IS×仮面ライダー 炎竜シーズン2 仮面ライダー輝龍 作:柏葉大樹
29話から始まったお正月ストーリー(もう5月も終わりなんですが)、ついに完結です!!
それでは、どうぞ!!
side3人称
颯斗が迷い込んだのは別の世界、そこでは自身と大樹はIS学園では無く藍越学園に通っていた。なお、その世界では颯斗はロイミュードたちとの出会いは無く、戦う力を持たない普通の高校生として暮らしていた。
この世界ではかつて人類の創造主である闇の力の僕であるアンノウンが今もなお平穏に暮らしている多くの人々を脅かしていた。
アンノウンたちから人々を守るためにアギトの力に覚醒した大樹は仮面ライダーアギトとして戦っていた。そんなな中、アンノウンの一体であるバッファローロードがアントロードたちを率いてIS学園へ狙いを定めていた。
ビートルロードとの戦いを終えた大樹は帰宅していた。
「ただいま。」(大樹)
戦いの疲労が滲み出ているもののはた目から見れば学校での疲労に見えるだろう。
なお、大樹のただいまと言う声に返事を返す人物はいない。
大樹は荷物を持ったまま、自室へ入っていった。
自室に入り、荷物を置いた大樹は制服からジャージに着替えてベッドの上に身を投げた。
疲労がある中で大樹はハンガーにかけた制服のポケットからスマホを取り出してある電話番号にかけた。
数度のコールの後に電話の相手が出た。
「もしもし?」(???)
「今、帰って来た。」(大樹)
「そう、お帰り。」(???)
「ただいま、マドカ。」(大樹)
電話の相手はこの世界の織斑マドカ、秋宮マドカであった。大樹はそのまま今日学校であったことをマドカに話し始める。一方のマドカもIS学園であった出来事を大樹に話していく。
ひとしきり学校での出来事を話した大樹とマドカ。その後、マドカが大樹にある話題を切り出す。
「ねえ、また戦ってたの?」(マドカ)
マドカに言葉にやや口ごもる大樹。マドカの言葉に大樹は正直に答えた。
「うん。また、アンノウンが出てさ。」(大樹)
「無茶してない?」(マドカ)
「いや、それは大丈夫。そっちにアンノウンが出たってことはない?」(大樹)
「今の所は無いよ。」(マドカ)
マドカの言葉に安心する大樹。だが、どこで何が起きるか分からない以上は油断はできない。
「何かあったら、すぐに連絡して。」(大樹)
「うん。じゃあ、お休み。」(マドカ)
「うん、お休み。また、明日。」(大樹)
大樹とマドカの電話が終わり、大樹はスマホを充電器に繋ぐ。
ベッドの上で大の字のまま、天井を見る大樹。しばらく、その状態で居たままだった大樹。疲れが溜まっていたらしく、そのまま瞼を閉じるのだった。
人々が寝静まった深夜。IS学園と本土をつなぐモノレールに無数の異形の姿があった。
「さあ、行くぞ。」(バッファローロード)
バッファローロード率いるアントロードたちだった。彼らはIS学園のある方向を見ており、それぞれが武器を手に持ち殺意を漲らせていた。
バッファローロードは傍らにいるクイーンアントロードに視線をやる。
クイーンアントロードはバッファローロードの意を組み、アントロードたちに指示を出す。
「行け!いずれアギトに至る者たちを殺せ!!」(クイーンアントロード)
クイーンアントロードの指示を聞き、アントロードたちが一斉にIS学園に向かって進軍する。
神の僕による虐殺の行進が始まった。行進から間もなくIS学園に到達するアントロードたち。モノレール駅の降り場からIS学園の敷地内へ殺到するアントロードたち。
その異変をいち早く察知したのは警備員だった。かつてのアンノウン、それを確認した警備員は急いで教員たちに連絡をする。だが、既に敷地内へ侵入されており事態は一刻を争う事態になっていた。
アントロードたちが敷地に入った頃、大樹は家の前に停めていたバイクに乗り急いでいた。
この直前に寝ていた大樹を起こしたのはアンノウンの出現を察知したアギトとしての本能と激しく鳴り響くスマホの通知音だった。
スマホの画面にはマドカの名前が表示されており、大樹は即座に行動を起こしたのだった。
バイクを運転する中で大樹は自身の意思でオルタリングを出現させ、仮面ライダーアギトに変身する。大樹の変身に応じてバイクもマシントルネイダ―に変化する。変身を終えたアギトは一気にスピードを上げてアンノウンたちが向かうIS学園へ急ぐのだった。
「このままじゃあ間に合わないな。」(アギト)
アギトはマシントルネイダ―をスライダーモードに変形させ、高速飛行で現場へ急行する。
アギトが到着したころ、既にアントロードたちがその獰猛な武器を振るっていた。
アギトはマシントルネイダ―をスライダーモードからバイクモードに戻し、アントロードたちの中に突っ込んで行った。
