IS×仮面ライダー 炎竜シーズン2 仮面ライダー輝龍 作:柏葉大樹
side三人称
一夏、正則は束と千冬を連れ風都市へと到着した。
正則は車を風都にあるかもめビリヤード、鳴海探偵事務所へと走らせる。
「まず、大道克己と戦った仮面ライダーのところへ行く。異世界の奴とは言え、ガイアメモリを使うはずだ。翔太郎さんたちの力を借りるに越したことはない。」(正則)
「正則兄は大道克己のことはどこまで知っているんだ?」(一夏)
「名前以外なら、この街でやったことは知っているぞ。まあ、風都の出身で知らないのは事件の後に生まれた世代くらいだろうな。」(正則)
正則の言葉に、一夏はどこかピンときていない表情を見せる。
「確か、テロだったか。」(千冬)
「まあ、遠からずってところだな。かくいう俺も事件の詳細を知ったのはこれから行く鳴海探偵事務所の世話になった時だからな。」(正則)
「翔太郎さんたち、かなり驚くだろうねえ。」(束)
運転する正則は助手席にいる一夏に話しかける。
「大道克己、不死身の傭兵集団NEVERのリーダー。風都でガイアメモリをばらまいていたミュージアムっていう組織から新世代型のガイアメモリを強奪、それを使って街の人間を自分と同じ存在に変えようとした最悪の仮面ライダーだ。」(正則)
車を走らせる正則の脳裏には、かつての事件の光景が蘇っていた。
街中で起きる爆発音、切断され崩壊した風都タワー。そこで戦う仮面ライダーWと仮面ライダーエターナル。それは正則を始めとした街の人々は決して忘れることのない出来事として記憶していた。
その記憶から、今回の大道克己に戦うことを決めた正則。そのためにも、仮面ライダーW=左翔太郎とフィリップの協力が必要不可欠だった。
(少しでも速く翔太郎さんたちに知らせないと。以前の大道克己とは違う、異世界の大道克己だと言うことだけでも知らせないと。相手が何者なのか、それを伝えないと勝ち目は薄い。)(正則)
それから程なく一行は鳴海探偵事務所に到着した。
「なあ、正則兄。ここで合ってんの。」(一夏)
「おう。まあ、見た目ボロっちいけど気にすんな。それにここの事務所はいつも閑古鳥が鳴っているから。」(正則)
「気にする要素しかないだろ。」(一夏)
一夏の言葉を無視して建物を見る正則。そして、建物の前に黒と緑のバイク=ハードボイルダーが停まっていることを確認する。
(よし、ハードボイルダーがある。バイクを使わない依頼が入っていないなら翔太郎さんとフィリップさんはいるな。それなら、所長さんも普通に対応できるな。)(正則)
正則と束が先頭に、後ろに一夏と千冬が続いて建物の中に入る。建物の中に鳴海探偵事務所と書かれた看板が掛けられた扉があった。
正則はドアノブに手をかけ、扉を開けて中に入る。
「翔太郎さん!所長さん!来たぞ!!」(正則)
「正則兄!?失礼すぎないか!!」(一夏)
「今更、礼儀なんて気にする関係じゃねえから大丈夫だ。噂をすればだ。」(正則)
「はいはい、聞こえているわよ。いらっしゃい、正則くん。」(亜樹子)
失礼と言える正則の言葉に一夏が咎める。それに答えるように、掃除をしていた鳴海亜樹子が出迎えた。そして、事務所の奥から一人の男性が歩いてきた。
「久しぶりだな、正則。」(翔太郎)
左翔太郎、ここ鳴海探偵事務所の探偵であり、風都を守る仮面ライダーの一人である。
「それで、僕たちのところへ来たのはどういう理由だい?君がここに来たっていうことは相当なことなんだろ?」(フィリップ)
事務所のソファーに座る正則に言葉をかけるのは、鳴海探偵事務所のもう一人の探偵で翔太郎の相棒であるフィリップである。
正則の隣に座るのは束。別の席では一夏と千冬が亜樹子のもてなしを受けていた。
「去年から続いている異世界からの侵略者、十三異界覇王。その一人が風都に居ます。」(正則)
ソファーに座る正則が口を開いた。
「その情報はどこから?」(翔太郎)
「ついこないだ交戦した十三異界覇王の一人から。情報そのものの信頼性は高いはずですよ。俺の弟分2号が直接聞いたんで。」(正則)
翔太郎の問いに淀みなく答える正則。
「それで、風都にいる十三異界覇王の正体は分かるのかい?別世界の相手だと、地球の本棚で検索しても調べられない可能性があるからね。」(フィリップ)
「まあ、調べられない可能性があるのは百も承知ですよ、フィリップさん。でも、大道克己なら話は違うでしょ。」(正則)
