side三人称
ガヤガヤ
「ここか……」
ツヴァイウイングのライブ当日
太陽は奏に貰ったチケットを持ちながら会場にいた
「……でかい会場だな」
太陽はその会場のあまりの大きさと人の多さににすこし尻込みしていた
(こりゃ数万人はいそうだな……
本当に人気なんだなあの二人……)
あの戦いの後も奏は太陽の家に何度か遊びに行き、太陽とノイズ以外のことも語るようになったりとなかなか良好な関係を築いていた
そして一ヶ月前、太陽は奏にツヴァイウイングのライブのチケットを渡されたのだ
『CDもいいけどさ、折角だから私たちのライブに来てくれよ!
チケットは渡すからさ』
太陽はそう言われ、チケットを受け取った
「……そういえば」
戦場以外で奏の歌を生で聞くのは初めてだなと太陽は思った
奏一人の歌も翼とのデュエットもCDで聞いてるだけでも凄まじいものだった
生で聞いたらどれほどなのだろう
太陽は楽しみにしながら行列にならんだ
「えっ!? 創太くんも来れないの?」
そんな中、太陽は大きな声で叫ぶ少女に目をやった
どうやら約束をドタキャンされたみたいだ
可哀想だが自分にはどうすることもできないと思い、太陽は再び並ぶことに集中した
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side響
「え、本当?
じゃあ私も……、え、……うん、わかった
じゃあね」
ピッ
そう言って私は電話を切った……
はぁ~、未来に続き創太くんも来れなくなってしまうとは……
なんでも、未来は盛岡の叔母さんがケガをしてしまったらしい
創太くんに至ってはなんとお祖母ちゃんが病気でお亡くなりになってしまったそうだ
そんな状況で私一人が楽しい思いをするわけにはいかない
そう思い私は創太くんの家に向かおうとしたが……
『気持ちだけで嬉しいよ
でも、俺と未来も行けないんだから
お前は俺たちの分までライブを楽しんでくれよ
感想楽しみにしているぜ……』
そう電話越しでもわかる弱々しい声で創太くんは言った
創太くんのことは心配だけど、それが創太くんの気持ちならば汲み取るべきなのかもしれない
ならば私は二人の分までライブを楽しもう
そして、帰ったとき二人にライブがどれだけ凄かったかを話すんだ
そしたら創太くんの気分も少しは晴れるかもしれない
そう考え、私は列に並んだ
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side三人称
ステージの舞台裏
風鳴翼は緊張でコートを着ながら隅に座っていた
「大丈夫か? 翼?」
「わぁ!??」
すると頬に冷たいなにかが当たり、振り向くと冷たい飲み物を持つ奏がいた
「驚かさないでよ、奏」
「悪い悪い」
そう言うと奏は翼の隣に座った
「間が持たないっていうか何て言うか、
開演するまでのこの時間が苦手なんだよね
こちとらさっさと大暴れしたいのに、そいつもままならねぇ!」
強気な奏の発言に翼は頷く
それを見た奏は翼の緊張に気付く
「もしかして翼! 緊張とかしちゃったり?」
「あ、当たり前でしょ! 櫻井女史も今日は大事だって……」
それに……と翼は付け加え、
「奏にとって大切な人が見るんだから
私も頑張ろうかなって思うと余計に……」
……大切な人?
そう言われ奏は太陽の顔を思い出しながら少し頬を赤く染めた
「ば、ばか
あいつは別にそんなんじゃないよ!」
奏は慌てながらそう言い、それを見て翼はすこしクスっと笑った
翼は当初、奏が太陽の家にいくことにあまり納得してなかった
自分の相棒である奏が盗られるのではないかと思ったからだ
しかし、太陽の家に行くようになって奏は以前にも増していい笑顔で笑うようになった
他の人たちは気付かなかったが、奏とずっと一緒にいた翼だからこそ、彼女のささいな変化に気付いたのだ
翼の心はまだ納得できていない
でも、それが奏の気持ちならば応援しようと翼は決意したのだ
「ここにいたか」
「大丈夫? 翼ちゃん?」
その声に奏と翼は振り向く
そこには二課司令・風鳴弦十郎と自分達の仲間である二人の陰陽師が立っていた
「司令! それに朝鳥と白も……」
「こりゃまた皆さんお揃いで……」
緊張している翼といつも通りの奏を見て弦十郎はため息をつける
「わかってるとは思うが今日は」
「大事だって言いたいんだろ!