マシントルネイダ―のスピードを保ったままアントロードの群れに突っ込んだアギト。次々とアントロードたちを撥ね飛ばし、マシントルネイダ―を止める。
アギトを見たアントロードたちは次々とアギトに襲い掛かる。
アギトは襲い掛かるアントロードたちを迎え撃つ。
向かってくるアントロードたちを次々と打ち倒すアギト。グランドフォームの強靭な肉体から繰り出される一撃は撃破まではいかなくてもアントロードたちにダメージを与えるには十分であった。
アギトの攻撃を受け、アントロードたちは闇雲に攻撃するのではなく、アギトを囲んでその動きを伺っている。
「来ないなら、こっちから行かせてもらうぞ。」(アギト)
そう言うとアギトはオルタリングの左部にあるボタンを押し込んだ。その瞬間、アギトの姿は超越精神を司る青色のストームフォームに変身した。
オルタリングから専用武器ストームハルバードを召喚するとアギトはそのままアントロードたちの中へ一気に入り込んだ。
集団の中へ入ったアギトはその瞬間にストームハルバードを展開、そのリーチの長さを活かして複数のアントロードを一度に撃破する。
次々と襲い掛かるアントロードの大群。それをアギトストームフォームは自身の間合いに入ったアントロードを次々と切り裂いていく。
だが、撃破されていく端から新たなアントロードがアギトに対して武器を振るう。さらに、ストームハルバードを振り回しながら、風を巻き起こしていく。風と共に相手を切り裂くハルバードスピンで一気に複数のアントロードを撃破する。
アギトも複数の敵を相手に戦ったことはあるものの、今回のような数え切れないほどの大軍を相手に戦った経験は無かった。
徐々にアントロードたちの数に圧され始めていた。
撃破しても次から次へと新たなアントロードが現れる。
ストームフォームで戦うも数の優位を覆せないことを悟ったアギトはグランドフォームへ戻る。
一度、迫るアントロードを蹴り飛ばしたアギトは再度姿が変化する。その姿はここまでで見せたグランドフォームの金色の胴、フレイムフォームの紅蓮の右腕、ストームフォームの紺碧の左腕を持った形態となる。
アギトトリニティフォーム、3つの形態の力を同時に発現させた姿である。
アギトは右手にフレイムセイバー、左腕にストームハルバードを持つとアントロードの大軍に対して振るった。
フレイムセイバーを振るうと火炎が、ストームハルバードを振るうと突風が起こり、アントロードたちの大軍を瞬く間に爆散させていく。
ストームファイヤーアタック、トリニティフォームで発動可能となるこの技でアギトはその場にいたアントロードたちを全滅させることに成功する。
「はあ、はあ、やっと全員か。」(アギト)
アギトはアントロードたちの撃破を確認して、学園の中へ入ろうとした。その時、学園の門から闇に隠れ2体の新たなアントロードの姿が見えた。
隊長格の赤い甲殻を持ったフォルミカ・エクセスとアントロードを統べるクイーンアントロードである。
「お前らが首謀者か。」(アギト)
アギトの言葉に大鎌と杖を構えることで答える2体のアントロード。
アギトはフレイムセイバーとストームハルバードを構え、2体の動向を伺う。この時、アギトの意識は目の前の2体に向けらていた。そのため、2体の他に居た、今回の首謀者に気付くことが出来なかった。そして、それはアギトの身に全てを焼き尽くす雷光が炸裂したことで判明するのだった。
「がっ!!」(アギト)
自身を焼く雷光を感じた時にはアギトの姿は本来の人間のものになっていた。
大樹は雷光を受けたことで生じた全身の火傷の痛みに呻く。
その大樹に3体目の異形、バッファローロードが近づく。
「まさか、アギトにまで会えるとは。今宵は、我らが大願に近づく記念すべき日になるだろうな。」(バッファローロード)
「お前が、首謀者か。」(大樹)
膝を着きながら大樹がバッファローロードに言う。そのバッファローロードは大樹に目をくれず、クイーンアントロードに指示を出す。
「このアギトは私が始末する。お前たちはこのまま例の者達を探せ。」(バッファローロード)
バッファローロードの指示を聞き、クイーンアントロードは学園内に未だに潜んでいたアントロードたちを呼び出し、学園内へ入っていく。
「待て!!」(大樹)
大樹がアントロードたちを止めようとするが、バッファローロードが駆け出そうとする大樹を踏みつける。
「お前は我らの邪魔となるならば今ここで始末してしまおう。」(バッファローロード)
バッファローロードは手に持っている杖を掲げる。すると、杖の先端が輝きだし、バチバチと激しい音が鳴り始める。
大樹は背後に聞こえる自身の命を終わらせるであろう音を聞く。
(ここまでか、クソッ!)(大樹)
為す術なし、そう大樹が思った瞬間だった。
「うおおおおおお!!」(???)
