IS×仮面ライダー 炎竜シーズン2 仮面ライダー輝龍   作:柏葉大樹

13 / 50
 前回、チェルノブイリで仮面ライダー鎧武と十三異界覇王ファブニールと激しい戦いを繰り広げた十三異界覇王ドラスは新たな姿となって沢芽市へと襲来した。
 ドラスに対処するアーマードライダーたち。だが、ドラスは吸収したダークドライブことロイミュード108の力によって重加速現象を発生、アーマードライダーたちを苦しめた。
 窮地に陥った彼らを救ったのは仮面ライダーロード。ロードはドラスを撃退、ドラスが生み出した2体の怪人を撃破したのだった。


仮面ライダー輝龍 第13話

sideファブニール

 チェルノブイリでドラスを相手に紘汰と共に戦っていた俺は今はドラスの体内に囚われていた。

 油断していたのではなく、紘汰を庇った結果がこれだ。

 

 「俺もまだまだだな。戦っていた相手を庇うなんて。」(ファブニール)

 

 誰にも聞こえない、そんなことを分かりながら独り言を言う。まあ、一人になってから話し相手に恵まれた記憶がない所為もあるが。まだ、俺にも他人を気遣う情が残っているなんて。

 

 「魔蛇と手を組むことを決めて、他人を助けるなんて思わなかったが。あいつがまだ仮面ライダーって言ったのはそう言うことだな。」(ファブニール)

 

 俺の脳裏にはここまでの間に黄金の果実の力で見た数多の並行世界の記憶がある。留芽颯斗、岩城正則、桐ケ谷陸、彼らも俺が見た並行異世界に居た。

 留芽颯斗はどの世界でも俺とは共に戦う仲間だった。当然ながら、一夏と俺と彼の3人で仮面ライダーとして戦っていた世界は多かった。仮面ライダーとして戦うことは無い世界でも俺と彼はISの操縦者と技術者としてコンビを組むことが多かった。留芽颯斗は他の二人と比較的、彼と俺は良好な関係を築いており、共闘することが多かった。IS学園卒業後も友人として関係が続いていた数少ない人物でもあった。

 岩城正則は俺と協力関係にあるか、敵対関係にあるかのどちらかしか無かった。ただ、この世界のように完全な味方というわけでは無かった。協力関係にある世界では俺は亡国機業に属しており、岩城正則は篠ノ之束と同類にありながら人類滅亡を企んでいた人物だった。当然、その世界では俺はIS学園のメンバーとは敵同士だった。敵対関係にある世界では、当然ながら俺はIS学園側の人物だったからなのが大きな理由だったが。この世界のように篠ノ之束と夫婦で平穏に暮らしている世界は初めてだった。

 桐ケ谷陸はほとんどの世界では俺との接点は少なく、彼に関しては数多くの異世界で様々な立場に居た。俺とは明確な協力関係よりも事件に関わる第三者として関わるのが多かった。ただ、どの世界でも軽薄だが、その性根は一本芯が通った人物であった。

 なお、俺はこの3人が一堂に会する世界を見たことがない。少なくとも、俺が見てきた並行世界では彼らと共にいることはあっても留芽颯斗と共にいれば他の二人と会うことは無く、これは他の二人であっても同様だった。

 彼らが同じ世界に居る、これは俺が見てきた並行世界の中で唯一のことだ。そして、この世界の俺はアギトの力を持っていた。それだけではなく、戦極ドライバーの力もある。俺が体験してきた並行世界には無かったこと、それがこの世界には溢れていた。当然ながら、マドカも仮面ライダーに変身して戦うこともこの世界が初めてだった。 

 この世界は俺が見たことがない並行世界だった。だからこそ、俺の目的を達成できると考えた。俺ではない俺による世界の可能性、俺が望む可能性が見つかったから。俺が生きる世界は遅かれ早かれ、俺が生きているうちに終わってしまう。その中で見た俺が見たことのない世界、ここでなら俺が求める世界が、俺が愛する人たちが最後の時まで平穏な日々を送ることが出来る世界が出来るかもしれない可能性がやっと現れた。

 

 「まあ、それだけではまだ足りないが。」(ファブニール)

 

