乙女剣士と戦闘狂の暗殺教室 作:ニック
「ちょ、ちょっと待ってどういうことよ。私の家が忍者屋敷?えっ?」
一番動揺しているのが八重樫さん本人であるっていうのが面白いところだが、俺は説明するためにクラスメイトの方を見る
「八重樫流っていうのは元々安土桃山時代から続く忍者の家系であるんだよ。俺はその中の一人。本当なら俺も入る予定はなかったらしいんだけど……一度忘れ物をした時につい裏の顔を見てしまって」
「そういえば記憶消去手術のことも知っていたが…」
「そのことが原因ですね。まぁ今回に限っては表に出ることは許可されているので…あんまり口外にしてくれると助かるかな」
と俺は少しだけ苦笑してしまう
「……知られてもなかったのにあの距離を外されたらさすがにきつい。殺せんせーに通用しそうなものもネタ切れだしな」
「完全に油断してました。……ところで手のことなんですか」
「ん?あぁ。あれはゴム手袋をしていたんだよ。ここにくるまでずっとゴム手袋、それも対先生用の内臓ものを付けっぱなしにしていただけだ。もちろん指紋とかもちゃんと再現して」
「いつのまに…凄いわね。よくそんな発想をしたの?」
八重樫さんが驚いたようにしていたが
「事前赤羽さんが一度触手を破壊したって聞いたんだよ。それの応用ですよ。まぁ今回に限っては結構作戦ミスが多かったんですが」
「ミスですか?」
「あぁ。俺が勝ったことが最初の作戦変更を余儀なくされたんだよ。烏間先生に奇襲を仕掛けて負けるってことができなかったのが一番作戦の失敗を余儀なくされました。元々奇襲で俺に当てられないって思わることを前提とした作戦だったので」
「すまない。奇襲してくるのを分かっていながら防げなかった俺の責任でもある」
烏間先生が頭を下げる
だから傲慢な性格で相手を舐めているという雰囲気づくりをしていたのに全てが台無しになったと瞬間だった
「にゅや?烏間先生は奇襲してくるって分かっていたんですか?」
「あぁ。予想外だったのが思った以上に何をしてくるのかが分からなかったことだ。特に開始の合図前に襲いかかってくるということと技のキレが想定外だった」
「閃光弾にするか迷ったんですけど、閃光弾だとどうしても周りに被害がいきますからね。他にある程度手をバラそうとしていてあえて怪我をしたふりをしてそのまま室内で暗殺するって夜中に作戦を練っていたんですよ」
「……」
すると冷や汗を垂らす殺せんせー
俺は二度と使えない手だと思うので全部発言してしまう
すると赤い髪の男子が俺に向かって発言してくる
「なるほど、確かに屋外よりかは戦闘という面では室内って手は有効だね。でもどうして戦闘を選んだの?」
「烏間先生に頼んで潮田さんのメモ帳を少し拝見させてもらったんですよ。すると暗殺というのは少し相性が悪い気がして。特にイリーナ先生の暗殺結果を見て俺の得意な火薬や奥田さんみたいな毒物は効かないもしくは使う前に撤去させられるような気がして……そう考えるとそれよりも生徒に危害を加えられないことを考えて戦闘というやり方の方が殺せるかなって思ったんですけど」
油断プラス暗殺ではない暗殺。そして殺気を抑え演技力を鍛えていたのに奇襲という作戦が失敗した中俺は軽く苦笑してしまう
すると少しだけイリーナ先生は考え始める
「烏間。この子本当に殺し屋じゃないの?」
「あぁ……日本の中学生がここまで心理をついた作戦を思い浮かぶとは思いもしてなかった……少し話を聞いた時は驚いたんだが……」
「いや。殺せてませんよ。俺まだ銃撃についてはかなり不安定なんで。土日使って烏間先生に教えてもらったのですが視線を逸らして撃つってことが不安定なところでできないので。さっき殺せんせーは視線を見てました。恐らく視線の向きで銃撃バレていましたしね」
俺は反射神経や動体視力に関しては師範以上であり、マッハ20を見えるようにとこの二週間の間に特訓もしてきてある
だからこそ確信していた。この刃じゃ殺せないと
「殺せるか殺せないかは実力を見たらすぐに分かります。それに反応が思っていたよりも早かったです。恐らく外に逃げるなどして逃げられていた可能性が高いです。殺せる可能性は10回に一回あればいいくらいでしょうか?」
「1割もあったのか?」
「えぇ。それくらいですね。完全に不意はつけていたはずなので。室内だと多分武器に気づかれる可能性があるので…もうちょっと下がるでしょうけど」
実際そこの辺りはかなり練っている。潮田さんが書き綴ったノートには鼻がいいって書いてあったのでかなり仕掛けに苦労した。
「妥当なところでしょう。私は手袋も靴も全く気づきませんでした。しかし匂いはどうしたんでしょうか?」
「家で使っているボディシャンプーで一度手袋をつけてあるんだ。足元も底が少し高くして収納スペースを作っているからな。いつでもナイフを取り出せるようにしているし匂い対策はしっかりしている」
匂いを利用してなるべく気づかれないようにしていたんだけど、……そこはうまく使えるようにしておかないとな
「そういえば手裏剣っていつ投げたの?」
「空中で一回転する間服の袖からスライドさせていつでも投擲できるように制服を改造したんだよ。皮膚が弱いとか日光に弱いとかいえば冬服は夏でも着ていいしな銃だって袖にショルダーを作ってある」
「すげぇ。てか体術ももしかして忍術なのか?」
「いや。普通にオリジナル。受け身を想定してフリーランニングの基礎と同じようにしていたんだよ。カンフー映画を少し真似したのもあるんだけど、フリーランニングをできるようになったら教えてあげるさ」
といつのまにか俺の周りにはクラスメイトが集まっていた
「まぁ、一回殺せればいいしな。また作戦塗り直してくるよ」
「ヌルフフフ。またいつでも殺しにきて下さい」
「ん」
俺は手をひらひらと振ると一呼吸置く
……やっぱ悔しいな。いつぐらいだろうか。得意分野で負けるっていうのは
ほとんどこういったことでは負けたことがなかった俺にとって敗北は久しぶりである
「そういや、すいません。時間とってもらって」
「いや。十分暗殺できる可能性があったからな」
「まぁこれからは協力して暗殺することが中心的になるかな。俺自身としたら恐らく一番暗殺できる方法でやったんだ。俺個人では暗殺できないな」
真剣に少しだけ力不足を感じる。もとより道場で磨いてきた技を簡単に避けられたんだ。
ちょっと悔しさはあるし、苦々しさだってある
でも普通の学園生活よりかは楽しくなるような気がした