梨璃「・・・・あっ!!」
1年生の一柳梨璃がベッドから起きて、カーテンを開けた。学院で初めての朝。
ルームメイト「ごきげんよう・・・」
そこにルームメイトの少女が起きた。
梨璃「あわわわ!!起こしちゃいましたか!?すみません!!すみません!!」
彼女は、ルームメイトの『伊東閑』。シュバルツグレイルの隊長を務めているリリィの1人。
閑「・・・ん?」
ベッドにある梨璃のCHARMを見た。
閑「あなた、一晩中CHARMを抱いて寝てたの?」
梨璃「ん?うん。支給された時に、何時でも傍に置いておくようにって言われたから。CHARMってほんのりあったかいから、甲州の夜にはありがたくて。」
閑「変な子。」
別の部屋では。
龍馬「・・・・ん?」
京輔「・・・・」
起きた龍馬が、朝からタブレットをしている京輔を見た。
龍馬「・・・朝から研究か?」
京輔「いや、昨日理事長代行から生徒名簿を貰ってな。」
龍馬「生徒名簿?」
京輔「赴任された時に生徒を覚えておくようにって。」
龍馬「ふぅ〜ん。」
場所が戻って梨璃の部屋。
閑「じゃあ、私はお先に。」
制服に着替えた閑が出ようとした。
梨璃「え!?は、はい!えっと、えっと・・・」
制服の着方が分からない梨璃に、閑が。
閑「手伝うわ。向こう向いて?」
梨璃「あ、ありがと・・・」
彼女に制服を着させた。
閑「昨日の怪我、痛むの?」
右腕に包帯が巻かれてあった。
梨璃「うん、大丈夫・・・」
閑「そう。運が良かったのね。」
梨璃「っ!・・・・・」
食堂。生徒達が朝食を食べている。梨璃は周りを見て誰かを探している。
その後女子トイレで手を洗い終えた直後。
???「あら?おはよう梨璃さん。」
アールヴヘイム所属の1年生・遠藤亜羅椰に絡まれた。
梨璃「あ、どうも・・・じゃなくて!ごきげんよう?」
亜羅椰「そんな在り来たりじゃなくて、もっと本質的な挨拶をしない?」
梨璃「本質的?」
そう言うと亜羅椰が梨璃に迫り、彼女に顎クイした。
亜羅椰「ウフフフ。」
するとその時。
”ガコン!!”
梨璃・亜羅椰「っ!?」
楓「ちょっとそこ!!私の梨璃さんから離れなさい!!」
1年生の楓・J・ヌーベルが割り込んだ。
亜羅椰「またあなた?ターゲットは夢結様かと思ったら、とんだ尻軽さんね。」
楓「運命の出会いがありましたの。この私が抗えない程に劇的な。」
亜羅椰「ほほう?その運命のお相手とやらは、それ程でもないみたいだけど?」
楓「梨璃さんも少しは抵抗しなさい!!」
梨璃(リリィって、皆こうなのかな?)
亜羅椰「もし梨璃さんが本当のお相手と言うなら、きちんと縛り付けておかないと、食っちまいますわよ;ぉ?」
楓「ご心配なく。梨璃さんと私はそんなヤワな関係では・・・あら?梨璃さん?」
何時の間にか梨璃の姿が忽然と消えていた。
楓「梨璃さん!?」
そんな梨璃は気配を感じさせずに女子トイレから逃げ出したのだった。
一方その頃京輔と龍馬は、学院の敷地内を歩き回っている。
京輔「これだけ生徒が多いと、名簿無しでは覚えられないな。」
龍馬「まぁここはガーデンの中で一番の人気を誇るリリィ養成学院だからな。」
京輔「さて、そろそろ校舎へ行かなくちゃな。」
山梔館。
梨璃(昨日のお礼を言わなくちゃ。夢結様に。・・・あっ!!)
