IS×仮面ライダー 炎竜シーズン2 仮面ライダー輝龍   作:柏葉大樹

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 柏葉家の地へ来た大樹と万夏の前に先代護龍、柏葉弘宗が変身したアギトヴォルカニックフォームが襲い掛かる。さらには、万夏が使おうとしたウィッチドライバーも一人でに動き、仮面ライダーウィッチとなって襲い掛かったのだった。


仮面ライダー輝龍 第17話

side3人称

 漆黒の空間にて、仮面ライダー輝龍ドラゴンフルーツアームズと仮面ライダーヴァルキリーブルーベリーアームズは仮面ライダーアギトヴォルカニックフォームと仮面ライダーウィッチと戦っていた。

 

 輝龍はアギトヴォルカニックフォームの攻撃をいなしながら、竜炎刀で隙を見つけては斬りつけていた。

 ヴァルキリーはウィッチに対してブルーライフルを連射し、懐に入り込んではブルーライフルの剣を突き出したり、鋭い蹴りを繰り出していた。

 輝龍が戦うアギトヴォルカニックフォームは受けた傷を意に介さず、剛力による攻撃で輝龍を追い詰める。

 ヴァルキリーと戦うウィッチは指輪による魔法とランスモードのウィッチランスケインで戦いを有利に進めていた。

 輝龍は激しい攻撃を冷静に、的確に躱していく。そこから攻撃に転じては、また攻撃を見切ることを集中する。ほんのわずかでも気を抜いてしまえば変身が解除されるほどの威力の攻撃を冷静に対処する輝龍。前世からの培われた戦闘経験を遺憾なく発揮して輝龍はアギトヴォルカニックフォームと戦う。

 自身の攻撃が当たらないことに苛立ちを隠せないアギトヴォルカニックフォーム。様々な人外を相手に戦っていた自分が目の前の相手に有効打を当てられないことにより怒りを燃やすようになっていた。

 単純な戦闘経験では輝龍がアギトヴォルカニックフォームを上回っている。

 輝龍にはアギトヴォルカニックフォームのように剛力に秀でている相手と戦った経験がある。かつてのサメインベス、ゴリラインベス、ティラノインベスなど剛力に秀でた相手に対して、輝龍は攻撃を見切りいなす、躱すなどの動きから攻撃へ転じていた。だが、その経験をもってしても輝龍はアギトヴォルカニックフォームに有効打を与えることが出来なかった。

 

 「やっぱり、再生能力が厄介だな。」(輝龍)

 

 自身の難病を完治させた自己再生能力、いざ自分がその戦う相手になるとその厄介さがより理解できる。ここまでで輝龍の攻撃はアギトヴォルカニックフォームには効いておらず、瞬時に回復してしまう。

 輝龍はまずは手数で攻めることで様子を見ることにする。

 

 ≪シークワーサー≫

 

 輝龍の頭上に鋼のシークワーサーが現れる。

 アギトヴォルカニックフォームの攻撃を躱しながら輝龍はロックシードを入れ替えた。

 

 ≪ソイヤ!シークワーサーアームズ!蒼雷、ライトニング≫

 

 輝龍はシークワーサーアームズにアームズチェンジ、蒼雷杖を構えてアギトヴォルカニックフォームに攻撃する。長いリーチと素早い連撃でアギトヴォルカニックフォームを牽制する。

 

 ヴァルキリーは放たれる魔法から距離を取りながらウィッチを狙い撃つ。お互いに遠距離攻撃を主軸とする両者の戦いは拮抗していた。ヴァルキリーは戦いの均衡を崩すために、別のロックシードを開錠する。

 

 「これなら、どう?」(ヴァルキリー≫

 ≪ブラックベリー!≫

 

