ビルド杯参加作品です。
1話完結の短編となっていますので興味のある方はよろしくお願いします。
この世界では大人気アニメガンダムシリーズのプラモデルであるガンプラを用いて他のフォースとの対戦や様々なミッション、そして数えきれない程多い都市や名所での観光を楽しむことができる。
例え誰だろうと、GBNのルールを守るならばこの世界で生きて人生を楽しむことができる、そんな理想郷ともいえる世界は2年近く前に起きたある事件をきっかけにますます発展していき、今日もダイバーたちの笑顔と新たに育まれる絆であふれていた。
GBNに開かれたとあるバトルフィールド。
火星をイメージしているのか、赤茶けた荒涼とした大地と峻厳な山脈が連なる荒野の中で今この時、多くのダイバーが競い合う乱戦が行われていた。
『よっしゃ貰ったぁ!』
『ちょっ、何あれ……速っ!?』
『うおお!? 誰だビーム撃ったの!? ナノラミネートなかったら即死なんだけど!』
2人のダイバーが組んだタッグチームが計16チーム。
合計32機が入り乱れるサバイバルチーム戦という大乱戦が行われている特殊なバトルフィールドで幾つもの光が乱舞する。
複雑な地形をイルミネーションの様に彩る爆発やビームの光の中入れ代わり立ち代わりMSが欠けていく実に激しい戦闘だ。
爆炎の中に散っていくのは各チームのダイバーが駆るMS。
多くの敵を倒す為それぞれ高火力の武器をこれでもかという程に積みまくっているせいかやたらと撃墜される機体が多い。
現に今もヴェルデバスターの改造機の連結ビームライフルに貫かれて一体のガザが爆発した。
『うしっ! これでトップはいただきだぁっ!』
撃墜したヴェルデバスターのダイバーは快哉を叫び、モニターの残り機体数を見やる。
相方の戦果を含めてそろそろ自分たちがトップになるかと思ったのだ。
だがそんな彼の目論見は泡と消え去る。
何処からともなく飛来したビームライフルの長距離狙撃がカバーリングに入っていた相方のバウンドドッグの右腕を吹き飛ばしたのだ。
『な、なんだあっ!? 何処から撃って来たんだ!?』
『分からねえよ! 多分上から……うわっ!?』
降り注ぐビームガトリングの弾幕に2機は慌てて散会し反撃の機会をうかがうも時すでに遅し。
続いて降り注ぐマイクロミサイルがバウンドドッグに直撃し傾いだところへ続いてのロングビームライフルによる狙撃で撃墜された。
『何だってんだよ一体……ありゃ、シルヴァバレト・サプレッサーの改造機か?』
地を滑り遮蔽の影に隠れながらヴェルデバスターのダイバーは狙撃者を覗い、発見したのはSFSに乗ったシルヴァバレトの改造機。
どうやらトレードマークともいえるビームマグナムを使用せずに、バックパック内のサブアームにミサイルやビームガトリングなどの多数の武装を搭載しているようだ。
さらにその色合いは原型機とは全く異なる赤を中心とした色合いに染め上げている。
『あれでバランス取れるのか? いやSFSも見た感じ改造してるし意外と何とかなるか。
いい改造だが狙撃ならこっちも得意なんだよ!』
ヴェルデバスターは空中のシルヴァバレトをロックオン。
如何に大火力とはいっても空中での機動力は多数の武器による重量の分制限されている。
狙撃戦なら遮蔽もあり、こっちが有利だとトリガーを引こうとするその瞬間、連結したライフルが真っ二つになった。
『えっっなっ……光の、翼……?』
そのままヴェルデバスターはずるりと腰から真っ二つになり崩れ落ちた。
呆然とするダイバーをよそに、光の翼を煌めかせた機体が飛翔する。
『やった……これで3機目!』
ヴェルデバスターを倒した機体の中でダイバーの少女は喜びの声を上げた。
銀色の髪で目を隠した内向的に見える容姿と比べると真逆といっていい程に機体の機動は鋭い。
それもそのはず。高速で駆ける蒼い機体は高速戦闘用に徹底的に改造されている。
原型となったのはGのレコンギスタで印象的な活躍をした金星の近接戦闘用MSダハックであり、さらに背後に装備されている蒼と白の翼はおそらくデスティニーガンダムから流用した翼だ。