そこに夢結を発見した。
梨璃「おはようございます!!夢結様!!」
2年生の白井夢結。梨璃の挨拶で足を止めた。だが夢結からの返事は無い。
梨璃「あれ?あの、夢結様・・・?あの、夢結様!!私、梨璃です!!昨日の事、お礼が言いたくて・・・」
だが彼女は、梨璃のお礼を聞かないまま去ってしまった。
梨璃「ご、ごきげんよう!!」
百合ヶ丘女学院・本校舎。梨璃が落ち込んで校舎へ行くと。
二水「あ!梨璃さーーん!!」
1年生の二川二水が梨璃に手を振った。
梨璃「あ!二水ちゃん!!」
2人は顔を合わせて。
梨璃・二水「ご、ご・・・ごきげんよう!わぁ〜!」
意気投合した2人が手を握った。
二水「私今、百合ヶ丘に来たーって実感してます!」
梨璃「私もだよ!」
二水「それに、梨璃さんと私、同じクラスになったんですよ!」
梨璃「本当!?良かったぁ〜!嬉しい!」
楓「そんなに喜んで頂けると、私も嬉しいですわ!」
梨璃「わぁ!?楓さん!」
クラス表に3人の名前があった。
梨璃「本当だ。」
楓「私と梨璃さんが隣り合って、これも
二水「あいうえお順じゃないかな?」
京輔「龍馬、お前教師に務まるのか?」
龍馬「心配すんな。俺の親父は元高校教師だったからな。親父から色々聞かされたよ。」
京輔「ほほう。」
後ろから京輔と龍馬が出て来た。
梨璃「あ!先生!」
京輔「ん?おぉ君達。クラス表は見たのか?」
二水「はい!私と梨璃さんと楓さんが同じクラスになったんです!」
楓「これも
京輔「そ、そうか。」
足湯。
二水「はぁ〜、良い景色〜。」
梨璃「足湯なんてあるんだぁ。」
龍馬「足湯サイコーだなぁ〜。ってか、何で俺達までここに居るんだ?」
京輔「良いじゃねえか。生徒達とコミュニケーションを取るのも教師の仕事だからな。」
梨璃「良いのかな?朝からこんな。」
京輔「それは心配ない。明日から講義が始まるからな。」
梨璃「そうなんですか?」
楓「理事長の方針だそうですわ。学院はヒュージ迎撃の最前線であるのと引き換えに、リリィにとってのアジールでもあるべきだって。」
梨璃「アジール?」
龍馬「簡単に言えば戦役の事だ。」
楓「そう。何人にも支配される事もなく、脅かされる事のない常世。」
梨璃「常世?」
楓「まぁ、良い大人が私達のような小娘に頼っている事への贖罪と言う所でしょう。」
京輔「女の子に買収して頼るとか、とんだクズ共だな。」
二水「でも不思議ですね。同じクラスでも、私と梨璃さんみたいなド新人から、ヌーベルのように実績のあるリリィまで経歴も技量バラバラです。」
京輔「その方が連携だけじゃなく、ベテランと新人を平等に育成出来そうで良いじゃないのか?」
二水「そうなのでしょうか?」
楓「オホホホ!よく調べてるわね。私の事、楓って呼んで下さって宜しくてよ?」
二水「わぁ!本当ですか!?凄いです!グランギニョルの総帥のご令嬢とお近付きになれるなんて!」
楓「なんて事ございませんわぁ〜!」
梨璃「ギ・・・ギニョギニョって何ですか?」
楓「まさかご存じないとか!?」
二水「一度説明したじゃないですか!」
京輔「グランギニョル。フランスに本拠を置くCHARM開発の最強トップメーカーの1つ。そのメーカーを束ねる総帥のご令嬢が彼女、楓・J・ヌーベルだ。」
楓「そう!トップでしてよ!お父様の作るCHARMは世界一ですわ!」
龍馬「そんなに凄いのか?」
楓「勿論でしてよ!」
二水「稲葉先生も、グランギニョルをご存知なのですね?」
