陰陽絶唱シンフォギア~戦姫と十三人の転生者~   作:はんたー

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待ってる人がいるかも定かではないけど


16話

 三人称side

 

 

 

 

「全く……お前らというやつは……」

 

「いてて……。わ、悪かったって旦那!」

 

「ほんと、反省してます」

 

 戦いの終わったあと、創太と響は二課に保護されていた。

 二課の職員たちが事後処理を行い、奏と太陽が拳骨で怒られている光景を眺めながら響は先程の出来事をぼんやりと思い出していた。

 巨大化したぬいぐるみでノイズと戦った幼馴染み、その幼馴染みと似た力を使って戦った三人と歌いながら戦うツヴァイウィング。そして、ツヴァイウィングとよく似た衣装を纏う自分。とてもではないが現実に起きたこととは思えず響はいまだ呆然としていた。

 

「あっ」

 

 少し離れたところで紙コップに入った湯気の立つ飲み物を飲む少女の姿に響は安心したように笑みを浮かべる

 

(あの娘、無事でよかった……)

 

「あの……」

 

「へ……?」

 

「ん?」

 

 呼びかける人物に響と創太は視線を向けた。

 そこには紺の制服に身を包んだ短髪の女性がおり、にこやかに紙コップを差し出していた。

 

「二人ともあったかいもの、どうぞ」

 

「あっ、あったかいものどうも」

 

「ありがとうございます」

 

 二人は紙コップを受け取り、ふぅふぅと息を吹きかけて少し冷ましてから口に付けた。

 

「プハァ~!」

 

「温まるな……。それにめっちゃ旨い……。豆……? いや、注ぎ方がいいのか?」

 

 笑みを浮かべる響とブツブツと味についての考察をする創太。創太は学校では「家庭科の神さま」なんてあだ名をつけられるほど料理と裁縫に関しては他の追随を許さないほどの腕前を持っている。そんな彼をして唸らせるほどの美味しさが紙コップの中にあった。

 料理のことになると相変わらずだなと響が考えているとその身を突如光が包み

 

「へ?」

 

「っ? 響!?」

 

 わけもわからず呆けているうちに光は強まり

 

「っ!?」

 

 光が弾ける様に身に纏っていた装束が消え、響は元の制服姿に戻った。

 

「うわっ!? わわわっ!?」

 

「だ、大丈夫か? 響!?」

 

 それを見て創太は響のもとに駆け込み、異常がないかの確認をする。

 

「う、うん? た、多分?」

 

「……よかった~」

 

「そ、創太くん!?」

 

 創太は響の無事を確認すると、安心したようにへたり込んだ。そんな創太を見て、響は困惑してしまう。

 

「俺、もう二度と響を危険な目に合わせたくないんだよ……」

 

「創太くん……」

 

 響は創太の言葉に戸惑うも、嬉しく思っていた。

 創太が自分のことをここまで心配しているということが伝わったから……。

 

「話は終わったようね……」

 

 突如として、自分たちに話しかける声が聞こえてくる。

 振り向くと、そこには翼が立っていた。

 響同様先ほどの鎧姿ではなくリディアンの制服になっている。

 

「大丈夫みたいだね。無事で良かったよ」

 

 先程まで怒られていた奏も響達の元へと近づいてきた。

 奏だけでなく、陰陽師らしき者達も二人の元へとやってきた。

 

「え、え〜と、ありがとうございます」

 

「響を助けてくれて、本当にありがとうございます!」

 

「いいってことよ」

 

 奏は大したことはしていないといった風に言う。

 そんな奏に響は感謝の言葉を述べる。

 ────今回だけでなく、ライブの時の感謝も一緒に。

 

「実は、奏さんと翼さんに助けられたのは、これで二回目なんです!!」

 

「……やっぱり、そうか……」

 

「……?」

 

 奏は響の言葉を聞くと、少し申し訳無さそうな表情になる。隣りにいる男性も同じだ。

 

「「?」」

 

 響達は何故、そのような表情をするのかが分からないでいた。

 

「ママ!!」

 