 ヴァルキリーは重装甲形態のブラックベリーアームズにアームズチェンジ、大剣オニキスクレイモアを両手に持ち、ウィッチに斬りかかる。

 ウィッチはヴァルキリーの攻撃に魔法陣を展開して防御する。

 ヴァルキリーはドライバーを操作してオニキスクレイモアにエネルギーをチャージしてウィッチに向かって大きく振るう。エネルギーを帯びた刃は魔法陣を粉々にする。

 ウィッチは自身の防御を打ち破った刃をウィッチランスケインで防ぐ。

 ヴァルキリーはそのままオニキスクレイモアを握り直して、ウィッチに向かって行く。

 

 「あなたは誰なの。」(ヴァルキリー)

 

 オニキスクレイモアを振るいながらウィッチに問い掛けるヴァルキリー。だが、ウィッチは無言のままで言葉を発することは無かった。

 ヴァルキリーは答えが返ってこないことに違和感を感じながらもオニキスクレイモアを振るう。

 

 

 輝龍は戦極ドライバーを操作、アギトヴォルカニックフォームにボルトパニッシュを放つ。蒼雷杖の先端がアギトヴォルカニックフォームの胸部に当たり、ロックシードから流れるエネルギーがアギトヴォルカニックフォームの体内へと流れていく。流れるエネルギーはアギトヴォルカニックフォームを体の内側から爆ぜさせていく。

 

 「体内からなら、流石に効くだろ。」(輝龍)

 

 輝龍は蒼雷杖の先端を強く押し込む。だが、体内からダメージを受けているアギトヴォルカニックフォームは蒼雷杖を掴む。その力で蒼雷杖の先端を握りつぶした。

 輝龍は武器を破壊されたことで腰にある無双セイバーを抜いて、アギトヴォルカニックフォームに斬りかかる。それよりも早くアギトヴォルカニックフォームが固く握りしめた右手の拳を突き出すのが速かった。

 輝龍はそのまま胸部にアギトヴォルカニックフォーム一撃を受けて後方に勢いよく弾き飛ばされた。

 

 「っ、大樹!」(ヴァルキリー)

 

 輝龍が攻撃を受けて、ウィッチから注意をそらしてしまうヴァルキリー。そこをウィッチは魔法陣から大量の水を勢いよく放出、ヴァルキリーを押し流す。

 

 お互いに手痛い攻撃を受けて変身が解除された大樹と万夏。二人とも闘志は衰えてはおらず、再度変身しようとする。そこにアギトヴォルカニックフォームとウィッチが止めを刺さんと二人に向かって走り出す。

 大樹は咄嗟に万夏を抱きしめ、せめて自分が盾になって守ろうとする。

 万夏は襲い来る悲劇を想像して、瞳を強く閉じる。

 アギトの燃え盛る拳が、ウィッチの激流の魔法が大樹と万夏に襲い掛かるその瞬間だった。

 万夏の胸に青白い光が放出され、宙に魔法陣が描かれた。その光は魔法陣を通過すると巨大なウミヘビ型のモンスターに変化してアギトヴォルカニックフォームとウィッチを尻尾の一撃で吹き飛ばす。

 ウミヘビのモンスターは大樹と万夏をその背に乗せると漆黒の空間を切り裂いてその場から消えた。

 

 

side万夏

 私も大樹も死んでしまうかもしれないと思ったその瞬間、どこからか現れたドラゴンみたいなウミヘビ?に助けられてあの黒い場所からどこかの海のような別の場所に移動した。

 

 「ここならば、彼らから攻撃を受けることもないでしょう。」(???)

 

 ウミヘビのモンスターは砂浜に降りると背中に乗っていた私と大樹を砂浜に優しく降ろしてくれた。

 

 「あの、助けてくれてありがとう。」(大樹)

 「礼には及びません。会うのは初めてですね、現代の護龍と蒼龍の巫女。私はリヴァイアサン、蒼龍の巫女と共に護龍を支えてきました。」(リヴァイアサン)

 

 私と大樹を助けてくれたウミヘビ、リヴァイアサンは私と大樹の味方らしい。

 

 「あなたたち二人は神木が持つ護龍と蒼龍の巫女の記憶の断片を見たことでしょう。」(リヴァイアサン)

 「記憶の断片?」(マドカ)

 「最初に俺達が見たあの世界のことじゃないのか。」(大樹)