その先端からは美しい光が奔流となって宙を染め上げる残影すら残していく。
この機体こそがリンの乗機である高機動近接戦専用MSダハックフォトンエッジであった。
『次は……あの人だ! ええいっ』
ダハックの備えた高い近接戦闘能力を光の翼の幻惑能力によって高めたその機体は途轍もない機動性を誇るが同時に扱いにくい欠点もある。
が、リンは苦も無く舞うが如き動きで宙をかけるとさらに一機のダナジンを切り裂いて全く速度を落とさず駆け抜けていく。
青空に映えるカラーリングの機体が光と共に宙をかける。
さらにリンの駆るダハックフォトンエッジは次の獲物を宙に浮かぶセイバーガンダムとみるとカーブを描きながら接近していく。
セイバーはバックパックのビーム砲とビームライフルを一斉に放ち抵抗するものの、ダハックが元より備える強力なビームバリアと同時にマニュピレーターの回転によって生み出されるビームサーベルが生み出すビームの壁が全ての反撃を防ぎ切った。
『うわっこれは天才クリムのォ!?』
旋回するビームサーベルが小気味よい程にセイバーガンダムを細切れにする。
まるでGレコ最終話とセイバーガンダムがやられた回の同時再現だ。
『うわっ っ後ろから!?』
しかしとどめを刺したのもつかの間、背後から今度は黒いアルケーガンダムが襲ってきた。
どうやらミラージュコロイドを搭載しているのか密かに背後に忍び寄った彼は厄介なダハックを倒す為に奇襲を仕掛けてきたのだ。
如何に近接戦闘が得意といっても後ろから襲われては抵抗できない。万事休すか。
しかし今度はアルケーガンダムが上からのビームガトリングの嵐に穴だらけにされる。
奇襲される側が奇襲される不条理に混乱するアルケーガンダムのダイバーが対応する前に、ダハックのビームサーベルと狙撃のビームライフルが同時にとどめを刺した。
爆発する2体のガンダムを後目にシルヴァバレトとダハックは隊列を組むように高度を同じくして飛行する。
『リンちゃん大丈夫!? 怪我とかない?』
コックピット内のリンのサブウインドウに映し出されるのは長い金髪に眼鏡の外見で、それでいて活発ん印象を与える少女だ。
彼女はリンのパートナーであるメリア。
機体はシルヴァバレト・ヴァリアンターという遠距離戦闘型のリンと対照的な機体だ。
メリアとリンはそれぞれ遠距離支援に特化したシルヴァバレト・ヴァリアンタ―と高機動近接戦闘に特化したダハックフルエッジで互いの欠点を補いあうコンビでの戦闘を前提としている。
互いに癖のある機体だけど、それでも二人はうまくやっていた。
『メリアちゃん……大丈夫。でも怪我とかはしないよだってここGBNだし』
『……あははそうだったね。どーもあたしはその辺あいまいだからなぁ』
戦闘中にもかかわらず気軽に話し合う二人のシルヴァバレト・ヴァリアンタ―とダハックフォトンエッジは並走し一度だけハイタッチの様に機体の手を合わせると、まだまだ多くいる敵に立ち向かっていく。
『さ、残りも少ないし1位目指して頑張ろうリンちゃん!』
『うん、頑張る!』
その動きは息があっていて見事なだけでなく、何処か見てるだけで元気になりそうな、そんな雰囲気があった。
あくる日の晴れた昼下がり。
季節は秋に至り程好く熱が抜けた爽やかな陽光が降り注ぐ街の中を一人の少女が歩いていた。
色素の薄い髪をした、内気そうに見える少女の足取りはその印象とは裏腹に軽く、表情も明るい。
少女の名前を
「あ、志島さんだ。こんにちはー」
「三浦さんこんにちは。そっちも……お出かけ」
「うん、中学の時の友達と映画館に。志島さんもどこか行くの?」
凜に対して、道の端で待ち合わせしていたで集まっていた何人かの中から同世代の少女が声をかける。
凜はその快活そうな顔に見覚えがある。其処まで親しいわけではないが彼女のクラスメイトだ。
「えっとその……ちょっと友達と待ち合わせしてるの」
「あー志島さんGBNやってるんだっけ。あれ凄い人気だよね。私は特にガンダム知らないんだけど弟が結構好きでさ、昨日もビルドダイバーズだっけ? そのチームが凄いって騒いでた」