京輔「その知識、この天っ才物理学者にとっては朝飯前だからな!」
龍馬「出た自意識過剰のテンション。」
二水「先生の物理学って、どんな事をしているんですか?」
京輔「ん〜・・・今度教えてやろう。なぁ、君達の事、名前で呼んで構わないか?」
二水「勿論です!」
京輔「じゃあ俺を京輔と呼んでくれ。」
龍馬「龍馬で良いぞ。」
二水「はい!京輔先生、龍馬先生!」
楓「梨璃さん、仰って下されば何時でも梨璃さんにはキレッキレにチューニングしたカスタムメイドの最高級CHARMをご用意して差し上げますから、お楽しみに!」
梨璃「はぁ・・・」
カフェ。
二水「梨璃さん、朝食の後は何処に行ってたんですか?」
梨璃「あ、うん。ちょっと旧館に。」
二水「そっか。夢結様にご挨拶に行ったんですね?」
梨璃「私、夢結様にシュッツエンゲルになって欲しくて。」
楓「あら。ですがそれは普通上級生からお声が掛かるものですわ。」
二水「楓さんだって昨日は・・・」
楓「過去には囚われませんの。」
龍馬「シュッツエンゲル?」
京輔「この百合ヶ丘女学院に伝わる上級生と下級生が結ぶ契り。上級生が守護天使・シュッツエンゲルとなって下級生のシルトを導く。まぁ所謂姉妹みたいな事だ。まぁ俺達は相棒って言うし。」
梨璃「それが夢結様目も合わせてくれなくて・・・」
二水「えっ?昨日は良い雰囲気だったって・・・」
梨璃「私、嫌われちゃったのかな・・・」
楓「まぁ、元々気難しい事で有名なお方ですから。」
二水「今の夢結様はシュッツエンゲルの契り所か、どのレギオンにも属さず常にたったお1人でヒュージと戦っているそうです。」
京輔「なぁ、その子に何があったのか分からないか?」
梨璃「それは分からなくて・・・楓さん!私にチャームの使い方を教えてくれませんか?」
楓「それは喜んで!」
二水「でも明日から実習が始まり・・・」
楓「お黙りちびっこ!」
二水「ちびっこ!?」
龍馬「おいおい喧嘩は止せ。」
梨璃「私・・・早く一人前のリリィになりたいんです。そうすれば・・・」
龍馬「要するに、彼女に認めて貰いたいと言う事か。」
楓「お気持ちはお察ししますが、焦りは禁物・・・と普通なら申し上げる所ですが。」
楓「ここはヒュージ迎撃の最前線ですわ。初心者と経験者をまぜこぜにしているのは、リリィ同士が技を鍛え合う自主性もまた期待されての事。」
梨璃「それじゃあ・・・」
楓「喜んで協力して差し上げますって事ですわ。」
二水「その心は?」
楓「手取り足取り合法的に。うへへ・・・って何を言わせますの!」
京輔・龍馬「女好きか。」
楓「ちょっ!先生まで!?」
闘技場。
天葉「行くよ樟美!」
樟美「はい!天葉姉様!」
天野天葉と江川樟美が向かい合う。樟美が走りながらCHARMの魔法を連射した。天葉がその魔法に包み込まれた瞬間。
天葉「ハァッ!!」
その魔法を纏って飛翔し、天井にぶら下がっているボールをCHARMで斬り裂いた。天葉はゆっくりと地上へ着地した。
その模擬戦を見物していた5人は。
梨璃「わぁ・・・」
京輔「2年生の天野天葉と、1年生の江川樟美。あの2人もシュッツエンゲルを結んでいるんだ。」
梨璃「え!?もう!?」
二水「お2人共、中等部時代からのお付き合いなんですよ。」
龍馬「成る程。」
京輔「あぁ〜、尊いねぇ〜。」
龍馬「何興奮してんだお前?」
楓「ささっ。梨璃さんもご自分のCHARMをお抜きになって。」
