そして次回は未定……次は遅くとも来年中にだしたいな……
創太side
俺は呆然としながら目の前の光景を見ていた。
何故なら────
「さあさあ、笑って笑って〜♪ お近づきの印にスリーショット写真〜」
「い、嫌ですよ! 手錠をしたままの撮影なんて悲しい思い出になっちゃいます!」
かなりイメージと違う光景が目の前にて繰り広げられていたからだ。
政府直轄の対ノイズ組織────車の中でそう聞いていたから、もう少し重苦しい雰囲気の場所を想像していたのに、いかにもアットホームといった感じで熱烈歓迎を受けている。
あと、何やら胡散臭い眼鏡の女性が写真を取ろうとしてるけど、俺も手錠を掛けた状態での写真は正直遠慮したい。
囚人がなにかじゃねえんだから……。
「というか、初めて会う筈の皆さんが私と創太君の名前を知ってるんですか?」
「それはさっき、そこにいる人達と自己紹介したからだろ」
俺の言葉に響は確かにと手を叩く。
……でも、俺自身は自己紹介をした覚えはない。この人達はどうやって俺の名前を知ったんだ?
そんな俺の疑問に答えてくれるかのように、赤髪の大男が告げる。
「我々二課の前身は政府の諜報機関だからな。情報収集はお手の物というわけさ」
……なるほど。政府直轄の諜報機関となれば、情報は筒抜けだろう。
ここは警戒したほうが────
「まあ、実際は君達の鞄の中身を見せてもらっただけだけどな」
「「何が調査はお手の物だ(ですか)!!」」
単純に鞄の中身見られただけかい!!
クソ、俺の関心を返してほしい! 俺と響は取り敢えず手錠を外してもらい、それを見た一部の人間は苦笑しながらも、自己紹介をしてきた。
「では、自己紹介といこう。俺は風鳴弦十郎。一応ここのトップをやらせてもらっている」
「そして私が、出来る女と評判の櫻井了子ですッ♪」
「俺は朝鳥飛鳥。式神十二天将“朱雀”の継承者だ」
「私は虎居白! 十二天将“白虎”だよ! よろしくね〜♪」
「さっきも自己紹介したけど、俺は焔太陽。双星の陰陽師って言われてる」
朱雀に白虎……か……。
確か、中国の四聖獣とか言われてる奴だよな……。あと、双星の陰陽師ってなんだ? 普通の陰陽師とは違うってことか?
「わ、私、立花響って言います。よろしくお願いします」
響はこの人達に倣い、改めて自己紹介をする。
……俺も合わせておくか。
「十二天将“大陰”……大蔭創太。陰陽師です」
「やっぱりか……あれ程の量の無機物に呪力を通すのは大陰ぐらいだと思ってたよ」
どうやら反応を見るに、飛鳥と太陽は俺が“大陰”であるということに気付いていたみたいだ。
十二天将の力は案外知らているものなのか?
「そ、創太君。陰陽師って一体……」
ここで響が俺に尋ねてくる。
響には陰陽師については内緒にしたかったんだけどな……。どうしよう……。
「陰陽師というのは、古くから存在する日本の守護者だ」
俺が返答に困っていると、飛鳥が俺の代わりに説明をしてくれる。
「守護者……?」
「ああ。まあ、簡単に言えばノイズと戦うことができる力を持つ人間ってことだな」
太陽の言葉に響は俺に視線を向ける。実際、響も驚いただろうな。な
俺がこんな力を持ってるだなんて……。
「えと、じゃあ私のさっきのは何なんですか? あれも陰陽師の力……ってことですか?」
響は次に自分自身の力についての説明を求める。それは俺も気になっていた。
最初は俺と同じ陰陽術かと思ったが、呪力を一切感じないし、なにか違うようにも感じる。
「そうね……。貴方の質問に答えるためにも、二つばかりお願いがあるの。最初の一つは今日のことを誰にも内緒」
内緒か……。つまり、未来にも話せないと……。
まあ、たしかにこんな凄そうな組織だと、秘密も多いだろうし、喋れないところとかもあるかもな。
二ツ目は何だ?
