H×H イル×メル   作:@れんか

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6話 自然の掟×ヌメーレ湿原

ヒソカは長いプラチナブロンドの髪をした女が、スケボーに乗る少年と一緒に先頭集団の方へ加わる様子を見ていた。

「ワオ。ねぇ、あの子、帽子をとったら凄く綺麗だね。君の知っている子であっているのかい?」

 

針男、否ギタラクルはその様子を見て深いため息をついていた。

 

「間違いない。あれはメル・ルイスだ。てことでヒソカ、手を出すのはやめてよね」

「まさかあのルイス家?それにしてもククっ、君がそんなことを言うのは珍しいね」

「まぁメルとは幼馴染みたいなもんだしね。家族付き合いのある家の子だから」

「ルイス家って言えば、結構秘密主義で有名だけどあんなに堂々と顔を晒して大丈夫なの?」

 

「大丈夫な訳ないよ。全く…、見たところ一人で家を出てきて無理やりこの試験を受けているみたいだけど…。試験さえ始まれば皆自分のことに必死になるからバレないとか思ってるんじゃない?」

 

「フフ、随分とお転婆で可愛いじゃないか♡」

 

メルを見てニタニタと笑うヒソカ。

それをギタラクルは目を細めて睨んでいた。

 

「ヒソカ、分かっているよね?」

「ん?」

「メルを玩具にするのはやめてね」

「分かっているよ♢でも僕もあの子と仲良くなりたいな♡」

「…」

 

相当嫌っていたから多分無理だよヒソカ。

それにしても無茶ばかりする。

そこは昔から変わっていないな。

 

まぁ、顔を見られていてもルイス家として知られなければ問題はないか。

写真なんかも取られていないか確認しておかないと…。

 

にしても、あの妹馬鹿のエルがメルを一人で送り出すはずがない。

…まさか、父さん。ルイス家に俺が今回の試験を受けることを伝えたな?

俺が参加すると知っていたからエルも了承したということか。

…試験が終わったらエル、覚悟しておきなよ?

 

 

 

 

ギタラクルとヒソカは余裕で完走した。

常にメル達が確認できる距離感を保ちつつギタラクルは二人を見ていた。

 

ったく、メルもキルも…、殺し屋に友達なんかいらないよって昔散々言い聞かせてきたのになんで二人とも聞かないの?

キルなんてゴンとかいう子供とあんなに仲良くして。

 

メルもメルだ。もう20歳にもなるんだからいい加減自分の立場を自覚しないとね。

まさかここまで注意力がないとは。

ルイス家の人らも大変だ。

代わりに少し灸を据えないとね。

 

 

「クク。君、今すごくいい表情をしているね」

「ん?なに?」

「なんでもないヨ♡」

 

 

家族以外の人間にそんな表情をする君を見たのは初めてだよイルミ。

それほど彼女が大事な存在なのかな?

それを僕が壊したらどんな表情をするだろう。

…あぁ、考えただけでもゾクゾクしてきちゃうヨ♡

 

 

試験管のサトツはメルの姿を見て目を見張った。

まさかあの子は…、ルイス家の?

彼女だけでなく他の受験生もこんなに沢山ここまでついて来られるなんて…今年のハンター試験は粒ぞろいが揃っていますね。

サトツは少し微笑んでいた。

 

 

「ヌメーレ湿原。通称詐欺師の塒。二次試験会場へはここを通って行かねばなりません。ここに生息する生き物たちは人間をも欺く狡猾で獰猛な凶悪な生き物です。十分注意してついて来てください。…騙されると、死にますよ?」

 

サトツのその言葉に受験者たちに緊張が走る。

「この湿原の生き物はありとあらゆる方法で獲物を欺き捕食しようとします。騙されることの無いようにしっかりと私の後に付いて来てください」

 

「騙されるのがわかっていて騙される訳がねぇだろう」

レオリオはケッと悪態をつく。

すると

「騙されるなぁあ‼」と受験者の1人が叫んだ。

 

「だから騙されねぇって」

そういって全員が声のする方向を見た。

 

そこにはボロボロになった男が立ちサトツを指さしていた。

「そいつは、嘘をついている‼そいつは偽物だ!俺が本当の試験官だ‼」

男のその発言で全員が動揺した。

 