 「流石は現代の護龍。あなたたち二人が見たあの世界こそ、ここ柏葉の地の神木が見せた記憶です。ですが、長い時間の中で断片しか残っていません。あなたたちが見た彼らこそ護龍と呼ばれた青年、柏葉弘宗と蒼龍の巫女である夏江です。」(リヴァイアサン)

 

 弘宗さんと夏江さん、私達よりも前の護龍と蒼龍の巫女。あの二人の生活を見た私はとても他人事とは思えなかった。

 

 「柏葉弘宗と夏江に何が起きたんだ?さっきの様子だと、何かあったのは確かなはずだろ。」(大樹)

 「一瞬、目を閉じた夏江さんのことを弘宗さんが抱いているのを見たの。二人に何があったの?」(万夏)

 「分かりました。二人に話しましょう。」(リヴァイアサン)

 

 リヴァイアサンは私達にあの二人に何が起きたのか話してくれるようだった。

 

 「柏葉弘宗と夏江は幼馴染で許嫁でもありました。柏葉弘宗は村を納める柏葉家の跡取り、夏江はこの地の神社に仕える巫女でしたが二人は幼い頃より愛を育んでいました。しかし、二人の周りの環境が変わったのは柏葉弘宗がアギトの力に覚醒してからでした。」(リヴァイアサン)

 

 そう話すリヴァイアサンは私達に分かるように水面にその時の様子を見せてくれた。

 

 「人外と恐れられた弘宗を家族は勘当しました。でも、幼い頃より共に育った夏江は弘宗を神社に住まわせて世話をしました。弘宗はその恩を返すべく、村を襲う化生と戦っていました。化性と戦いながらも村では弘宗に対して村八分が続きました。ですが、神社では夏江を始めとしたごく少数の人が弘宗を支え続けていました。決して多くはない、数少ない理解者と共に弘宗と夏江は穏やかに過ごしていました。そんな中で柏葉家から夏江に新たな許嫁を取るように話がありました。その頃には弘宗と夏江はお互いに愛を育んでいたのですが、柏葉家は強引に話を進めました。それに異を唱えた弘宗は勘当した家に殴り込みを掛けました。その隙を、弘宗がいない時に神社を化生たちが襲いました。その時に夏江は命を落とすことになりました。知らせを聞き弘宗が駆けつけた時には神社の人間は皆命を落としました。化生たちはそのまま村の方へ襲おうとしましたが弘宗が全て殺しました。その時の出来事で弘宗は村の人間から護龍と呼ばれるようになりました。その心にあらゆるものを燃やし尽くさんとする怒りの業火を燃やし続けながら。」(リヴァイアサン)

 

 弘宗さんと夏江さんの別れの場面、私は前世での大樹との別れを思い出して涙が止まらなかった。

 

 「怒りの業火を燃やし続けた弘宗は憤怒を抱えて戦い続けました。死ぬその時まで戦いに身を置き、全てに怒りをぶつけながら。弘宗は大切なものを奪った者達への、大切なものを護れなかった自分自身への怒りを燃やし続けて生涯を閉じました。」(リヴァイアサン)

 「柏葉弘宗と夏江のことは分かった。でも、君は。君は全てを知っているようだけど、何者なんだ。」(大樹)

 

 大樹がリヴァイアサンに問い掛けた。私は流れた涙を拭いて、リヴァイアサンを見る。

 

 「私はファントムと呼ばれる存在です。私は夏江の中に、その心のなかに彼女が生まれた時から居ました。私は夏江の死と共に覚醒して、世に生まれました。夏江は死の絶望の中でありながら最後まで弘宗のことを思っていました。私は夏江の思いを継いで弘宗を支えました。ですが、私のことを最期まで彼は受け入れることはありませんでしたが。」(リヴァイアサン)

 

 仮面ライダーウィザード、晴人さんたちが戦う魔獣ファントム。目の前の彼女もそのファントムだけど、その雰囲気は優しいもので安心感を覚えた。

 

 「じゃあ、俺がアギトに変身した時に感じた怒りの感情は柏葉弘宗のものだったのか。」(大樹)

