陰陽絶唱シンフォギア~戦姫と十三人の転生者~   作:はんたー

6 / 20
5話

 side三人称

 

「……凄まじいものだな……」

 

 太陽の戦いの映像を見た弦十郎はそう呟いた

 

「ホントにね~、あの鬼気迫る表情……

 ノイズへの復讐心という点は奏ちゃんにも負けていないのかもしれないわね」

 

 そう言ったのは二課の技術主任・櫻井了子

 シンフォギアの産みの親でもある女性だ

 

 彼女と弦十郎は奏のノイズに対する復讐心の凄まじさを知っている

 

 そもそも天羽奏はシンフォギアの適合者ではない

 

 シンフォギアには適合係数というものがあり、それが低いとシンフォギアを纏うことができない

 しかし、ノイズに家族を殺された奏はノイズに復讐するための力を求め、適合係数を上げる劇薬「LiNKER」を過剰投与することで後天的な適合者となった存在だ

 しかし、劇薬である「LiNKER」の投与は奏の体を確実に蝕んでいく

 それでも彼女はノイズと戦うために今なお「LiNKER」の投与をし続けているのだ

 

 全てはノイズへの復讐のため……

 

 今でこそ翼や飛鳥、白といった仲間との触れ合いで落ち着いてきたが、昔はノイズ相手に特攻のような危険なことも平気でやってのけていた

 

 そのせいで大怪我をしたことも何度かあった

 

 太陽の戦いはその頃の奏に近い

 

 ノイズへの復讐以外頭にないかのような戦い方だ

 

 目の前のノイズにひたすら向かっていき殴り飛ばし、逃げようとすれば裂空魔弾で弾き飛ばす

 こちらが攻撃されても意にも介さず、傷だらけになりながらただひたすらに……

 こんな戦いかたでは命がいくつあっても足りない

 

「どうすれば、彼を救うことができるだろうか……」

 

 弦十郎は子供である太陽が自分を何とも思わないような戦いをするのを見てやるせない気持ちになっていた

 

 

 ****************************

 

 side太陽

 

 

 

 

 

「はあ、はあ……

 これで……終わり……か……」

 

 俺はノイズを全て祓ったことを確認して星装顕符の力を解いた……

 

 すると、天羽さんがすごい剣幕でこちらによってきた

 

「おい、なんだ今の戦いかたは! 

 あんな戦い続けてたらいつか死んじまうぞ!!」

 

「大丈夫ですよ

 今までずっとこのやり方でなんとかなったんだから……」

 

 俺は十二年もの間陰陽師の修行をしている

 俺が四歳の頃、家の古い蔵で見つけた黒い札と赤い札、そして陰陽師について書かれた書物を使って……

 多分神様が用意してくれたんだろうな……

 でも、十年以上かけて修行をしても俺は三つまでしか連装できず、札も黒い札……星装顕符しか使うことができない

 

 

 俺には陰陽師の才能がない

 だからノイズを倒すために手段を選んではいられないんだ

 

「だからって、こんなの絶対間違っている!!」

 

 天羽さんは俺にそう言う……

 

 イライラするな……

 

 どんな戦いかたしようが俺の勝手だろ……

 

「ほっといてくださいよ! 

 俺は俺のやり方でノイズと戦ってきたんだ

 今までも、そしてこれからも……」

 

 会ったばかりの天羽さんに俺の気持ちがわかるわけがない

 才能のない俺にはこの方法しかないんだ……

 

 そう考えながら俺は飛天駿脚で家に戻った

 

 早く家に戻って傷の手当てをしないとな……

 

 

 

 

 

 

 *******************************

 

 side奏

 

 

 

 

 

 

 

 太陽がどこかへ行くのを私は呆然と眺めていた

 

 あいつの怪我は結構やばそうに見えた……

 

 陰陽師には治癒の符があるとはいえ、癒えるには数日はかかるだろう

 

 あいつはずっとこんな戦いかたをしてきたのか……

 

 昔の私と同じような戦いかたを……

 

 

 あいつには昔の私と同じような間違いをしてほしくはない

 

 あいつの事を助けてやるにはどうすればいいんだ……

 

 私は無意識に拳を強く握りしめた

 

「……奏?」

 

 翼が心配そうに私を見ていた

 

「……大丈夫だよ翼」

 

 私は微笑みながらそう翼に言った

 

 

 

 

 

 

 

 

 ****************************

 

 side白

 

 

 

 

 

 

「ふえ~

 つかれたよ~」

 

「お疲れ様、白」

 

 皆様はじめまして

 私の名前は虎居白

 鳴神高校の一年生で十二天将白虎の力を受け継いだ転生者です

 

 ……ん? 誰に向かっていったんだ私? 

 

 まあいいや……

 

 今回、私は成績がやばく、赤点を取りそうになってしまったので放課後の図書室で飛鳥くんと一緒に勉強をしていた

 

 この図書室、放課後はいつも人いないから勉強場所にはちょうどいいんだよな~

 

 飛鳥くんはよく学業と陰陽師を両立できるよな~

 翼ちゃんとカナちゃんもきちんと装者と学業両立できてるし……

 

「……どうした白? 変な顔して……」

 

「別に~」

 

 私は購買で買ったポテチを食べながらそういった

 ……うん。やっぱりのり塩は正義だ

 

「……そういえば、この間発掘した

 聖遺物一体どうするのかな……」

 

 聖遺物というのは神話なんかに登場する現代の技術では製造不可能と呼ばれる異端技術の結晶の事だ

 シンフォギアはその欠片で産み出されているんだって

 

 これは何度も説明されてやっと覚えたんだよな……

 

「今回発掘した聖遺物、天叢雲剣はひとまず二課本部の最奥区画アビスに保管されるらしい……

 

