ロクでなし魔術講師と光の戦士・改   作:Rewrite/アルト

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今回で2巻が終わります
そして今回やっと、アリサの戦闘シーンが本格的に描けます

では……


闇を滅する護りの炎

魔術競技祭の裏で起きていた今回の事件は、呪いの道具を使い、アリシアを人質にし、王室親衛隊によってルミアを殺害させようとした天の知慧研究会の計画だった。

だが、今回の誤算(イレギュラー)は、殺害対象であるルミアの担任が魔術の発動───呪いの起動を封じる固有魔術(オリジナル)【愚者の世界】を持ったグレンだった。

グレンはルミアを抱えながら、王室親衛隊との逃走劇中にアルベルトとリィエルに会い、【セルフ・イリュージョン】で入れ替わって、アルベルトとリィエルとして、グレンとルミアは女王陛下の前に立つことに成功した。

そしてセリカの断絶結界内で、いざこざがありつつも、アリシアが身につけた呪いのネックレスを【愚者の世界】の範囲内で外すことに成功し、一安心してると、ゴモラが現れて、会場は大混乱になったが、ウルトラマンゼットの活躍によって、ゴモラは倒され、アリシアの言葉で会場に来た人間達を落ち着かせることに成功した。

その裏で本当は、天の知慧研究会のメンバーであったエレノアがアルベルトとリィエルと会敵したが、逃げられてしまった。

これが事件の真相であった。

 

──────────────────────

 

クロスの自室でクロスとゼットは、色々話し合っていた。

 

『ゼット、今回の事件、どう思う?』

 

『ウルトラ不可解だぜ、なんで天の知慧の連中はここまでルミアを付け狙うのかが本当にわからない』

 

『そうだよな、ティンジェルさんの異能は【感応増幅】、そこまで奴らが欲しがる能力か?』

 

『やっぱり、何か深い歴史の闇を感じるぜぇ…』

 

『まぁ、ゼットと一体化して、ゼスティウム光線が撃てる時点で俺も異能者だしな』

 

そういうと、クロスは立ち上がる。

 

「───とりあえず今は何も起きてないから、無理に探りを入れる必要はない、逆に被害が及ぶ可能性があるからな、待つしかないか」

 

そして、クロスは自分の部屋を後にする。

 

──────────────────────

 

事件の数日後、クロスとアリサは、フェジテの近くにあった廃村の跡地にて、天の知慧研究会の襲撃にあった。

何故襲ってきたのか理由はわからないが、クロスとアリサは迎撃する。

 

「デリャァァァァァァ─────ッ!」

 

「ガアッ!?」

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁ──ッ!?」

 

クロスは2本の【エナジー・ゼットスラッガー】を連結させて、ヌンチャクにして振り回していた。

振り回されたゼットスラッガーの刃は、魔術師達の身体に深い裂傷が走り────

 

「《烈火の荒波よ》──ッ!」

 

「グッ!?」

 

「アッツッ!?」

 

アリサが【ブレイズ・バースト】の改変魔術、黒魔改【ブレイズ・ウェーブ】を発動する。

紅蓮の業火が台風の時の荒波のように押し寄せ、魔術師達を包み込む。

大体の魔術師はこの2つで全滅したが、奥にいた2人の魔術師が残っていた。

 

「子供の癖にやるようだな、だが我々には通じない」

 

「我々には切り札がある」

 

そういうと、魔術師は1枚のメダルを取り出す。

それはウルトラメダルに近いが、裏面は黒く、表面には怪獣が描かれていた。

 

『あれは【怪獣メダル】ッ!? 何で彼奴らが持っているんだッ!?』

 

『【怪獣メダル】?』

 

『あぁ、怪獣の素材を使ってウルトラメダルと同じ製造法で作ったメダルだ』

 

『つまりアレからは怪獣を召喚できるってことか!?』

 

『いや、そういう訳ではない、そもそも光の国のテクノロジーはこの世界のテクノロジーに比べるとオーバーすぎる、いくら魔術が使えたとしても、巨大な怪獣は召喚できないだろう、成功したとしてもせめて10メトラくらいだ』

 

「来いッ!《召喚(サモン)・シビルジャッジメンター【ギャラクトロン】》──ッ!」

 

ゼットと会話をし終わった直後に、魔術師は召喚魔術を唱えて、足元に法陣が形成される。

そしてその中から10メトラほどのロボット怪獣、ギャラクトロンが出現する。

 

『■■■■───ッ!』

 

「これが怪獣かッ! 素晴らしい力だ! これがあればお前らなんかすぐに殺せる!」

 