 「ええ。アギトの力をあなたが受け継ぐと同時に彼の怒りの感情もあなたの中に入ってしまったのでしょう。」(リヴァイアサン)

 

 大樹がアギトに変身したあの様子、大樹が持っていた感情じゃなかったことに私は安心した。あんな、狂ったように怒るなんて大樹にはできないことだから。

 

 「君が俺達を助けてくれたのはマドカが今代の蒼龍の巫女だから、君がマドカの体内にある魔法石に宿っているからか?」(大樹)

 「ええ。私はずっと私の力を持つべき者を待っていました。そして、私はあなたたちに全てを話すために覚醒しました。」(リヴァイアサン)

 

 大樹の問いに答えてくれたリヴァイアサン。

 

 「あなたたちを襲ったのは柏葉弘宗が生涯抱き続けた憤怒と夏江が死んだ後も残り続けた妄執です。あの二人が使うであろうはずだった力、それをあなたたちが手にした結果が歪なままにその力を使うことになりました。それが、神木の記憶と惹かれ合って肉体を得ました。あなたたち二人にお願いがあります。あの二人を開放してください、その怒りと妄執から。護龍と蒼龍の巫女に選ばれ、新たな未来を進もうとするあなたたちの手で弘宗と夏江を救ってください。」(リヴァイアサン)

 

 リヴァイアサンの話を聞いて、私はもう心は決まっていた。それは大樹の同じだったみたい。

 

 「頼まれなくても、あの二人を救う。」(大樹)

 「私達がきっと助ける。」(万夏)

 

 私も大樹もリヴァイアサンをまっすぐ見て言った。

 

 「分かりました。では、二人とも強く思ってください。ここは神木が見せる世界、あなたたちが強く思う力をその手にすることができるはずです。」(リヴァイアサン)

 

 リヴァイアサンの言葉に私はあることを強く思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side3人称

 リヴァイアサンの話を聞いて大樹と万夏は強く思う。

 

 (俺に、俺に愛する人達を護る力を。)(大樹)

 (私に愛する人の未来を切り開く力を。)(万夏)

 

 二人が思い描く力、大樹の愛する人達を護りたいという思いが、万夏の愛する人の未来を切り開くという思いが神木の作ったこの世界において奇跡を起こす。

 大樹が持っていたゴールデンドラゴンフルーツエナジーロックシードが、大樹の思いを受けて新たなロックシード、金と赤に彩られた大型のロックシード=バハムートロックシードに変化する。

 万夏の思いはリヴァイアサンに影響を与えていた。精神世界に住むファントムである彼女は万夏の強い思いを受けてその身を変化させた。リヴァイアサンは紺碧に紫のラインが走るリヴァイアサンロックシードへと変化したのだった。

 

 (お願いします。護龍と蒼龍の巫女を救い、あなたたちが進む未来へ。)(リヴァイアサン)

 

 大樹と万夏は新たなロックシードを手にして、アギトヴォルカニックフォームとウィッチが待つ漆黒の空間へ戻った。

 

 突如、姿を見せた二人に戦意を露にするアギトヴォルカニックフォームとウィッチ。対する大樹と万夏は戦極ドライバーを腰に装着し、新たに手にしたロックシードを掲げる。

 

 「「変身!!」」(大樹、万夏)

 ≪バハムート!≫

 ≪リヴァイアサン!≫

 

 開錠したロックシードを戦極ドライバーにはめ、同時にカッティングブレードを下ろした。

 

 ≪ソイヤ!バハムートアームズ!龍帝、バーニングブレイズ!!≫

 ≪カモン!リヴァイアサンアームズ!龍后、ダイダルウェイブ!≫

 

 ロックシードから音声が流れると大樹の頭上に金と赤の巨大な鋼のドラゴンが、万夏の頭上に紺碧の鋼の体に紫のラインが走る巨大なウミヘビが現れる。

 アギトヴォルカニックフォームとウィッチを牽制するドラゴンとウミヘビは大樹と万夏に近づくと体がバラバラにはじけ飛び、大樹と万夏の体に鎧として纏われていく。変身が完了するとそこには金と赤の龍を模した鎧を全身に纏う龍戦士と紺碧に紫のラインが走るウミヘビを模した鎧を纏った戦乙女が居た。

