うわぁ…、最後の更新から一ヶ月経った(白目)
□【整備士】メサイヤ・エンター=ティナー
『マスター、少々よろしいでしょうか?』
イレーナとの共闘から何日か経ったある日、いつも通りログインをして皆を《喚起》した所、アルファ號機が話し掛けてきました。
ここ数日間は狩りによる経験値と所持金の稼ぎに専念していまして、その甲斐あって次に作る個体の素材である盾を入手出来たり、無事に【従魔師】をカンストに至ったのでジョブを当初の予定通り【整備士】に就いたりしていました。
残念ながら、あれからイレーナと都合が合う機会が多く無いので実質ソロの様なものでしたが。
「? 何でしょうか」
ログインしたばかりなので、アルファ號機に何か用件があるとは思えないですが…。
『なんといいますか…。曖昧な感覚なのですが、エンブリオが進化、していると思われます』
「…本当ですか?」
確かめて見ると確かに、エンブリオの形態の部分が
「それにしても、良く気付きましたね」
『我等はエンブリオの一部なので、変化に気付けると言いますか…。この身の能力が強化されたのでもしやと思い』
成る程…、エンブリオが進化したのならばアルファ號機達も強化されるのは道理ですね。思う所があるとすれば、孵化してから進化までの期間が長かったような気がする所でしょうか。
遅かった事は一先ず置いといて、他に変化した箇所が無いか見てみましょう。
「………おや」
『どうしましたか?』
「いえ、エンブリオに新たなスキルが追加された様です」
スキル名は…《
『新しいスキルですか、それはめでたいですね。それで、どの様なスキルでしょうか』
「ふむ…。どうやら、エンブリオの能力で作成した個体の収納スキルの様ですね」
現在、アルファ號機とヴェージ、
あと
ならば新しい【ジュエル】を買えば良いのですが、所持金額がもう少し貯まってからにしようと思っていました。現状で戦力が足りていると考えていたのも理由ですが。
「何はともあれ、一度使用してみましょう。付き合って貰っていいですか、ヴェージ」
『うん、いいでゴワス』
「それでは。《
スキルの使用を宣言すると、ヴェージの周りを緑色の、文字の様な物が円形状に集まり囲い始めました。そしてその十数秒後にヴェージが視界から消えていました。
「成功、ですかね」
エンブリオの本体である、ノートパソコンの画面を覗くと保管一覧という項目があり、そこに『作成機体:タンクロイド 個体名:ヴェージ』と書かれていました。
このスキルによる消費MPを確認すると、少々多めに消費していますね。何かを送るといったスキル系統は総じて消費が激しいと聞きますので、このスキルもその類いでしょうか。
「…ん?」
改めてスキルの説明欄を見てみると、同時に最大で四体まで送れると書かれていました。
「………レッタガーマ、トライデルタ。貴方達もいいですか?」
『‥‥了承』
『はい、大丈夫です』
「では…《
先程のヴェージと同じ様な円形の囲いが二体を覆い、同じく十数秒後に転送されました。保管一覧の項目に名前が追加されているのも確認しました。
消費MPは…、先程と変わらず同じ量ですね。つまりこのスキルは複数同時に使用するのが効率良いと言う事ですか。
「…そう言えば、あまり画面を気にした事が有りませんでしたね」
何せ、今までエンブリオを使用したとしてもそれは作成スキルでしかなく。作成した後は精々、作成した個体の性能を調べる事位しか活用していませんでした。エンブリオが孵ってから大して調べていなかったのも、そう言う代物だという認識があったからだったりもします。これを良い機会と捉えて、少し調べてみましょうかね。
画面に触れてみると反応があったので、タッチパネルになっているんですね。マウスが無いからでしょうか。キーボード部分も使えるようです。画面を操作していると、幾つかのアプリケーションの様なものがありました。
当初から認識していた、作成した個体の様々なデータ。先程も見た《検体保管庫》の保管一覧、後はメモ帳の様な機能もありました。しかし気になる物は他にあり、
「………チャットログ? 何ですかね、これ」
まさかエンブリオにメモ帳としての機能があったのは驚きましたが、スキルとしてでは無く“機能”と考えれば可笑しくはないですね。しかし、チャットログは…何でしょうね? チャットとログなので会話の記録なのは理解出来ます。だが、別段誰かと通信している訳ではないですし相手が居ません。では誰との会話を記録するのでしょうか…。
そんな疑問を抱えていると、画面に変化があった事に気付きました。
【 ヴェージ :これ、外に聞こえてないでゴワス?】
【トライデルタ:恐らくは…】
【レッタガーマ:‥‥不便?】
チャットログを見ると、収納した個体達の会話が書き込まれていました。
「そういう事でしたか…」
チャットログというのは、つまり《検体保管庫》に転送した個体からの言葉を記す機能だったみたいですね。恐らく第二形態になってから確認したから理解しきれなかったのでしょうかね。これまで書き込まれ無かった所を考えると、何かしらの条件があったのでしょうか。
どうやら此方からも書き込める様なので、早く心配を取り除いてあげる為にも書き込んでみましょう。
【 マスター :大丈夫です。届いていますよ】
【 ヴェージ :?! どう言う事でゴワス!!】
【 マスター :ちょ、落ち着いてください】
【トライデルタ:あぁ…いきなり文字が現れたと思ったら、こうやって会話が出来るんですね】
【レッタガーマ:‥‥吃驚】
どの様な光景かは判りませんが、目の前にいきなり現れるのは確かに驚きますね。
【 マスター :スキルではなく機能として行える様ですね】
【レッタガーマ:‥‥不便。撤回。便利】
【 マスター :それでは、実験を終了するので呼び戻しますね】
レッタガーマが続けて喋った?! と打ちそうになりましたが、そろそろ別の事に移りたいので呼び戻す事にしました。
「《
『ただいまでゴワス』
「はい、お帰りなさい」
《検体保管庫》への転送だけでなく召喚にも十数秒掛かりましたが、無事に帰還を確認しました。
総括すると、今回新しく追加された《検体保管庫》は緊急時には向いていませんね。準備する余裕がある時なら兎も角ですが、今後とも【ジュエル】と並行して使用して行く感じですかね。突然の出来事でしたが、結果を見れば戦力の増強に繋がるでしょう。
「良い機会です。折角なので新しい個体を追加しましょう」
そう言いながら、私はアイテムボックスから爪の形状をした武器を取り出しました。…これを買ったから【ジュエル】を買うお金が無くなった訳ではないですよ?
《検体保管庫》:アクティブスキル
半径2メテル以内に存在する指定した個体を異空間に収納する。同時に指定できる数は四機。発動から完了まで30秒掛かる。クールタイムは1分。
〜〜〜〜〜
《検体保管庫》を使うワードが《転送》と言うことです。
なお話タイトルは
×戦力を強化する
⚪︎戦力が強化される
ーーだったり