何者かがバッファローロードに斬りかかった。
突然の乱入者の攻撃を躱したバッファローロード。
バッファローロードに踏みつけられた大樹はその乱入者に抱えられ、その場を離れるのだった。
「邪魔が入ったな。まあ、良い。」(バッファローロード)
大樹を助けた乱入者=秋宮一夏は専用ISである白式に駆り、大樹を共だって学園のアリーナへと飛んでいた。
「一夏、サンキュ。」(大樹)
「おい、大樹。大丈夫か!?」(一夏)
一夏の呼びかけに傷を負いながらも首を振る大樹。なお、一夏から見てもかなりの傷を負っている現状ではどのように言ったところで説得力は無いが。
「皆は?」(大樹)
「今、アリーナで籠城してる。千冬姉たちが指揮をして何とか持ち堪えている。」(一夏)
そのまま、一夏はアリーナの中へ入る。
そのアリーナの中にはIS学園にいる人々が皆肩を寄せ合っていた。
一夏が大樹を連れ立ってある場所へ向かった。
「なあ、どこに行くのさ。流石に横になりたいんだけど。」(大樹)
「そんな傷で何も知らない皆がいる場所で休めないだろ。千冬姉たちがいる場所まで連れていくぞ。」(一夏)
一夏はそのままアリーナにある管制室へ大樹を連れていく。
一夏と大樹がそこに入るとそこには一夏の姉である秋宮千冬、一夏の双子の妹で大樹の恋人のマドカ、二人の幼馴染である篠ノ之箒と鳳鈴音、代表候補生であるセシリア・オルコット、シャルロット・デュノア、ラウラ・ボーデヴィッヒ、更識簪、ロシア国家代表でIS学園の生徒会長である更識楯無。一夏と共に修羅場を潜り抜けた仲間たちであり、彼に好意を向けるヒロインズたちだった。
「大樹!」(マドカ)
大樹の姿を一目見て駆け寄るマドカ。
幼馴染の鈴も駆け寄り、一夏に変わって肩を貸す。
「ちょっと、大樹!?あんた、その傷!?」(鈴音)
「ああ、鈴。傷に響くからあんま大声出さないで。」(大樹)
大樹を支えるマドカと鈴は大樹を管制室に備えられている長椅子に座らせる。
肩で息をする大樹。少しずつではあるが全身の傷は治り始めていた。
この世界の大樹はアギトの力を覚醒させる前に、幼少期にある超能力に目覚めていた。それは、超再生能力。常人とは比べ物にならない驚異的な治癒能力である。
一見すれば、念動力や透視などと比べれば地味ではあるもののアンノウンとの戦いでは死ななければ圧倒的なまでに高い生存率を誇る力である。この力のおかげでこの世界の大樹は激しい戦いを生き延びていると言っても過言ではない。だが、痛覚そのものは人間のものであり、アンノウンとの戦いでは想像絶する激痛を受けても来た。
傷が塞がり始めている大樹を介抱するマドカ。
大樹はマドカから水の入ったペットボトルを受け取り、中身を一気に飲み干す。
大樹が一息ついたところで千冬が口を開いた。
「大樹、今回のアンノウンは一体何が目的なんだ?見たところ、かなり大量に出ているが。」(千冬)
「目的はここにいる誰か、アギトに覚醒するかもしれない人間の殺害だと思う。特定の誰かを探しているらしい。それと今回のアンノウンは見たところ、アリに似てた。多分、兵隊アリのアンノウン。学園に来て、入り口前に密集していた奴らは倒した。だけど、隊長格と女王アリを逃がした。それに、他にも居た。」(大樹)
「他にも?今回の首謀者はその女王アリではないのか?」(ラウラ)
ラウラの質問に大樹が答える。
「兵隊アリに指示を出してんのは女王アリで間違いないと思う。だけど、その女王アリよりも格上の奴が居た。そいつに不意打ちされて、この傷。」(大樹)
治りかけの傷を見せる大樹。大樹の言葉に暗部の長でもある楯無が言葉を発する。
「つまり、今ここを攻め込んでいるのは下っ端ってことなのね。そして、そのボスは安全圏で目的が達成されるのを待っているということね。」(楯無)
「ボス格はウシの見た目をしていた。身に着けているものも兵隊アリなんかよりもよっぽど立派な装飾が付いていた。そいつ、何かは分からないけどかなり強力だと思う。3つ合わせた力で一撃で元に戻るくらいのを喰らったから。」(大樹)
3つ合わせた力、トリニティフォームが一撃で変身が解除されたことから首謀者=バッファローロードの実力の高さが伺える。