 だが、今のままでは十分ではない。俺がこれまでに見てきた並行世界の仲間たちと同一の存在がいる、共に戦う仲間たちが大勢いるだけではまだ足りない。

 俺がこの世界での未来を黄金の果実で見ようとするとある時間から先は見ることが出来なかった。そこから先の未来が決まっていないのか、世界が終わってしまったのか判別できなかった。恐らく、この世界が終わるかどうかがその時間に掛かっているだろう。そして、その時間にはこの世界の俺とマドカがいた。二人だけでいる時に何かが起きるのだろう。

 

 「そのことを見据えて、力をつけてもらいたかったがな。まだまだ、この世界の俺では今の俺を倒すほどの力も無い。」(ファブニール)

 

 そのために、この世界の俺の前に敵として出てきたが、俺の思惑通りにはなかなかいかなかった。俺が他の十三異界覇王の牽制をしているほかに、魔蛇と協力しているのが大きな理由だ。俺個人で好きに動けるタイミングが少ない、それに魔蛇と協力していることも俺の動きを大きく制限していた。あいつがどこまで勘付いているのか、それが分からない以上は下手に動けない。

 

 「いや、まずはドラスの体内から脱出する方が優先だ。頼むぞ、紘汰。」(ファブニール)

 

 そして、俺はこの空間、ドラスの体内から脱出するために外からの救援を待つことにする。その前に、何とか動けるようになって、ドラスの力を削いでいきたいが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side颯斗

 「あのドライブもどきになら、新兵器を使えると思ったんだけどなぁ。」(颯斗)

 

 僕はIS学園の生徒会室でぐうたらしていた。ガドラさんたちとの特訓で強くなってきているほかに、新しく作った新兵器もあった。今までになかった、僕の強化アイテム、名付けてビーストガンナー!(設計図はハートたちが持っていたデータにあったブレイクガンナーって武器から)。グロンギの皆の中にあった魔石ゲブロンの欠片を貰って作ったビーストバイラルカーを使って拡張武装が出来る新兵器!を作ったは良いけど試す機会が中々ない。さっき会ったあのドライブもどきになら使うかもしれない!って思ったけど。

 

 「あのドライブもどき、何が目的なんだろう。」(颯斗)

 

 ここまでの十三異界覇王って何かの目的があるみたいだった。僕と戦ったダグバ、こいつは強い相手と戦うこと、桐ケ谷君が出会ったアマゾンって奴はエサを求めて(そのエサが僕たち人間なんだから、たちが悪い。)、正則さんが戦った初代オーズはメダルを狙って、って感じで何かしらの目的があって行動しているらしかった。それは当然、さっきのドライブもどきもそうじゃないのかな。

 ただ、まあ、今度の相手のあのドライブもどきの目的は全く分からないけど。

 

 「ねえ、ハート。こないだのドライブもどきだけど、ロイミュードではないんだよね?」(颯斗)

 「ああ。108のボディや未来のドライブの力、108の残滓があったがあいつ自体はロイミュードではない。」(ハート)

 

 そう、あいつがどんな奴なのかもよく分かっていない。ハートの分析ではあのドライブもどきはドライブシステムを本当に使っているし、そのボディはロイミュードの物なのは分かった。でも、あの編み笠を被った剣士のような姿はドライブを始めとした共通システムの仮面ライダーにはない(ハートは見たことないけど、泊さん=ドライブには近い姿には一度なっているとのこと)。

 ロイミュードとドライブシステムを吸収、ハートたちの生みの親である蛮野天十郎博士が失った体に変わって作り出したゴルドドライブ、その前にはメガヘクスっていうトランスフォーマーもどきがやったみたいだけど。

 ドライブもどきが出した重加速粒子、ドライブもどきが生み出した2体の怪人は間違いなくロイミュードの力を持っていた。今の所は僕だけが重加速粒子を発する奴に対抗できる、どうしたもんかなぁ。

 そんなこんなで考え事をしているとスマホが鳴り出した。スマホの画面には現在、休暇旅行をしている(僕が勝手に思っているだけ)大樹の名前が表示されていた。

 

 「もしもし?」(颯斗)

 [今、大丈夫?](大樹)

 「考え中だけど、良いよ。煮詰まって来てたし。」(颯斗)

 

 気分転換には良いと思って電話を取った。電話越しの大樹の声はかなりリラックスしているみたいなのが分かった。

 

 [新しい十三異界覇王が現れたって。](大樹)

 「うん。良いの、旅行中にその内容の電話をして?」(颯斗)

