「はぁ…めんどくせぇ…」
「国に顔を売るためとはいえこんな仕事受けんじゃなかったな」
俺は壁によりかかりながら怪しい人間が会場に入っていかないか監視していた。
俺の名前は【ネロ】、そこそこ名の売れている傭兵である。
今俺はドイツで開催されている第2回モンドクロッソの会場警備をしていた。
ドイツは国の威信に賭けてもこの行事を成功させたいのか、国の軍や警察だけでなく俺のような傭兵にもお声がかかっていた、軍や警察よりも俺達のような存在のほうが便利な場合もあるのだろう。
国からの依頼をこなせば箔も付くと思い受けたのだが、元々ドンパチやら破壊工作やらがメインの俺としてはただただ退屈な仕事である。
ちらりとモニターを見るとパワードスーツを身にまとった女性同士の試合の映像が映し出されていた。
「あんなもんが量産されたらおまんま食い上げだな」
IS<インフィニット・ストラトス>それがあのパワードスーツの名である。
白騎士事件をきっかけに世界を変えた存在である。
女性にしか扱えない、絶対数が限られている、ISコアがブラックボックスで現在も解析出来ていない等兵器としては欠陥があるもののその性能は既存兵器を大きく上回っている。
現在ではアラスカ条約で兵器としての利用は規制されているものの各国は抑止力としてISを開発、研究してるし軍に配備してる国だってある。
もしもISが本格的に量産され戦場に出るようになったら男である俺が出る幕は無くなる。
そんな事を考えながら仕事を続けていると東洋人らしき子供を担ぎ、車に乗せる男の姿が見えた。
「はぁ~…見ちまった、中に居る連中はなにやってんだか」
中で警備しているはずの者に連絡しようとしたが繋がらない、今頃伸びているのだろうか。
男の顔に見覚えが無いので俺が入れてしまったというわけではないのだが、見てしまったものはしょうがない、対処しなければ俺の信用に関わるのだ。
俺はそばに置いていたバイクに跨り追跡を開始した。
車はやがて倉庫に入り、男二人が縛り上げられた子供を担いで降りた、俺も身を隠しながら倉庫に入る。
「にしてもこんなガキ攫ってどうするんだ?」
「あの織斑千冬の弟だぞ、使い道はあるだろう。無くても高く売れるさ、織斑千冬に恨みを持ってる奴なんていくらでも居るからな」
「だったらとっとと逃げたほうがいいんじゃないか?なんでわざわざこんな所で待機なんだ?」
「クライアントが欲張りでな、織斑千冬に決勝戦を棄権させたいんだとよ」
男二人がそんな話をしている、織斑千冬、第一回モンド・グロッソ優勝者の名前だ。
確かにその弟なら攫う価値はあるだろう、それに織斑千冬を棄権させるか、彼らのクライアントはどこだろうか?
俺はハンドガンを取り出しながら一瞬考えるがすぐ止める、俺には関係ない事だ、俺は俺の仕事をするだけだ。
パァンパァン!!
俺は一気に駆け出しながらハンドガンで男の腕を撃つ、非常に面倒だがクライアントから極力殺しはするなと言われているのだ。
「はぁ!!」
予想外の奇襲にまだ対応できていない二人に廻し蹴りを食らわせ一気に意識を刈り取る。
「楽勝だなっと、おい坊主生きてるか?」
男達を縛りあげた後、子供の拘束を解いてやる。
「あっ、ありがとうございます…」
「仕事だからな、怪我も無いみたいだな」
「俺の名前は織斑一夏です、あなたは?」
「ネロだ、しがない傭兵をやっている」
少年も別段取り乱している様子も無く、自己紹介ををしながら倉庫を出ようとしていたのだが
ドガァン!
天井が破壊され、空からISが降って来た。
「おいおい、まじかよ!? 一夏逃げろ!!」
俺はすぐさま一夏を逃がし、ISの前に立ちふさがる。外にも敵がいたらアウトだがこの場に一夏を残していてもどちらにしろアウトだ。
「傭兵まで雇ってるのは予想外だったわね…」
そういいながらISに乗っている女は容赦なくハンドガンを展開し撃ってきた。
「あら、逃げてるだけ?」
「どうせ撃っても意味ないなら普通逃げるだろ、あんた馬鹿か?」
ISのハンドガンを必死に避けながら挑発する、一夏から意識を逸らさせなければならない。
「どうやら死にたいみたいね」
「やれるもんならやってみな」
乗ってきた。とはいえ相手はISでこちらは生身、詰んでる事には変わりない。
ほら見ろ、訳分からんスピードで突っ込んできた。
「あっぶね! がぁっ!!」
間一髪ブレードを避け続く蹴りもガードしたが吹っ飛ばされた上左腕が折れた。
(千切れなかっただけましか)
俺は自分の被害状況を確認していると女はふぅ、と一息つき
「かわされるとは思わなかったわ、おかげ冷えてきたわ、あなたやるじゃない、名前は?」
「ネロだ、あんたは?」
「あの噂に名高い黒の死神?私は亡国機業のスコールよ」
「それはやめてくれ、というか亡国企業って大手じゃねーか、何回かあんたん所の仕事もしたことあるぜ」
「そうなの、その時のうちの担当者は目が節穴ね、私が担当だったら間違い無くあなたをうちに引き込んでるわ」
女はハンドガンを構え直しこちらに歩みよって来る、先程と違い切れてないとなるとかわすのは難しいだろう。
そう判断して俺は無残に折れ曲がった左腕を右手で無理やり真っ直ぐにして両手にハンドガンを持ち、構えた。
「あら、意味無いって言ってなかったかしら?」
「足掻く位はするさ」
そう言いながら二丁同時に撃つ、狙うは両目、ISにはシールドエネルギーがあり通常のハンドガンの弾など避ける意味は無いのだがISに乗ってるのは結局人間だ、目に向かって物が飛んでくれば反射的にかわそうとしてしまうだろうその隙に距離をとって逃げよう、一夏も問題なければもう遠くまで逃げているだろうしいつまでもここに居る理由は無い。
「残念、発想はよかったけど私には通じないわよ」
俺の目論見は外れた、弾はシールドに阻まれ女は隙を見せずにハンドガンで反撃してきた。
「ぐうっ! …随分場数を踏んでいるようで」
反射的に身をよじるがわずかに掠ってしまう、それだけでわき腹が抉れた。
「あなたもなかなかよ、スカウトしちゃいたいくらいよ」
「それは…光栄だな…」
(まずいな、血が流れすぎてる…)
わき腹からの出血が予想以上に酷く今にも倒れてしまいそうだ。
「くそっ…割りにあわねーぞこの仕事…」
「スカウトの話割と本気なんだけど、うちにこない?」
そう言いつつも女がハンドガンを突きつける、かわす余力は残っていない。
ズガアアアアアアアン!
