あたりを見渡すとこちらに向かって走ってくるキルアの姿が見えた。
「あ!キルア!こっちこっち!」
手をひらひらと振り手招きした。
「メルのバカー‼もう少しで時間切れだったんだからな!」
「ごめんごめん、でもちゃんと合流できたでしょ?」
「ま、まぁそうだけどさ」
フフ、私を心配してくれていたんだよね。
あー可愛い。
試験終わったら家に連れて帰ろうか。
……いやそんなことがイルミにバレたら殺される…。
「ん?どうしたんだよ。震えてるぜ?」
「いや、昔のこと思い出してね」
「はぁ?メルってばたまに訳わかんねぇ事いうよなー」
昔、キルアに頼まれてゾルディック家からルイス家にキルアを連れて帰ったことがある。
そのことを知ったイルミはとんでもなく怒ってそれからしばらく私の修行見てくれる時地獄だったんだよね…。
私はブンブンと頭を振った。
全員一次試験合格したし、次は二次試験だ‼
集中集中~‼
「皆さん、お疲れ様でした。ここ、ビスカ森林公園が二次試験会場となります。では、私はこれで。皆さんの検討を祈ります」
サトツさんはそういうとゆっくりと歩いてどこかへと消えていった。
それと同時に森林公園の巨大な門が開いた。
そこには柔らかそうなソファにどっしりと座る女と太った巨大な男がいた。
「一次試験を通過した受験者の諸君、中へ。ようこそ、私は二次試験監督のメンチよ」
「同じく、ブハラ~」
あれが次の試験監督者ね!
もちろん、調査済みです!
あれは美食ハンターとして有名なメンチさんとブハラさん!
ということは今回の試験内容は動物を仕留めたりすることとか…?
全員が二次試験の内容に注目した。
「二次試験は、料理よ!」
メンチのその言葉に会場はシンと静まり、全員の頭の中に「?」が浮かんでいた。
「俺たちはハンター試験を受けに来たんだぜ?」
「そうよ?私たちを満足させられる料理を作る。それが課題よ」
「なんで料理なんだよ‼」
「なぜか?それは私たちが美食ハンターだから」
そういうと、受験者の多数はケラケラと笑い始めた。
あぁ…、メンチさん怒ってる…。
ピリピリしたオーラになっちゃってるよ。
すると代わりにブハラが説明してくれた。
「今回指定する食材は豚だよ。このビスカの森にいる豚なら種類は自由。その豚でここにある調理器具を使って作った料理で俺たち二人が揃っておいしいといったら合格だよ」
「味だけじゃだめよ?料理は奥が深いんだから。ちなみに、私たちが満腹になった時点で試験は終了」
「それじゃぁ、二次試験スタート‼」
豚を使った料理かぁ。
にしても、今になってルイス家の英才教育に救われたな。
料理なんて使用人がいる家では普通しないもの。
でも、うちは違う!
ルイス家は自宅で簡単にできる時短料理の本から高級料亭料理長も御用達の雑誌も出版している!
料理の基礎はバッチリ仕込み済み‼
さぁ、豚狩りだ‼
「なぁ、メルって料理できたよな?」
キルアが少し不安そうに聞いてきた。
「うん、ある程度はできるよ」
「あのさ、俺料理なんてからっきしでさ。できたら一緒にやらねぇか?」
恥ずかしいのかうつむき気味に話すキルア。
「もちろんいいよ、一緒にやろう!」
そういうと嬉しそうに顔を上げて笑顔を見せてくれた。
私たちは森の奥へと入り、獲物を探した。
「メル、いたよ」
木の隙間から除くと、そこには4匹の巨大な豚がいたのだ。
「…あの豚は…グレイトスタンプ。世界で最も凶暴な豚だよ。ついでにあの豚は肉食だから気を付けてね」
するとキルアはヒュ~と口笛を鳴らした。
「さすがメル。何でも知ってるんだな」
「ちにみに、弱点は額だよ」
「メルと組んで正解だよ」
キルアはジャンプして豚の額に鋭い蹴りを喰らわせる。
お!いい蹴りだね、キルア。昔の倍以上の威力だ。
私も負けてられないな。
メルは胸元に隠していたナイフを取り出して正確に額に投げつけた。
素早くナイフを回収し次の豚を仕留める。
その頃には最後の豚がキルアに狩られていた。
「俺たちなかなかいいコンビじゃない?」
「フフ、そうだね」
豚4匹を仕留めるのにかかった時間はわずか10秒程だった。
「キルア、二匹運べる?」
「全部持てるからメルは持たなくていいぜ?」
「じゃぁお言葉に甘えようかな」
「おう!任せとけ!」
小さな体で4匹の巨大豚を担ぐ姿は他の受験者を委縮させた。
「あ…、あいつら何者だ?」
メルとキルアは要注意人物としてその光景をみていた受験者から意識されることとなった。
「それでメル?…何作るんだ?」
「もう考えてあるの!」
まずはこの豚を捌かないとね。
ナイフを取り出して薄くオーラを纏わせた。
こうすることで切れ味が抜群に変わるんだよね。
一番油がのっている個所を切り出して、塩コショウを振りかける。
小麦粉、卵、パン粉を付けたら170~180°の油で一気にきつね色になるまで上げる。
「うぉお!うまそう!」
「これはとんかつっていうんだよ。ジャポンという国の料理なんだ」
「俺も食いたい‼」
「豚は沢山あるし食べていいよ?」
メルはキルアの口に揚げたてのとんかつを近づけた。
キルアはサクッと良い音をたててかぶりつく。
「うんまーい!お前ほんと天才だよ!」
「へへ、誉めすぎだよ~」
そしてメルとキルアは綺麗に盛り付けたとんかつを試験管の前に出した。
「へぇ~、少しはまともなのが出てきたじゃない。他の受験者は皆丸焼きしか知らなかったのに」
「どうぞ召し上がって下さい」
「んじゃ、円了なく」
メンチは黙ってすべてを間食した。
「完璧な料理だった。…二人とも、合格よ」
メルとキルアはお互い顔を見合わせてハイタッチをした。
「やったね!」
「あぁ!」
だがそれ以降合格者はなかなか出ずにいた。
「ねぇ、君さ。メルと仲が良いんだったら協力してくれるように頼んできてよ」
「はぁ?ヤだ」
メルに何か頼むなんて、後で絶対見返りを求められるに決まってる。
どうせ自分が見たことない分野の珍しい参考書や古書を探して来てほしいとか言われるんだろうな。
あれ結構時間かかるし骨が折れるしたまに割にあわない時があるんだよね。
そんなの御免だよ。
「このままじゃ二人そろって脱落だよ?☆」
「……」
そうこうしているうちに、メンチはしびれを切らせて二次試験の終了を告げた。
なぜとんかつにしたかって?
今日の晩御飯がとんかつだったからです。
揚げたてのとんかつ美味しいですよね~