IS×仮面ライダー 炎竜シーズン2 仮面ライダー輝龍 作:柏葉大樹
side三人称
ソウゴたちの話を聞いた大樹は傷を負いながらも、ヴァルハラの基地にある地下駐車場に来ていた。
仲間たちが、家族が、自身が最も愛する者が敵の手に落ちているということが、大樹を戦場へ駆り立てていた。
前世において、大樹が最も恐れていたのは、敵の作戦により自身の仲間や愛する者に被害が出るということだった。それは、今世でも同様であり、大樹自身が最も強硬的になることでもあった。
以前にアギトの襲撃があった際も敵に対して情け容赦ない攻撃をすることもあった。
大樹はハイビスカストライカーを起動、ビークルモードのバイクに変形させる。
「おい、大樹!待て!」(ザック)
ハイビスカストライカーに乗り、エンジンを吹かす大樹の前にザックが立ちはだかる。そこに、大樹の肩に手を置いた光実。
「大樹君、焦るのも分かる。だけど、傷も癒えていないんだ。ここは体勢が整うまで待つ方が良い。」(光実)
大樹に声を掛ける光実。息を上げながらも大樹の前に立つザック。二人共、会議室を出た大樹の様子から尋常ではないものを感じ取っていた。
今の大樹を一人で行かせてしまえばどんな結果になるか、嫌な想像が脳裏によぎった光実とザックは、あの場にいたメンバーの中で即座に動いたのだった。
その二人に対して、大樹は殺気と怒気のこもった眼差しで睨みつける。言葉にしないものの、不満を持っていることは容易に伺い知れた。
光実とザックも大樹と似たような経験をしている。
ザックはインベスの襲来、フェムシンムたちとの戦いで仲間たちが傷付いたこと、自身が日本を離れている間にチームバロンの仲間がかつての仲間の手により窮地に陥ったことがあった。最終的にはザックの手で解決したこともあるが、結果としては必ずしもザックの思うようなものではない時もあった。
光実についてはインベスの襲来、その初期の頃まで遡る。その頃の彼はビートライダー、呉島家の人間という2つの立場から仮面ライダー鎧武=葛葉紘汰のサポートをしていた。二重生活故に、自分の思いどおりにならない仲間に対して苛立ちを向けるようになった過去は今でも光実にとっては悔やむべき過去であり、その果ては自身が慕う高司舞を失う結果となった。
そして、光実とザックにとって今の大樹と同じような状況になった事件があった。
かつて、沢芽市で事件を起こしたカルト教団である黒の菩提樹。その教祖であり、オーバーロードに近い存在になった仮面ライダーセイヴァーの手により、戦極ドライバーを持たない沢芽市の人々全員がマインドコントロールされた事件である。
人々をマインドコントロールしたセイヴァーの目的は、人々の生命エネルギーを自身に集めて黄金の果実を生み出すことだった。
黄金の果実を生み出したセイヴァーと光実=龍玄たちアーマードライダーは激闘を繰り広げた。最終的には、仮面ライダー鎧武が駆けつけてセイヴァーを撃破して事件は解決した。
当時の事件のことから光実とザックは事前にできる限りの準備をすること、いざとなったら最後まで諦めずに戦うことを誓うのだった。
「俺たちも黒の菩提樹の事件で沢芽市の人々、ビートライダーズの仲間たちが危険な目にあった。だからこそ、今はしっかりと準備する必要があるんだ。」(ザック)
「それに、傷が治っていない中で戦えば大樹くんがもっと傷つくことになる。それは大樹くんの大切な人が一番悲しむんじゃないかな。」(光実)
光実とザックが大樹に声をかける。
「俺はどうなっても良い。だけど、皆は、万夏は絶対に取り戻す。」(大樹)
だが、大樹からの返答は決して穏やかなものではなかった。
大樹はハイビスカストライカーのアクセルを踏み、素早くターンをしてその場をあとにする。
光実とザックが大樹を止めようとするが、大樹はスピードを上げてヴァルハラから出ていくのであった。
「やはり、行ってしまったか。」(貴虎)
会議室に一人残る貴虎はスマホから連絡を受けていた。
そのスマホの連絡の相手は光実である。光実はザックと共にロックビークルのローズアタッカーとサクラハリケーンを使って、大樹を追っていた。
「そのまま、大樹君を追ってくれ。今の彼では力づくで戻すしかないかもしれない。協力を申し出た彼らはもう向かった。私は各所に避難を呼びかけていく。光実とザック君は大樹君を確保次第、戻ってくれ。」(貴虎)