『やっぱりか、でも小さいがギャラクトロンはウルトラヤバイ強敵だ、でもギャラクトロンと戦うには、俺はデカすぎる、頑張れよクロスッ!』

 

ゼットはクロスに気合いを入れるように声を掛ける。

 

「押忍ッ! 行くぞアリサッ!」

 

「えぇ!」

 

「デリャァァァァァァ────ッ!」

 

「はぁあぁぁぁぁぁぁ────ッ!」

 

「行け! ギャラクトロンッ!」

 

「あいつらを殺せッ!」

 

『■■■■■─ッ!』

 

クロスとアリサが咆哮を上げて、走る。

魔術師が命令をしてギャラクトロンを動かす。

こうしてクロスとアリサ対魔術師2人とギャラクトロンのバトルが始まる。

クロスは出したままのスラッガーを振り回し、ギャラクトロンを切りつけるが、ギャラクトロンの鋼鉄の外装に傷は付くどころが、逆にスラッガーを掴まれて、投げ飛ばされてしまった。

 

「チッ───」

 

「兄さん! 下がって! 《真紅の炎帝よ・劫火の軍旗掲げ・朱に蹂躙せよ》───ッ!」

 

アリサがクロスを後ろに下がらせ、【インフェルノ・フレア】を発動し、先程の【ブレイズ・ウェーブ】よりも強い炎の波がギャラクトロンを飲み込む、だが。

 

 

「効かない!?」

 

『いくら小さくて弱体化してるとはいえ、ウルトラマンを苦戦させた強敵だ、B級魔術が効くとは思えない』

 

「なら話が早い、アリサ、あいつには普通の魔術は効かない、だから時間稼ぐから被害が及ばんようにお前のアレを展開しろ」

 

そういうとクロスは赫耀銃剣【クリムゾンセイバー】を取り出し、もう一度アルカナの方を振り返る。

 

「頼りにしてるぞ? アリサ?」

 

「! ───えぇ! 任せなさいッ!」

 

クロスはアリサの返事を聞くと、ギャラクトロンに向かって駆け出し、魔術を唱えながら肉薄する。アリサは赤い長剣を取り出すと、地面に突き刺し、長剣の刀身を撫でながら呪文を唱え始める。

 

「《我は炎を操りし者・我は炎帝の血を引く者─────》」

 

「《猿王の鉄槌よ》───── 【猿王銃(コングガン)】ッ!」

 

アリサが瞳を閉じ詠唱を始めた瞬間、クロスは赤黒い巨大な拳を放ち、ギャラクトロンを10メトラほど吹き飛ばし、魔術師達とギャラクトロンの注意を惹き付ける。

 

「《─────・光は炎を広め・闇は炎で封ず・我が主は劫火を操り・我らを高める世界を創る───》」

 

「ホラホラッ! こっちだッ!」

 

クロスは炎を込めた魔弾を撃ちまくり、ギャラクトロンの注意を惹き付け続ける。

最大装填数の6発を、撃ち終わったら、即座にカートリッジを抜き、別のカートリッジを差し込み、また撃ち始める。

 

「《────・為らば我は其れを使い・巨悪を討ち滅ぼそう・我が居場所を護る為に──────》」

 

アリサの長剣が朱く光輝き、劫火を上げる。

そしてアリサが瞳を開け、最後の1節を読み上げると同時に、右手で長剣を振り上げる。

それに気付いた魔術師が声を上げる。

 

「しまったッ! あの女、何かやるつもりだッ!」

 

「チッ!──《猛き雷帝───》」

 

「させるかッ! 《追え・大蛇(パイソン)》ッ!」

 

止めようと、魔術師は【ライトニング・ピアス】を唱えようとするが、クロスの【大蛇砲(カルヴァリン)】により妨害される。

そしてアリサが魔術を発動させる。

 

「《─────・愛する人を護る為に》ッ!」

 

振り上げた長剣が炎と光を放ち、周囲を炎と閃光で包み込む。

閃光で目がやられた魔術師達が目を開けると───

 

「!?」

 

「なんだ……ここは?」

 

そこは赤い空に紫色のオーロラが満ち、地面は全面炎に満ちている謎の世界であった。

その空間の中心にはアリサが朱い光と劫火に包まれた剣を持ち、聖女が着るような炎の服を纏っていた。

 

「ここは、私達が暮らす世界では無いわ、私が操る炎の世界────【炎の荒野(フレア・フィールド)】よ」

 

アリサがそう言い、更に言葉を繋ぐ。

 

「この空間の炎は全て私の支配下、例え貴方達が起こした魔術の炎でもね?」

 