大樹がアギトとして戦っているここのメンバーは今回の相手がかなりの相手ということで重い空気になる。
そこで千冬は一度、一夏とマドカを除くメンバーにISを起動させる準備をするように伝え、部屋から出した。
大樹はマドカ、一夏、千冬のみになったことを確認して口を開く。
「たぶん、ウシのアンノウンの目的は3人だと思う。織斑計画で誕生した3人、ここの学園に居る誰よりもアギトに近い存在を狙ってきたんじゃないかな。」(大樹)
「それで、私達にどうしろと?」(千冬)
千冬の言葉に口をつぐむ大樹。その表情から大樹の思いを察する3人。だからこそ、大樹は自身の思いを言葉にする。
「出来れば、ここから離れて欲しい。安全な場所に逃げて欲しい。」(大樹)
「なあ、大樹。そんなことできるかよ。これまでも一緒に戦ってただろ。」(一夏)
「そうだよ、それだったら一緒に戦おう?」(マドカ)
大樹の言葉に対して一夏とマドカは一緒に戦うことを率直に伝える。そして、千冬も大樹に伝える。
「去年、一夏とマドカとも戦っていた。それも危険な場を何度もな。アンノウンだけに限らず亡国機業とのことでは何度もお前に助けられた。今更だろう。それに一夏もマドカも代表候補生だ。私も教師として指示をしなくてはならない。そもそも逃げることなど出来ないさ。」(千冬)
千冬のその言葉に大樹は固く重い表情になる。だが、それも苦笑いの形に変化する。
「だよね。いや、分かってる。だから、どうする?このまま籠城戦するのか、打って出るか。」(大樹)
大樹の問いに一夏は歯を見せてニッと笑い、マドカも柔らかく笑みを浮かべる。
「だったら、準備が出来たら打って出るに決まってるだろ。」(一夏)
「皆で一緒に、ね!!」(マドカ)
彼らの姿を見て、決意を新たにする千冬。そこに扉をノックする音が響く。
「秋宮先生、良いですか?」(真耶)
ノックの主は千冬の後輩にして一夏たちのクラスの副担任である山田真耶だった。
真耶が入って来て、新しい情報を聞く大樹たち。
大樹は傷の癒えた拳を握り、戦意を宿す眼でアンノウンたちのいる方向を見る。
時間はさかのぼり大樹がIS学園に到着してアントロードの大軍と戦闘をしていた頃、颯斗は深夜でありながら寝付けずにブラブラと自転車で走っていた。
この世界の自分が戦う力を持たないという事実、共に戦っている仲間であるハートたちがいないという事実。二つの事実は颯斗の胸中にモヤモヤとしたものをもたらしていた。
どこか落ち着かない颯斗は寝付くことも出来ずにこうやって深夜の町を自転車で走っていたのだ。
「はあ、なんだかなぁ。」(颯斗)
当てもなく、目的も無く、ただただ走るだけの颯斗。年相応の男子高校生である颯斗、そんな自分はどうすれば良いのかについて考えていた。だが、今の颯斗の脳裏には答えが出ることなく堂々巡りを繰り返していた。
ため息を繰り返し、深夜の夜空を見る颯斗。
視線を夜空から街の方へ移す颯斗。深夜の街の様子はネオンにきらめく繁華街、静まり返る住宅地とそれぞれの場所の営みを写していた。
「まあ、平和な世界なら良いのかな。」(颯斗)
そう颯斗がつぶやいた時、視界の端にどこか異質なものが写った。それは、颯斗がIS学園に入学してから見慣れたものを、異形の怪人たちとの戦いを思わせた。
「まさか、ね。」(颯斗)
そうは言うものの、落ち着かなさの中で自身の正義感から自転車をその方向へ走らせる颯斗。それから1時間ほど後に颯斗は重大な戦いに首を突っ込むことになる。
アリーナの出口、そこにはISを展開した一夏たちに傷が癒えた大樹の姿があった。
全員、アリーナに残る千冬と連絡ができるようになっている。
「お前たち、敵の情報を警視庁未確認生命体対策班、G3ユニットから提供された。過去の情報と柏葉からの情報を照合した結果、敵はアントロードと思われる。大群での戦闘を得意としており、過去に自衛隊の施設を襲撃して壊滅させたことがある。奴らの口から吐き出される液体を浴びると地上にいながら窒息死する。それに注意しろ。では、作戦開始!!」(千冬)
千冬の指示を聞き、一夏、箒、セシリア、シャルロット、ラウラ、楯無が先行して出撃した。
大樹、マドカ、鈴、簪はその後に続き、別方向へ向かう。
