乙女剣士と戦闘狂の暗殺教室 作:ニック
5月に入ったばかりのとある裏道場にて、俺は小さく息を吐くことになる
ここはとある道場であり、その入門生として俺はいるわけなのだが
「死ね!!山吹くん!!」
「死ぬのは貴方だっ、土井副署長ぉっ!!」
俺の目の前では殺し合いが行われていた
他の人が見たらおかしいと思うだろうがこれが俺の普通である
そういう俺の周りにも屍が周辺に散乱しており、近くの人が屍になっていた
「……はぁ。次かかってくる奴誰だ?」
俺はコキコキと手首を鳴らす
しかし挑もうとする人は誰もおらず俺は少しだけ一息つけると思うと小さくため息を吐いたところで一人の防衛省職員の男性が俺の方に近づいてくる
「井岡くん。師範が客間に来てほしいって言っていたよ?」
「ん?俺をですか?」
「うん。どうやら仕事を任せたいそうらしい。ちょっと詳しくは話せないけど便利屋への依頼って言っていたから」
「っ!すぐに行きます」
俺はすぐ様走り出す。一応俺の年齢は15でだが便利屋としては高校に入ってからのはずなのだが
最近不可解なことが多くなっており、特に異常なのは去年の3月末、月が三日月型になったことだ
月の大半が破壊されたらしいんだが詳細は不明。どういうことだか全く理解できなかったのだ
そしてしばらく歩き道場の居住用スペースにある客間へと向かう
「失礼します。井岡忍です」
「忍くんかい。入りたまえ」
「はい」
と襖を開けるとそこにはポニーテールの少女、師範の一人娘である八重樫雫さんとどこか体ががっしりしている男性。
巨大な黄色いタコがいた
「……」
俺はきょとんとして目を何回か擦る。見間違いかと思いつつもう一度そのタコを見る
それを数回繰り返した後、師範が無表情で告げる
「……はぁ。信じられないかもしれないが実態だよ。忍くん。防衛省から君に依頼があるらしい」
「防衛省からですか?」
「あぁ。ちょっと雫もそれに巻き込まれたらしくてね。だから護衛の意味も兼ねて便利屋の君が一緒にいてくれると嬉しいんだが……」
「ちょっとお父さん?便利屋って?」
「はぁ、とりあえず依頼内容を教えてください。ついでに報酬も」
「あぁ。それじゃあ烏間さんお願いします」
と少しだけ緊迫したような顔つきになる烏間さん
「防衛省の烏間というものだ。ここからの話は国家機密だと理解いただきたい」
と一言だけいいそして
「君たちにはこの生物を殺してほしい」
「「えっ?」」
それは客間の中で二人の声が響いた
「えっと?一応聞きますがネタやドッキリじゃないんですよね?烏間さんのことは斎藤さんから聞いていますが……」
「あぁ、どっきりではない。詳しいことを話せないがこいつは三月に月を破壊した犯人だ。そして来年、この月を破壊した生物は、この地球のも破壊する」
「……」
俺と八重樫さんは息を呑む。当たり前だ。それは来年3月に全員人類の滅亡って言っていることなんだから
「今年四月からこの生物は椚ヶ丘中学校三年E組の担任をすることになった。だから二人には椚ヶ丘中学に移転してほしいのだが」
「……あの、中学校の担任をすることになったってどうしてですか?」
「理由はわからん。だがこの一ヶ月の間奴は普通に学校に向かい担任の先生をしている」
と言った矢先八重樫さんも不思議と思ったのか首を傾げる
「こいつはとにかく速い。満月を三日月に変えるような生物だ。最高時速はマッハ20」
「あぁ。なるほどな。生徒の危害を加えないことを認めさせれば近距離で1クラス分の人間が殺すことができる。教室っていう密集空間で確か椚ヶ丘の三年E組は隔離施設だったはずだ。情報の漏洩もしにくい」
「にゅや?知っているんですか?」
タコが話しかけてくる
「……まぁ色々あってな。こっちも企業秘密にさせてもらおうか」
「うむ。成功報酬は100億だ」
「「100億!?」」
俺はその額に驚いてしまう。
「ちょ、ちょっとそれはあまりにも多すぎませんか?」