 [マドカがいる前でするわけないだろ。今、一人だから。](大樹)

 「なるほど。ああ、戻らなくて良いよ。今回は相性の良いのは僕だから。」(颯斗)

 [そう言うってことは相手はロイミュードなのか?](大樹)

 「を、吸収したみたい。目的はまだ分からずじまいだけど。」(颯斗)

 

 僕の話を聞いて、スマホの向こう側の大樹が考え込むのが分かった。それから、すぐに大樹が話し始めた。

 

 [とにかく、気を付けて。何かあれば、他のメンバーにも。](大樹)

 

 こういう時の気遣いはかなりありがたい。でも、本当はそういうことを大樹に言わせるのは後ろめたいけど。

 

 [あ、今マドカが戻って来たから、後で!?](大樹)

 

 しばらく、電話越しで大騒ぎする大樹と万夏ちゃんの様子を聞く。万夏ちゃんが結構大声を出しているのが分かる。そこに、大樹があたふたと弁明をするのが聞えてくる。ただ、すぐに電話越しからかなりデープな音と発情した動物のような息が響き始めたからすぐにスマホの通話を切った。

 大樹と万夏ちゃんのやり取りを聞いて思ったこと、せめてするなら電話を切ってよ。

 

 

 

 

 

 

side三人称

 篠ノ之神社、資料が保管されている古い蔵では秋人と柳韻が、日が暮れてもなお資料を見ていた。

 

 「なあ、切嗣。今日はここまでにしないか。」(柳韻)

 

 資料をあらかた整理している中で柳韻が秋人に問い掛ける。

 問い掛けられた本人は資料を険しい表情で見ていた。

 

 「護龍に関すること、ほとんどないんですね。」(秋人)

 「ごめんな。向こうの家とやり取りをしたのは大分昔で、その時には柏葉の家にある資料の大半が処分されてた。」(柳韻)

 「柳韻さんが謝ることはないですよ。でも、ほんの少しの望みが見つからないのはきついかな。」(秋人)

 

 見ていた資料を閉じて秋人が柳韻に答える。古い時代の資料でも江戸時代まで(歴史的に見れば、それでも大変貴重だが)であり、護龍(柏葉家に伝わるアギト)や過去の十三異界覇王について記述は見られるがそれほど多くはない。さらには、どの記述もあまり詳しいことは書かれておらず、精々が英雄として村を守り続けたや町をいくつも滅ぼしたという程度だった。

 

 「一度、本殿に戻るか。」(柳韻)

 

 目当てのものが無かったため、二人とも蔵を後にする。

 

 「それにしても、護龍ってなんなんだろうな。」(柳韻)

 「アギト、人間の進化、のはずですよ。」(秋人)

 「それなら、かなり崇め奉ったはずだ。生ける神として、英雄として大層祭り上げたはずだ。それなのに、どの資料も居たとか、どこの街で妖怪と戦った程度のものしか残っていない。昔は今よりもそう言う存在を大切にしたはずだ。それなのに、ここに寄せられた資料の情報は少ないだろ。」(柳韻)

 「ええ、それは僕も引っ掛かってました。僕が柏葉さんから護龍について聞いた時には柏葉の守り神と言っていました。でも、それも大分廃れていたとも。」(秋人)

 

 秋人の話を聞いた柳韻はふと思い浮かんだことを言葉にした。

 

 「案外、護龍は荒神だったかもな。」(柳韻)

 「荒神、守護神であるのに。」(秋人)

 「守護神だからこそ、かもな。日本にいる八百万の神様は人に益を与える一方で恐れられる荒神でもある神様がいる。前に見せた資料にあった姿を見た昔の人間は守護神よりも荒神と思ったかもな。だから、信仰が廃れていった。」(柳韻)

 

 柳韻の言葉に秋人はまさかと思いつつも否定できないでいた。大樹が変身したアギトの姿を見たことで、柳韻の説も一理あることを思ったからである。

 

 「ただ、そうだとしても信仰が廃るのは考えにくいけどな。余程の恐怖心から名前すらも一切伝えないなら分かるが。」(柳韻)

 「謎は多い、それも解けるかどうかが分からない謎ばかり。」(秋人)

 

 秋人の言葉からも分かる通り、今現在に集まっている資料では現在起こっている十三異界覇王たちの事件の解決にも繋がらない。

 

