H×H イル×メル   作:@れんか

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8話 どきどき×たまご狩り

「まさかこれで終わり…!?」

「嘘だろっ…冗談じゃねぇ‼」

受験者たちが怒るのも無理はない。

実力を出し切れていないのに1年に1度の試験が終わりを迎えたからだ。

 

 

「不合格の決定は変わらないわよ?」

メンチは毅然とした態度で淡々と話出した。

 

 

「私は豚を使った料理でおいしいと言わせろといったのよ?どいつもこいつも似たような料理ばかり。工夫が無さすぎるのよ‼ちょっと工夫したかと思えば見た目だけ。味へのこだわりがないし、料理を舐めているとしか思えないわ‼」

 

ブラハは横目でメンチを見た。

そもそもメンチを満足させられる料理なんて数えるほどしかいないのに。…にしても、あの二人。いい料理の腕をしていたな。一体何者なんだろう。あ~またあのお肉食べたいなぁ。

ブラハは口端からは大量の涎が零れ落ちていた。

 

「美食ハンターごときに合否を決められたくない‼俺は賞金首ハンターえを目指しているんだ‼」

金髪の受験者は怒りを露わにしてメンチ向にかって走り出した。

 

するとメンチが動く前にブラハが平手打ちをキメて受験者を吹き飛ばしてしまった。

 

キルアは口笛を吹いて楽しそうにその様子を眺めていた。

「ハハッ、メル!見たかよ?あいつすっげぇぶっとんだぜ!」

「うわぁ、生身で喰らうのは流石に痛そうだね」

 

メンチはブラハの行動に口を出す。

「ブハラ、余計な真似しないでよ」

両手には長い包丁が握られている。

 

あの受験者を守るためにブラハさんが代わりに平手打ちをしたのね。

メンチさんにあのまま突進してたら綺麗に卸されてたね。

 

「注意力もない、未知のものに挑戦する気概もない。それだけで十分ハンターの資格なしよ」

 

メンチのその言葉に誰も口答えをする者は現れなかった。

受験者の中には、自分はもう落ちてしまったんだという現実を受け止め始める者が出てきた。

 

 

 

「それにしても、合格者が2人だけというのはちと厳しすぎやしないか?」

 

 

 

拡声器から聞こえる声は、はるか上空から聞こえてきた。

全員が上を見上げると、凄まじいスピードで何かが地上へ落下するのが見えた。

認識した頃にはソレはもう、土煙を上げてこの試験会場へと降り立っていた。

 

煙が晴れるとそこには、白髪の老人が立っていたのだ。

 

あれは‼

ハンター協会会長の、ネテロさん‼

 

メルはネテロの姿を目にし、驚愕していた。

なんという洗練された動き。

ただ普通に立っているだけなのに隙が全く見当たらない。

ただ者ではない。

ゴクリと生唾を飲み込んだ。

 

 

コツコツと下駄を鳴らしてこちらへ近づいてくる。

「ネテロ会長…」

「メンチ君、君は未知のものに挑戦する結果を問うた結果全員その気概がないと判断した訳かい?」

「いや、…受験者に美食ハンターのことを軽んじる発言をされてついカッとなり必要以上に審査が厳しくなってしまいました」

「つまり、自分でも審査不十分だと分かっているのだな」

「はい。料理のこととなると周りが見えなくなってしまいました。私は試験管失格です。試験のやり直しをさせてください」

 

「ふむ。しかし、急に別の試験管を用意するのも面倒じゃ。よし、ではこうしよう。試験管は続けてもらう。だが、新しい試験には君にも実演として参加してもらう。その方が受験者も納得しやすいじゃろう」

「そうですね。わかりました。…では次の新しい課題は、“ゆでたまご”ってことで‼」

 

ゆでたまごって…

一体どんな試験なの!?

 

「そうじゃ、メンチが合格を認めた君たち二人は次の試験は免除とする」

ネテロはちらっと私を見て少し目を大きく見開き何かを悟った様に微笑んだ。

 

 

あれ?

もしかして…ばれた?

 

 

 

私たちは飛行船に乗り、真二ツ山まで移動することになった。

飛行船を降りると、大地が真っ二つに割れた深い溝がある。

覗き込むも底は全く見えない。

 

 

「うわっ、谷底深いなぁ~」

キルアは身を乗り出した。

 

「キルアよく見て?糸が無数に張られて、そこに卵があるでしょ。あれ、“くも鷲の卵”だよ」

「なんだそれ?」

「くも鷲は、外敵から卵を守るために谷底で産卵するの。世界で最も入手困難な食材の一つなんだよ」

「へぇ~」

 

「そこのお嬢ちゃんが言う通りじゃ。くも鷲の卵は別名“幻の卵”とも呼ばれている。…早速実演してもらおうかの」

ネテロのその言葉を聞いて、メンチは躊躇うことなく谷底へと飛び降りた。

 

しっかりと糸をつかみ、タイミングを見計らい卵を掴んだと思えば上昇気流に乗ってすぐに戻ってきて見せた。

「はい、これでゆで卵を作るのよ?」

 