「ビルドダイバーズの人たちは……2年前から人気者だから。特にリーダーのリクさんは、GBNを救った英雄だから」
「確かにリーダーの人結構カッコよかったかも。それじゃあね」
「はい。また月曜に」
そう言って凜はクラスメイトと分かれ目的地へと歩いていく。
自分にしてはうまく話せた気がするなぁという思いと共に電車に乗るため少し歩調を速めた。
さっていく凜の姿をよそにクラスメイトの三浦と呼ばれた少女は自身の友達と話し出す。
「あの大人しそうな子ってみうっちのクラスメイト?」
「そうそう。でも志島さん半年くらい前だったかなぁ、前は声聞いた事ないくらいだったけどGBNやり始めてからかなり明るくなったんだよ。ほら、うちの学校ってお堅いしあっちで友達とかできたかも」
「へーGBNってそんなに楽しいのかなぁ。私SEEDちょっと見たくらいだけど」
大人気のコンテンツであるGBNの噂はガンダムシリーズに対して興味のない人間でもそれなりに知っている。
その規模が大規模なのもあるし、ネットでは語り草となっているエルダイバーの氾濫に対する有志連合の結成にそれに────
「あっそうだ。それよりガンダムといえば聞いたことある? "トライエイジお兄さん"の噂。この辺に出るらしいよ」
「えっ何それ。なんかヤバそう」
「何かさ、この辺のデパートとかでトライエイジってガンダムのゲームがあるらしいんだけどね? そこにめっっちゃイケメンのお兄さんが良く出没してゲームしてるんだって。しかもマナーは滅茶苦茶いいし子供相手の交換にも親切に応じてくれる存在らしいよ」
「……マナー良いのが逆に不気味だねそれ」
そんな最終回で剣になりそうな男の噂をクラスメイトがしている事等露しらず、凜は待ち合わせ場所へ行くためにまず自宅から最寄りの駅へ歩いていく。
今日はGBNで出来た友達、メリアと初めてリアルで会う、所謂オフ会の日。
(……リアルのメリアちゃんと会うの初めてだから緊張するなぁ)
元からガンダムが好きな凜はダイバーネームをリンとしてGBNに参加しているが、内気が幸いしてなかなか友達はいなかった。
しかしひょんなこと、たまたまルーキー用のミッションを二人で受けた事からメリアと出会った。
そして自分でも意外なほどに彼女と意気投合して今ではもうすっかりかけがえのない友達になった。
そんな二人であるがこれまでなかなかリアルで会う機会がなかった。
二人共住所は電車を使えばそう遠くない物の、内気な凜だけでなくメリアもなかなかリアルでのオフラインミーティングについては、言い出す事すらなかったからだ。
けども今回タッグバトルロワイヤルで優勝した記念にと凜が勇気を出して提案してみたところ、メリアも折角だしと承諾してくれた。
そんな訳で凜は最寄駅から出発した電車に揺られる事30分程、海沿いの街にあるメリアと待ち合わせする予定の喫茶店に入っていく。
広いスペースを使ったお洒落な喫茶店は凜が時たま利用するチェーン店とは全く異なるが、凜と同年代の利用者も多い。
ガンプラの箱を持っている人が多いのを見るに、近くのガンダムベースを利用している人も多いからだろうか?
「わあ……リアルサイズのストライクガンダムだ。やっぱりリアルサイズは凄く大きいなぁ」
それにこの店の立地は非常に良い。
窓からはあの有名なリアルサイズのストライクガンダムが見える位置にあり、凜のようなストライク好きの若いガンダムファンからすればとても素晴らしい立地にこの喫茶店はあると言えよう。
遠めに見てもやっぱりストライクガンダムはカッコイイと思った後、注文したカフェオレを飲みつつスマホでガンプラ情報を見て時間を潰す。
最近はG-3ガンダム仕様とティターンズ仕様のカラーリングが流行りで、今度G3と同色のガンダムが幾つか発売されるらしいとか。
実に興味深い内容に没頭する内に凜の近くでコツコツと硬質な靴の足音が響いた。
「お前がリン、か?」
「えっあっ」
そうしてストライクガンダムを見て時間を潰していると凜に声をかける者がいた。
けれど凜は喜びよりも戸惑いを見せる。
(誰だろうこの男の人……?)