わかってるって……」
そう答える奏を見て弦十郎は頷く
「わかってるならいい……
今日のライブの結果が人類の未来を懸けてるってことにな」
今回のライブはただのライブではない
ライブによって発生するフォニックゲインを利用した完全聖遺物・ネフシュタンの鎧の起動実験なのだ
完全聖遺物であるネフシュタンを起動、解析することで聖遺物の欠片からシンフォギア以上にノイズの対策に活用できると考えられる
「二人ならきっと成功するよ!」
「ああ、二人の力を俺たちはよく知っている
きっと大丈夫さ……」
白と飛鳥は翼と奏の二人に激励の言葉をかけ、二人はそれに答えるかのように笑った
ちなみに飛鳥と白は警備としてここにおり、万が一なにかがあったときは観客たちを守りながら避難させる役割を持っている
「ステージの上は任せてくれ」
「絶対成功させてみせます」
二人の言葉に元気付けられたのか翼にも生気がわいてきた
時間です
スタッフの言葉が聞こえてきたので奏と翼の二人は三人に手を振りながらステージに向かう
「行こう翼!」
「うん」
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side太陽
ふぅ、もうすぐ開演か……
歌うの俺じゃないにも関わらず、謎の緊張が俺を襲う
やばいな、凄くドキドキしてきた……
そんなことを考えていると
突如としてステージの灯りが消えていき館内は暗くなっていった
そろそろ始まるのか……
♪ ー♪ ー
音楽が鳴り響くと共に観客が沸き上がり、たくさんの羽と共に奏と風鳴さんの二人がステージに降り立った
そして観客たちに向かって手を振りながら
ダンスを躍りながら歌い出した
『♪ ~♪ ~』
はは、すげえ
生のライブなんて前世含め一度もいったことなかったけど、CDとはこうも違うものなのか
周りから激しい声が聞こえる
でもそれに全く遮られずに二人の歌声は会場全体に響いていた
そして二人が観客にマイクを向ければ観客たちもそれに応え歌詞を歌う
まるで会場全体でひとつの音楽を作ってるかのように……
すげぇ、これがライブなのか……
俺は盛り上がる観客たちと共にこの時間を目一杯楽しんだ
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side弦十郎
「フォニックゲイン
想定内の伸び率を記しています」
「成功みたいね~
お疲れ様」
ふう
成功か……俺は了子くんの言葉に胸を撫で下ろす
これで、国のノイズへの対策も向上するだろう……
翼と奏には後で礼を言っとかないとな……
ブーブー
そう考えていたところで突如警報が鳴り響き、実験室が赤く染まる
「どうした!?」
すると研究員たちが慌てながら報告をする
「上昇するエネルギーにセーフティが持ちこたえられません!!!」
「このままでは暴走します!!!」
その報告を聞いた瞬間、ネフシュタンの鎧はエネルギーを放出し、大爆発を起こした
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side太陽
ボカ──ン!!
な、なんだ?
突如として会場の一角が大爆発を起こした
一瞬演出か? とも思ったが、観客も奏も風鳴さんも何が起きたのかわかっていないような様子だった
『************』
すると空から聞きなれた不快な声が鳴り響き……
「ノイズだぁ────!!! 」
空から地面から
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side海龍
「さてと……」
僕は自分の素性が誰にもばれないように龍の模様が彫ってあるお面とフードを被り会場に向かった
陰陽師としてノイズから人々を……子供たちを守るために
「竜鱗顕符」
僕は懐から札を取り出し呪力を込め
自らの力の名前を述べる……
「
僕は両腕に青閃龍冴を呪装する。
本当は事件そのものを起こさないのが一番いいんだけど、原作の道から大きく外れると、この先どうなるのかがまるで予想がつかなくなる。
そうなれば、後々の事件が悪い方向に傾く可能性だってあるんだ。
……全員は助けられないかもしれない。それでも────
「一人でも多く、助けないとね」
どこまでいけるかわからないけど、死者を一人でもなくすために頑張ろう。
僕は決意を新たにライブ会場に向かった……
海龍が素性を明かさないのはフィーネを警戒しているからです
自分の素性がバレればフィーネはおそらく先手を取ろうと考えるだろう
そうなればなにも知らない生徒たちが危険な目に会うかもしれない
そう考えた海龍は誰にも素性がばれないようにお面とフードを被っています