IS×仮面ライダー 炎竜シーズン2 仮面ライダー輝龍 作:柏葉大樹
十三異界覇王大戦編第2章、仮面ライダーエターナル編が始まります。
それでは、どうぞ!!
三人称
アナザーオーマジオウ=加古川飛流との戦いから10日が経った。
風吹く街、風都。
風都へ向かう高速道路を走るワンボックスカーに一夏の姿があった。
一夏が乗るワンボックスカーはISの開発者である篠ノ之束と夫の岩城正則のものである。当然、車を運転しているのは正則である。
「それにしても、どうして正則兄が今回出るって言ったんだ?」(一夏)
一夏は車を運転する正則に話しかける。
「ん?ああ、適任についてなら他に居ねえよ。」(正則)
運転する正則が一夏にそう答える。
正則の答えに一夏が質問をしようとするが、後ろの座席に座っている束が口を開く。
「マサくん、風都の出身なんだよ。それなら、ヴァルハラにいる仮面ライダーよりも土地勘のあるマサくんが適任だよ。」(束)
まるで、自分のことのように自身満々に話す束。それに対して、一夏が反論する。
「いや、前に風都の出身だって聞いたから分かるけど。なんで、今回の相手に正則兄が適任なのかを聞きたいんだよ。」(一夏)
一夏の疑問は、今回の相手になぜ正則が適任なのかということだった。その疑問には、正則本人が答えた。
「本気のヤツを相手にするなら、単純に俺が相性が良いってことだ。仮面ライダーエターナル、大道克己を相手にするならな。」(正則)
一夏と正則、束が風都に向かう5日前。
アナザーオーマジオウとの戦いで負傷した大樹は聖都医大附属病院に入院していた。
今回はかなりの傷を負ったことで戦線から離脱を余儀なくされた。
「腹部の傷の手術は無事に成功しました。数日もすれば回復するでしょう。」(飛彩)
仮面ライダーブレイブこと鏡飛彩。大樹の手術の執刀医をした。
病室のベッドにいる大樹、隣に座る万夏、万夏の反対側に万夏の両親の秋人と春菜が飛彩の説明を聞いていた。
「先生、ありがとうございます。」(秋人)
「今回は運が良かった。腹部の傷は重要な臓器や血管を避けていた。そうでなければ、ここに来る前に息子さんの命はなかった。」(飛彩)
飛彩の説明を聞き、胸をなでおろす秋人と春菜。
戦いに関わるようになってから傷の絶えない大樹を心配することが多い。一夏と万夏が戦っていることも心配の種にもなっているが、その二人を守るために無茶をする大樹に対してはより一層の心配をしていた。
そんな中で、今回の手術は気が気ではなかった秋人と春菜。それが、無事に終わったことでやっと安心できた。
「しばらくは安静にするように。それでは、私はこれで。」(飛彩)
説明を終え、病室から出る飛彩。病室には大樹たちが残る。
「はあ、もう、本当に心配したのよ。」(春菜)
「ああ、ごめんなさい。」(大樹)
「でも、良かった。酷い傷だったけど、何ともなくて。」(秋人)
大きいため息を吐き、大樹に話す春菜。その表情からとても心配していたことが分かる。
穏やかに話す秋人もどこか疲れた表情を浮かべていた。その様子からかなりの心労が伺えた。
保護者二人からの言葉に、大樹も流石に謝罪の言葉を言った。
「ねえ、大ちゃん。先生が息子さんって言ったけど、良いの?」(万夏)
「いや、まあ、僕はそんなに気にしなかったけど。」(大樹)
大樹と万夏の会話を聞き、笑い合う秋人と春菜。
「じゃあ、大樹。今日は私達も家に戻るから。」(春菜)
「明日、春菜さんと万夏は見舞いに行くから。じゃあ、週末に。」(秋人)
「またね、大ちゃん。」(万夏)
万夏、秋人、春奈は病室を後にする。
一人残された大樹は手術が終わった腹部を抑える。
「まさか、治りやすくなるようにわざとなのか?」(大樹)
自身の傷の具合から、アナザーワールドから召喚された黒竜がわざと急所を外したのかと考える。答えを確かめる術はないが、自分ならそうするかと思う大樹。
「まあ、もう少し寝るか。」(大樹)
大樹が寝ようとか思ったその時だった。
病室の扉が開く音がした。その音に気付いた大樹は扉の方を見る。
「万夏?」(大樹)
「残念だったな。」(飛流)
扉を開いていたのは加古川飛流だった。数日前まで戦っていた相手、本来であれば警戒するべき相手。だが、大樹は警戒するのではなく、軽く応じるのだった。