男は続いてサトツに似たサルを引っ張り出してきた。

「こいつを見ろ‼」

 

わぁ、サトツさんそっくりだなぁ。

メルは目を見開いて猿を見た。

 

「こいつは人面猿だ!こいつは新鮮な人肉を好む。しかし手足が細長く非常に力が弱い。だから人に化けて言葉巧みに人間を湿原に連れ込み、他の生物と手を組み食い殺す。そいつは、ハンター試験に集まった受験生を一網打尽にするつもりだ‼」

 

どう見てもサトツさんは本物だ。

走っている時にオーラも感じ取れた。

まさか猿が念を使える訳ないしね。

…ないよね?

 

するとヒソカはトランプを両者に投げつけた。

サトツは華麗に全てのトランプをキャッチし、男は胴体に鋭いトランプの角が突き刺さった。

 

「ククク、なるほどなるほど。これで決定。そっちが本物だろ?…試験官は審査委員会から依頼されたハンターたちが無償で任務に就くもの。我々が目指すハンターの端くれともあろう者があの程度の攻撃を防げないはずがないからね」

 

「誉め言葉として取っておきましょう。ですが、今後私への攻撃は試験官への攻撃とみなして即失格とします。いいですね?」

「はいはい」

 

判断するにはわかりやすいけど…

サトツさんにオーラを纏ったトランプを投げつけるなんて…

やっぱり危険な人だな、44番ヒソカ。

 

ヒソカはちらっとメルを見て笑顔を向ける。

 

 

 

はぁ、完全に目をつけられているし…。

困ったなぁ。

しかもまたオーラを飛ばしてきてる。

戦いたくてうずうずすると言わんばかりの挑発する様なオーラ。

もうため息しかでないよ。ああいうタイプとは関わらないことが大事だよね。

無視無視。

 

 

 

メルはヒソカから目をそらして可愛いキルアを見ることにした。

「キルア~」

ヒソカのオーラに堪えている私を癒してくれるのはキルアだけだよ。

 

ぎゅっと後ろから抱きしめるとキルアは顔を真っ赤にさせていた。

「ばっ、ばかっ!何してんだよ!」

「ちょっと補充させてね」

「何言ってんだよっ!メル!」

 

その様子を見ていたヒソカはまた怪しく微笑んだ。

つれないなぁ。こんなにもたぎっているのに、少しは僕に興味を持ってくれてもいいんじゃない?♢

 

メルにオーラを飛ばすヒソカをギタラクルは睨みつけていた。

…おっと落ち着けないと彼に叱られそうだね。我慢我慢…と。

あァ、楽しくなりそうだなァ

 

 

 

「私を人面猿扱いし、何人か連れ去ろうとしたのですね。こうした命掛けの戦いが日夜行われているのです。現に、何人か騙されて私を疑ったのではありませんか?」

その言葉にレオリオと忍びの服をきた男は頭を掻きながら目を泳がせた。

 

「一度この私を見失うとまず、二次試験会場にはたどり着けないでしょう。では、行きますよ?注意して下さい」

 

サトツさんのその言葉で再び地獄のマラソンは始まった。

ここまでで、36名の受験者が脱落していた。

 

ヌメーレ湿原かぁ。地面がぬかるんで走りにくい場所だな。

私は足にオーラを集中させているから関係ないんだけどね。

周りの皆はどんどんスピードが落ちてるし…。

横を走るキルアはこんなのなんてことないってくらい涼しい顔してるけど…。

 

 

 

「メル、ゴン、もっと前の方へ行こうぜ?」

「ん?いいよ」

「試験官を見失うといけないしね」

 

「それより、ヒソカから離れていた方がいい。メルなら感じているんだろ?」

「あぁ、あの人ね。私も近くにはいたくないなぁ」

「あいつ絶対やばい」

「うん。そうと決まれば、前へ行こうか。…皆‼私たちもっと前の方へいくね!」

私がそう叫ぶとキルアは驚いた顔をしていた。

 

「なっ…、ったくメルってば緊張感がねぇなぁ」

「さっ、いこ!」

私達は速度を上げてサトツさんの影を追った。

 