光実にそう連絡をした貴虎は会議室の窓から東京の方面を見る。
「葛葉、お前なら大樹君に何を言う。彼に、別の世界のつらい記憶を持ち、家族を失った彼に、お前なら何て言う。いや、お前ならきっと大樹君と共に戦うのだろうな。」(貴虎)
ここにはいない、遠くの星へ行ってしまったかつての仲間に問いかける貴虎。スマホをしまい、会議室を出た彼の表情は迷いのないものだった。
ハイビスカストライカーでかなりのスピードを出す大樹。その大樹の行く先を塞ぐように新たなアナザーライダー、アナザーオーズとアナザーフォーゼが現れる。
「どけろ!!」(大樹)
大樹はハイビスカストライカーのアクセルを踏み、一気にスピードを上げる。アナザーオーズとアナザーフォーゼにぶつかる寸前に大樹は仮面ライダー輝龍ドラゴンフルーツアームズに変身する。
変身したこととかなりのスピードで突っ込んだ輝龍はアナザーオーズとアナザーフォーゼを弾き飛ばした、かに見えた。
アナザーオーズは元となった仮面ライダーオーズタトバコンボの持つバッタレッグの力で天高く飛び上がっていた。
アナザーフォーゼは仮面ライダーフォーゼと同様にスイッチの力を発動、右腕にロケットを装備して飛行していた。
輝龍は回避したアナザーオーズとアナザーフォーゼを無視してそのまま進んでいく。
輝龍の後を追っていた光実とザックも敵に気付き、仮面ライダー龍玄と仮面ライダーナックルに変身した。
仮面ライダー龍玄はブドウ龍砲で飛行するアナザーフォーゼを狙い撃つ。
仮面ライダーナックルは飛び上がるとアナザーオーズに殴りかかる。
「っ!」(輝龍)
背後に龍玄とナックルがいることに気付く輝龍。ヴァルハラを出る前のやり取りを思い出し、ハイビスカストライカーを止める。それを見た龍玄は輝龍に向かって強く言う。
「大樹君は先に行くんだ!ジオウたちがもう敵の方へ向かっているんだ。万夏ちゃんたちを取り戻しに行くんだ!!」(龍玄)
「俺たちは大丈夫だ!こんな奴ら、すぐに倒すからよ!!」(ナックル)
龍玄とナックルの言葉に、輝龍は意を決して先へ進む。
輝龍がアナザーオーマジオウの元へ向かったことでアナザーオーズとアナザーフォーゼが輝龍を追いかけようとする。だが、それを龍玄とナックルが阻む。
「さて、後輩の邪魔はさせねえぞ。」(ナックル)
「ここからは僕たちが相手だ。」(龍玄)
龍玄とナックルに対してアナザーオーズとアナザーフォーゼが襲いかかる。
輝龍がハイビスカストライカーを走らせる中で、ある洋館にたどり着いた。
その洋館の前には19体のアナザーライダーと加古川飛流の銅像があり、そこには「加古川飛流、変身の像」と銘があった。
「悪趣味だな、王様気取りかよ。」(輝龍)
その銅像を見て、輝龍は毒づく。
ハイビスカストライカーから降り、ロックシードに戻すと輝龍は竜炎刀を抜く。周囲を警戒する輝龍の前で洋館の扉が開く。
扉の向こう側、洋館の奥に玉座があり、そこに加古川飛流が鎮座していた。
「お前か。常磐ソウゴはどこだ。俺の相手は常磐ソウゴ、お前程度は敵ではない。」(飛流)
「俺に用が無くても、こっちはあるんだ。それに、前のようにやられるつもりはない。」(輝龍)
輝龍は竜炎刀の切っ先を加古川飛流に向ける。
切っ先を向けられてなお、飛流は不遜な態度を崩さない。
「お前程度なら、こいつらが相手をする。」(飛流)
飛流の言葉に応じて、新たなアナザーライダーが出現する。
前に姿を見せたアナザー龍騎に似た漆黒のアナザーライダーと、漆黒のフードにオレンジ色の顔が特徴のアナザーライダー、朽ち果てたような鎧をまとい、大刀を持ったアナザーライダーが姿を現した。
アナザーリュウガ、アナザーゴースト、アナザー鎧武である。
輝龍は姿を見せた3体のアナザーライダーに対して即座にロックシードを変えた。
《ファブニール!》
「一気に終わらせる。」(輝龍)
《ソイヤ!ファブニールアームズ!邪龍、アウトレイジ!》
輝龍はドラゴンフルーツアームズからファブニールアームズにアームズチェンジする。
専用武器の邪龍DJ破断剣を構え、輝龍は3体のアナザーライダーに斬りかかる。
輝龍の攻撃を回避し、反撃に移る3体のアナザーライダー。