「君か。俺になにか?」(大樹)
「警戒しないのか?俺は敵だぞ。」(飛流)
「攻撃するんだったら分かるよ。今の君に攻撃の意志はない。それなのに、来たのは理由があるんだろう?」(大樹)
飛流が来たこと理由を聞く大樹。それに対して、飛流が答える。
「残る十三異界覇王のことだ。お前たちが最も欲しがる情報だ。」(飛流)
飛流が大樹の元へ来た理由、それは残る2体の十三異界覇王のことだった。
「残りは、君を除いて2体。その2体のことか?」(大樹)
「1人と1体だな。聞きたいか?」(飛流)
「ああ、聞かせてほしい。」(大樹)
「俺以外の残っている十三異界覇王、一人は大道克己と名乗る男だった。今は風都のどこかに潜伏しているだろう。残る一体は邪眼と名乗る目玉の怪物だ。どこにいるかは分からないが、かなりの力を持っていた。オーマジオウ、常磐ソウゴと同等かそれ以上に。」(飛流)
飛流からもたらされた情報、大樹にとって、この世界で戦う仮面ライダーたちにとって重要な情報だった。
「大道克己と邪眼、か。ありがとう、教えてくれて。」(大樹)
「後は、お前たちが勝手にやれ。」(飛流)
飛流はそう言うと病室から出ようとする。そこを大樹が呼び止めた。
「あ、待ってくれ。どうして、教えてくれたんだ?」(大樹)
大樹の問に飛流は背中を向けたままで答えた。
「ただの気まぐれだ。お前が、俺に言った言葉だってそうだろう。」(飛流)
飛流はそう言うと病室を後にする。どこにも行く宛のない彼はただ一人の、生まれて世界では会えなかったであろう理解者になるかもしれない相手とこれ以上の言葉を交わさないとでも言うように、去っていった。
閉じられた病室の扉を見る大樹。
「気まぐれ、か。そう受け取っても構わないよ。元気で、飛流。」(大樹)
大樹と飛流が出会った翌日。大樹が入院している病室に、一夏、颯斗、陸、正則が居た。颯斗の手にはタブレットがあり、そこには貴虎が写っていた。
「つまり、加古川飛流が昨日大樹くんに接触したのか。」(貴虎)
「はい。俺に残る十三異界覇王の情報を渡すために。」(大樹)
大樹の話から集まっている面々はどこか渋い表情をしていた。今回は特に何も無かったが、本来であれば敵が無防備な大樹を狙っていたことになる。幸い、飛流が大樹に対して攻撃の意思が無かったために、無事に済んでいる。
「まずは、その情報の詳細を聞こう。話してくれ、大樹くん。」(貴虎)
「飛流が話した情報から残る2体の十三異界覇王の名前がわかりました。一人は大道克己、茶髪に青のメッシュが入った男。残る一体、最後の一体は邪眼を名乗る目玉の怪物だったと。大道克己は風都のどこかに潜伏しているだろうと話していました。邪眼の潜伏場所は分からないけど、かなりの力を持っていて飛流との戦いやキルバスとの戦いで協力してくれた仮面ライダージオウ、常磐ソウゴ以上の力を持っていたと。」(大樹)
大樹は飛流から知らされた情報をこの場にいる全員に話した。
「大道克己と邪眼。もう少し、情報がほしいな。特に、邪眼と呼ばれる最後の十三異界覇王は。」(貴虎)
「邪眼についてはそれ以上の情報はなかったです。大道克己についても聞いた以上の情報はなかったです。」(大樹)
「もうちょっと、特徴が欲しいなぁ。邪眼って奴、どんだけ強いのかあんまり分かんないし、どんな能力を持っているのかも分からないし。」(颯斗)
「でも、どうせ戦うだろ。名前だけでも分かるだけ、前よりは良いんじゃないのか?」(一夏)
「俺も織斑と同感かな。最後に戦うんだから、名前だけでも分かるだけ十分だろ。」(陸)
もたらされた情報について話し合う。ただ一人、正則だけは口を閉じていた。
「ただ、大道克己は風都を襲ったテロリストだ。それも仮面ライダーだったらしい。」(貴虎)
「じゃあ、大道克己は俺が行く。」(正則)
ここまでヴァルハラとの接点が少なく、十三異界覇王との戦いも数少ない正則が声を上げた。
「待ってくれ、岩城博士。確か、君は。」(貴虎)
「大道克己のことはよく知ってる。それに、俺の知り合いはこの世界の大道克己と戦ったことがある。その人たちと一緒にやる。」(正則)
そう言って正則は立ち上がる。
「じゃあ、後は俺がやっておくんで。おい、大樹。大人しくしてろよ。」(正則)