途中でゴンはクラピカとレオリオの事が気になるからと言って別方向に向かっていった。

 

んー…。

さっきゴンが走っていった方向から鋭い殺気とヒソカのオーラがムンムンなんだよね。

 

無視しようと思っていたけど…無理だ。

近くにゴンやクラピカ、レオリオ達もいるみたいだし。

せっかく仲良くなったのにあんな人に傷つけられるのは気が引ける。

 

「…キルアごめん。ちょっと皆の様子見てくるよ。先に行ってて?」

「はァ!?なに言ってんだよ。見失ったらもう追いつけねぇぞ!」

「私なら大丈夫だよ。必ず追いつくから」

「っ・・、絶対だからな‼」

「うん!」

 

私はより殺気が渦巻く方向へと向かった。

私が到着したと同時に、ゴンはヒソカに釣竿をぶん投げて直撃を喰らわしている所だった。

 

えぇ!?あの釣竿武器だったの!?

ってそんなこと言っている場合じゃない!明らかに目をつけられたよ?ゴン!

 

始めの一撃こそ喰らったがそれ以降何度投げても釣竿はヒソカにヒットすることはなかった。

私はタイミングを見てゴンとヒソカの間に割り込み、ゴンの体を抱えて後ろへと飛んで距離をとった。

 

「私のお友達に手を出さないで下さい」

「おや♡やっと話ができたね」

「本当はしたくなかったんだけどね」

 

ゴンはメルを見て目を見開いていた。

「メル!なんでここに!?キルアと先に行ったんじゃ‼」

「皆が心配で戻ってきちゃった。大丈夫?」

「う、うん」

 

ゴン、少し震えてる。

もしかしたらゴンはここで殺されていたのかもしれない。

周りに倒れている男たちみたいに。

周囲を見渡していると、その中にレオリオも混ざっていた。

 

「レオリオ!?」

「あぁ、彼は合格だから生きているよ。ちなみに君たち二人も合格♡後ろにいる金髪の君もね♡」

後ろにはクラピカが様子をうかがっていた。

 

 

「君、ルイス家なんだってね?」

「さぁ」

「クク、酷いなぁ。僕には教えてくれないのかい?」

「…知ってて聞いて来ないで下さい」

「つれないなぁ。そう冷たくしないでくれよ☆僕は君と仲良くなりたいんだよ」

「仲良く…?」

「僕はヒソカ。よろしくね、メルちゃん」

「…話し相手くらいにはなるから、代わりにその横に倒れてる人、無傷で渡してほしいのだけど…」

私は倒れているレオリオを指さした。

 

 

「彼は合格してるから殺すつもりはなかったんだけどね、話し相手に昇格できるならラッキーだね♡」

 

試験管ごっこでもしていたの?

なんの基準で合格かどうかは分からないけど…

 

「君一人で運ぶのは少し大変だろ?次の試験会場まで案内しながらこの人運んであげるからそれまで話相手になってくれるよね?」

そういいながらレオリオを担ぐヒソカ。

 

 

軽い脅しだね。

断ればレオリオの命はないと言われてるみたい。

私に拒否権なんてない。

本当に嫌なタイプだ。

 

 

「分かりました。…ゴン、クラピカは私の後ろをついてきて?」

少しでも不安を二人に与えない様にメルは笑顔を向けた。

 

「わ、分かったよ」

「あぁ」

 

二人とも凄く緊張しているな。

 

私はヒソカの横を歩いた。

 

 

あぁ、いい。いいよメル。愛らしい顔だけどその瞳は鋭く僕の動きを過敏にとらえている。

そればかりか瞬時に対応できるように絶妙な間合いをとってそれを一切崩さない。これほど隙が見えない人、そうはいないよ♡

 

 

「君のこと、もっと知りたいな」

「何が知りたいの?」

「そうだなぁ、根掘り葉掘り聞きたいところだけど質問は1つ」

「?」

「君の好きなタイプは?」

「すっ、好きなタイプ!?そんなの知ってどうするの?」

 

危ない。

少し動揺してしまった。

あまりにも予想外な質問でびっくりしちゃった。

 