 

 仮面ライダー輝龍バハムートアームズ、仮面ライダーヴァルキリーリヴァイアサンアームズ。原初の巨獣の名を冠する鎧を身に纏い、憤怒の化身となった古の戦士と妄執の亡霊と化した巫女と対峙する。

 

 「俺は人間として、仮面ライダーとしてあなたを超える。」(輝龍)

 「私は人間として、仮面ライダーとしてあなたを止める!」(ヴァルキリー)

 

 強い決意を持ってアギトヴォルカニックフォームとウィッチを見据える輝龍バハムートアームズとヴァルキリーリヴァイアサンアームズ。二人は背中合わせで目の前の相手に向かって、ある言葉を言い放つ。

 

 「「この戦い、俺(私)たちが勝ち取る!!」」(輝龍、ヴァルキリー)

 

 その言葉を聞いたアギトヴォルカニックフォームとウィッチは輝龍とヴァルキリーに襲い掛かる。

 輝龍はゴールドドラゴンフルーツアームズと同様に光龍剣と竜炎刀・陽炎を両手に持ち、アギトヴォルカニックフォームの攻撃を防御する。

 ウィッチの魔法をヴァルキリーはリヴァイアサンアームズの武器であるリヴァイアガンソードでまるでバターを熱したナイフで切るかのように切り裂いた。

 

 「ふざけるな!!死ね!!」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 アギトヴォルカニックフォームは拳に高熱を帯びて輝龍に殴り掛かる。

 輝龍はアギトヴォルカニックフォームの拳を光龍剣、竜炎刀・陽炎で受け流していく。ドラゴンフルーツアームズで戦闘していた時よりも一つ一つの攻撃を受け止めながらさばいている。

 

 「ふざけていない。あなたのその怒り、俺が受け止める。今までのように、大切な人を護るだけじゃない、人間として、仮面ライダーとして俺は愛する人達を護りたい、絶対に護る。」(輝龍)

 

 輝龍は攻撃を受け流しながら、胸中の思いを口に出す。

 

 「今までの俺はあなたと同じだった。ただ、愛する人との生活さえ続けば良い、愛する人たちが幸せならそれだけで良いって。でも、それじゃあ不十分だった。そのために、絶対に生きて帰る覚悟が、戦い続けても必ず帰るって言う覚悟が俺には無かった。」(輝龍)

 

 輝龍はリヴァイアサンから柏葉弘宗の話を聞いて、彼と自分が似通った人間だと思った。だからこそ、大切な人を失った自分がどうなってしまうか、それを弘宗に写していた。

 輝龍=大樹は自分がそうなってしまうと考えたが、その怒りを燃やし続けるほどの激情を持ってはいなかった。だからこその自己犠牲だったが、それは大樹が自分は仮面ライダーにはなれないと思っていたからに過ぎない。柏葉弘宗を止めるために、大樹は、輝龍は初めて仮面ライダーとしてあろうとしていたのだ。そうでなければ、古の仮面ライダーである彼を越えねば、彼を止めることなど、救うことは出来ないと強く思ったからである。

 輝龍の独白に対してアギトヴォルカニックフォームはヴォルカニックライダーパンチを放った。普通であれば、受けてしまえばひとたまりもない一撃。それを輝龍はただ、右手の掌を広げて待った。

 アギトヴォルカニックフォームの拳が輝龍の右手にぶつかった。本来なら、受けた右手が爆ぜてしまう一撃、それを輝龍は真正面から受け止め、アギトヴォルカニックフォームの拳を握っていた。

 

 「でも、その覚悟はもう俺の中にある。今までの俺を超える、そのために生きて帰る覚悟を、俺はもう持っている。」(輝龍)

 