「っ!時間切れみたいね、楽しかったわ。さっきの話考えといて頂戴」
突如倉庫の壁をぶち抜いてきたISを見た女はすぐさま身を翻し逃走した。
「くそっ逃げられたか! おい君!大丈夫か!?」
乱入してきたISに乗っていたのは織斑千冬であった。血を流しすぎていた俺は彼女に答える事が出来なかった。
「一夏の恩人を死なせる訳には…」
彼女の言い方からして一夏は無事だったのだろう、その事を理解した俺は意識を手放した。
「ここは…」
意識を取り戻した俺の目に映っていた光景は有体に言えば知らない天井であった。
「あ、ねーくん起きたー?」
次いで聞こえる知らない声、その方向に目を向けるとそこには兎がいた。
兎のような女性は不思議の国のアリスを思わせるブルーのワンピースに機械的なうさみみとなかなか奇特なセンスであった。
「あんたは?」
「天才科学者にしてねーくんの命の恩人、篠ノ之束さんだよ~ぶいぶい!」
女性はハイテンションでそう答える。ねーくんって俺のことか、てか篠ノ之束ってIS開発者じゃないか。
「俺の命の恩人?」
「ちーちゃんといっくんに頼まれたから私がねーくんを治療したんだよ」
「なるほど…助かりました、ありがとうございます」
ちーちゃんといっくんは恐らく織斑姉弟の事だろう、なんにせよ礼を言う。
「二人の頼みだし、私もねーくんに興味があったからねー」
「IS開発者に興味を持たれるような事をした覚えは無いんだがな」
名前こそ売れているが俺はどこをとっても唯の傭兵である。IS開発者である彼女の興味を引くものなど無いはずなのだが。
「謙遜する事は無いよ黒の死神さん、君の事は調べさせてもらったけどこなした依頼、成功率、唯の凡人じゃ出来ないよ」
「その呼び名はやめてくれ、恥ずかしいんだ」
「そうかなーかっこいいと思うけど」
「それで、それを調べた上で興味があるって事はなんか依頼でもあるのか?」
「そうなの、最近束さんが気に入らない研究をしてる所が増えてきてねー、そういう所を潰して欲しいんだよ。それと私の護衛もお願いしようかなー」
身振り手振りをしながら依頼内容を告げる束、彼女は動き続けていないと死んでしまうのだろうか。
「あんたが気に入らない研究っていうとIS関連か」
「うん、少しは目を瞑るけど人体実験とかは許せないからそういうのを潰す私兵が欲しいの、私は表に出れないしねー」
IS関連の人体実験、噂程度には聞いた事がある。
IS適正の高い人間を作り出そうとかそんな感じだったか。
「その件にしろ護衛にしろISが使える女の方が良くないか?破壊工作はまだしもあんたを狙おうなんて連中はIS出してくるだろうし、男の俺じゃ役者不足だろ。実際今回もISを相手にしてこの様だし」
「それがね、ねーくんIS動かせるんだよ」
「は?」
「私にも理由は分からないけど…今回ねーくんが助かったのもねーくんが私が作っていた試作ISを起動して生命維持装置を使ったからなんだよ…」
俺がISを使える…?信じられる訳が無い
「私が君に依頼をしているのもデータ取りがしたいから、理解不能、意味不明、こんなの初めてだから徹底的に調査したいんだよ」
「受けるかどうかは報酬とか細かい所を詰めてからだ、ていうか俺も少し時間が欲しい、頭がついていけない」
「本当ならナノサイズまで解剖したいんだけどねいっくんの恩人だからそれはやらない、じっくり調査するから長期の契約で報酬も待遇も良くするよ」
なにやら恐ろしい事をいってらっしゃるがここまで言うって事は本当に俺はISを使えるらしい。
それにしてもIS開発者からの長期依頼か、企業やら訳の分からん組織からの危険な割りにみみっちい報酬の依頼を受けるよりは遥かにいいだろう、だが流石に即決するわけにはいかない。
「悪いが話は後だ、一旦寝かせてくれ」
今日は疲れた、俺はそのままベットに横になると眠りに落ちた。
思いつきで投稿、恐らく多分きっと続く
専用機は多分AC系、傭兵=レイヴン、リンクスこれは世界の真理
だけどチートにはならない予定、束製なので強いことは強いけど
こちらではあまりはっちゃけません
適当に~も更新停止とかじゃありません
ただ暇が無くなって来たので更新が遅くなるかもしれません