一夏たちはアントロードたちの不意を突き、一気に攻め込む。
混乱のさなか、大樹はオルタリングを出現させる。
大樹の姿を確認したアントロードたちは襲いかかるも、それに対して大樹は冷静に対処していく。
「変身!」(大樹)
オルタリングのボタンを押し込み、攻撃を躱す大樹。
躱しながら攻撃を与えていくうちにオルタリングが強く輝く。一際強く輝いた次の瞬間、大樹は仮面ライダーアギトグランドフォームに変身した。
迫りくるアントロードに対して次々と打ち倒すアギト。それをマドカたちがサポートする。
マドカがサイレント・ゼフィルスのシールドビットを展開して、アンノウンの攻撃を防ぎ、簪が打鉄弐式のミサイルポッドから無数のミサイルを発射する。鈴は青龍刀で中距離から攻撃しながら衝撃砲を撃つ。
マドカたちのサポートで無数にいるアントロードたちが次々と爆散していく。
最初の戦いと比べ、圧倒的に有利な状況で戦い始めることがアギト。仲間たちがいることで心境にも余裕があった。
「やっぱ、みんなと一緒だと違うな。すごい楽。」(アギト)
「楽とか言ってないで動け、バカ大樹!」(鈴)
「大樹、今のうちに!」(簪)
鈴と簪の言葉を聞き、アギトはアントロードたちの後方にいるクイーンアントロードと隊長格のフォルミカ・エクセスを確認する。
「マドカ、あいつらの後ろに女王アリと隊長格を見つけた!鈴たちと一緒に雑魚を押さえて!」(アギト)
「うん!」(マドカ)
マドカに指示を出したアギトはクロスホーンを展開、地面にアギトの紋章を浮かび上がらせる。
それを見たマドカたちは離れたところにいる一夏たちと連携してアントロードたちを攻撃する。
アギトの紋章がアギトの両足に吸収されていく。
紋章が全て吸収され、そのままアギトは飛び上がる。空中でキックの姿勢となり、勢いよくクイーンアントロードとフォルミカ・エクサスに向かって飛んでいく。
アギトのライダーキックがアントロードたちの頭上を切り裂き、そのままフォルミカ・エクセスの胸部に深々と突き刺さる。
ライダーキックを受けたフォルミカ・エクサスは勢いよく飛ばされる。頭上に光輪を出して、断末魔を上げる間もなく爆散した。
すぐ隣で眷属が爆散したことに驚愕するクイーンアントロード。すぐさま、大鎌をアギトに振るう。
アギトは振るわれる大鎌を躱し、オルタリングのボタンを押し込んだ。
アギトの体を爆炎が包み込み、まるで火山の噴火のように爆発した。
爆発が収まり、粉塵が収まるとそこには新たな姿となったアギトがいた。全てを燃やし尽くすマグマのように熱気を放つその姿は正しく溶岩の龍という姿だった。
仮面ライダーアギトヴォルカニックフォーム、この世界では大樹が戦いの中で手にした進化の形。全てを燃やし尽くす熱を纏い、目の前の敵を粉砕するべく拳を握る。
アギトは右手の拳を固く握り、拳とする。そのまま、尋常ではない熱を右拳に込めてクイーンアントロードの顔面目掛けて拳を突き出した。ヴォルカニックライダーパンチ、その威力はかつて闇の力に使えた3体のエルロードをも屠るほどである。
クイーンアントロードは寸でのところで大鎌で防御する。だが、盾とした大鎌越しでクイーンアントロードは殴られた。
殴り飛ばされた先には無数のアントロードたちがおり、クイーンアントロードは同族の仲間の元へ飛ばされ、そのまま爆発四散した。
リーダー格がまたたく間に撃破されたことでアントロードたちに動揺が走る。それを知ってか知らずアギトと一夏たちが次々と畳み掛けていく。有利と思われたその瞬間は戦場に落とされた雷光によって空気を変えられた。
雷光が消えるとそこに今回の首謀者であるバッファローロードがいた。
「まさか、アギトだけではなく人間にまでも良いようにされるとは。」(バッファローロード)
「あとはお前だけだ、牛野郎。さっさとぶっ潰してやる。」(アギト)
再び姿を見せたバッファローロードに殴りかかるアギト。高熱を帯びた拳を振るい、今度こそ勝利するのだという思いを込めて戦う。それに続くように一夏たちも戦う。だが、それを一瞬で叩き伏せるようにバッファローロードが杖を天に掲げる。すると、次の瞬間には天から雷が落ち、触れたものを焼き焦がす。
