この素晴らしい不老不死者に祝福を!   作:よしどら

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原作開始前(時系列不同)
プロローグ


「…初めまして、暁真白さん。突然ですが貴女は死んで……へ?」

 

目の前に現れた女性が、私の姿を見て固まる。

…そういえば裸も同然の姿だったと思い出しつつ、私は特に気にしない様に微笑んだ。

それを見た彼女が小さくえぇ…と声を漏らしたのと同時に、私は小さく首を傾げる。

 

「えっと……その、服はどうしたの?虐められてた?」

 

どうしたもこうしたも、貴女は死んだ事を知っているではないかと逆に問いかけた。

簡単に言えば私は火事が発生した家に飛び込んで最後の最期まで人を助けて死んだだけだ。

その時に少しだけ服がボロボロになっただけだろうと、私はため息を吐く。

 

「そ…そう。それで死後の事なんだけど…」

「あ、異世界転生ってありますか?あれ私の子供の時からの夢でしたから」

 

その言葉を聞いて彼女の目が光る。

…それを見て私は少しだけ首を傾げるが…彼女は気にせずに嬉しそうに喋りだした。

それを私は特に気にする事もせずに、右から左へ話を聞き流す。

 

「…という訳で!転生特典を選んでね!」

 

話は終わった様だ。

取り敢えず適当に本を開けば、強そうな武器や防具が沢山出てくる。

…欲しいのが無いし、取り敢えず彼女に聞いてみる。

 

「…不老不死になれる特典ってありますか?」

「あるわよ」

「流石にありますよねぇ……へ?」

 

私が欲しい物はあったらしい。

…と言うかそれがあるなら毎日鍛え放題じゃないか。

 

「…売れ残ってるんですか?」

「一時期は売れてたみたいだけどねー。今は使い手が居なくなっちゃってこうなったみたい」

「…使い手が、居なくなった?」

 

使い手が居なかったなら分かる。けれど居なくなったは可笑しいだろう。

“不老不死”なら死ぬことは無い。

それなのにも関わらず居なくなるって事は……不死殺しがある世界なのだろうか?

 

「貴女が考えている程面白い理由じゃないわよ。唯友人が死んでいくのと、不老不死の所為で回りの人間から色々言われるのが辛かったらしくてねー」

「…その人は、どうなったんですか?」

「“私達”が殺したわ。不老不死で死なないなら不老不死を返して貰えれば良いんだからね」

「そうですか。では特典は不老不死でお願いします」

 

その言葉を聞いて、彼女が少しだけ耳をぴくつかせる。

…そして少しだけ悩んだ後に…小さくため息を吐いてからカタログを私の手から抜き取った。

 

「…不老不死を選んだ特典として、もう一つおまけで特典を追加してあげるわ」

「そんな特別扱いして良いんですか?」

「良いも何も創造神様からの指示よ。こっちで選ぶ代わりにもう一つ追加してやれってね」

「…どうして?」

「そうね…それは…きっと…」

 

どうしてかしらね。

小さく呟きながらため息を吐いた彼女を見て、私は少しだけ首を傾げる。

 

 

「そうそう。貴女武器は扱えるのよね?」

「人並には」

「ふーん……じゃあこれ、使ってみて」

 

その言葉と同時に、彼女から鍵束を渡される。

…それを見て私は思わず首を傾げるが…彼女が小さく鍵を開ける動作をするのを見て、私も同じように鍵を宙に差し込んだ。

 

「…おお。武器が降ってきた」

「私が此処で客を待つ傍ら、暇だったから作ってみた物よ。一つ一つの性能は凄いし、これだけで魔王を倒せるレベルよ」

「……?そんなのが売れ残ってたんですか?」

 

私のその一言を聞いて、彼女は思わずため息を吐いた。

 

「…どいつもこいつも、腕が無いから使えなかったのよ」

「……あぁ…」

「ま。あんたなら無駄に永い時間掛けて使いこなす事も出来るんじゃないの?」

 

そう言いながら彼女は小さく呆れた様にカタログを閉じ、そのままゆっくりと私に向かって近づいてくる。

…そして小さく……

 

「…………馬鹿。覚えてるって言ってたのに」

 

本当に小さく、何かを喋っていた。

…もう一度聞こうとするが、その前に私の足元に魔法陣が描かれ…そして彼女が喋りだす。

 

「願わくば、貴女が魔王を倒す存在である事を祈ります」

 

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転生してから“数十年後”

見知らぬ城から転移した私は、小さくため息を吐いてからゆっくりと鍵を使って武器を取り出す。

…そして其処から弓を番えると、そこら辺に置いてあった死体から矢筒を貰っておいた。

 

「…此処何処?普通は街の中に転移とかじゃないんですかね?」

 

小さくため息を吐きながら、私は矢を番えて三本同時に放つ。

それと同時に朽ちていく魔物を見つめながら、私はゆっくりと身体を反転させて魔法を放つ。

 

「…ライトオブセイバー」

 

光の剣を使い、裏を取って襲おうとしていた敵を薙ぎ倒す。

…この魔法を教えてくれたお姉さんには感謝してもしきれない。今生きているのだろうか?