 その言葉にあるのは強い思い。ここまでの戦いで輝龍は既に自分の帰るべき場所が、帰りを待ってくれる愛する人達が居ることを知っている。その人達の元に生きて帰る覚悟を、その人達を絶対に護りたいという強い思いを持った輝龍は本当の意味で名乗りを上げる。

 

 「俺は柏葉大樹、仮面ライダー輝龍だ。愛する人達を護る、仮面ライダーだ。」(輝龍)

 

 輝龍はアギトヴォルカニックフォームの拳を離す。光龍剣と竜炎刀・陽炎を合体させた光炎龍剣・ナギナタモードを構える。

 

 「柏葉弘宗、古き時代の戦士護龍。あなたを止める。」(輝龍)

 

 輝龍は光炎龍剣を振るい、アギトヴォルカニックフォームの肉体に斬り傷を付けていく。付けた傷は端から再生していくために無駄と思われるその攻撃だが、輝龍が光炎龍剣を振るうたびにその傷はどんどんと増えていった。技の切れが、威力が徐々に上がっているために、アギトヴォルカニックフォームの再生力を徐々にだが突破することができるようになっていたのだ。

 輝龍バハムートアームズ、巨龍バハムートを模したこの姿の最大の能力は変身者である大樹の「愛する人達を護るという強い思い」に応じてその能力が上昇していくことである。つまり、大樹のその思いが強ければ強い程に輝龍バハムートアームズは強大な力を発揮することが出来る。アギトヴォルカニックフォームの攻撃を受けて無傷だったのも、再生能力を超えての攻撃を繰り出し続けることができるのはその能力にある。

 アギトヴォルカニックフォームは自身の肉体に深々とつけられていく傷を見て、より激昂する。その憤怒を現すように肉体から高熱を帯びさせていく。アギトヴォルカニックフォーム。

 輝龍は光炎龍剣を構えて、アギトヴォルカニックフォームに斬りかかる。守勢から攻勢へ転じ、戦いを終わらせるべく輝龍は駆け出す。

 

 一方のヴァルキリーは持ち前の反射神経でウィッチの攻撃を躱しながらリヴァイアガンソードを振るう。

 ウィッチは魔法陣を出してヴァルキリーの攻撃を防ごうとする。だが、ヴァルキリーの振るうリヴァイアガンソードはウィッチの魔法陣をまるで紙のように容易く切り裂いた。

 リヴァイアガンソードの刃は魔法陣を切り裂き、ウィッチの体にも当たり火花を散らした。

 ウィッチは何が起きたのか理解できなかったが新たに魔法を使い、水の鎖でヴァルキリーを拘束しようとする。

 魔法でできた水の鎖をヴァルキリーは軽やかに躱してリヴァイアガンソードで容易く切り裂いていく。

 ウィッチはさらにヴァルキリーを変身解除まで追い込んだ津波を発生させる魔法を使い、ヴァルキリーを押し流そうとする。

 ヴァルキリーはウィッチの動きを見て、リヴァイアガンソードを変形させて銃型のガンモードに変形させる。そして、変形させたリヴァイアガンソードの銃口をウィッチに向けて引き金を引いた。

 リヴァイアガンソードの銃口から放たれた光弾は水流を切り裂き、魔法陣を撃ちぬいてウィッチにまで届いた。

 

 「今のあなたに私の攻撃は防げない。私の力は大樹の未来を切り開く力、どんな障害でも私に崩せない物はない。」(ヴァルキリー)

 

 ヴァルキリーリヴァイアサンアームズの特殊能力、それは「あらゆる障害を突破、切り開く力」である。例え、全ての攻撃を防ぐ盾であってもヴァルキリーリヴァイアサンアームズはそれを打ち破る。相手がどんなに強い力を持っていようとそのすべてを突破する力を今のヴァルキリーは持っている。