「もう一つは……」
俺と響は身構えながら、櫻井さんの言葉を待つ。
すると、櫻井さんは艶めかしい声を出しながら────
「取り敢えず脱いでもらいましょうか?」
「…………え?」
とんでもない爆弾を投下した! ちょ、ちょっと待てよ!
「ひ、響にナニするつもりだアンタ!? させないぞ! 響に妙な真似するんなら」
俺は響を庇うように、櫻井さんと響の間に滑り込む!
こ、この人あれか!? 百合の人か!? 何企んでるか知らねえけど、響に妙なことなんかさせないぞ!?
「あらあら、赤くなって可愛いわねぇ。安心しなさい。ただの検査だから」
その言葉に俺は黙り込みながら響の隣に移動する。
ああ、よかった。それならまあ、安心……なのか……? 正直、今の響の状況は何もわかってない。政府の人とはいえ、よく知りもしない人に響を診せて大丈夫なのか?
「大丈夫。悪いようにはしないよ」
「奏の言う通り。ココの人たちは信用できるはずさ」
天羽奏と太陽は俺の肩にポンと手を置き、安心させるように言う。
うむ……どうするべきか。
天羽奏は響の恩人だ。響曰く、あのツヴァイウィングでのライブで響を助けてくれたのが彼女らしいし、おそらくそれは真実だ。
(でも……)
響が本当に辛い時、何もしなかったのもまた彼女達。
あの事件の後、響がどんだけ大変な目にあったと思ってるんだよ。
簡単には信用できない……それが俺の考えだった。
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「それでは~、メディカルチェックの結果はっぴょ~♪」
あの日から数日が経った。
響の目の前に立つ櫻井さんは指示棒を持ってにこやかにハイテンションで宣言する。
二課とやらの検査は比較的スムーズに終わり、早くも結果が出たということで先日も響に手錠を付けたスーツの若い男に連れられてやって来た。
俺たちは壁に供え付けられているディスプレイ映し出された数値や図形に視線を向ける。
それを見ながら櫻井さんはそれぞれの数値について説明しつつ
「初体験の負荷は若干あるものの、体に異常は
俺はその言葉に顔をしかめる。異常がないわけがない。いきなりあんな変身したわけだし、俺達陰陽師のように何かを媒介にしたわけでもない以上、確実に響の体に何か原因があるはずだ。
これは太陰の意見とも一致してる。ほぼという言い回しも気になるしな……。
「……ほぼってことは、何の異常もないわけじゃないですよね? 本当のことを言ってください」
「……そうね、あなた達が訊きたいのはこんなことじゃないわよね」
響自身、不安に思ってる。現に俺の袖をぎゅとつかんでいる。
それでも、これは自身で聞かなければならないと思ったんだろう。響は深呼吸し、意を決して尋ねる。
「お願いします。教えてください、あの力のことを」
響の真剣な表情を受けた弦十郎さんは一番後ろの扉の脇に立つ翼へと視線を向ける。
弦十郎さんの視線を受けて風鳴翼と天羽奏は首元から一つのネックレスを取り出す。
その鎖の先には赤い金属の楕円形の飾りがついている。なんだ、あれ?
「“天羽々斬”。翼の持つ第一号聖遺物だ」
「セイ……イブツ……?」
聞き慣れない言葉に首を傾げる響。俺も初耳だ。なんのことだ?