「っ?」

 

 と、近くから先ほどの少女の声が聞こえ、そちらに視線を向ける響。

 そこには先ほどの少女が母親らしき女性と抱き合っているところで

 

「よかった! 無事だったのね!」

 

 母親は少女を愛おしそう抱き寄せ、涙を流す。そんな彼女に横から女性が歩み寄る。その女性は先ほど響に飲み物をくれた女性と同じ制服を着ている。

 

「それでは、この同意書に目を通した後、サインをしていただけますでしょうか?」

 

 女性は母親にタブレットを差し出しながら淡々と言う。

 

「本件は国家特別機密事項に該当するため、情報漏洩防止の観点から、あなたの言動および言論の発信には今後一部の制限が加えられることになります。特に外国政府への通謀が────」

 

「は、はあ……」

 

 響は女性の言葉にポカーンと母親と少女が口を開けているさまに苦笑いを浮かべる。

 

(もうちょっと空気を読んだほうが……)

 

 創太も同じでせめて、二人が落ち着いてからにでもしたほうがと考えていた。

 

「響。そろそろ帰らないと。未来も心配するだろうし……」

 

「あ、そうだね。じゃあ……私もそろそろ────」

 

「あなたをこのまま返すわけにはいきません」

 

 二人が帰ろうとした刹那、赤髪の陰陽師が行く手を阻む。

 

「な、なんでですか!?」

 

「どういう……っ!?」

 

 赤髪の陰陽師────飛鳥の言葉に響と創太は困惑する。

 

「貴方方は特異災害対策機動部2課まで同行していただきます」

 

 飛鳥の言葉の直後、響の隣に歩み寄った男性が響の腕に大きな手錠をかける。ガチャンと言う音と共に手錠がロックされる。

 

「っ! 響────!」

 

 創太は手錠を掛けられた響に駆け寄ろうとすると、白髪の少女────白に手錠を掛けられた。

 

「なっ!?」

 

「悪いですね。署まで同行願いましょうか?」

 

「へ? あ、あの……」

 

 状況が分からずに困惑する響。

 そんな響に手錠を掛けた男性が優しく耳打ちした。

 

「すみませんね。あなたの身柄を拘束させていただきます」

 

 そう言って男性は申し訳なさそうに微笑みかける。

 状況を理解した響は一拍おいて────

 

「ええええええええええ!?」

 

 辺りに響く絶叫を叫んだ。

 

 

 

 

 ****************************

 

 創太side

 

 

 

 

 

「おい! 響を離せ!」

 

「ごめんね。悪いようにはしないからさ」

 

 手錠をかけられた俺達は為す術もなく、車の中へと連行された。

 響は手錠を掛けられたおかげで不安そうにしている。

 

「言っとくが、響に傷でもついたら承知しないからな!」

 

「は、はい!」

 

 俺が怒鳴ると同じ車に乗る白さんという名らしい白髪の陰陽師が少し怯えた様子で返事をした。

 それを見た飛鳥という赤髪の陰陽師が俺を睨みつける。

 

「そ、創太くん。もうちょっと穏便に……」

 

「いや、何でお前が落ち着いてるんだよ!? 手錠掛けられてるんだぞ!?」

 

「だ、だって、それは創太くんも同じだし……」

 

 ……まあ、確かにそうだけど、俺と響じゃ響のほうが優先順位高いんだよ! 

 ……でも、響が落ち着いてると、こうして叫ぶのもあれかもな。

 

「白の言う通り、お前達に危害を加えるつもりはない。安心してほしい」

 

「だったら手錠外してほしいんですけど……響だけでも……」

 

「悪いがそれはできん」

 

 いきなり手錠なんか掛けられて信用できるわけがない。

 目的地すらわからんし……何処に向かってるんだ……

 …………ん? 

 

「……どうやら、着いたみたいだね」

 

 白さんの言葉に俺達は車の外の景色を見つめる。

 

「あれ? ここって……」

 

「なんで……学院に?」 

 

 そう。そこは響の通う“リディアン女学院”。ついさっき、響と待ち合わせた学校施設だ。

 何でこんなところに……? 