正則が言った大道克己の名に、翔太郎とフィリップが表情を険しくした。別の席で一夏と千冬の茶菓子を出していた亜樹子が「私聞いてない。」とお決まりのセリフを言った。
「大道克己だと。」(翔太郎)
「悪い冗談、とは言えないね。君がその名を口にするとは。」(フィリップ)
大道克己、仮面ライダーエターナルと知られる彼は翔太郎とフィリップにとって最も苦しめられた最凶の相手であった。
傭兵としての戦闘経験、エターナルメモリによるT2ガイアメモリ以前に作られたガイアメモリの機能停止。これまでの相手とは一線を画すその力に苦しめられたのだ。
フィリップの機転により、機能停止したガイアメモリの機能の復活。街の人々の願いがこもった風を受けた奇跡の力、サイクロンジョーカーゴールドエクストリームによってようやく撃破できた強敵だった。
「異世界の大道克己。ということは、僕たちが戦った大道克己とは別の力を持っている可能性がある。」(フィリップ)
「そうだな。ガイアメモリを使わないことも考えられる。そうなれば、俺たちよりも別の仮面ライダーの協力も必要だろ。」(翔太郎)
「そこは問題ないでしょう。ここにいるってことは恐らくガイアメモリを使うはず。ただ、ガイアメモリを使っている以上はハイドープになっている可能性もある。」(正則)
ハイドープ、ガイアメモリの長期使用により超能力に目覚めたドーパント、その変身者のことを指す。
翔太郎とフィリップがミュージアム壊滅後に戦ったとある組織、その組織の幹部は皆そのハイドープだった。
「ハイドープになった大道克己、そんなの想像したくもねえよ。」(翔太郎)
「だけど、そうだとしたらかなり厄介だ。」(フィリップ)
「だから、ここで情報共有してるんですよ。まずは、俺が大道克己と戦う。その間に翔太郎さんとフィリップさんは攻略の算段を付けてくれ。攻略法が分かり次第、全員で大道克己を叩く。」(正則)
正則からの提案、それはガイアメモリに詳しい翔太郎とフィリップが大道克己と万全に戦うことができるようにするためのものだった。
「危険すぎる。正則だけで「正則兄だけにそんなことさせられるかよ!!」、っと文句のあるやつもいるぜ。」(翔太郎)
だが、正則の作戦には翔太郎とフィリップは苦い表情を浮かべた。翔太郎に至っては危険だと言ったが、そこに割り込んで一夏も正則だけにはさせられないと言った。
「今回のやつもかなりの相手になるだろ。正則兄だけでなんて戦わせるわけには行かないだろ!」(一夏)
「落ち着け、一夏。別に算段なしで行くわけじゃない。」(正則)
「そうだよ。マサくんも作戦なしで行くんじゃないんだよ。」(束)
「なら、それを話したらどうだ?ここにいる人たちと一夏は納得しないぞ。」(千冬)
千冬の言葉に、正則が懐から2つのバックルを取り出した。
「俺の持っている2つのオーズドライバー。オーズNEOとして戦えば、複数のガイアメモリを使う大道克己に対応できる。最悪、ヘキサオーズに変身してドライバーからガイアメモリまでを封じてしまえば良い。そうすれば、翔太郎さんたちの損害も少なくすむはずだ。」(正則)
「エターナルメモリの能力を考えたら、マサくんと戦えば皆安全に戦うことができる。それに、束さんも居て相手を調べたり、装備の調整をするから大丈夫!」(束)
正則と束、二人は事前に大道克己が相手であることからある程度の準備をしてきた。
束はタブレットを取り出し、あるプログラムを見せる。
「前に風都で起きた事件を聞いて、それの打開策のプログラムを作成中。26本のガイアメモリが起動したら、それに対するカウンターを発動させるプログラムだよ。以前のデータと今回の相手のデータもあれば十二分にできるよ。」(束)
束のプログラムを見る翔太郎、フィリップ。それを見て、フィリップが興味を示す。
「へえ、興味深いね。大道克己が風都市民をNEVERにしようとしたものに対するカウンタープログラムね。」(フィリップ)
「束ちゃん、確実にできるのか。」(翔太郎)
「束さんの力だけでもできるよ。でも、速くに完成させるなら今いる大道克己のデータが必要。」(束)
正則と束の作戦を聞き、考える翔太郎。それでもなお、正則一人に大道克己の相手を任せるのは危険だと考えている。
「それでも、正則に危ない橋を渡らせるわけには行かない。少なくても、俺も行く。」(翔太郎)
「分かりました。でも、大道克己がエターナルメモリのマキシマムドライブを使おうとしたら確実に止めますよ。使われて翔太郎さんたちが戦闘不能になりますし。そうなったら、俺と一夏で本気の大道克己に勝てるか分かんないんで。」(正則)