梨璃「あ・・・うん。えっとえっと・・・」
楓「こうですわ。」
CHARMに触れると、大剣モードに変形した。
京輔「おぉ!」
龍馬「変形を生で見るの初めてだ。」
楓「ユグドラシル製のグングニル。初心者向けですわね。」
そんな楓のCHARMは、剣モードやボウガンモードへの変形が可能。
楓「鳥の羽よりも軽く蜂の針よりも鋭く時に鋼よりも重く硬く。これがCHARMですわ。」
ミリアム「ふむ。グランギニョルらしいケレン味じゃな。」
梨璃・二水「じゃな?・・・うわぁっ!!」
真後ろのミリアムが立っている。
京輔「ミリアム・ヒルデガルト・v・グロピウス。」
龍馬「名前長いな・・・」
楓「ミリアムさん。何をしに?」
ミリアム「CHARMの調整じゃ。寮に入ってから毎日来ておるぞ。」
梨璃「チャームを弄れるんですか?」
ミリアム「勿論じゃ。わしは工廠科じゃからな。」
二水「工廠科に属しながらリリィでもあるミリアム・ヒルデガルド・v・グロピウスさんですよ梨璃さん!」
梨璃「うわっ!二水ちゃん鼻血が!」
興奮して鼻血が出た。
ミリアム「お主、大丈夫か?」
二水「はい!ご心配なく!昨日から出っぱなしですから!」
龍馬「二水、ティッシュ使え。」
二水「あ、すみません。ありがとうございます。」
グングニルに触れるミリアム。
ミリアム『ほう。
梨璃「分かるんですか?」
ミリアム「普段から傍に置く事で、CHARMは持ち主の
京輔「つまり、一心同体って事か。」
ミリアム「その通りじゃ。」
梨璃「へぇ〜。」
二水「私達にもそんな日が来るんでしょうか?」
ミリアム「う~ん・・・とは言え百合ヶ丘に入れたと言う事は、お主やお主にだってきっと何かあるはずじゃ。」
梨璃「だと良いんですが・・・」
ミリアム「楓だってそう思っておるはずじゃがな。お主等に言っていないと言う事は・・・うん。自信のない者の方が操りやすいからの。」
楓「!」
二水「楓さん意外とあくどい・・・と。」
メモに記入。
楓「ちょっと!人聞きが悪過ぎますわ!」
ミリアム「チャームの事をもっと知りたければ、工廠科に行ってみてはどうじゃ?百由様なら色々教えてくれるじゃろ。」
京輔・龍馬「真島百由か?」
工廠科。百由が夢結のCHARMの修理を終えていた。
百由「どう?」
夢結「ええ。良いわ。」
百由「少しガタ付いてたから、幾つか部品を交換しといたわ。銃身は後2回出動したら交換よ。覚えといてね~。私忘れっぽいから。どういたしまして!」
夢結「ええ。ありがとう。」
そうお礼を言って工廠科から出た。
百結「全く、可愛気が無いんだから。」
廊下では。
ミリアム「ここが工廠科じゃ。」
梨璃「地下にこんな施設があるんですね。」
龍馬「ここって本当に学校か・・・?」
京輔「養成機関だから、このような施設があっても良くね?」
ミリアム「おい百由様おるかー?」
工廠科のドアを開けた。
梨璃「わっ!眩しい!」
百結「ごきげんよう。ちょっと待って。これからCHARMの刃を硬化処理する所なの。」
今彼女はCHARMの刃の鍛冶をしている真っ最中。刃を冷却する。
百由「いらっしゃい。梨璃さんと楓さんね。えーとあなたは・・・」
二水「二水です!二川二水!」
百由「宜しく二水さん。そして、稲葉京輔先生と仁科龍馬先生。」
京輔「お?俺達を知ってるのか?」
百由「勿論。昨日から赴任した新しい先生だもの。今良い所なの。さあ上手く行ってよ~。」
冷却した刃を出した。
”キンッ!”
