IS×仮面ライダー 炎竜シーズン2 仮面ライダー輝龍   作:柏葉大樹

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 前回の話から1か月近くお待たせしてしまい申し訳ございませんでした。
 ほぼほぼ月光機ミカヅキ(雨宮慶太監督による特撮番組、全6話で後半は次回放送まで1か月ほどかかった)状態になっていますが前回の予告通り、颯斗が主人公の番外編的な話です。
 なお、当初は第29話のみの予定でしたが執筆した結果全3話でお送りすることになってしまい申し訳ございません<m(__)m>。なお、十三異界覇王大戦編の最終戦も執筆中ですので今しばらくお待ちください。

 それでは、今回の話もどうぞ!!


仮面ライダー輝龍 第29話

side颯斗

 IS学園でのファブニール、異世界の大樹との戦いに決着が着いてから半年がたったある日のこと。これは僕がお正月に体験した出来事。正確には、年が明けての元旦の昼時だった。

 

 「ひい、ふう、みい、よう。おお、これだよ、これだよ。」(颯斗)

 

 僕は今年も特大で大量のきな粉餅を目の前にしていた。僕はとにかくきな粉餅が大好き、どれくらい好きかというと小さい時はそれこそ毎日お母さんにねだるほどだった。ちなみに、僕は毎年毎年きな粉餅を大量に食べるため、何度か喉に詰まりかけたことがある。その度に怒られるけど、これは早々に辞められない。

 

 「いただきまーす!」(颯斗)

 

 その中で僕はきな粉をたっぷりかけたきな粉餅を口いっぱいに頬張った。口いっぱいに広がるきな粉の香ばしい香りに餅の食感が心地良い。そして、それを数回咀嚼して飲み込んだ。1個目、2個目と次々と口の中に運んでいく。

 

 「んぐ、ぐっ!!んん!!」(颯斗)

 

 餅が喉を塞ぎ、呼吸が出来なくなった。呼吸が出来ずにジタバタと暴れる。薄れる意識の中で僕は残りのきな粉餅を食べられないことを悔やんだ。そんな後悔の中、徐々に僕の意識は薄れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…、…と、お…。」(???)

 

 薄れる意識が徐々に目覚め始めた。何だか、誰かが僕を呼んでる気がするけど。

 

 「…、…やと、はやと。颯斗!放課後だぞ。起きろ。」(???)

 「んん?」(颯斗)

 

 僕は顔を上げて瞼を開けるとそこには見慣れない制服を着た大樹がいた。

 

 「大樹?」(颯斗)

 「まだ寝ぼけてんの?もう放課後だからさ、起きなって。」(大樹)

 「???」(颯斗)

 

 頭の中が疑問符で埋め尽くされる。ぼくはさっきまで家に居たはずなのに、気が付けば見慣れない教室で寝ていた。

 

 「ここ、どこ?」(颯斗)

 「いや、本当に寝ぼけてる?俺達の学校だよ。で、俺達の教室2年C組。」(大樹)

 

 大樹の説明に理解が追い付かない。

 

 「え、ここIS学園じゃなくて?それと僕達、別の学科でクラスも違うはずだけど?」(颯斗)

 「まだ、寝ぼけてんの。男がIS学園に行けるわけないでしょ。ここ、藍越学園だよ。それと去年から同じクラスなのにさ。」(大樹)

 

 大樹の言葉を理解することが出来なかった。なぜなら、僕の知っていることと全く違うことを言っていた。それも、ただ冗談を言っているだけなら分かる。でも、大樹はこんなことを冗談でも言わない。それに、今は大樹が話している中で全く冗談を話しているように感じられなかった。

 狐につままれる、そんな状況になった僕はただただ帰る支度をするほかになかった。

 帰り支度を終えた僕を待っていた大樹と共に学校を出る。

 僕たちが出た学校は僕の知るIS学園では無かった。確か、大樹と一夏の友人の五反田君が通う私立の学校、藍越学園だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side3人称

 颯斗は大樹に促されるままに家路に着く。どうやら、自分と大樹がここ藍越学園に通っていることそのものは事実らしかった。自分の記憶との違いに戸惑う颯斗。それを見た大樹はおかしいと思いながらも二人は家路に着くのだった。

 それぞれの家に向かう中、颯斗は自分の身に起きたことを考え続けていた。そんな中で歩いているため、颯斗は大樹の様子に気付くことが出来なかった。

 この時、大樹は家のある方向では無く、別の方向に視線を向けていた。その表情はとても鋭くものだった。

 この時の大樹の表情を颯斗が見ていれば、それが戦いの場でよく見るものだとすぐに気づいたはずだった。

 

 「う~ん、なんなんだ一体。」(颯斗)

 

 颯斗がそう独り言ちた時だった。

 ダッ!と隣で誰かが駆け出した音が聞こえた。

 