 最終的には海底の隔離施設、深淵の竜宮に封印予定だ」

 

 ……天叢雲剣

 翼ちゃんのシンフォギア、天羽々斬と同じ日本神話の神剣の一振り……らしい

 

 よくわかんないけど……

 

「あと、この間会った焔くん……だっけ

 また、カナちゃんや翼ちゃんと一緒にノイズと戦ったらしいね」

 

「その話は俺も聞いた……

 最も、その後逃げられたらしいがな……」

 

 私たちが天叢雲剣の発掘チームの護衛をしていたときに発生したノイズとの戦い……

 そこではあの時の双星の人────焔くんも一緒に戦ってくれたらしい

 

 ただ、その話をしてた時、カナちゃん辛そうにしてたな……

 やっぱり彼がカナちゃんの過去とそっくりだから色々気にしているのかもしれない

 

「あいつは昔の奏さんに似ている

 だからあいつの事は奏さんに任せたほうがいいだろう」

 

「そうだね」

 

 家族をノイズに殺された

 なんて経験私にはないから私には彼の気持ちはわからない

 ならば、同じ気持ちを理解できるカナちゃんに任せた方がいいだろう

 

 私たちはそう結論付けた

 

 

 

 

 ……それにしても

 

 

「……最近、ノイズ増えたよね……」

 

 

 私たちが二課に入る以前は月に一度ノイズが出れば珍しいという認識だった

 

 人類の脅威といっても、本来ノイズに遭遇する確率は通り魔に出会う確率よりも低いらしい

 

 それがここ最近は週に二、三度の頻度で出現している

 

 

「やはり、ノイズを操っている何かがいる

 と考えた方がいいかもな……」

 

 ノイズは生物のような形状をしてはいるが意思というものが見られず、コントロールすることは不可能だと言われている

 だから可能性は低いと弦十郎さんと了子さんは見ている……

 

 それに私は何度もノイズと戦ってるからわかる

 

 あれには心なんてものは存在していない

 

 ただただ無機質に人を殺そうとしてくる……まるで機械のようなよくわからない存在だ

 

 そんなノイズを操れる存在なんて本当にいるのかな……

 

 いるとしたらどんな化け物なんだろう……

 

 もし、そんなやつと戦うことになるとどうなるんだろう

 

 ……少し不安になってきたな

 

 すると飛鳥くんが私の髪を撫でてくれた

 

 

「そんな顔するな白

 例えどんなやつと戦うことになっても、次こそは絶対に、死んでもお前の事を守るからさ……」

 

 

 ああ、飛鳥くんはいつもそうだ

 いつも私を守るために動こうとする……

 前世の時だってトラックに轢かれそうな私を助けなければ飛鳥くんは死なずにすんだ……

 

 私と飛鳥くんは距離が少し空いていてトラックの直線上に飛鳥くんはいなかったのだから……

 

 でも、飛鳥くんは私をかばった

 

 結局二人して死んじゃったんだけど、その後神様のところで見た飛鳥くんの顔は忘れられない

 

 いつもはクールな飛鳥くんがあんなに泣くところ始めて見た

 

 それも私を助けられなかったことによる後悔の涙……

 

 私は飛鳥くんにそんな顔させたくない

 

 だから私も強くなりたい

 

 

「私も……」

 

「?」

 

「私も飛鳥くんを守りたい

 これからも飛鳥くんと一緒に生きていきたいの! 

 だから死んでもなんて言わないで飛鳥くん」

 

「白……」

 

「どうせ一度は一緒に死んだ身なんだから

 次死ぬときも一緒だよ!」

 

 そう言って私は飛鳥くんと唇を合わせた……

 

 

 

 

 

 

 ****************************

 

 side三人称

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 マスクをつけた青い髪の青年は監視用の式神から現在進行形で送られてくる映像を見て頬を赤くしていた

 

「……いや何このラブコメ!」

 

 それが彼の率直な感想だった

 

 自分と同じく十二天将の力を持つ転生者……

 自分と同じく物語のイレギュラーである以上油断はできない

 どんな奴らなのか調べようと数ヶ月の間監視を放ったのだが、彼はその事を少しだけ後悔していた

 

 

「……全く、誰もいないとは言え、神聖な学舎でなにやってるんだか……

 そういうのは家でやってほしいなぁ……」

 

 

 独り身にはきつい

 

 

 彼はそう思いながら式神からの映像を切った

 

 後の展開が見えていたからだ……

 

 

 

 コンコン

 

 自分の部屋の扉がノックされたで

 彼は入る許可を出す……

 

 

「どうぞ」

 

 ガラガラと音を立て、扉を開けた彼の生徒はこう言った

 

「碧先生! 飛鳥くんの鼻血が止まらなくって……」

 

 それは彼が今さっき見ていた二人だった

 

 白は慌てながらドクドクと鼻から大量の血を流し、気を失っている飛鳥を肩に乗せていた

 

 これを予想していたのか彼はため息をつきながら

 

「はいじゃあ、いつも通り血止めとティッシュあげるからそれで止めてね……」

 

「碧先生最近なんか冷たくありません?」

 

「そんなことないですよ~」

 

 そう言いながら鳴神高校養護教諭であり十二天将青龍の転生者・碧 海龍(あおい かいり)はいつものように彼らに血止めとティッシュを渡すのだった

 

 




飛鳥、白は海龍が青龍の転生者であるということを知らない
彼は普段自らの呪力を一般人並みに押さえているのが理由


鳴神高校
リディアンの近場にある共学校
リディアンと比べると特に有名ということもなくそこらへんにある普通の高校
最初白は奏、翼と同じリディアンにいた方がいいのではと言われたが女子校のため、飛鳥と同じ高校に行きたい白は断った
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。