 ウィッチはその妄念のままに、決められた動きを繰り返すようにヴァルキリーに魔法を放つ。

 ヴァルキリーはリヴァイアガンソードの銃口を向けて、ウィッチの魔法を放たれる前に魔法陣を撃ち抜いていく。

 ウィッチの、蒼龍の巫女夏江の妄執。それを相手にするヴァルキリー=万夏は前世での大樹との別れを思い出していた。その時の、言い表せないほどの深い悲しみ、喪失感は彼女の中にまだ息づいていた。愛する人を残して去ってしまうことを、その苦しみを考えるだけで万夏は胸が苦しくなった。だからこそ、万夏は愛する人と共に生きる戦乙女としてではなく、愛する人の未来を切り開く仮面ライダーとして戦うことを決意したのだった。その決意の元で彼女を止めるために。

 

 新たな力を手にした輝龍とヴァルキリーの前に追い詰められだしたアギトヴォルカニックフォームとウィッチ。

 アギトヴォルカニックフォームは自身を追い詰め始めている相手になぜという思いを抱き始めていた。だが、それも全てを燃やす怒りの炎に変わってしまう。今の彼にはその心を燃やす怒りの炎しかない。

 ウィッチはただただ攻撃をするだけだった。なぜならば、今の彼女はかつての夏江の妄執であり、そこにはもうかつての思いがほとんど残っていない。彼女は今の自分のことを理解することも出来ずに傷ついていくだけだった。

 

 「もう終わりにしよう。」(輝龍)

 ≪ソイヤ!バハムートスカッシュ!≫

 

 輝龍は戦いを終わりにするべく、戦極ドライバーを操作した。

 戦極ドライバーから光炎龍剣ナギナタモードにエネルギーが走る。輝龍はアギトヴォルカニックフォームに対して自身がこれまでに磨いてきた得意技、それも自身が磨き続けて編み出した必殺の技を放つ。

 輝龍は光炎龍剣を振るい、X字の斬撃を放ち、斬撃はアギトヴォルカニックフォームを拘束する光の輪となる。

 輝龍はアギトヴォルカニックフォームに向かって一直線に突進、その胸に光炎龍剣の刃を突き立てた。ナギナタ無双スタッビング、その強化技である薙刀龍帝スタッビングがアギトヴォルカニックフォームに炸裂する。

 

 

 ヴァルキリーも目の前のウィッチを哀れに思い、せめて一思いに終わらせることにした。

 

 ≪カモン!リヴァイアサンスカッシュ!≫

 

 戦極ドライバーからリヴァイアガンソードの銃口にエネルギーが集まっていく。

 銃口をウィッチに向けるヴァルキリーは引き金を引いた。銃口から放たれた極大レーザー、エンプレスサファイアフレアがウィッチに放たれた。

 

 「ッ、夏江!!」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 アギトヴォルカニックフォーム=柏葉弘宗は胸に突き立てられた刃を無理矢理引き抜き、ウィッチ=夏江の元へ走る。内側から焼かれる中で弘宗はエンプレスサファイアフレアの前に、ウィッチの前に身を投げたのだった。

 

 「アアアアアアアアアアアアアアア!!」(弘宗)

 

 変身が解かれる中ですべてを浄化する紺碧の光に身をさらす弘宗。そこにあったのは怒りではなく、愛する人を護りたいという思いだけだった。だが、浄化の光は弘宗を貫き、ウィッチにまで届く。ウィッチの鎧が、衣が、ウィッチドライバーが光を受けて崩壊していく。

 

 「ダメだ!!」(弘宗)

 

 弘宗は消えいくウィッチを抱きしめて、その場に繋ぎ止めようとする。

 

 「今度こそ、今度こそは、だから消えないでくれ!!」(弘宗)

 

 懇願の声も空しく、ウィッチも自分自身すらも崩壊していく。

 

 「頼む、頼むから、置いて行かないでくれ!。」(弘宗)

 

 そこにあったのは人の心が宿った涙だった。それを見たウィッチは弘宗の涙を指先で拭う。その動作は先程までとは違い、明らかに変身した人物の意思があった。

 

 (今度こそ、共に逝きましょう弘宗様。あちらで皆が待っています。)(夏江)

 

 声ではない、だが明確な意思が伝わる。それを聞いた弘宗は首を横に振る。

 