アギトは目の前の相手がここまでに戦った相手とは一線を画す存在だと理解する。初めての格上の相手、それも叶うかどうか分からないほどの強大な相手である。
バッファローロードの攻撃に一夏たちも初めて対面する強大な相手に戦慄する。
「さあ、人間ども。愚かなアギト共々滅ぼしてやろう。」(バッファローロード)
まさに神の使い、その本性を見せてバッファローロードは杖の穂先をアギト=大樹に向ける。
手がないと思われたその瞬間、アギト=大樹たちの通信にこの場にいるはずのない人物の声が響いた。
「皆!そいつを空いているアリーナに誘導して!!」(颯斗)
「颯斗!?お前、どうして!!」(アギト)
留芽颯斗。大樹の友人である彼が通信に出てきたのだ。
戦場で戦うアギトたちに驚愕が走る。
アギトたちがアントロードと戦闘を始めた際、颯斗は自転車を爆走(その際にはモノレールの線路を走るという曲芸まで披露していた)していた。その爆走の甲斐もあってかIS学園敷地内に苦もなく突入することができた。だが、この世界では戦う力を持たない颯斗は自転車を猛スピードで走らせたまま使われていないアリーナの管制室に立てこもったのだ。
あとは、単独で仮面ライダードライブのシステムをジャンクパーツから再現できる彼のことだ。アギトたちの通信に入り込むなど大したことではなかった。そして、今回の首謀者であるバッファローロードへの対策も考えていた。
「お前、どうやって来たんだよ!!てか、どこだよ!!」(アギト)
「誰も使っていない第3アリーナの管制室!とりあえず、ここにそいつだけでも誘い込んで!!」(颯斗)
突然の乱入者、それもIS学園とは関係のない学生。誰もが迷う中、たった一人だけ、一人だけは颯斗の問いかけた。
「冗談、言っているんじゃないんだよな。」(アギト)
アギトの問いかけに少しの間沈黙する。だが、次の響いた言葉は力強いものだった。
「うん!僕がいる第3アリーナにそいつを連れてきてくれれば何とかできる!少なくとも、真っ向勝負まで持ち込める!」(颯斗)
その言葉に一人だけ、たった一人が即座に行動を移した。
「ウオオオオオオオオオ!!」(アギト)
バッファローロードに向かって走り出したアギト。
向かってくるアギトに雷光を落としていくバッファローロード。
アギトは自らが持つ再生能力任せに雷光を受けながらバッファローロードに掴みかかる。
「ぬう!!」(バッファローロード)
アギトはバッファローロードを掴むとそのまま第3アリーナに向かって走り続ける。
「大樹!!」(一夏)
「そのままアリの方を頼む!!」(アギト)
アギトは一夏にそう言うと第3アリーナ目掛けてバッファローロードを投げ飛ばした。
バッファローロードを投げ飛ばした直後、自身もアリーナの中へ入る。
第3アリーナ管制室にいる颯斗は秘策のため、管制室内の機材をいじっていた。短時間で自身が考える秘策を実現させるべくあらゆる工程を省略しながらも行動する。
そんな中、管制室の窓からバッファローロードとアギトがアリーナ内に侵入したのを確認する颯斗。
この場に来て、アギト=大樹たちが自分のことを信じてくれる保証が無かった。部外者ということで突っぱねられることも覚悟していた。だが、颯斗の予想に反して大樹は颯斗の言葉を信じてくれたかのような行動をした。
この世界での記憶のない颯斗、それ故の不安があった颯斗だが大樹の行動に自身のやるべきことをする。
アギト=大樹は同じ高校に通う友人がどうしてここにいるのかそれを問い詰めることはしなかった。否、心境としてはすぐにでも隠れている場所に行くつもりだった。その心境の中、聞いたのは力強い友人=颯斗の言葉だった。颯斗の言葉に即座に決心した。
この戦いの最中、大樹は最後の切り札を切るべきか考えていた。だが、バッファローロードの力から安易に最後の切り札を使っても有利な状況に持ち込める保証がなかった。
そんな中で聞いた颯斗の力強い声、自身の変身した姿を見たであろうはずなのに助けるために危険の中に飛び込んだ友人を突っぱねるほどドライではない大樹。
この世界では仕事で家を空けがちの両親の元、一夏を始めとした秋宮家の人々との交流は年相応に正義感の強い青年へと大樹を育てていた。そんな大樹だからこそ、颯斗の言葉を純粋に信じることができた。