まず声をかけてきたの人物は男である上に、印象がメリアと違いすぎる。
細面の顔に鋭い目、赤い髪の男は確かな知性を感じさせるが、とっつきにくさもかなり感じさせる雰囲気を醸し出していた。
「そう、ですけどあなたはメアリじゃない、ですよね……?」
「あたり前だろ。俺はただこいつを連れてきただけだ」
「────えへへ。リンちゃんこんにちは」
『メリア、ちゃん?」
成程、男の言う通りそこにいたのは確かにメリアだ。
いつも見た通りの艶やかな金色の長い髪にアンダーリムの眼鏡に明るい笑顔、その全てがGBNでリンが何度も見てきたメリアと変わらない。
ただしその身長は20cm未満、1/144スケールのガンプラとそう変わらない。
「驚いたかな? 私エルダイバーなんだ」
テーブルの上に立ったメリアは少々照れたように笑った。
ほんの少しの不安を、表情ににじませながら。
一言で言えば、エルダイバーとはGBNに発生した電子生命体である。
GBN内に蓄積された膨大な余剰データが集合することを原因(無論この信じがたい仮説は現在も検証が続られている)としてこの世に生を受けた彼らは、データによって構成される存在でありこれまでの生命の常識を覆す途轍もない存在であった。
2年ほど前に公式に確認された最初のエルダイバーであるサラはGBNへ深刻な悪影響を与える危険性から一時は消去をも検討されたが、チームビルドダイバーズを中心とした「第二次有志連合戦」をきっかけに、ガンプラをベースとしたモビルドールと呼ばれるリアルでの肉体を得たことでその危険性は解消され、GBNにおいて彼女を始めとするエルダイバーの権利は認められるようになった。
そうした紆余曲折を経て、GBNの運営や有志を中心としてエルダイバーの保護が図られる現在では、続々と後続のエルダイバーが誕生し計80名以上のエルダイバーがGBNとリアル両面での生活を送っている。
なお、現在新たに生まれたエルダイバーは保護施設であるELバースセンターに登録し、其処から後見人の元で生活を送るとの事だ。
「まさかメリアちゃんがエルダイバーだったなんて……正直びっくりしたかも……」
そこまではGBNの1ダイバーとして凜も知っている。
しかし2000万ものプレイ人口を誇るGBNでも80人程の人数しかいない、それほどに少ないエルダイバーがまさか自分の友達にいたとはまさか思わなかった。
「だよね~確率で言ったらまずありえないくらいの数字でしょ? ガンダムで言ったらどのくらいかな。やる気満々のシャアとアムロを同時に相手勝つぐらい?」
「それパーフェクトGセルフでも使わないと0%じゃないかな……」
リンの言葉にうなづくメリアはいつもと変わらない陽気さだ。
けれども普段は自分の少し下にあるはずのメリアはテーブルの上のガンプラサイズで、いつもと違う目線で話している。
その目線の違いに対する違和感をリンは奇妙に感じた。
「そういえばさっきの目付きの悪い人、あの人がメリアの後見人の人?」
「ううん、あの人はシバさんって言ってELバースセンターの人。確かに見た目通りのつっけんどんな人だけど意外と気が利く人なんだよ。ガンプラ作るのもめっちゃうまいし。そもそもサラねーさんのボディを作ったのもあの人ともう一人コーイチさんって人」
けれど説明が入ると身振り手振りが混ざるのはやはりメリアのそれだ。
その事には違和感以上に安心感を覚える。
「サラさんって最初のエルダイバーの人だっけ?」
「うん、サラねーさん私より背が低いからたまーに変な感じがするよ」
「へー」
「そうなんだ凄いね」
二人の間で会話は弾んでいる。
けれど何処かいつもと違う雰囲気が二人の間に流れている。
それは無論メリアの正体がエルダイバーだったことが大きい。
「……リンちゃんはさ」
「何、メリアちゃん」
「やっぱり私がエルダイバーだったこと驚いた、かな?」
遠慮がちにメリアは尋ねる。
飲み物を見の丈ほどのスプーンでかき混ぜる様はどこか物憂げだ。
「さっきも言ったけどちょっと驚いたかも。エルダイバーの人と実際に会った事なかったし。まさかメリアちゃんがそうだとは思わなかった」
「あはは~だよねえ。ほら、エルダイバーって人数が滅茶苦茶少ないじゃん? だからちょっと驚かれるかとは思っていたよ。それに……嫌に思われないかなーって」
「……どうしてそう思ったの?」
小首をかしげて凜はメリアに問うた。
「だってほらエルダイバーってみんな人間の形をしているけど実際には人じゃなくて電子生命体なんてよくわからない存在じゃん」
そう、エルダイバーは電子生命体であり、人間の様に母親の腹から生れ出るわけではない。
どう考えても人間とは異質な存在である。