アリサが手を上げると、炎が蛇のように動き、魔術師とギャラクトロンを拘束した。

 

『■■■■■─ッ!』

 

「おい、糞ッ! 離せよッ!」

 

「《災禍霧散せり》──ッ!《災禍霧散せり》───ッ! 何で消えないんだ!?」

 

【ディスペル・フォース】を唱えても消えない炎に困惑する魔術師達にアリサはこう告げる。

 

「無駄よ、私が操るこの炎は、魔術ではない、()()()()よ、だからそんな魔術がびくともしないわ」

 

その事実に青ざめる魔術師達にアリサは更にこう告げる。

 

「その怪獣を撃破しないと、大変なことになる、私と兄さんは容赦しないわ────行くわよ、兄さんッ!」

 

「押忍ッ!」

 

その掛け合いと共にアリサは長剣を天へ伸ばし呪文を唱える。

クロスはホルダーから1枚のメダルを取り出し、クリムゾンセイバーのメダルスリットにセットし、アリサと同じように、天に切っ先を向ける。

 

『【ガイ】さん……【ウルトラマンオーブ】さん…貴方の力、お借りします!』

 

「《宿るは紅蓮の劫火────》」

 

「《真なる業火よ────》」

 

2人が呪文を唱える、2人の剣の刀身に劫火が纏わりつく。

 

「《────・宿るは紺碧の海───》」

 

クロスが次の一節を唱えると、この空間に合わぬ、蒼い水がクリムゾンセイバーの切っ先に纏わりつく。

 

「《───・宿るは剛毅な大地───》」

 

次の一節では、黄色の稲妻が迸り。

 

「《───・宿るは荒ぶる暴風───》」

 

「《───・我が願いに答えて───》」

 

更に次の一節では、緑の旋風が宿る。

すると突然、4つの属性が合わさり、虹色の光に変化する。

 

「《───・我が祈りの力にて・本物の光を示せ》ッ!」

 

「《───・全てを滅ぼせ》ッ!」

 

クロスはクリムゾンセイバーに宿る虹色の光を使い、上空に虹色の光の輪を作り出す。

アリサの長剣の炎は一条の朱い光となり、今にも溢れだしそうに熱を発している。

それらを見た魔術師達は急いで抜け出そうとするが、もう遅く、2人は剣を振り下ろす。

 

「【疑似(パラ)・オーブスプリームカリバー】ァァァァァァ!!!!!」

 

「【シャイニングブレイズドライヴ】ッ!!!!」

 

クロスの剣からは虹色の光線が、アリサの剣からは紅の熱線がそれぞれ発射され、ギャラクトロンと魔術師達に激突する。

魔術師達は直ぐ様蒸発し、ギャラクトロンは少しは耐えたのだが、直ぐ様崩壊した。

2人の光線と熱線が止むと、空間が崩壊し、アリサが意識を失い、倒れる。

クロスは直ぐ様アリサを抱えて、付近の木陰に寝かせて、自身のコートを羽織らせる。

 

「ったく、頼りにしているとは言ったが、無茶しやがって」

 

クロスはそういうと、アリサの頭を撫でる。

そしてクロスは1人で探索を始める、すると一個の宝石が入った指輪を見つける。

クロスはそれを拾う。

 

「なんだこれ? これが連中が探していたもの?とりあえず解析して見ないと分からないか」

 

クロスはそれをしまうと、アリサを背負い、自宅へ帰っていった。

そしてその指輪がゼットとクロスを更なる混沌に巻き込むことになるとは知るよしもなかった。




オマケ

「『クロスのウルトラナビ』! 押忍ッ!」


「今回紹介するのはこれだ!」

疑似(パラ)・オーブスプリームカリバー
クロスがクリムゾンセイバーにウルトラマンオーブのウルトラメダルをセットし、呪文を唱えることによって発動する技。
見かけはまんまオーブスプリームカリバーだが、本家ほどの威力はない

・怪獣メダル
怪獣の素材を使って作り上げたメダル
何故天の知慧の連中が持っているのは不明

・【猿王銃(ライトニング・コングガン)
巨大な武装色を纏った拳を敵にぶつける技
両手での発動も可能で、その場合は【猿王銃乱打(コングガドリング)】となる。

「『次回も、お楽しみに!』」

次回予告

転校生が2人来るらしいぞクロス!
ん? あの子は競技祭の…?
ハチャメチャな学校生活で
青い髪の少女は何を学ぶのか!?

次回【ロクでなし魔術講師と光の戦士・改】

【戦車の通る道】

ウルトラヒヤヒヤするぜ!

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