乙女剣士と戦闘狂の暗殺教室 作:ニック
「あ〜よく寝た!」
「いっくんよく寝てたね。体は大丈夫?」
「大丈夫。寝てたら酔いは覚めたから」
俺は酔いから解放せれ少し晴れやかな気分で久しぶりの椚ヶ丘の土地を踏んだのだが
「……」
「雫ちゃん大丈夫?」
「えぇ。大丈夫よ」
と口では平気そうにしているが態度は余裕はないのか俺の服を掴んでいる
ショックはやっぱり大きかったんだろう
やっぱり力及ばないよな
師範だったら守れたのだろうか?
八重樫さんを傷つけずに入られたのだろうか?
いや、そんな仮定は間違っている。
実際俺がその場にいて、班は違うが気づくチャンスはかなりあったはずだ
それでこんなことになったのだから、護衛としては失敗なのだろう
そんな風に振り返りながら軽く凹んでいるところだった
「雫ちゃん!!」
「……えっ?」
俺はタッタッタッと走ってくる音が聞こえてくる。
解散と言葉と共に一直線に八重樫さんに走ってくるのが分かるとクラスどころか学年全体がその人を注目している。
中学で八重樫さんと共に二大女神と言われ男女問わず絶大な人気を誇り、腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる。
その女子は、周囲の視線を気にせずに八重樫さんに抱きついた
「雫ちゃん!久しぶり」
「香織?」
「うん。香織だよ。雫ちゃんの親友の白崎香織。雫ちゃんが傷ついているから連れ出してほしいって話を井岡くんから聞いて飛んできたの?」
「な、なんで?」
「白崎さんが京都に来ることだけはなんとか阻止はできたけどな。八重樫さんの携帯を使わせてもらった。修学旅行で色々あったし軽いホームシック気味だっただろ?八重樫さんにとって、慣れない土地に一人暮らしとか色々あったからな。……俺にはできないことを白崎さんならできるからな」
俺は少しだけ苦笑してしまう
そしてまず白崎さんに頭を下げる
「白崎さんもごめん。急に知らない、それも八重樫さんのスマホから電話して」
「ううん。大丈夫。私も雫ちゃんが全く連絡してくれなかったから現状を知りたかったから。寮の住所も教えてくれなかったから少し不安だったんだ。雫ちゃんまた無茶しているんじゃないかって」
「それはお前も変わらなくね?八重樫さんが今の髪型になるのも道場で師範に力説してたよな?」
「うっ。い、嫌なものだね。若さ故の過ちって」
「今も変わらないと思うけど?八重樫さんのことを聞いて京都まで突撃してこようとしてこようとする奴がどこにいるんだよ。」
目を逸らす白崎さんに俺は首を横に振る
そんなことない。白崎さんの美点はそこなんだから
純粋でまっすぐでお人好しなところ。それがどれだけ八重樫さんのこころに残っていたのか。
「八重樫さんにはそんなの白崎さんが必要だから」
「どういうこと?」
「そのままの意味。白崎さんは確か八重樫さんの寮に泊まるんだったよな?八重樫さんの寮は隣だから買い出しあれば言って。近くのスーパーで買ってくるから」
久しぶりの再会だし八重樫さんもあの件から少しクラスメイトと離れたところにいる。
「……俺にできるのはここまで、後はお願いしてもいいか?」
「うん。それと雫ちゃん部活動は?」
「部活動は元々休みなはず。それに今八重樫さんが剣道をやるって言っても俺がやめさせてたから。師範も男の人らしいし俺が見ているところで発作が起こったらさすがに対応取れないから」
「……そっか」
少し考えている白崎さん。信じたくはなかったんだろうが悔しいけど事実なのだ
今度は八重樫さんに向けて頭を下げる
「八重樫さんもごめん。勝手に携帯使ったのと勝手に白崎さんを呼んで。でも八重樫さん自身考える必要があると思ってた。何かと一人暮らしに苦労しているところもあったから」
「…気づいていたのね?」
「あぁ。剣道だって元の学校でもできるからな、だから一回ちゃんと考えて欲しい。ここに残るのか、それとも元の学校で前まで通りに元の学校に行くのか」