圧倒的劣等な弟の癒し   作:斉藤努

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捨てたくても捨てられない記憶

こないだから少し経った、どうも沙綾の様子がおかしい。ちょっと暗い、分かりづらいけどずっと人の顔を伺ってきた俺なら分かる。何か悩んでいる。最近香澄が良く沙綾と話す様になった。凄い辛そう、香澄たちと話している時、苦しそう、1人で悶えている時。俺に出来るかは分からない。でも、沙綾には笑ってる方が似合っている。

 

下校中

 

翔也「沙綾、居た居た。一緒に帰ろ」

 

沙綾「良いよ、一緒に帰ろ」

 

やはり、いつもより暗い

 

翔也「どうしたの?最近元気ないけど」

 

沙綾「そんな事無いよ、いつも通り」

 

翔也「そんな事無いだろ、凄い辛そう。なんか隠してない?友達に嘘はいけないよ」

 

沙綾「関係無いじゃん、翔也なんかに」

 

翔也「関係ある、悩んでる友達なんか見たくない」

 

沙綾「・・・てない」

 

翔也「何?」

 

沙綾「別に翔也の事友達なんて思ってない」

 

翔也「え?なんて?」

 

沙綾「ごめん」ダッ

 

沙綾side

 

翔也に酷い事を言ってしまった。声を掛けて、優しく接してくれたのに。

 

私は香澄たちからバンドに入って欲しいと言われていた。でも、考える度にCHiSPAの事が思い出される。

 

お母さんが倒れて、ライブに行けなくて、練習とかも行けなくて、それでも待っててくれた。そっちでさえまだ解決してないのに、次なんて、CHiSPAの皆は許してくれないかもしれない。多分自分の中でも許せない。そして私はまた問題を作ってしまった。

 

でも、これは自分の問題だと思う。だから誰かに頼っちゃ駄目。自分から翔也に言わなければいけないのだ。だから思い切って電話をした。謝る為に。

 

prrrrrrrrr prrrrrrrrr prrrrrrrrr

翔也『もしもし、沙綾。どうしたの?』

 

沙綾『私の家来て、言いたいことがあるから』

 

翔也『分かったよ』

 

山吹家前

 

翔也「お待たせ」

 

沙綾「うん、こっち来て」

 

沙綾の自室に案内された俺は座布団の上に座った。

 

沙綾「あのさ、翔也『ごめん』ど、どうしたの?」

 

翔也「急に何も考えずに聞いちゃって、ごめん」

 

沙綾「ううん、私も怒鳴っちゃてごめん」

 

翔也「あはは、なんかおかしいね。2人とも謝って」

 

翔也「そうだね。それでさ、沙綾」

 

沙綾「何?」

 

翔也「さっきの事聞いてもいい?」

 

沙綾「分かったよ、話す」

 

私は全部話した。そしたらスッキリした、それと偶に家業を手伝うのを約束してくれた。その後に翔也の過去も話してくれた。私の悩みなんかよりもずっとずっと重い話。でも、自然と受け入れられた。同情なんかじゃ無い。心の底から翔也の事を大事と思えた。

 

私は凄く良い人に巡り会えたかもしれない。

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