「よし、颯斗。あとは頼む。」(アギト)
そう言うとアギトは灼熱を纏いバッファローロードに攻撃する。
灼熱をまとう拳を振るうアギトにバッファローロードは天から複数の雷光を落とす。
一撃で全てを消し去る雷光を数え切れないほど落とし続けるバッファローロード。その雷光の数はアギトの眼前で光り輝く壁となるほど大量のものだった。
攻撃を思うように出せず、距離を取って攻撃を躱すアギト。戦いはバッファローロードの有利に進んでいた。
「あきらめろ。お前もあそこで戦っている者たちも我らの裁きを受けて死にゆく運命だ。ただただ、従順に自らの命を差し出せ!!」(バッファローロード)
人より高位の存在としての言葉。それを聞いてアギトはバッファローロードを見据える。
「死にゆく運命?従順に?命を差し出せ?随分と上から目線の言葉だな。お前らが神様の使いっていうのはもう飽きるくらいに分かってるよ。だけど、そんな神様の使いが、一人ひとりの意思を持つ人間を好き勝手に殺すはどうなんだ?」(アギト)
「お前たちアギトは我らが主が忌み嫌うもの、お前が守る者たちも人間を超える可能性を持つ。そんなものを許すわけには行かない。我らが主は人はただ人であれば良いと言った。ならば、人を超えるお前たちは存在すべきではないのだ!!」(バッファローロード)
アギトの問いを下らないものとするバッファローロード。それを聞き、アギトは目の前の相手に何を言っても無駄だと思うも、一人の人間として神の使いであるバッファローロードに物申した。
「人は人であれば良い。だとするならアギトであっても人としてあろうとする人達も人ではない、それどころかアギトに覚醒する可能性のある人物も同様に、か。それはお前たちの考え方だろ。それを押し付けるのが神の使いのやることかよ。お前たちアンノウンも対して俺たちと違わないな。」(アギト)
「お前たち、アギトと一緒にするな!!」(バッファローロード)
「一緒だろうが!!自分の考えを、感情を持つお前たちと俺たちが違うと言えるのか!!姿かたち、能力が違うだけで中身は同じだよ!意思を持って生きる者を否定するお前たちも俺たち人間と同じだ!!勝手に自分たちが偉いなんて決めるな!!」(アギト)
アギトの怒声にバッファローロードは雷光をアギトに落とす。
自身を焼く雷光を構わずに歩みだすアギト。その姿はまるで怒れる龍、堂々とした足取りでバッファローロードに近づく。雷光を受けることで生じる傷を気にする素振りを見せず、一歩ずつ距離を詰めていくアギト。
「ここにいる皆は自分で未来を切り開こうとしているんだ。それを甘く見るな。それに、一夏を、千冬姉ちゃんを、マドカを狙うならどいつだろうとぶっ飛ばす!!」(アギト)
触れるほどの距離、そこで拳を振りかぶりバッファローロードの顔面目掛けて拳を振るうアギト。
そのアギトの拳を防ぐべく雷光を落とそうと杖を掲げるバッファローロード。
空が光り、またも雷光がアギトに向かって落ちてくる。だが、雷光がアリーナに落ちる寸前、アリーナを覆うシールドに弾かれ霧散する雷光。
「何!?」(バッファローロード)
驚愕するバッファローロード。その顔面に、アギトの拳が深々とめり込んでバッファローロードをふっ飛ばした。
地面に倒れるバッファローロードを見下ろすアギト。
「それと、あまり人間を見下すな。お前たち相手に追いつけないなんてことはないからな。」(アギト)
アリーナの管制室では颯斗が汗だくになっていた。その颯斗の作業で管制室の至るところでは基盤と基盤、電力制御などを司る機械がコードで繋がれていた。
IS学園を始めとしたISの競技用アリーナには観客席を保護するエネルギーシールドを展開する機能がある。そのシールドはISに使われているシールドと同じものである。そのシールドはミサイルを始めとした近代兵器の他、紫外線などの人体に有害な影響を与えるものを遮断する機能がある。
限られた時間で行った突貫工事、それはアリーナ内で発生させるシールドの範囲を広げつつ、アリーナ内の物質の電荷の変異を抑えるものへ変更するのが目的だった。つまり、今第3アリーナではバッファローロードは雷を落とすことができなくなったのだ。