「聖遺物とは、世界各地の伝承に登場する現代では製造不可能な異端技術の結晶こと。多くは遺跡から発見されるんだけど、経年による破損が著しくてかつての力をそのまま秘めたものはホントに希少なの」
「この“天羽々斬”も刃の欠片のごく一部に過ぎない」
「アタシの“ガングニール”もそうさ」
天羽々斬にガングニール……それがあの装備の大元となった存在なのか。欠片であの力となると、本物はさらに凄そうだな。
「欠片にほんの少し残った力を増幅して解き放つ唯一のカギが特定振幅の波動なの」
「トオクテイシンプクノ……ハドウ……?」
「つまりは〝歌〟。歌の力によって聖遺物は起動するのだ」
「歌……?」
そういえば、あの時響もツヴァイウィングの二人も歌を歌いながら戦っていたな。
響も思い当たったらしく、ハッとした表情になって言う。
「そうだ……あの時も胸の奥から歌が浮かんできたんです」
「うむ……」
響の言葉に神妙に弦十郎さんは神妙に頷く。
「歌の力で活性化した聖遺物を一度エネルギーに還元し、鎧の形に再構成したのが、翼ちゃんや響ちゃんが身に纏うアンチノイズプロテクター、『シンフォギア』なの」
「だからとて、どんな歌、誰の歌にも聖遺物を起動させる力が備わっているわけではない!」
翼の強い言葉に一瞬室内がシンと静まる。
そんな中弦十郎は気を取り直したように座っていた椅子から立ち上がる。
「聖遺物を起動させ、『シンフォギア』を纏う歌を歌える僅かな人間を我々は『適合者』と呼んでいる。それが翼であり、奏であり、君であるのだ!」
「どぉ~? あなたに目覚めた力について、少しは理解してもらえたかしら?」
響に向けて弦十郎さんと櫻井さんは笑顔で訊く。俺もまあ何となくだけど理解した。
要するに、呪力を歌で代用して戦う陰陽師みたいなものだ。陰陽師が呪装を纏うのと同じで装者とやらはシンフォギアというプロテクターを纏うと……。
「どう? あなたに目覚めた力について少しは理解してもらえたかしら? 質問はドシドシ受け付けるわよ」
了子さんは響に理解できたかどうか確認する。対する響は……見事なアホヅラを見せていた。
「あのっ!」
「どうぞ、響ちゃん」
「全然わかりません……」
まあ、そりゃそうだ。俺としても陰陽師に置き換えてるからなんとなく理解できてるってだけで、何も知らない状態ならわけわからんと思う。
「だろうね」
「だろうとも」
オペレーターらしき男の人と女の人は二人してやれやれという表情だ。そもそも響は成績あまり良くない方だからな……よく、俺に勉強を教えてとせがんできては赤点ギリギリの点数で喜ぶのが常だ。
そんな響が洪水のような情報を処理しきれるわけがない。
「いきなりは難しすぎちゃいましたね。だとしたら、聖遺物からシンフォギアを作り出す唯一の技術……。櫻井理論の提唱者が、このわたくしであることだけは覚えてくださいね」
櫻井さんの言葉に響はポカンとする。何となく凄い人というのは分かったけど、具体的なことは分かってないんだろうな……。
「はー、でも私はその聖遺物という物を持っていません。なのに何故?」
響はようやく気になる点を質問する。それは俺も気になっていた。響はそんなもの持ってないはずなのに、何故シンフォギアとやらを纏うことができたのか……。
すると、櫻井さんは響のレントゲン写真を見せたきた。心臓の部分に何か破片のようなものが突き刺さっている……?
「お? ────あっ!」
響は破片のある部分を見て思い出したような声を出した。
あの画像は何度も見たから知っている。響の心臓に突き刺さってる瓦礫の破片のようなもの……小さい上、無理に抜くのも危険という理由で様子見と言われてるそれは俺自身なんとかしないととずっと思っている。
でも、なんで今更そんな画像を────ッ!?
「これは何なのか、君にはわかるはずだ」
「はい! ニ年前の怪我です。あそこに私も居たんです」
それを聞いて苦虫を噛み潰したような顔をする奏さん。それをちらりと見ながらも、弦十郎さんは神妙な顔で頷いた。
「心臓付近に複雑に食い込んでいるため、手術でも摘出不可能な無数の破片……。調査の結果、この影はかつて奏ちゃんが身に纏っていた第3号聖遺物────ガングニールの砕けた破片であることが判明しました」
オペレーターの女の人の言葉に俺と響は愕然とする。
何で響に限ってそんな訳の分からないことになってんだよ……俺は不安そうにする響の手を握り、響の心臓を食い入るように見つめるのだった。