side太陽
「大丈夫か!? 奏!?」
俺はノイズに吹き飛ばされた奏の方に向かった
なんだかいつもの奏らしくない
「ああ、大丈夫だ……」
息切れをしながらそう答える奏……
とても大丈夫には見えない……
するとノイズが俺たちに向かって攻撃をしてきたため、俺たちは二手に別れてノイズの攻撃を回避した
奏のことは心配だが、今は一刻も速くノイズを祓うべきだと判断した俺はノイズに向かおうとした
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side響
「……あれは……?」
私は本来ならば未来と創太くんの三人で楽しいライブを見るはずだった
それが二人はやむにやまれない事情があり来れないことになってしまい、私は一人だけでライブを見ることになった
最初は楽しかった……
翼さんと奏さんの歌に合わせ、まるで会場の人たちがひとつになって歌を歌ってるような感覚になり心が踊った
これがライブなんだって思った……
二人にいい土産話ができそうだと……
それが突如として現れたノイズにより、会場は地獄と化した
ノイズに触れれば炭素になって死んでしまう
私はノイズが怖くて逃げようとした……
しかし逃げようとする最中、私は見てしまったのだ……
ノイズと戦う奏さんと翼さん、そして知らない人……
「……すごい……」
その光景に私は思わず魅入ってしまった……
ガラガラ
「……え? うわあああ?」
すると突如として私のいた場所は砕けてしまい、私は三人がノイズと戦っている場所に落っこちてしまった
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side太陽
「「っ!?」」
突如として上の階の客席が落ちてしまい
奏の後ろには客席と一緒に落ちたであろう女の子がいた
「まずいっ!?」
速く女の子を避難させなければ……
そう考えた矢先、俺の目の前にノイズが立ちはだかり、道を塞がれてしまった
そして殺しやすい女の子を狙ってか、奏の方にも大量のノイズが形状を変化させ、女の子目掛けて攻撃を始めた
「くそっ!!」
奏は後ろにいる女の子を守るために槍を回転させ、ノイズの攻撃を防いでいく
「うおおおおおおおお!!!」
奏は叫びながらノイズの攻撃を防ぐがいくら槍を回転させてもノイズの勢いは止まることなく続いていく
そして、奏のシンフォギアのパーツはどんどん砕けていき
「あっ……」
砕けたパーツが女の子の胸を貫いた
「「えっ?」」
俺と奏は信じられないものを見るように、女の子の方を見た
女の子は瓦礫に叩き付けられそのまま倒れ込んでいく
奏は槍を放り出し、女の子の方に駆け寄った
「おい! 死ぬな!!
目を開けてくれ!!!」
肩をつかみながら奏は女の子にそう叫んだ
しかし女の子は答えない
あの状態はまずい
速く治療しなければ……
そう思い俺はようやく道を塞いでいたノイズを祓い終え、俺も奏と女の子の方に駆け寄った
「生きるのを諦めるな!!!!」
奏は大声で叫ぶ……
すると小さく、だか確実に
女の子は目を開け応えてくれた
……よかった
これならまだ間に合う
「太陽っ!!」
「わかってる!!」
俺は懐から治癒符を取り出し治癒の詠唱を唱える
「アビラウンケンソワカ
アビラウンケンソワカ」
すると女の子の傷は完全に治すことは叶わなかったがそれでも傷はある程度は治り、弱っていた顔には生気が取り戻されていった
……他人にやるの初めてだけどこれなら大丈夫そうだ
「これで大丈夫……だと思う……」
「そうか……
よかった~~」
ほっとしたのか奏は膝をついて安堵する……
「……じゃあ、速いところここにいる奴らを倒さないとな……」
奏はそう言い再び槍を構える
その顔は何かの覚悟を決めたような顔だった……
「なんかいい方法でもあるのか?」
「……絶唱を使えばここにいるノイズは全部倒せると思う……」
絶唱? なんだそれ……?