「それにリアルでのボディは見ての通りガンプラサイズだし……ひょっとしたらリンちゃんとうまくいかなくなるかなーって思いがあったの」
一息に自分の胸の内を吐露したメリアの想いはある意味では当然の事である。
人間は基本的に異質な物を厭う性質を持つ生き物だ。
宗教や国、性別から何まで違いが生み出した悲劇は数えきれないほどあり、それは現実の戦争の縮図を描くことの多いガンダムシリーズでも嫌という程に描かれてきたことだ。
ましてやエルダイバーは人間ですらない。
その事を考えればある意味メリアが自身の正体を明かしたくないと考えても仕方ないだろう。
そんな不安を抱えていたメリアに対してそっと凜は口を開いた。
「────―私はそうは思わないかな。……私もね当然エルダイバーじゃないし、特に家がお金持ちとか何か特技があるとかじゃない普通の人間だったけど、人と話すの苦手で友達いなかったから」
凜は照れたように笑う。
彼女の人生はこれまで特に波風のない平穏な人生だった。
けどそんな中でもいつも一人でいた自分の人生に孤独を感じていたのも本当の事である。
単にGBNに参加した日が同じでその縁で同じ初心者用ミッションを受けて知り合った、運命だったわけでもない偶然の出会いで出会った友達。
メリアは凜にとって本当に、本当に大切な人だ。
「だからね、正直エルダイバーだって事は驚いたけど、うーんメリアちゃんと過ごした時間に比べればそんな事かーって感じかな。……別に強化人間で余命僅かってわけじゃないし?」
「うぉー……リンちゃんって前々から思っていたけど結構ぶっちゃけるねぇ」
「あっごめんねメリアちゃん! 私、何か変な事言っちゃった!?」
慌てる凜に驚きつつも笑うメリア。
二人の反応は対照的だが何処か先程にもまして打ち解けているようにみえた。
「そっか、そうだよね。私達人間とエルダイバー以上に友達同士だもんね」
「うん、ちょっと照れ臭いけど……友達だよ」
種族という垣根以上に凜とメリアは友達同士である。
ガンダムシリーズという作品は先程述べた様に異なる者同士の戦争を描いてきた。しかし、それだけでなく様々な垣根を越えて相互理解を果たしてきた者達の物語でもあるのだ。
その一端に触れてきた彼女達も自然と、種族の垣根を超える力を有していたのかもしれないというのは言い過ぎだろうか?
「ねえ凜ちゃん、この後丁度近くにあるしさガンダムベース寄ってく?」
「うん私も今の機体を回収するほかに水中専用の機体とかも作ろうかなって思ってたし階に行きたい。後前から考えていたんだけど提案があるの」
「提案? それってどんなの?」
「それはね──────」
しばし時がたった後のGBN。
大規模なシステム障害もあったものの以前にも増して隆盛を誇るGBNはいま2年ぶりといっていい程の活気に沸いていた。
かねてから噂になっていたチーム
そのクライマックスとして突如ミッションの敵であるNPDのアルスがGBNに本格侵攻を始め、同時にSPミッションが全てのダイバーに解禁されたのだ。
「置いてけよ! ボーナス報酬置いてけえええっ!」
「なんだかわからないが2年ぶりのミッションだ! 腕が鳴るぜ!」
「新しく作ったガンプラのお披露目よっ」
「不正アクセスは許さない!!!」
最初に接敵したチームアヴァロンに続き続々とGPDの各地から有名無名問わず多くのダイバーが集まり、見慣れない改造が施されたアルスの大軍団へ突撃していく。
それは2年前の伝説の第二次有志連合戦の再現。
GPNの全てを動員した大戦の再現だ。
その大戦に参加する機体の中にダハックとシルヴァバレトを改造した機体あり。
その2機は言うまでもなく凛とメリアの機体であった。
そしてその後ろには4体の機体が続く。
ガンダムタイプやモノアイを備えた頭部の量産機等カラーリングから何まで異なる機体が揃っている。
そう、あの日凜が提案した事は「二人だけでなくもっと仲間を増やそう」という事だ。
かつて二人が出会った時のような幸福な出会いがある事を信じて勇気を出したその決断は功を奏し、今では新たに4人の仲間が加わった。
彼らもまたリンとメリア両方にとって大切な仲間だ。
『皆気合い入れていくぞーっ!』
『頑張ろう……!』
メリアとリンの言葉に応じて他の4人も思い思いの返事と共に一斉に飛び立つ。
不思議と心がざわめくミッションに彼らは向かっていく。
GPNでこれからも生きていく為に。
ここはGBN。異なる者同士が出会い、絆を紡いでいく事が出来る場所。
今回の主人公であるリンとメリアの名前のうち、リンは呼びやすそうな名前という事で採用したんですがメリアはアルストロメリアからとりました。
※アルストロメリアの花言葉には"未来への憧れ"や"幸福な日々"等があります。