「当たり前の額だろう。暗殺の成功は冗談抜きで地球を救うことに」
「いや、反対だ。あまりにも少なすぎる」
俺は断言する。すると八重樫さんとタコ、烏間は首を傾げる。だが師範は俺の意味を理解しようとしたのか考え始める
「どういうことかい?」
「いや。金額って恐らく殺し屋にも適応されているんですよね?それって生徒の身の安全を保護することを恐らく条件に加えていませんよね?」
「…どういうこと?」
「先生からの危害を加えられるってことではなくて外部の人間から狙われることを指しているんだろう」
「はい。マッハ20の生物なんて数人程度の規模じゃ無理です。恐らく最低でも20人近くの者が集団的にそれもほとんど作戦通りに動きを読めなければ殺せません。……もしこのタコがまともな先生であった場合俺たちは真っ先に狙われること、もしくは俺の家族は別ですが自分の親しい人が狙われる可能性があります」
俺の言葉に烏間と名乗った防衛省の男性は目を見開く
「それに暗殺費用や転校に関する交友関係や学業。俺たちは殺しの経験がないこともそうですが何よりも椚ヶ丘はここから遠すぎませんか?」
俺も何度か言ったことがあるのだが東京都の反対側に位置しており恐らく一時間半は通学にかかるだろう。
「それに関しては俺たちで寮を用意するつもりだ。もし暗殺に成功した場合その家も自由に使ってくれてもいい。学業については高校についてならある程度ならこちらで保証はさせてもらおう」
「……は?」
俺はキョトンとしてしまう
「八重樫の本当の姿については防衛省職員もわずか通っていることもあるのだが……未だに上層部は知らない人が多い。その頂点にいるのが15歳の少年ってことを聞いて協力していただけないかと思ったわけだ。……手当については鷲三と判断して決めさせてもらおう」
「……んじゃなんで八重樫さんが含まれているんですか?確か国家機密って俺にだけ伝えることが目的だったんですよね?」
「にゅや。それは!?」
とタコが焦り出す。俺は首をかしげると八重樫さんが小さくため息を吐く
「なにか視線を感じるって振り向いたら黄色い生物が見えてね。……ぬるふふふふっていいながら飛んでいったのよ」
「……国家機密が見つかっていいんですか?」
「見つかっていいはずがないだろ!!」
「にゅや!す、すいません。私は国家機密失格です」
と頭を下げる黄色いタコ。
いや。そもそも何が目的で八重樫さんを見ていたんだ?
俺は首を傾げると……少しだけ嫌な予感がした
「それともちろんのことだが学費については心配しなくても防衛省側は負担する。それと名目上は八重樫さんは井岡くんも剣道で一年から負けなしなんだろう?なので国指定の特別強化選手として招くことになっている」
「……待遇が良すぎませんか?」
「せめてこれくらいはしないといけないだろう。それに八重樫さんはともかく井岡くんはどうしても入るだけでもこいつを殺せる可能性が数パーセント上がることになる」
……一瞬で何かに思い浮かんだ。即ち八重樫の裏を使えってことか?
師範を見ると一度頷く。自重はいらない。思う存分腕を振るえってことだろう
「……もしかしなくて断ったら記憶消去の治療が待っているんですよね?」
「あぁ」
「……受けます。」
「私も受けます。……どっちにしろ香織とはいられなさそうだから」
香織と呼ばれるのは白崎香織のことだろう。
いつも一緒にいるメンバーの一人で仲がよい一人である
「にゅや。それならE組に加入するのは5月の後半からになるでしょう」
「ん?5月の後半?」
「はい。君たちの学校よりも椚ヶ丘は授業の進み方が速いので防衛省と私が協力して授業を受けてもらいます」
「「えっ?」」
「一応中間考査は……元の中学校のころの平均を出しておくが二人とも勉強が苦手ってことではないのだろう?授業態度も真面目だからすぐに50ページおいつくだろう」
それってほぼ一日中勉強漬けってことじゃと冷や汗を掻く。
どうやら俺も八重樫さんもしばらくは勉強に費やすのだった