 「イヤだ、俺はお前と共に居たい!まだ、まだ!!」(弘宗)

 (弘宗様、置いては行きません。これからは共に、それこそ、これまで以上にお傍におります。私と共に居たくない、そう思わせてしまうかもしれないほど長い時間を共に過ごすのです。)(夏江)

 

 光の中で対話する二人。永劫の時をさまよい続けた二人がやっと共にあれたのだ。

 

 「俺は、俺はお前に何もできなかった。護ることも、共に過ごすことも。こんな俺にお前のそばにいる資格はない。」(弘宗)

 (相変わらずの頑固者ですね。そんな頑固者相手に巫女がそう簡単に閨に誘いませんよ。あなたの、あなた様のその強い思いに惹かれたのです。だからこそ、今度こそは私の言うことを聞いてもらいますよ。)(夏江)

 

 対話をする中で既にウィッチの変身も解かれていた。そこにいたのは美しい巫女、夏江だった。夏江は弘宗の手を取る。

 

 「さあ、行きますよ。これからはあの二人が私達の思いを継いでくれます。私達は天上から彼らを見守りましょう。」(夏江)

 

 夏江は弘宗の手を引き、歩き出す。涙を流す弘宗は涙を拭いて、笑顔を見せる。

 

 「ああ。このままでは俺の子孫に笑われるな。」(弘宗)

 「ええ。さあ、行きましょう弘宗様。」(夏江)

 

 白い光が差す方へ歩き出す二人。その光に包まれると同時にエンプレスサファイアフレアの光が消えた。そこにはもう何も残っていなかった。

 

 「ねえ、大樹。聞こえてた?」(ヴァルキリー)

 「ああ。聞こえた。」(輝龍)

 「私達はずっと一緒だよ。」(ヴァルキリー)

 「ああ。でないと、ご先祖様がたたりに来るかもな。」(輝龍)

 

 古の戦士、その戦士を愛した巫女の思いを継いで輝龍とヴァルキリーは共に生きる。そして、漆黒の空間が光で満たされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 白い光が消えると大樹と万夏は元いた寂れた村の神木前にいた。

 

 「いつの間に?」(万夏)

 「時間は、と全然経ってない。」(大樹)

 

 大樹はスマホの時計を確認する。その時刻はここに着いた時のままだった。

 

 「あれ、ウィッチドライバーと指輪が無い!!」(万夏)

 「え?マジ?」(大樹)

 「無くなったの?どうして?」(万夏)

 「あれだけ派手にやれば無くなるもんじゃない。」(大樹)

 「私がやったの?まだ、輪島さんたちに見せないといけないのに。」(万夏)

 (大丈夫ですよ、私がいるのであれば指輪とドライバーが無くても問題は無いですよ。)(リヴァイアサン)

 

 混乱する万夏のズボンのポケットにはリヴァイアサンロックシードがあり、そこからリヴァイアサンの声が聞こえてきた。

 

 「でも。大樹のお父さんとお母さんが残したものなのに。」(万夏)

 「良いよ、俺は。万夏たちが居てくれるなら十分だよ。」(大樹)

 

 そう言う大樹の手にはバハムートロックシードと、新たなロックシードがあった。アギトヴォルカニックフォームの横顔が書かれたロックシードを見る大樹の表情は決意を秘めながらもどこか晴れやかだった。

 

 「おい、そこにいる二人組!!」

 

 大樹と万夏に声を掛けた人物が居た。

 

 「まあ、今日の寝泊まりするところに困ることは無いみたいだし。」(大樹)

 

 大樹と万夏はそのまま声のする方へ移動を始める。その二人を見守るように神木に柏葉弘宗と夏江の幻影が立っていた。その表情は穏やかで遂に安らぎの時間を得られたのだった。




 残る十三異界覇王はファブニール、アークを含めた5体。遂に、十三異界覇王大戦を仕組んだ魔蛇の目論見が明かされる。それと同時に明かされるファブニール=異世界の大樹の旅路。これは邪龍へ落ちし焔の龍が辿った旅路である。
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