しているんだ。」
「よっ、よろしくな!メルちゃん!いや俺も呼び捨てで呼んでもいいか?」
「いいよ、宜しくねレオリオ」
「それでこっちがクラピカ!」
「…よろしく」
「よろしく、クラピカ」
クラピカはメルを見て少し考えこんでいる様子だった。
それに気づいたゴンはクラピカの横を走った。
「どうしたの?クラピカ。さっきから難しい顔しているよ」
「あぁ、メルというあの女性。外見がルイス家の一族の者と一致するんだ」
「ルイス家?」
「ゴンは知らないのか?世界中で様々な事業を展開している大富豪さ。裏では暗殺業もしているという噂もある。ルイス家の一族はクリスタルの様な美しい髪をしており瞳は宝石の様な碧眼。肌は陶器のように白い。その3つが特徴として挙げられているんだ」
「わぁ!それって全部メルに当てはまるね!」
ゴンはその話を聞いてそのままメルに聞き返したのだ。
「ねぇ、メルってルイス家の人?」
クラピカはため息をついてゴンを見ていた。
自分から名乗らなかったということはあまり知られたくないということ。
ゴン…、少し無神経すぎるぞ。
メルは少し驚いた顔をしてすぐに「えぇ、そうよ」と答えた。
「やっぱり!」
するとレオリオが口を大きく開けて驚いていた。
「ルイス家っていやあの大富豪の一族じゃねぇか。なんでまたこんな試験に!?」
「ん~、仕事中にあるハンターに出会ったんだ。そこで自分が見てきた世界がいかに小さかったか気づいたんだ。私はもっと世界のことを知りたい。それにはハンターライセンスが必要なんだ」
「ふぅん、結構ちゃんとした理由じゃん」
キルアはスケボーに乗りながらメルを見た。
「分からないことは一から全部知り尽くしたい性格だからね。…それより、キルアさっきからいいモノに乗っているね」
「あぁ、これか?メルも乗る?」
「いいの?」
私はひょぃっとジャンプしてキルアの後ろに飛び乗った。
肩に手を置いて片足で地面を蹴った。
「わぁ、快適だね」
「だろ?じゃぁ俺たちちょっと先に行ってるわ」
「皆、また後でね」
メルはゴンたちに手を振って先頭集団へと加わった。