地下に落とされた京輔と梨璃と夢結は、ゆっくりと降下する。
梨璃「これは一体・・・」
夢結「酷いわね・・・」
京輔「・・・」
地下の天井にぶら下がっていたのは、首吊りにされただろう無数の亡骸だった。
地面に着地した3人は周囲を見渡す。そこには、数百を超える屍が転がっていた。
梨璃「お姉様・・・」
夢結「私が付いてるわ。」
梨璃「はい・・・」
怯える梨璃に、夢結が自分に寄せた。
京輔「・・・」
地下を歩くと、壁に磔にされた屍が落ちた。
京輔「?」
その屍は、王族の女性らしき屍だった。
京輔「・・・殺しも殺したり、50年分って事か。」
夢結「これも公爵の仕業なのかしら・・・?」
京輔「多分殆どが餓死だろうな。それに、一部の屍には歯型が付いてる。」
梨璃「え・・・?」
京輔「どうやら殺した相手を食べる。人肉を喰い合ったんだろう。ん?」
壁に彫られてる文字を発見した。そこには、I'll hit you with a grudgeの英文が彫られていた。
京輔「I'll hit you with a grudge・・・恨みをぶつけてやる。アメリカ人か。」
夢結「先生、誰か来るわ。」
京輔「ん?」
奥のトンネルから灯りが出て来た。その灯りを持っている謎の影が現れた。
クラトス「クッ・・・!」
その正体はクラトスだった。ペンライトを持って彷徨っているらしい。
クラトス「ん?誰だ?」
ペンライトを前に向けると、そこに京輔達3人の姿があった。
クラトス「なっ!!京輔!!」
京輔を見付けたクラトスが走り出した。
クラトス「この野郎!!俺をハメやがって!!」
怒ったクラトスが京輔の胸倉を掴んだ。
京輔「クラトス、よく無事で生きてたなぁ。」
クラトス「喧しい!!・・・ん?お前女連れしてるのか?」
梨璃「え、えっと・・・私達!百合ヶ丘女学院のリリィの一柳梨璃です!」
クラトス「百合ヶ丘?ガーデンの名門校か。もしかして彼女もか?」
夢結「そうよ。白井夢結。梨璃とシュッツエンゲルを結んでいるわ。」
クラトス「姉妹かぁ。お前、百合ヶ丘の教員になったのか?」
京輔「まぁな。スカウトされたって訳だ。」
クラトス「申し遅れた。俺はクラトス・ティプシー。FBIの捜査官だ。京輔が世話になってる。」
FBI手帳を見せる。
梨璃「あの、京輔先生とお知り合いなんですか?」
クラトス「過去にアメリカに潜伏している犯罪組織の撲滅に協力してくれたんだ。京輔、あの予告状、俺達FBIがここに来るよう仕向けたのか?」
京輔「よく気付いたな。全くもってその通りだ。そうすればまたお前の力を借りれると思ってな。」
クラトス「はぁ・・・俺もその事に気付いてたけどな。って!そんな事より教えろ!出口は何処だ!何処から入って来たんだ!!」
京輔「俺達も落っことされちゃったんだよ。」
クラトス「な・・・そうか・・・」
京輔「その様子じゃ、大分歩き回ったみたいだな。」
クラトス「あぁ。地下は罠だらけだったしな。」
京輔「まあゆっくりしようぜ?出口はその内見付かるかもだぞ?」
クラトス「京輔。この仏の大群は一体何なんだ?墓場とは言い難いが・・・」
京輔「彼処の壁を見てみな。」
クラトス「壁?」
あの英文が彫られた壁を見せた。
クラトス「こ、これは・・・!Please accept my heartfelt condolences.」
その後梨璃と夢結は眠り、京輔とクラトスは城について会話している。
クラトス「ただの城じゃないと思っていたが、これ程までに守る秘密とは・・・京輔、お前の狙いはそれなのか?」
京輔「いや、それをやってんのはセレスの方。」
クラトス「セレスか。」
京輔「あの子も仏様にならなきゃいいんだけどなぁ〜。」
クラトス「・・・・」
京輔「兎に角ジタバタしても始まらねえから、おやすみクラトス〜・・・zzz」
クラトス「・・・」
翌朝。廃城では、鶴紗がファヴラス城を監視している。
龍馬「うぅ、うぅぅ・・・フイー寒!あ、もうこんな時間か。鶴紗、どうだ?様子は。」
鶴紗「いや、まだ動かない。」
龍馬「・・・はぁ、待つしかねぇか・・・」
ファヴラス城・地下。京輔とクラトス、梨璃と夢結はまだ寝ている。すると水の中から3体のヒュージが迫って来た。3体のヒュージは、まだ寝ている4人に近寄り、触手を突き刺した。しかし。
”パァン!!”