「シンフォギアの最後の技さ……
歌唱によって増幅したエネルギーを相手にぶつけるんだ」
最後……その言葉を聞いた俺は最悪の想像をしてしまい、即座に却下する
「却下だっ!! 最後ってことはお前の身もただじゃすまねぇってことだろ!!」
そう言うと奏は気まずそうに笑った……
やっぱりそうか……
「……でも、この数のノイズを一度に倒すにはそれしかない……
治癒の符を使ったとは言え、完全に治ったわけじゃないんだろ
この子を一刻も速く病院に連れてかなくちゃいけないし……」
恐らく奏はこの子に怪我をさせてしまった罪悪感からそんな提案をしたんだろう
でもそんなこと絶対させない
俺は奏だけには……
「それでもだ!!
ノイズと戦うためにも奏の力は絶対必要だからな!!
なにがあろうとお前にそんな自爆技は使わせないぞ!!!」
「焔の言うとおり……
だめだよ! 奏!! 絶唱だけは……」
言い合っている内に風鳴さんもこちらに合流してきた
いい流れだぞ……
「これで反対二人だ!
多数決で俺たちの勝ちな!」
それを見てチャンスと思った俺はそう言った
「なっ!? 多数決なんてとってねぇだろ!」
すると奏は俺に突っかかってくる……
「うるさいな……」
「なんだと!!!」
俺がそう言うと奏はかちんときたのか青筋を立てて俺の方を睨んできた
でも怒りたいのは俺の方なんだよ……
俺は奏の肩をつかみながら叫んだ
「お前が言ったんだろ!!!
自分を犠牲にするような戦いかたをしていた一月前までの俺に!!!
あんな戦いかたをしてほしくないって!!! 」
すると彼女はハッとしたような顔で俺を見つめる
「俺はお前の言葉で大切なことを思い出すことができた!
お前のおかげで、あの日から止まっていた俺の時間は動き始めたんだよ!!! 」
俺は奏に出会うまで復讐のためだけにノイズを祓っていた
十年もの間ずっとな……
でも、奏に出会って俺は復讐以外のことにも目を向けられるようになった……
奏に出会えたから俺は両親の言葉と神様の言葉を思い出せた……
奏に出会えたから俺は今までの自分を見つめ直すつもりになれた……
奏に出会えたから俺の時間は進み始めたんだ
「音楽聞く楽しさも、仲間と一緒にいるやすらぎも……
全部お前が教えてくれたんだ!
全部お前のおかげなんだ!
だからっ! 俺はお前にだけは死んでほしくねぇんだよ!!! 」
俺は涙を流しながら奏にそう言った
「……太陽……」
カッ
その瞬間、俺の懐から一枚の札が凄まじい呪力を放ちながら発光を始めた
それは今まで一度も使うことが出来なかった紅い札だった
『ウォハハハハ』
紅い札に共鳴するかのように俺の右腕は笑う
「た、太陽……お前……?」
「その札は……一体……」
二人は俺の持つ紅い札を見てそう呟く……
「……その子を連れて下がっててくれ奏、風鳴さん
こいつらは……」
俺はそう言うと視線をノイズに向ける
「こいつらは俺が全部祓ってやる!!!」
いつも俺が言っている言葉
しかし、今回は違う
いつもは復讐としてこいつらを祓うために言っていた
だが今回は奏を……皆を守るために叫んだのだ
「星装顕符《焔》……
これが俺の……新しい力だあああああ!!!!!」
そして俺は笑いながら紅い札を構えた
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side飛鳥
「!!??」
なんだ?
さっきまで湿気っていた会場の空気が……
乾燥していく
それにこの呪力は……
下手したら俺を上回っているかもしれない……
俺は客席から会場にいる奏さんたちの方を向く
すると巨大な呪力が焔太陽の右腕に集まっていた
あれはまさか……
「へぇ~、今まで使ったことがなかったから……
てっきり使えないんだと思っていたけど……
いや……今使えるようになったのかな?」
気付けば青龍の男も下の階にいた白も焔太陽の方に注目している
「あれが……双星の陰陽師の力か……」
俺は