「そりゃ君ほどの人のタイプを聞いて、少しでも近づけたらいいなと思っているからサ♡もしかして好きな人とかいたりするのかな?」

 

その言葉に同様し私の足は今まで完璧な間合いを取っていたのにそのリズムが崩れてしまう。

 

ヒソカの言う通り、私には好きな人がいる。

 

「分かりやすいなぁ、そんな一面もあるんだね」

「少し動揺しただけ」

「それで、どこが好きなの?」

「…ど、どこって」

 

メルの顔はみるみる赤くなっていく。

クク、こんなことでこんなに顔を赤くさせるなんて、本当に可愛らしいね。一体君をここまで乱すのはどんな奴なんだろうね♡

 

なんでそんなことヒソカに言わないといけないの…。

…って、私がちゃんと答えないとレオリオが危ない。

少ししか喋っていないけどこの人はどうやら気まぐれな性格だ。私の返事に嘘や、気に入らない返事をしてしまったらレオリオを殺してしまうかもしれない。この場合、偽らず素直に答えるべきだ。

 

「強くて美して、心から尊敬できる人なの。…これでいい?嘘は言っていないわ」

「僕も強くてなるべくスマートに戦える自信はあるんだけど立候補できたりするのかな?」

「無理です」

「それは残念♡」

 

メルの後ろを歩く二人は、ピりつく緊張感の走る空気に息をするのがやっとだった。

 

なぜこの空気のなか普通に会話ができるんだ?…さすがルイス家と言ったところか。

クラピカの額からは冷や汗が流れ落ちた。

 

ゴンもクラピカ同様に体をこわばらせていた。

メルがヒソカの間に入ってくれているからまだマシだけど、いなければ息を吸うのもしんどい筈だ。それくらいの重たい空気‼

 

「次は私が質問してもいい?」

「ん?なんだい?なんでも答えてあげるよ」

 

「なんでハンター試験を受けようと思ったの?会って間もないけど、貴方みたいな性格な人が試験なんてルールに縛られるものを受ける理由が分からなくてね」

「ふふ、僕のことを短い時間でよく理解してくれているんだね♡僕たち相性が良いのかも」

「冗談は結構です」

 

「クク、そうだあなぁ。ハンターライセンスって人を殺しても免罪になるんだよね。それって便利だと思わない?」

「…思いません。私は貴方と違って殺しを楽しむタイプの人間ではないの」

「本当に?」

ヒソカの眼光は鋭くメルを見ていた。

 

「えぇ…、あ。試験会場についたみたい」

「本当だ、君との会話が楽しくてあっという間だったね」

「そう?…ではレオリオは返してもらいます」

「はいはい♡」

 

ヒソカはゆっくりと木陰にレオリオを下ろした。

私に手を振りながらようやくヒソカは私達から離れていった。

 

それと同時にゴンとクラピカは大きく息を吐いた。

「はぁ!疲れたぁあ!」

ゴンは地面に座り込んで伸びをしている。

 

「流石だな、メルは。あのプレッシャーをものともしないとは。私は緊張で体がこわばってしまっていたよ」

「いや、私も疲れたよ。もうヒソカとは会いたくないなぁ」

 

 

メル達から離れたヒソカは協力者の元へと歩いて行った。

 

おや?少し怒ってる?♡

 

「ヒソカ、メルに手は出さないって言ったよね?」

「手は出していないよ。ただお喋りをしていただけさ。あ、そうそう。彼女好きな人がいるんだって。誰だか知っているかい?」

それを聞いてギタラクルはグリンと首を傾げた。

「…え?それ本当?」

 

 

「彼女が言っていたし本当だと思うよ。心当たりある?彼女も気になるけど彼女が惚れるそいつも気になるんだよねぇ。玩具は多い方が楽しいし」

「んー、心当たりはないけど…」

 

メルが惚れるってことは間違えなく自分自身よりも強い人間だと思うけど…

この業界にそんな人間は数えるくらいしかいない。

俺の知る誰か…。

仕事で出会ったのか?

なんにせよそんなことより、

 

「ヒソカ。二度と、メルには近づかないでよね」

「はいはい♡」

 

ヒソカはギタラクルの様子を見てニヤニヤと笑っていた。

君、もしかして…♡

 

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