「な、何を!!」(バッファローロード)
バッファローロードは再度雷を落とそうとするも、その結果は先程と同じだった。
「まさか!!」(バッファローロード)
バッファローロードは管制室の方へ視線を向ける。そこからアギトに視線を戻す。
「ならば、先に貴様を殺す。その後に、こんな下らないことをした人間も殺す。その後は、外にいる人ならざる者たちだ!」(バッファローロード)
怒りをあらわにするバッファローロード。その体からバチバチと音がなり、それが激しく鳴り響くとその姿を大きく変貌させた。
銀色の鎧は金色に、漆黒の毛は純白へと。角はより巨大化し、雷を帯びる。肉体もより筋骨隆々としたものへ変化した。バッファローロード強化態、怒りの感情から強化されたその姿は、かつて津上翔一=アギトらの前に立ちはだかった3体のエルロードと同等の力を有していた。
バッファローロードの変化を見て、ついにアギトも最後の切り札を使う。
オルタリングの前に両手を構え、その両手をクロスさせる。
オルタリングの形状が変化、橙色と黒色のドラゴンズネイルが金色と銀色に変化した。賢者の石もヴォルカニックフォームを表す橙色からここまでにアギトが変身した各形態の色が同時に発現する。
オルタリングのボタンを押すとヴォルカニックフォームの甲殻、鎧がひび割れて弾け飛んだ。
全体は津上翔一が変身したアギトシャイニングフォームに酷似している。だが、その姿はより鋭角的でシャープな印象と共に龍のイメージを連想させる。そして、目を引くのは基本形態グランドフォームと同じようなカラーリングの胴とヴォルカニックフォームを思わせる肩の装甲、フレイムフォームの紅蓮の右腕、ストームフォームの紺碧の左腕である。
これぞ、この世界の大樹が到達した最強の姿、ドラゴニックフォームである。
ドラゴニックフォームはオルタリングから大剣型の専用武器、ドラゴニックブレードを両手で構える。
アギトドラゴニックフォームがドラゴニックブレードを持ち、バッファローロードは杖を両手で持つ。
両者同時に走り出し、武器を振るう。
武器同士が衝突すると強烈な衝撃波が発生、管制室を含めたアリーナ全体を揺らした。
「うわっ!!」(颯斗)
衝撃波を受けた颯斗は管制室の壁に叩きつけられ、意識を失うのだった。
side颯斗
「、、、と。、、、やと。」(???)
彼かが僕を呼んでいる。確か、僕はアリーナでアギトになっている大樹の助けに。
「颯斗!!」(???)
「グエッ!!」(颯斗)
強い衝撃がお腹に感じて僕は喉の奥にあったものを吐き出す。
目を覚ますとそこにはかんちゃんが、近くには大樹と万夏ちゃんの姿もあった。
それに、目を覚ますとそこは僕の家だった。
「あれ、皆?え、僕の家?なんで、さっきまで、アリーナだったのに?」(颯斗)
「大丈夫か?餅食って喉詰まらせたって聞いたけど。」(大樹)
「へ、餅?え、ウシの怪人は?アリの怪人とか、え?」(颯斗)
混乱する僕の様子を見て皆怪訝そうに見る。
「ウシの怪人とアリの怪人?大樹、心当たりは?」(万夏)
「いや、ないけど。アリならアリインベスだけど。」(大樹)
「いや、インベスじゃなくて。あの、あれ?」(颯斗)
「大樹、万夏、ありがとう。あとは私が診るから。」(簪)
混乱する僕をよそに皆は話していた。僕はその後、お母さんにものすごく叱られた。5時間くらい正座で説教も。
説教を受けている中、僕は気を失っている間に見た世界のことを考えていた。多分、僕が見たのは別の世界。あの戦いのことが気になるけど、そんな中で僕は普段の日常に戻ることになった。
side三人称
颯斗が見た別の世界。朝日が登る中、残っているアントロードたちが撃破されていた。
戦いを終えたマドカたちは瓦礫を撤去する中、話し声を聞く。
「ほんとに覚えてない?」(大樹)
「いや、わかんない。ほんとに放課後?くらいから全く覚えていない。」(颯斗)
マドカたちが振り向くとそこには肩を支えてもらう大樹に、首を傾げながら大樹を支える颯斗がいた。ボロボロだが晴れやかな表情からマドカたちは大樹がバッファローロードとの戦いに勝利した事を知る。
「大樹!」(マドカ)
マドカたちが駆け寄り、お互いの無事を称え合う。