「いや、無理はしないよ。いや、本当に大人しくしてる。無理はしないですよ、本当に。」(大樹)
「颯斗、そいつを見張れ。ボーナスは弾んでやる。」(正則)
「はっ、社長!!あざます!!一生ついていきます、社長!!こいつ、ずっと見張ってるんで!!」(颯斗)
「買収されるなよ。」(大樹)
ワイワイ話し始める大樹と颯斗。その様子を見て正則は病室を出る。そして、話が終わったとばかりに陸も立ち上がる。
「それじゃ、俺の出る幕はないらしいから。またな。」(陸)
正則が出た後、陸も病室を出る。
「それでは、私はこれで。大樹くん、ここまでの戦いの傷と疲れをしっかり癒やしてくれ。」(貴虎)
「はい、貴虎さん。いつも、ありがとうございます。」(大樹)
「何、この程度しかできないが。」(貴虎)
貴虎の通信が切れ、病室には大樹と一夏、颯斗が残る。
「でも、社長大丈夫かな。残ってる敵、かなりの強さだよね。」(颯斗)
「名前しか知らない、だけど自分が動くって言ったあたり宛はあるんじゃないのかな。正則兄ちゃんのことだから、何かあるかもしれないし。」(大樹)
「なあ、俺たちは行かなくても本当に良いのか?」(一夏)
残る3人は、今回の相手に対して名乗りを上げた正則のことを心配していた。
加古川飛流との戦いで傷を負っている大樹は即座に動くことはできない。残る3人の中で動けるのは一夏と颯斗。だが、颯斗は言うと、
「ごめん、ボーナス欲しいから僕行かない。」(颯斗)
すでに、金に目がくらんでいた。
「あのさ、そのボーナス出してくれる人に何かあったらボーナス出ないぞ。まあ、正則兄ちゃんが死ぬの想像付かないけど。」(大樹)
大樹と颯斗はしばらく見合わせて、一夏へと視線を移した。
「じゃあ、動けるのは一夏だよね。」(颯斗)
「う〜ん、まあ、だよな。一夏、大丈夫?」(大樹)
この中で唯一動ける一夏に問う二人。
「おっ、俺!?いや、他なら桐ヶ谷にも話をするか?」(一夏)
「ダメ元で聞いてみて。僕、ボーナスのために大樹を見張ってないといけないから。」(颯斗)
「桐ヶ谷の様子だと一緒に行くってならないかもな。一夏なら正則兄ちゃんも駄目とは言わないと思うけど。一人で正則兄ちゃんと一緒に戦うことになるけど大丈夫か?」(大樹)
「いや、まあ。俺は大丈夫だ。とりあえず、正則兄と一緒に大道克己って奴と戦ってくるよ。」(一夏)
二人の問いかけ(内一人は問いかけではないが)に一夏は強く答える。
颯斗はサムズアップ、大樹はやや心配そうな表情を見せるも拳を突き出す。
そんなこともあり、一夏は正則とともに風都市へと向かうことになったのだ。
一夏と正則が束と千冬を連れ立って車を走らせる中、同じ時間の風都では、、、
風都某所の倉庫、そこに大道克己の姿があった。
「さて、始めるか。お前たち。」(克己)
克己が声をかけると背後にいたメンバーがそれぞれのメモリを起動する。
《ルナ!》
《トリガー!》
《メタル!》
《ヒート》
金色の神秘、ルナ・ドーパント。
青色の狙撃手、トリガードーパント。
銀色の闘士、メタルドーパント。
赤色の灼熱、ヒート・ドーパント。
大道克己の背後に居たメンバーがそれぞれのガイアメモリを使用、ドーパントへと変化した。
克己は赤と銀のバックル=ロストドライバーを取り出し、装着する。
ロストドライバーを装着した克己は白色のボディにEの文字が書かれたガイアメモリを起動する。
《エターナル!》
「変身!」(克己)
克己は白色のガイアメモリ=エターナルメモリをロストドライバーにセット、スロットを倒した。
克己の姿は純白のボディに、蒼炎に染まる両腕。漆黒のローブに、複数のマキシマムスロットが装着された仮面ライダーへと変わった。
仮面ライダーエターナル、この世界では風都の街を恐怖に陥れるだけではなく、仮面ライダーWと仮面ライダーアクセルを追い詰めた最凶の仮面ライダーである。
蒼炎永遠王仮面ライダーエターナル、異世界の覇王となった仮面ライダーエターナルである。
「さあ、地獄を楽しみな。」(エターナル)
不死身の傭兵集団NEVER。彼らの脅威が再び風都を襲う。
穏やかだった風都の風が変わりだす。
次回、風都へとやって来た一夏。そんな一夏の前にNEVERのドーパントたちが襲い掛かる。
一方の正則は大道克己、仮面ライダーエターナルと相対する。