 「ん?あれ、大樹?」(颯斗)

 

 颯斗が隣を見るとそこに大樹の姿は無く、目をぱちくりさせるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 颯斗を置いて走り出した大樹は街中のある場所へ到着した。

 大樹の視線の先には年若い男女のカップルを狙う昆虫の異形が居た。

 人類の創造主、闇の力=オーバーロードの僕である超越生命体アンノウンの一体である。

 漆黒の甲殻に天を貫く一本角、カブトムシの特質を有するビートルロードである。

 ビートルロードはカップルに狙いをつけると殺しのサインを切っていた。その瞬間だった。

 カップルへと近付こうとしたビートルロードを何者かが背後から蹴り飛ばしたのだ。

 

 「おい、物陰からカップルの観察なんて趣味の悪い天使だな。」(大樹)

 

 走ったために息が上がりながら大樹がビートルロードに声を掛けた。

 ビートルロードを蹴り飛ばしたのは大樹であり、その妨害によってカップルは大樹とビートルロードに気付くことなくその場から離れていった。

 ビートルロードは横やりを入れて来た大樹に視線をやる。表情は分かりにくいが強い不快感を現していた。

 ビートルロードは角から打ち込まれたものを灰へと変える小針を大樹に向かって撃ちだした。

 大樹は背負っていたリュックを放り投げながらビートルロードの小針を躱す。

 アスファルトの上を転がりながら、大樹は右手と左手でまるで日本刀を抜くような動作を取った。次の瞬間、大樹の腰に黄金に輝くベルト=オルタリングが出現した。

 それを見たビートルロードは驚きと共に大樹のことを警戒する。それが、今は長き眠りにつく主が殲滅せんとした存在を証明することを知っていたからである。

 

 「変身!!」(大樹)

 

 大樹はオルタリングのボタンを両手で押し込む。その瞬間、オルタリングから波動が溢れ大樹を包む。その直後、オルタリングから眩い光が放たれ大樹の全身を隠す。光が消えるとそこには姿を変えた大樹の姿があった。

 人類の進化系の一つ、闇の力と争った光の力が人類に与えた力。アギト、仮面ライダーアギト。その基本形態である黄金のグランドフォーム。大樹が変身したのは人類の進化系であるアギトそのものだった。

 アギトはファイティングポーズを取るとビートルロードに向かって走り出す。

 ビートルロードは頭上に光の輪を出現させ、そこからメイスと盾を取り出した。

 アギトに対しメイスを振るうビートルロード。それに対してアギトは腕の装甲でメイスの柄を受け止め、盾で防御できない右の脇腹に蹴りを入れる。

 ビートルロードが怯んだところをアギトはすかさず追撃する。その顔面に強烈な右ストレートを浴びせるとストレートキックを放つ。

 ビートルロードは咄嗟に左手に持った盾でアギトのキックを防御する。距離が離れるもビートルロードは右手に持ったメイスをアギトに振り下ろす。連続で振るわれるメイスは風を斬りながらアギトに迫りくる。

 自身に迫るメイスをアギトは冷静に見切り、それをすれすれのところでかわしていく。

 ビートルロード、アギト=大樹が交戦している個体はメイスと盾を使用した攻防一体の戦いを得意としている。メイスによる強烈な一撃にかつてG3-Xとギルスの攻撃さえも防いだ盾は並大抵の相手では突破することは出来ない。過去に出現した個体は津上翔一が変身した仮面ライダーアギトシャイニングフォームによって撃破された。それほどまでの強敵にアギト=大樹は対峙していた。

 大樹=アギトは目の前の相手の武器から即座にその戦い方を理解した。そのため、不用意に攻めるのではなく相手の攻撃に対してかわしながら一撃必殺のカウンターで仕留める戦法を取った。戦いを終わらせるべくアギトは攻撃を躱しながらオルタリングの右のボタンを押し込んだ。

 オルタリングの中央にある賢者の石が赤く変わると同時にアギトの姿を覆うように波動が溢れる。波動が消えると赤い右腕に深紅の剣=フレイムセイバーを持ったフレイムフォームとなっていた。

 アギトフレイムフォームはビートルロードのメイスをフレイムセイバーで防御する。

 突如、姿を変えたアギトにビートルロードは変わらずに攻撃を続けるもその攻撃はフレイムセイバーに全て阻まれる。その防御を崩すために一際大きくメイスを振りかぶった。

 メイスが外れたその瞬間、アギトは右肩からビートルロードに突っ込む。

 メイスを大きく振りかぶっていたため、盾も体の中心から外れていた。急に突っ込んできたアギトの動きに反応できずに体制を大きく崩すビートルロード。

 遂にできた必殺の勝機、アギトはフレイムセイバーの柄に備わった角を展開する。柄にある角が2本から6本になった瞬間、フレイムセイバーの刃に陽炎が揺れる。がら空きになった胴に対して、アギトはフレイムセイバーを真一文字に振るった。