そんな事を考えながらも、私は小さく伸びをする。

 

「…ふぁぁ…」

 

数年間眠ってなかったからか、かなり身体が怠い様に感じる。

……そろそろ見えていた街に行くかと、小さくため息を吐きながら…私はゆっくりと目の前から出てきた蛙を斬り倒した。

 

「…素材は拾わなくても良いですね。面倒ですし」

 

仮に雪将軍レベルだったら拾っても良いだろうが、このレベルなら別に拾わなくても良いだろう。

…本当に色んな事があったなぁと小さくため息を吐きながらも、私はゆっくりと周囲を見渡した。

 

「…此処も昔と違ってますね。引退しようって考えてた冒険者さんはもう居ないのかな?」

 

一人の少女が、私に憧れて冒険者になった。その子は有名な魔法使いになった。

最期には、味方の為にリッチーになった彼女が居た。

親に止められても、産廃道具を作り続ける一人の少年が居た。

私に取引を持ち掛ける為に、魔王の使いを出された事もあった。

アクシズ教はやっぱり危なかった。やっぱりエリス様が一番。

旅をした時、沢山の日本人(同業者)と出会って…そして死んでいった。それが少しだけ寂しかった。

レベルドレインされた、仲間を作った。仲間が死んだ。友達を作った、友達が死んだ。

 

「駆け出しの街、アクセルへようこそ!」

 

少しだけ思考を纏めていれば、私の身体は何時の間にか街に辿り着いていた。

…どうやら此処がアクセルらしい。

レベルドレインもされたので取り敢えず駆け出しには間違いないだろうと、私は小さく微笑みながら近くの男に話しかける。

 

「…ん。冒険者ギルドって何処にありますか?」

「冒険者の方でしたか!それでしたらあっちに行ってから……」

 

 

説明を聞きつつ、取り敢えずテレポートを此処に設定しておく。

勿論後で変えるだろうが、今はまぁ此処で良いだろう。

それと同時に何処かから視線が感じたが…私は特に気にせずに歩いていく。

 

「……此処ですか」

 

小さく呟きながら、私は扉を開けてギルドカードを取り出した。

…随分ボロボロだ。

旧式も旧式だし、もしかしたら機能しない可能性もある。

というか読み取れるのだろうか?そんな事を考えながらゆっくりと前の人のギルドカードを見て見ると…

 

「うわっ」

「?」

「ごめんなさい何でもないです」

 

めっちゃ進化していた。

…寧ろこれ持ってきたら怒られるのではないのだろうか?

そんな事を考えつつも、私はゆっくりと列に並んで待ち続ける。

 

「次の方どうぞー」

「これの更新お願いできますか?最近レベルドレインされてて」

「……えっと………これは誰かの遺品ですか?」

「私のです」

 

知ってた。

いやまぁ分かってはいたが、まさか普通に言われるとは思わなかった。

 

「…いえ、そんなまさか……年代考えて…初期の……という事は…嘘ですよね?エルフでも死ぬ計算になりますよ!?」

「…いや、其処まではいかないでしょ」

「と、取り敢えず預かります!一応本人確認をする為に新しくギルドカードを作ってもらいますが…良いですか?」

「ん。良いですよ」

 

その言葉と同時に、私は1000エリスを渡してから手を置いてカードを作り出す。

…ハイテクだぁ。

そんな事を考えながらも、私はゆっくりと彼女にカードを見せて微笑んだ。

……これで良いだろう?

 

「…ほ、本当に本人……ぇ?この人若作りしてるの?」

「……それで、もういいですか?」

「あ、はい。昔のカードはどうしますか?」

「折角ですから貰っておきます。では」

 

その言葉と同時に私はゆっくりと手を挙げ…依頼の方を見に行った。

…やっぱり初心者向けの依頼が多い。

何時か城とかあった場所に行こうかなとか考えながらも、私はその中から一枚の紙を取った。

 

「あ。こちらの依頼…いや…その…えっと、分かりました!」

 

早朝に近い時間だった為、殆ど誰もいなかったのも幸いして穏便に済んだ。

…その事に少しだけ安堵しつつも…私はゆっくりと外に向かって歩き出した。

 

「…大丈夫、かなぁ…?」

 

私が受けた依頼は初心者殺し。

どうやら最近出没して困っているらしい。

困ってるなら助けに行くのも良いだろうと、そんな事を考えて受けた依頼だ。

 

「………しろ、ちゃん?」

 

そんな此処での依頼を楽しみにしていたからか…小さく呟かれた声を、私は聞き漏らしてしまった。

 

「…やっと、見つけましたよ。私の下から離れちゃ駄目って言ったんですけれどね…?」

 

その所為でどれだけ大変な目に遭うかも、分からないで。

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