龍馬「何だ?」
百由「あ~!この一月の努力の結晶が~・・・」
失敗した刃を顕微鏡で見る。刃に術式が細かく刻まれている。
梨璃「何ですか?これ。」
百由「CHARMの刃には
龍馬「亀裂が生じてるな。」
京輔「まさに亀裂の刃だな。」
ミリアム「リリィの体から流れ込む
梨璃「ヒュージの
ミリアム「リリィに力を与えるのも
梨璃「はい。習いました。」
ミリアム「こんなのもあるぞ?ほい。」
梨璃「はい?」
細長いパイプを渡され、パイプの中を覗く。中にライフリングが刻まれている。
ミリアム「CHARMの銃身じゃ。よく見い。」
よく見ると、ライフリングにも術式が細かく刻まれている。
ミリアム「ライフリングにも術式が刻まれておる。弾がここを通る時に
龍馬「うわぁ〜、細かいなぁ・・・」
京輔「ここまで刻み込むとは、流石CHARM・・・」
百由「ヒュージと違ってリリィはCHARMを依代とする事で
食堂で昼食。
百由「しっかし、よりによって夢結とシュッツエンゲルだなんてねー。」
梨璃「はい。でも全然相手にして貰えなくて・・・あの、夢結様が今使っているチャームは・・・」
楓「ブリューナクですわ。」
梨璃「2年前に使っていたのは・・・」
百由「ダインスレイフね。」
梨璃「何故夢結様はチャームを持ち替えたんですか?」
百由「成る程ね。それは本人に聞くしかないでしょうね。」
梨璃「百由様は何かご存じなんですか?」
百由「知ってるわ。けど教えない。」
梨璃「何故ですか?」
百由「本人が望まない事を私がペラペラ喋る訳には行かないでしょ?」
梨璃「?」
百由「リリィは税金も投入される公の存在であるけど、その個人情報は本人がそれを望まなければ一定期間非公開にされるの。個人の心理状態が戦力と直結する上に、感じやすい10代の女子ともなればまあ仕方ないかもね。」
京輔「幼い女の子達に税金を払うとか・・・」
龍馬「世界って難しいなぁ・・・」
楓「あのお方、感度高そうには見えませんけど。」
百由「感じ過ぎるのよ。感じ過ぎて振り切れてしまった。おっと言い過ぎた。後は本人に聞いて話してくれるならね。」
楓「梨璃さん、どうしてそこまで夢結様に拘りますの?」
梨璃「初めて出会った時の夢結様と、今の夢結様はまるで別人みたいで・・・私・・・それが不思議で。知りたいんです。」
楓「夢結様がそれを望んでいなくてもですか?それとも、ご自分なら夢結様を変えられる?そんなのは梨璃さんのエゴではなくて?」
梨璃「それは・・・そうかもしれないけど・・・」
その頃夢結は、射撃場で射撃の訓練をしている。弾丸は全て的のど真ん中に命中。そんな彼女を、同じ2年生の吉村・Thi・梅が見ている。
梨璃「何が夢結様を変えてしまったのか。夢結様が胸の内に何をしまっているのか。私それを知りたいんです。」
楓「はあ・・・これはもう当たって砕けるより他になさそうですわね。夢結様にケチョンケチョンにされて、ボロ雑巾のようになった梨璃さんに私が手を差し伸べれば!一丁上がり!と言う寸法ですわ!」
二水「楓さん、妄想がダダ漏れです。」
京輔「楓、結構ポジティブだな。」
龍馬「どんだけ梨璃を好んでいるんだ?」
夕方。廊下を歩いていると。
梨璃「あ!」
途中で夢結と擦れ違った。
京輔(あの子が白井夢結?)
梨璃「あ・・・」
何かを言おうとしたが、夢結が去って行く。だが。
梨璃「ま・・・待って下さい!夢結様!私とシュッツエンゲルの契りを結んで下さい!」
梨璃「私夢結様に助けて貰って、夢結様に憧れてリリィになったんです!」
夢結「誰に憧れるのもあなたの自由だけれど、それとあなたが私のシルトになる事とは何の関係もないわ。」
梨璃「それは・・・」
夢結「あなたとシュッツエンゲルの契りを結んでも、私の作戦遂行能力が低下するだけよ。それがあなたの望み?」
痺れを切らせた楓が夢結を平手打ちしようとした。
京輔・龍馬「っ!!」
しかし、梨璃が楓の腕を掴んで止めた。
梨璃「止めて下さい楓さん!」
楓(またこの私が・・・)
だが、夢結が楓の頬に平手打ちした。
京輔「っ・・・!?」
楓「・・・くっ!!」
平手打ちされた楓が、夢結に平手打ちで返した。
龍馬「お、おいお前等止めろ!!」
京輔「待て。」
2人を止めようとする龍馬を京輔が抑えた。
楓「シュッツエンゲルとはそう言うものではないはずですわ!互いを愛し慈しむ心を世代を超え伝えるもの!単純な目先の利益を求めるものではないと聞いていましたが違いますか!?あなたのようなすっとこどっこいには寧ろ梨璃さんのような純粋なお方が必要ですわ!」
夢結「・・・そうね。分かったわ。」
楓「分かったとは?」
夢結「申し出を受け入れます。」
梨璃「え?」
夢結「私が梨璃さんの守護天使シュッツエンゲルになる事を受け入れましょう。」
梨璃「夢結様・・・?」
夢結「少しスッキリしたわ。ありがとう。」
二水「楓さんって案外良い人だったんですね!私見直しました!」
楓(あ~!私ってば何て事を~!)