翔太郎の言葉に正則も自身だけで戦闘することを固辞することはなかった。というよりも、それなりの付き合いになる翔太郎のことを考えてそうせざるを得ないだけだった。
そうして、話が一段落したときだった。
「あっ、もしもし。どうしたの、竜くん?え、ドーパント!?」(亜樹子)
亜樹子のケータイに夫の照井竜から電話がかかってきた。街にドーパントが出現したという知らせをもたらして。
風都市の街中、そこに4体のドーパントが姿を見せていた。
「さて、徹底的にぶっ壊してやるぜ!」(メタルドーパント)
先端にハンマーを有する棍を持つ鋼色のドーパント、メタルドーパントは包囲するパトカーを次々とスクラップにしていく。
「私を熱くできないのなら、消えなさい!」(ヒートドーパント)
燃え上がる炎のような赤色のドーパント、ヒートドーパントは全身から発する炎で警官たちを吹っ飛ばしていく。
「さあ、あなたたち。いってらっしゃ~い!」(ルナドーパント)
黄金の月のようなドーパント、ルナドーパントは両手から発した黄金の光からマスカレイドドーパントを複数体召喚する。
ルナドーパントによって召喚されたマスカレイドドーパントたちは次々と人々に襲いかかる。
「・・・。」(トリガードーパント)
他のドーパントたちの後方にいるのは青色のスナイパーのドーパント、トリガードーパント。そのトリガードーパントは警官たちの中にいる赤いジャケットを着た人物、照井竜をスコープ越しに狙っていた。
「これじゃあ、埒が明かないな。応援はまだか。」(照井)
「まだ、来そうに無いですね。まさか、NEVERのドーパントがまた出てくるとは。」(刃野)
突如襲撃してきたドーパントたちの対処に追われる照井たち。その対処もままならなかった。そこへ、一陣の風が吹いた。
警官たちの間を縫うように黒と緑のバイクが駆けていき、ルナドーパントが生み出したマスカレイドドーパントを蹴散らしていく。
黒と緑のバイク=ハードボイルダーに乗っていたのは仮面ライダーW、左翔太郎とフィリップが変身した仮面ライダー。風都の守護者が華麗に参上した。そして、この場に駆けつけたのはWだけではなかった。
大型装甲車、リボルギャリーがWに遅れて到着すると中から白銀のアーマードライダー、仮面ライダー白銀と3色の仮面ライダーオーズNEOハヤガコンボがWの両隣に並び立った。
「仮面ライダー!3人も来てくれたのか!」
その場に居た警官たちの表情に希望が満ちた。
「あんたたち、ここまでありがとう。後は俺たちが奴らの相手をする。」(W:翔太郎)
W、翔太郎が警官たちに゙言葉をかける。その言葉に警官たちを指揮していた照井が頷く。
「動けるものは動けないものの補助に回れ。後は彼らに任せて、市民の避難を急げ。」(照井)
照井は動ける警官たちに指示を出す。その動きを見ていたWたちはドーパントたちに向き直る。
「さて、久しぶりの相手だな。」(W:翔太郎)
「昔出てきたNEVERの奴らと同じ、ですね。おい、一夏。一人で先走るなよ。相手は傭兵、ガイアメモリを使わなくても並のやつを余裕で殺せる奴らだ。」(オーズNEO)
「分かってるって、正則兄。」(白銀)
ドーパントたちに向けて武器を構える3人。
Wと白銀が4体のドーパントに向かって走り出す。同じくオーズNEOも続こうとしたが、背後に感じた殺気に振り返る。
「前に会ったか?」(エターナル)
「いや、俺が一方的に知っているだけだ。まさか、NEVERのリーダーが直々にお出ましとは。」(オーズNEO)
蒼炎永遠王仮面ライダーエターナル、NEVERたちを率いるリーダーがそこにいた。
「用はあそこのやつだったが、どちらにしろ全員始末するからな。先にお前からやるか。」(エターナル)
「いいぜ。来いよ。」(オーズNEO)
エターナルに対してオーズNEOがファイティングポーズをとる。
エターナルは右手に持ったエターナルエッジをオーズNEOに振り下ろす。
オーズNEOはヤドカリアームの装甲でエターナルエッジを受け止める。
風都でのこの戦いを、一夏は後に自分にとってのターニングポイントだったと話す。
それがはっきりと分かるのはそう遠くない未来だった。
エターナルと激しい戦いを繰り広げるオーズNEO。そこで予想だにしないことが起きた。そして、一夏は大道克己と素顔で邂逅する。
「お前はどうしたい。」
その問いに一夏はどう答えるか。