アナザーリュウガが青龍刀を、アナザーゴーストが手刀を、アナザー鎧武が大刀を振るう。
3体のアナザーライダーの攻撃を輝龍は邪龍DJ破断剣で防御する。そこからカウンターの横一文字に邪龍DJ破断剣を振るう輝龍。
奮闘する輝龍を一瞥することなく飛流は扉の方を、ここに来るであろう宿敵を待つ。そして、扉が勢いよく開け放たれた。
扉の先にはソウゴ、ゲイツ、ツクヨミ、ウォズがいた。
「待っていたぞ、常磐ソウゴ!」(飛流)
憎悪をみなぎらせて飛流はアナザーオーマジオウに変身する。それを見たソウゴたちも変身、最高最善の魔王と偽りの最低最悪の魔王が激突する。
輝龍らが戦っている頃、アナザーワールドでは万夏が脱出する方法を探していた。だが、万夏が理解できたのは、自分が閉じ込められたこの世界は自分のいるこの部屋以外の空間がないこと、どうあがいてもは出口から出てもこの部屋に戻ってしまうことだけが分かった。
「早く出ないと、出ないと、、、。」(万夏)
突如、万夏に強烈な睡魔が襲いかかる。意識を保とうとする万夏だが、その場に倒れ込むほどに睡魔は強力だった。
尋常でない睡魔から、これが普通ではないことを察する万夏。それでも、睡魔に抗いきれずに瞼を閉じてしまう。
瞼を閉じてしまった万夏は深い眠りに着いてしまう。
万夏が眠りについたその瞬間、その空間に何者かが出現する。
アナザーワールドで万夏が眠りについたその瞬間、ジオウたちはアナザーオーマジオウと激しい戦いを繰り広げていた。
ジオウⅡ、ゲイツリバイブ、ウォズギンガファイナリー、ツクヨミの4人の猛攻を前に一歩も遅れないアナザーオーマジオウ。少し距離の離れた場所では輝龍ファブニールアームズが3体のアナザーライダーを前に大技を放つ準備をしていた。
《ソイヤ!ファブニールスパーキング!》
「はあっ!!」(輝龍)
邪龍DJ破断剣の刃にエネルギーが集まり、赤黒く輝く。
アナザーリュウガ、アナザーゴースト、アナザー鎧武に連続斬りを放つ。
輝龍の攻撃を受け、膝をつくアナザーリュウガ。
アナザーリュウガの特殊能力である攻撃の反射能力が発動し、赤黒い斬撃が輝龍に襲いかかる。
輝龍は近くにいたアナザーゴーストを掴み、アナザーリュウガからの攻撃反射の盾にする。
アナザーゴーストは過剰なダメージを受けて爆散、その爆発の中で輝龍はアナザーリュウガに止めを刺す。
残るアナザー鎧武は大剣を振りかぶり、輝龍に斬りかかる。
向かってきたアナザー鎧武を輝龍は邪龍DJ破断剣で下段から斬り上げる。
股間から頭頂部まで一刀両断されたアナザー鎧武は大剣を持ったまま爆散した。
「はあ、はあ、これで終わりか。」(輝龍)
輝龍は消耗しているものの、ジオウたちに加わってアナザーオーマジオウを攻撃しようとする。
アナザーオーマジオウは3体のアナザーライダーを撃破した輝龍を一瞥する。
「ちょうどいい、お前はこいつの相手をしてろ。」(アナザーオーマジオウ)
アナザーオーマジオウはそう言うと輝龍の前に灰色のオーロラを召喚する。
灰色のオーロラが輝龍の前に出現、そこから何者かが出現する。
灰色のオーロラの向こう側に、薄っすらと万夏の姿を確認する輝龍。
「万夏!!」(輝龍)
輝龍はオーロラの向こう側にいる万夏に声をかける。だが、彼女からの反応は無かった。
輝龍の前に現れた人物、それは真っ黒な人型だったが、徐々にその姿がはっきりとしてきた。
「っ!」(輝龍)
輝龍の前には自分と瓜二つの人物がその姿を見せた。
「もう、自分との戦いは懲り懲りなんだけど。」(輝龍)
直近のファブニール、異世界の自分との戦いがあった。その後に、またも自分に似た相手との戦いは若干辟易する。そんな輝龍の思いとは裏腹に目の前の相手はブラックドラゴンフルーツロックシードと戦極ドライバーを取り出す。
「変身。」(???)
眼の前の人物は輝龍の前で漆黒の輝龍、仮面ライダー黒龍ブラックドラゴンアームズに変身した。
黒龍は漆黒の竜炎刀と無双セイバーを手に輝龍に襲いかかる。
輝龍の前に姿を表したのはアナザーワールドによって誕生した仮面ライダー黒龍だった。輝龍は戦いの中で第3のドラゴンロックシードを使う。
「これならどうだ!」
そして、アナザーワールドの中で万夏は幻の喜びに浸ろうとしていた。