簡単でしょ?と言わんばかりのメンチに受験者たちは後ずさりする。

誰でもこの高さから飛べと言われて躊躇うことなく飛び込めるのは限りなく少ない。

 

 

「こういうのを待っていたんだ‼」

ゴン達は足を竦めることなく飛び込んだ。

 

 

それを見たキルアは指をさして笑っていた。

「ハハ!さすがゴン!」

 

その様子を見て 自分も! と一歩を踏み出し始める受験者たち。

 

 

私たちはこの試験はパスしている為少し離れた場所で試験が終了するのを待っていた。

するといつの間にか私とキルアの後ろに立っていた者がいた。

振り向くとそこにはネテロ会長が笑いながらこちらを見下ろしていたのだ。

 

 

「初めまして。前途有望な若者たちよ」

「…は、初めまして」

 

うわぁ!いつからいたの!?

全く気が付かなかった!

 

挨拶するもキルアはなんとフル無視。

 

 

 

「確か、メルにキルアと言ったか?」

「はい」

「メルよ、ちとお主には心当たりがあるのじゃが」

「はぁ、何のことでしょうか」

「そう隠さずとも良い。…実はお主の家の者からハンター協会に依頼が来ておってのぅ」

「えっ!?」

「娘が行方不明だから内密に探してほしいという内容じゃった。それもこのワシを指名した依頼じゃ」

「そ、そうでしたか」

 

 

 

私の顔からは大粒の汗がしたたり落ちた。

家に帰ったら父様とエル兄様に怒られるんだろうな……。

当分外出禁止になりそう……。

 

「じゃが、数時間後この依頼はキャンセルされたのじゃ」

「へ?」

「どうやら情報の行き違いがあったようでな。娘はハンター試験を受験しているから宜しく頼むと返事が来ておったわい」

 

ハンター協会会長に、そんなこと頼めるなんて……

「ネテロ会長は父様を知っているのですか?」

「フフハハッ、知っているも何も、お前の父ウィリアム・ルイスはわしの弟子じゃからのう」

「えぇ!?」

「なんじゃあやつ、何も言っておらんかったのか。お主が生まれた時はわしも直接祝いに行ったんじゃぞ?」

 

全然知らなかった。

ネテロ会長の弟子ということは……

「まさか父様って、ハンター?」

「あぁ、その通りじゃ」

 

 

やっぱり!

でもあれだけ知らべていたのに何も情報がなかった。

それはつまり、ジン・フリークスと同じように閲覧制限がかけられている。

それもジンよりも厳重に。

父様は一体……何をしているの?

 

 

「ふむ、その様子じゃハンターについて何も聞かされていなかったようじゃのう?ちなみに、お主の兄、エルとラルもハンターじゃぞ?しかもわしの門下じゃ」

 

 

ふぁ!?

もう何が何だか分からない……。

というか、何で私には何も教えてくれなかったの!?

 

 

この話を横で聞いていたキルアは段々興味が出てきたのか口をはさみ始めた。

「メルの家ハンターだらけじゃん!」

 

ハンターだらけなのに全くその情報を掴めなかった私って……

流石に落ち込むんだけど。

そんなに情報収集力なかったのか……

それ暗殺者として致命的なんだけど。

 

「そう落ち込むでない。お主の家にはハンター協会の闇の部分を担ってもらっているからのう。表に出ることはそうはない。だからお主がいくら知らべても出てこなかったんじゃろうよ」

 

闇の部分……?

 

「それに、エルもラルも当時は父親がハンターをしているなんて全く知らんかったようじゃぞ?各々が自分で考えて選んだのが、ハンターだったのじゃ。それは、お主も同じな様じゃな」

 

兄様達も私と同じような気持ちだったのかな……

 

そう思うとなんだか嬉しかった。

自分が尊敬する父や兄と同じ道を進んでいる。

メルのは自然と口元が緩んでいく。

 

「父や兄達と同じようにお主にも、奴らと似た才能を感じておる。期待しておるよ」

ネテロは目尻にしわを寄せて優しく笑顔を見せて、コツコツと下駄音をさせながらどこかへ歩いていく。

 

 

「まさかメルの父さんやエル達もハンターだったとはなぁ~」

「私も驚いたよ。もしかしてゾルディック家の誰かもハンターだったりするかもしれないよ?」

「ハハっ、それ笑える!」

「あのイルミがハンターだったりして!」

「それはない!絶対ない!」

「あはは!だよね~!」

二人は顔を見合わせて笑った。

 

 

 

その話を聞いていたヒソカはブッと噴出した。

「クク、君。あんなこと言われてるけど?」

「好きに言わせておけばいいよ。後でまとめてお仕置きするし」

 

 

メルはブルッと体を震わせた。

ん?なんか一瞬寒気が……。

気のせいか……?

 

 

この後ギタラクルは服に刺さっている針を入念に手入れするのであった。

 

 

 

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