落としもの   作:白手袋

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落としものって誰でもしますよね。

手袋は忘れものが多いですけど、

あ、無くしものも多いかも、




卒業式

 

 

私には落としものがあるらしい。

 

私が気付いていないだけだと言うけれど、

 

私は何も落としていないと思う。

 

だって、どんなに大切にしていても、

 

いつの間にかぽろっと落ちてしまうものだから、

 

最初からいらないのではないかと思ってしまう。

 

 

 

 

 

今日は中学校の卒業式だった。

 

嫌いな保健室の先生とも、うるさい担任の先生とも、お別れだ。

 

腰まであった長髪も、今日でお別れだ。

 

手首の包帯。

 

筆箱のカッター

 

屋上の教室

 

新品の上履き。

 

好きだった人への手紙。

 

明日まで待って。お願いだから、

 

そんなセリフを放つ権利はない。

 

だって、落としてしまうから。

 

みんなが別れで悲しむ中、私は何かを失った。

 

『先生。さようなら。』

 

屋上に手を振れば、振替してくれる。

屋上が私の教室で、唯一の居場所だった。

 

私だけの先生は、いつも優しかった。

 

なのに涙は出てこない。

 

校門を抜ければ、中学生を失った。

 

毎日通った通学路

 

もう無くなってしまうのだな。

 

そんなことをしみじみ思っていると。後ろから声がした。

 

「すみません!落としましたよ!」

 

きっと私ではないだろう。

 

だって何も落としていないもの。

 

「すみません!落としましたよ!」

 

何故こんなに大声で呼びかけているのだろう。

見渡せば私以外に誰もいない。

 

振り返れば、先ほどから大声で叫んでいたであろう彼と目があった。

 

『もしかして、私ですか?』

 

「あなた以外に誰がいるんですか!?」

 

息を切らしながら返事をしてくれた。

 

『すみません、そういう事に疎くて、』

 

「疎くて!?」

 

「あれは疎いに入るのか?いやでも...」

 

どうやら、独り言を始めたようだ。

 

『それでは。』

 

邪魔してはいけない。

 

そう言って家に帰ろうとすると、手を掴まれた。

 

『え?』

 

どうして彼は引き止めるのだろう。

 

「なんで、え?になるんですか?落としもの渡してないじゃないですか。」

 

落としものとはいったい何のことだ。

 

『どうして落としたものを返されなければならないのですか?』

 

当たり前のことを言ったはずなのに、当たり前ではないような顔をされた。

 

『それでは。』

 

強い風が吹くのと共に、また落としものをしたようだ。

 

誰かに理解されようとは思わないが、

 

一度は理解されたかった。

 

一人の世界は寂しいと思ったのは、

 

きっと彼に会ったからだろう。

 

さようなら私。

 

春の風は暖かい。とても寂しく、悲しい風

 

今日の気持ちは晴れ模様。

 

何かを失った悲しみは、花びらと共に落ちていく。

 

 

 

 

この出会いが、彼女の人生を変えるとは思ってもいなかった。

 

これは彼が一目惚れした話。

 

彼女がかのじょでいる話、

 

 

 

 

 






手袋は謎の文章しか書けません。

思った気持ちやなりたかったことなど書いてます。

きっと...


あー、テストだ。

そうしよう。

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