 

「こっちこっち!」

 

「付いてこい」

 

 学舎へと躊躇わずに進む白さんと飛鳥。

 俺達二人も顔を見合わせ、響に手錠をかけた男性と共に夜の校舎の中を進む。

 

「あ、あのぉ……?」

 

「ん?」 

 

「ここ、先生たちがいる中央棟……ですよね?」

 

「ああ。そうだが?」

 

「何でこんなところに?」

 

「それはすぐに分かるよ」

 

 ここに俺達とは別の車に乗っていたツヴァイウィングの天羽奏がやってくる。

 隣りには風鳴翼と……陰陽師の男が一緒に歩いている。

 

「ツヴァイウィングと…………え〜と……」

 

「あ、そういえば自己紹介してなかったな。俺は焔太陽。太陽でいいよ」

 

「あ、はい! 立花響です! よろしくお願いします!」

 

 ……よく手錠を掛けた人達にあんな挨拶できるよな。まあ、その素直さが響のイイところか。

 

「では、どうぞ」

 

 響が自己紹介をしてる間に、手錠を掛けた男がパネルを操作する。すると、エレベーターの扉が開いた。

 俺達は促されるままそこに入る。一体何なんだ? 

 入って向かいの端末に男性が何か機械をかざすとピコンと音が鳴り、背後で扉が閉まる。と、その扉を覆うように頑丈そうなシャッターが現れ周りに手すりが現れる。

 

「あ、あの……これは……?」

 

「さぁ、危ないですから捕まってください」

 

「へ? 危ないって……?」

 

 男性は手錠をされた響の手を取り手すりを掴ませる。直後────

 

 ガクン! 

 

「うおおぉぉぉぉぉぉぉ!!?」

 

「のわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

 エレベーターが高速で降下し始めた! 

 エレベーターの壁の階層表示のパネルが明滅を繰り返す。

 

「いや、地下何階だよ!?」

 

「あ……あ、あははは……」

 

 響はわけがわからないまま手すりにしがみ付き笑顔を向ける。

 しばらくして、上へ流れていくだけだった無機質な灰色のエレベーターの窓の外の光景が変わる────っ!? 

 

「わぁ……」

 

 響はその光景に思わず感嘆の声を漏らす。

 当たり前だ。俺もこんな光景は見たことがない。

 そこにはまるで何かの宗教の壁画のようなカラフルな模様の刻まれた壁が広がっていた。そんな中をエレベーターは降りていく。

 

「なかなか絶景だろ? 俺も始めてきた時はビックリしたし……」

 

「はい! とてもすごいですね!」

 

「……確かに……」

 

 しばらくすると、ようやくエレベーターが止まる。

 

「もうすぐゴールだよ」

 

 何やら嬉しそうにする白さんに案内され、俺達は道なりに進む。

 しばらくすると、一つの大きい部屋の前に到着した。

 

「ここだ」

 

 ここがこの人たちの本拠地か……鬼が出るか蛇が出るか……。

 覚悟を決め、俺達は部屋の扉を開ける、そこにあったのは────

 

 

 

 パン! パン!! ドンドン!! パフパフ!! 

 

 

 

 軽快な音ともにクラッカーと紙吹雪が舞い、色とりどりに飾り付けられ、天井からは「熱烈歓迎! 立花響さま&大蔭創太さま! ようこそ2課へ」と書かれた垂れ幕のつるされた部屋と、豪華な食事とともににこやかに拍手をする人たちがいた。

 

「ようこそ~! 人類守護の砦! 特異災害対策機動部2課へ!」

 

 その中心にいるのは赤いシャツにピンクのネクタイ、クリーム色のスラックスを履いた筋骨隆々のシルクハットを被った男性。今までに見たこともないほどの存在感を放っており、笑顔で俺達を歓迎してるようだ。

 それを見た俺は────

 

「────は?」

 

 あまりにも予想と違いすぎる光景に呆然とすることしかできなかった。

 




最後に投稿したの二年前なんですね(笑)
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