突き刺された4人が破裂した。ヒュージが戸惑っていると。
京輔・クラトス「おりゃあああああ!!!!」
屍の山から現れた京輔とクラトスが出現し、クラトスが2体のヒュージに飛び蹴りし、飛び蹴りで飛ばされた2体のヒュージを、京輔がドリルクラッシャーで斬り裂いた。2体のヒュージは爆発した。
京輔「お2人さん!出て来い!」
遠くのトンネルから梨璃と夢結が出て来た。
梨璃「上手くいきましたね!」
夢結「あのヒュージ、どうやら指輪を狙って。」
京輔「さぁて、残るはお前だけだ!出口を教えて貰おうか!」
クラトス「喰らいやがれ!!」
カカト落とししたが、ヒュージが避けて水に飛び込んだ。
クラトス「行ったぞ!!」
京輔「逃がすか!!」
サメフルボトルを振って水に飛び込み、全速力で逃げるヒュージをサメと同じ速さで泳いで追跡する。
水中。ヒュージが穴に入って行き、京輔も穴に入って行く。
穴から出たヒュージの触手を掴んで引き摺り込んだ。
出口では、ロベルトと執事が待っていた。
ロベルト「遅い!」
執事「ロ、ロベルト様!」
水面にヒュージの頭が出現し、触手に指輪があった。
ロベルト「おぉ!出来した!」
指輪を取ろうとした瞬間、人の手が出て来てロベルトを引き摺り込んだ。
ロベルト「うわああっ!!」
同じく執事も引き摺り込んだ。
執事「うわあー!!」
2人が引き摺り込まれたと同時に京輔とクラトス、梨璃と夢結が這い上がった。ヒュージの頭は京輔が地下にある物を集めて似せて作った物だった。
京輔・クラトス「そらよっと!!」
檻を下ろして2人を閉じ込めた。
京輔「行くぞ!」
4人はここから逃げ出した。
ロベルト「おのれ!!京輔!!」
3人が出た後、クラトスが扉を閉めた。
階段を駆け上がる最中。
梨璃「クラトスさん、ヒュージと戦えるんですか?」
クラトス「牽制ならだけどな。昔から色々鍛錬とか反射神経とか鍛え上げて来たんだ。」
夢結「人間じゃまず無理でしょうね・・・それ。」
階段を駆け上がると出口に出た。
夢結「あら?棺桶が入り口みたいね。」
梨璃「あ!皆さん!あれ!」
京輔「お!」
クラトス「なっ!」
そこにあったのは・・・
無数のCHARMが並べられている謎の工房だった。
クラトス「な、何だこれは!?」
その工房には、CHARMとその設計図や溶鉱炉まであった。
梯子を下りて工房に侵入した。
梨璃「あ!これ、私と二水ちゃんのグングニルと同じです!」
夢結「ブリューナクまであるわ!」
クラトス「何とこれが全部そうなのか?」
更に近くにあるコンテナを開けると、CHARMが保管されてあった。
京輔「此奴ら良く出来てんなぁ〜。おい皆!これ見ろよ!」
1本のCHARMを外に出した。
クラトス「ダインスレイフもあるだと!?」
更に他にも。
京輔「アステリオン。ミョルニール。ジョワユーズ。マソレリック。ティルフィング。タンキエム。」
夢結「一柳隊の使っているCHARMも?」
京輔「デュランダル。グラム。ネイリング。グラシーザ。フェイルノート。ギャラルホルン。フラガラッハ。パルムンク。」
様々なCHARMが出て来た。そして。
京輔「おぉ!零式御蓋まであるぜ!全世代勢揃い!」