 ビートルロードの胴にフレイムセイバーを振るわれたことで生じた切り傷が出来ていた。その切り傷から爆炎が上がり、ビートルロードの頭上に光の輪が現れる。

 ビートルロードは苦しみながら全身を炎に焼かれ爆散した。

 ビートルロードの撃破を確認したアギトは変身を解除する。

 

 「はあ、はあ、帰るか。」(大樹)

 

 大樹は近くにアンノウンが居ないことを確認すると地面に投げ捨てていたリュックを持つ。

 

 「うわ、こんな時間だ。あ、颯斗のことをほっといていたな。後で謝っとかないと。」(大樹)

 

 そう言いながら家路に着く大樹。この世界でも人類の未来を脅かす敵との戦いはあったのだ。その戦いの中に、大樹はその身を置いていた。

 息が上がりながら大樹は戦いの場から離れるのだった。

 颯斗が迷い込んだこの世界は、颯斗が生まれ育った世界とは別の世界である。その違いをこの時の颯斗は知ることは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 都内某所、川の氾濫を防ぐために建設された緊急貯水槽。知らない人間が見れば巨大神殿と見まごうそこには水とは別の者達で満たされていた。

 アリがそのまま人間になったかのような異形、アントロード。アンノウンの中でも集団戦を得意とする種族である彼ら。軍隊アリの特性を有する漆黒のフォルミカ・ぺデスは数え切れないほどの数で貯水槽を埋め尽くしていた。

 無数のフォルミカ・ぺデスを統率する役目を担うのは赤く染まった胸部の甲殻と右手に持った大鎌が特徴のフォルミカ・エクセス。そして、そのエクセスをも統べるクイーンアントロード。その彼らは皆、ある一体の異形を前に膝を着いていた。その様子からその異形がアントロードたちよりも高位の存在であることが窺い知れた。

 

 「さあ、時は来た。我らが主の命を果たす時だ。今度こそ、アギトを根絶やしにするのだ!」(???)

 

 その異形、バッファローの特質を有するバッファローロードは手に持った槍を掲げ叫ぶ。

 今は沈黙し、人類の行く末を見守る選択をした闇の力。その彼の配下であるアンノウンは闇の力の選択から人類、正確にはアギトに覚醒する人々を殺害することを辞めていた。だが、彼らの一部は未だにアギト、正確には人間の殲滅を目論んでいた。それを先導するのはこのバッファローロードであった。

 

 「まずは、海に浮かぶ醜い島。そこにいるアギトに進化するやもしれぬ者達の抹殺だ。」(バッファローロード)

 

 バッファローロードが槍で指し示した方角、そこにはIS学園があった。

 バッファローロードの指示を聞き、アントロードたちが動き出す。かつて、自衛隊を襲った惨劇。超能力者を使ったG4システムを使ったことにより、大量のアントロードを呼び寄せてしまい甚大な被害を出した。その当時のような惨劇がIS学園で再び起きようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自宅に帰って来た颯斗は即座にこの世界に関することを調べていた。過去に起きた事件を徹底的に調べていた。

 

 「う~ん、IS学園関係は全然違うなあ。男性操縦者なんか一夏だけだし。」(颯斗)

 

 その結果、自身が入学したIS学園関係の出来事そのものが全くないことを知ることになった。また、幼少期のアルバムを見て、幼馴染である簪と本音との関わりが一切ないことも知ることとなってしまった。そして、颯斗の戦友であるロイミュードのハート、ブレン、メディックとも出会っておらず、マッハドライバーも手元になかったのだ。

 

 「ここじゃあ、僕はただのモブか。」(颯斗)

 

 ベッドの上でそう独り言ちる颯斗。戦う力を持たない、その状況が今の颯斗にとって重くのしかかる。正義のヒーローに憧れ、挫折を経験し、ヒーローとして再び立ち上がった颯斗にとって戦う力が無いことは胸中に大きな不安を感じていた。だが、挫折を経験し、再び立ち上がった彼は戦う力を持っていない事実では心が揺らぐことは無い。

 

 「でも、こんな僕にもできることがある。」(颯斗)

 

 その瞳はどこか強い色を持っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は変わり、本来の世界。

 

 「颯斗!颯斗!あれだけ、食べないでって言ったのに!!」(簪)

 

 自宅で泡を吹きながら倒れている颯斗を簪と颯斗の母が介抱していた。




 バッファローロード率いるアントロードの襲撃を受けるIS学園。
 大樹はマドカの危機を察知して戦いの場へ向かう。
 この世界で戦う力を持たない颯斗。戦う力を持たない彼もIS学園へ急ぐ。
 颯斗が見るのはアギトとなって戦う大樹の姿。この世界で颯斗は何を掴むのか。
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