 「そう言えば、大樹と万夏ちゃんが旅行に行ってもう5日だろ?心配じゃないのか?」(柳韻)

 「二人なら大丈夫。身の危険に関してはあの二人に心配することは無いよ。」(秋人)

 「年頃の若い二人だぞ。間違えの一つや二つなんて旅先で有り得るだろ。」(柳韻)

 「それくらいのかわいい間違いはもうしてますよ。せれに、親として伝えるのは助けが必要な時は呼んで欲しいことと節度ある交際をして欲しいことだけですよ。」(秋人)

 「俺が切嗣なら、大樹の奴をボコボコにしてるけどな。」(柳韻)

 「万夏が押し倒して大樹が心を開いてくれたんです。そう言うこともあるから、反対する大きな理由になりませんよ。」(秋人)

 「流石は元警官だな、人間が出来てやがる。」(柳韻)

 

 本殿へ向かう中で秋人は今は旅行中の大樹とマドカのことを考えていた。

 血のつながりは一切ないが秋人にとって最愛の子どもたちである大樹とマドカ。その二人が戦いから離れて平穏な時間を過ごしている、それを思うだけで親として秋人は喜ばしかった。なお、恋人への性欲に忠実な愛娘であるマドカに対しては父親として教育が必要だと痛感しており、常日頃から頭が痛い思いをしているのは言い出せないが。

 

 「一番の手掛かりはこいつだよな。」(柳韻)

 

 本殿に到着して、中へ入った時に柳韻が天井を見上げる。そこには豪華絢爛な巨大な絵が描かれていた。

 その絵には古の時代に猛威を振るった13体の異形が描かれていた。古代の魔物たちで構成されたデルザー軍団の岩石大首領、古代よりこの世界の全ての支配していたゴルゴムの王である創世王、恐竜を絶滅に追いやったフォッグ、グロンギのンに近い力を持っていたゴ・ライオ・ダ、禍々しい姿をしたアギトらしき者、魔物魔化魍である土蜘蛛に八岐大蛇、ファンガイア最強の鎧を纏ったダークキバ、メダルの怪物であるグリードの力を使うオーズ、幻獣ドラゴンそのものであるファントムのドラゴン、異世界の民フェムシンムを思わせるオーバーロードインベス、見たことのないベルトを身に付けた3体のライダーらの争いが天井に描かれていたのだった。

 

 「この神社が出来るずっと前にこの地に言い伝えられてきた伝説。この神社が建立される数年前にあったとされる話があった。それを再現したこの天井の絵が一番の手掛かりだよな。」(柳韻)

 「確か、その伝説が十三異界覇王大戦伝説。」(秋人)

 「眉唾と思っていたがここ最近の事件で本当かもなと思い始めてきたがな。」(柳韻)

 

 大樹たちが住むこの街には古くから伝わる伝説があった。古の時代から何度か繰り返されて来たという異形たちの戦い、13体の異形たちが争い覇権を競ったというそれはその異形たちがこの世界ではない魔境・異界より来たことから十三異界覇王大戦と呼ぶようになった。

 

 「この天井画はこの神社が建立される前にあった十三異界覇王大戦を描いたものらしい。」(柳韻)

 「この神社が建立されたのは確か安土桃山時代って。」(秋人)

 「恐らくは平安時代にも似たようなもん、あったろうけどな。ただ、戦国の真っ只中にそんな戦いが何度もあったとは思えねえけどな。」(柳韻)

 「周期があるかもしれない、ってことですか。」(秋人)

 「それが何年かずれるだろうけどな。神社の古い資料に目を通してみたが今起きている戦いの前は江戸時代から戦国時代だったろうな。それもこの天井画の戦いが前回大会だろうな。」(柳韻)

 「少なくとも300年前後になりますね。」(秋人)

 「まあ、おおむねその周期かもな。それと資料を見てもどいつが勝ったのかは分からんがな。もしかすると、優勝者なんて端から出す気が無かったとかな。」(柳韻)

 「まさか。これだけの戦いで勝者がいないなんて。」(秋人)

 「勝者が決まっていれば、俺達はこの世にはいないはずだろう?まあ、実際の処は分からんのはこれも変わんねえか。」(柳韻)

 

 この時の柳韻の「勝者はいない」という言葉、これは後に事実であることが判明する。その最中で十三異界覇王との戦いの中で最も激しい戦いが起きる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。