クラトス「EVIL CHARMがこんなにあるだと・・・!?京輔!これがこの城の秘密か!」
京輔「そうだ。嘗て世界の紛い物と呼ばれたEVIL CHARMの心臓部がズバリここだ。」
彼はその歴史を語った。
京輔「今から凡そ50年前。突如世界中に出現した謎の生命体・ヒュージ。そのヒュージに対抗する為に人類は叡智を結集し、CHARMを開発した。嘗てファヴラス公国は世界の中でヒュージの被害を多く受けてしまった。大公家に仕える貴族・ファヴラス家が独自に本物そっくりのCHARMを開発し、マギの力を持つリリィの少女に握らせて戦わせた。戦いは勝利を収めた。だがその直後、CHARMの力を引き出し過ぎたリリィは身体中を崩され死亡してしまった。その事を看過出来なかった大公家はファヴラス家と絶縁した。だがファヴラス家は絶縁されたにも関わらず、CHARMを開発し続け、世界中に転売した。そのCHARMを購入した国は、リリィ達にそれを装備させたが、結果は同じだった。力を使い過ぎたリリィが死亡。更に水に触れるとCHARMが爆発し、契約していたリリィが死亡。こうしてそのCHARMは世界中からEVIL CHARMと呼ばれ、世界の紛い物となってしまった。歴史の裏舞台。ブラックホールの主役・EVIL CHARM。その震源地を覗こうとした者は、1人として帰って来なかった。」
クラトス「噂には聞いていたが、まさか独立国家が営んでいたとはな・・・」
梨璃「そんな歴史があったなんて・・・」
京輔「そしてあの地下に転がっていた屍の中に、大昔に亡くなった者の遺骨が転がっていたんだ。」
夢結「どう言う事なの?普通なら埋葬すべきじゃ・・・」
京輔「50年前。当時EVIL CHARMを開発していたファヴラス家の地下工房。実は彼処、元々墓地だったんだ。」
梨璃「え?」
京輔「当時の公爵は、その遺骨を密かに城の地下に放り込んだんだ。」
梨璃「亡くなった人達を軽視するなんて・・・酷過ぎます・・・」
クラトス「・・・ん?」
工房の横にドアがあった。
クラトス「何だここは?」
ドアを開けると、そこには・・・
クラトス「なっ!?」
液体に漬け込まれた大量のヒュージがあった。
クラトス「何だこれは・・・!?」
梨璃「ヒュージ!?」
夢結「このヒュージ、あの時の!?」
以前クローディアを追跡したヒュージと酷似している。
京輔「人工ヒュージ。これもファヴラス家が開発したヒュージだ。辛うじて採取したヒュージ細胞を使って人工的に作った奴等だ。」
クラトス「EVIL CHARMに人工ヒュージ・・・ファヴラス公国はとんでもない事をやらかしやがってる・・・!」
京輔「クラトスどうする?見ちゃった以上後戻りは出来ねえぞ?」
クラトス「分かってる!この事態を看過する事は出来ない!」
京輔「ここから逃げ出す為、俺達と協力してくれるか?」
クラトス「無論だ。だが奴らは何を仕出かすか分からない。油断は禁物だぞ。」
京輔「決まりだな。それじゃあ、久々の握手と。」
2人は握手を交わした。
クラトス「それとお前。」
京輔「何だ?」
クラトス「予告状、聞かせて貰うからな?」
京輔「あれま。」
次回・エスケープ大作戦