自分の計画が台無しになってしまった。
夢結「梨璃さん。」
梨璃「は、はい!」
夢結「後悔のないようにね。」
梨璃「は・・・はい!絶対しません!」
天上ノ庭の大浴場。梨璃と楓と二水が体と頭を洗っている。
楓「何処か気になる所はありませんか?何処であろうとお流しいたしますよ。うふふ・・・」
二水「ずっと気になってましたけど、楓さんが梨璃さんを見る目何か邪です。」
楓「まさか!こんな純粋な眼差しの私が!?」
二水「手が滑りましたわ~なんて言って、変な所触ろうとしてませんか?」
楓「くっ・・・余計な事を。梨璃さんには変な所などございません!何処でもオッケーです!」
梨璃「そうだよ二水ちゃん。女の子同士だし。」
楓「えっ!宜しいんですの!?」
二水「やっぱり心配です。」
楓「梨璃さんのお役に立った当然のご褒美ですわ。おほほ。」
ミリアム「犬かお主は。」
楓「何ですって!?」
ミリアム「よいか梨璃。世の中には色んな奴がおる。どんな性癖も認められて然るべきなのは言うまでもないが、己が欲望をダダ漏れにするのは戒むべき事じゃ。そこのちびっこが宣ったのはそう言う事じゃな。」
二水「ええっ!ちびっこにちびっこって言われた~!」
楓「おのれですわこのドチビ共!」
浴槽では、1年生の安藤鶴紗、郭神琳、王雨嘉が浸かっている。
鶴紗「喧しい・・・」
一方男子湯では。
龍馬「ふぅ〜・・・今日も良い湯だぜ〜・・・」
京輔「なぁ龍馬、夢結から何か感じなかったか?」
龍馬「あの子?いや、シュッツエンゲルを結んでくれた良い子だと思うんだけどな。」
京輔「・・・・」
龍馬「何か気になるのか?」
京輔「気になるって言うか・・・やっぱり梨璃の言う通り、何か隠していると思う。」
龍馬「ん〜・・・それはあの子から直接訊くしかないな。けど、心を開くのに時間が掛かるかもだぞ?」
京輔「梨璃が彼女の支えになって、心を開いてくれる事を祈るしかないな。」
その後。梨璃と閑の部屋は。
閑「おかえりなさい。」
梨璃「え?あ・・・た・・・ただいま。」
閑「何か良い事あったの?」
梨璃「あ、うん。リリィになれて百合ヶ丘に入れて何だかんだ皆良い人達で。夢みたいだなって。」
閑「何それ?ふふ。まだ入学2日目でしょ。」
梨璃「うん!本当に良かったなって・・・」
その夜。夢結の部屋では。
美鈴「それは自分への罰?あ〜、でも先に手を出したのは夢結だから差し引きゼロか。まあそれは兎も角、おめでとう夢結。あの夢結が下級生とシュッツエンゲルの契りを結ぶなんて感慨深いな。」
夢結「私が望んだ事ではありません。」
美鈴「ふうん。でも夢結だって懐は開いたんだろ?」
夢結「それは・・・思い知らないと分からないようですから。」
美鈴「おお怖い。非道い人だな君も。」
夢結「そう・・・非道い女。私とシュッツエンゲルだなんて、後悔すると良いわ。」
アサルトビルド HAZARD!次・回・予・告
二水「次回は夢結様がルナティックトランサーを!?」
梨璃「いけません夢結様!」
第3話・ルナティックトランサーの悲劇
京輔「抑止の法則は、決まった!」