IS×仮面ライダー 炎竜シーズン2 仮面ライダー輝龍 作:柏葉大樹
それでは、最新話をどうぞ!
side三人称
風都の街で一夏を探し続ける正則。昼間の戦いのダメージが残っており、荒い息を吐く。
「はあ、はあ、っ、はっ、はああ、どこに行ったんだ、一夏の奴。」(正則)
特に、仮面ライダーエターナルのライダーパンチを受けた腹部を押さえており、苦悶の表情を浮かべる。
「クソっ。いつも、一人で抱えやがって。たくっ、大樹も一夏も変なところは一緒なのがな。幼馴染つうか、親友つうか。まじの兄弟かよ。」(正則)
辺りを見るも一夏らしき姿がないため、背筋を伸ばして大きく息を吐く正則。
「あと見ていないのは港の方か。一応、翔太郎さんにも連絡しておくか。たくっ、見つけたらただじゃおかねえ。」(正則)
正則はスマホを出して翔太郎に電話をかける。このあとに向かうであろう港では探し相手が強敵を相手に戦っているとはつゆ知らずに。
「はあああっ!!」(白銀)
仮面ライダー白銀シルバーエナジーアームズはバニシングブレードを仮面ライダーエターナルに向かって振るう。その攻撃もエターナルは容易く回避する。
「太刀筋は悪くないが分かりやすい。大振りでは相手に受け止められやすいぞ。」(エターナル)
それどころかエターナルは白銀に戦い方の欠点を指摘する余裕を見せる。それに白銀は怒りを燃え上がらせる。
「うるさい!!」(白銀)
白銀は一際大きくバニシングブレードを振るう。先程よりも激しくなるその攻撃はエターナルまであと少しと言うところで全て回避されてしまう。
「怒りの感情のままに武器を振るうな。怒りは攻撃の威力と勢いを増す。だが、感情のままに振るえば相手に付け入る隙を与えるぞ。」(エターナル)
エターナルは白銀の攻撃を躱して距離を取る。エターナルは新たなメモリを使用する。
《ファング!マキシマムドライブ!》
エターナルはT2のファングメモリをエターナルエッジのマキシマムスロットにセットする。
ファングメモリのマキシマムドライブが発動、エターナルエッジの刃が青白いオーラに覆われて巨大化する。
「隙が大きければ、相手が強力な一撃を放つための時間を与える。こんなふうにな。」(エターナル)
エターナルは白銀に向かってエターナルエッジを振り上げた。その瞬間、エターナルエッジから恐竜の頭部を模したオーラが白銀に向かって鋭い牙を持った口を大きく広げて襲いかかる。
白銀はバニシングブレードを盾代わりにしてエターナルの攻撃を耐える。そこにエターナルは新たなメモリを起動する。
《ユニコーン!マキシマムドライブ!》
エターナルエッジを左手に持ち替えたエターナルはドリルのようなオーラをまとった右腕でコークスクリューパンチを放つ。
追撃の一撃を受けて白銀は大きく飛ばされてしまう。
「相手によってはこのように大技を連続で繰り出すやつもいる。とっさに防御したのは良いが、もう少し相手の次の動きを考えて戦うと良い。」(エターナル)
「うるさい!!」(白銀)
白銀は即座に立ち上がるとゲネシスドライバーを操作する。
バニシングブレードの刃が青白く輝き、夜の埠頭を照らす。
白銀はバニシングブレードを掲げて、エターナルの脳天目掛けて勢いよく振り下ろした。
エターナルは即座に白銀の攻撃を避けた。
白銀はエターナルが回避したのを見計らって、バニシングブレードをさらに振るう。繰り出される連続攻撃はエターナルへと迫る。
エターナルは白銀の攻撃に対して冷静に対処する。強化された刃をエターナルローブで防御する。
白銀はさらにシャイニングエナジーロックシードを取り出し、シャイニングエナジーアームズへアームズチェンジする。
白銀は即座にゲネシスドライバーを操作、高速移動能力を発動する。
エターナルはアクセルメモリを起動、白銀の高速移動に対抗する。周囲を置き去りにして、二人は絶え間なく斬り合う。
高速戦闘での斬り合い、その余波は周囲に無数の斬撃のあとを残した。
アクセルメモリのマキシマムドライブの効果が終了するのと、白銀の一撃が動きが止まったエターナルに向かって放たれたのが同時だった。
「はああああっ!!」(白銀)
バニシングブレードの刃がエターナルに当たるかに見えたその時、エターナルは右手に持っているエターナルエッジで難なく受け止めていた。
「ッ!!」(白銀)
「なるほど、闇雲に武器を振るっているのように見えたが必殺の一撃を待っていたのか。」(エターナル)
白銀は即座に後方へ飛び、バニシングブレードを構える。一方のエターナルはエターナルローブを翻し、白銀を見据える。
「俺が居た世界のお前はがむしゃらに剣を振るうだけだった。まあ、がむしゃらだが一太刀がかなり強力だったが。」(エターナル)
白銀は再度ゲネシスドライバーを操作、バニシングスラッシュを放つ。それに対してエターナルはクイーンメモリを発動、白銀の攻撃を防御した。
「決して手を緩めず、攻撃の手を休まない。戦いにおいては最適解に近い。だが、相手が防御手段を持っているとそう簡単ではない。」(エターナル)
複数のガイアメモリを使い分けるエターナル。白銀はバニシングブレードにシルバーエナジーロックシードをセット、さらにゲネシスドライバーを操作する。
「これならどうだ!!」(白銀)
白銀は強化バニシングスラッシュを放ち、クイーンメモリのマキシマムドライブを突破する。だが、防御を突破した先で待っていたのは新たなメモリをマキシマムスロットにセットしたエターナルだった。
《ユニコーン!マキシマムドライブ!》
「はっ!!」(エターナル)
右手にユニコーンのオーラを纏ったコークスクリューパンチを放つエターナル。
白銀の攻撃とエターナルの攻撃が激突、夜の埠頭に強烈な衝撃が走る。勝敗は吹き飛ばされた白銀の変身が解除されることで決まった。
「くっ!」(一夏)
一夏は消耗しているものの立ち上がり、エターナルを睨みつける。
「ここまでの力量差があるにも関わらず、まだそんな目をするか。」(エターナル)
エターナルはそう言うとロストドライバーからエターナルメモリを引き抜く。
メモリが引き抜かれた瞬間、エターナルの姿は大道克己のものへと戻る。
「安心しろ、今すぐにこの世界を破壊するつもりはない。残っている十三異界覇王を倒さねばならないからな。」(克己)
そう言って克己は一夏に背を向けて歩き始める。
「織斑一夏、決してこの世界を守りたいのがお前の戦う理由ではない。少なくとも、今の戦いでそれは分かった。」(克己)
そう言って大道克己は現れた時と同様に姿を消した。
それを一夏は睨みながら洗い息を吐き続けた。
「ほら。」(正則)
「正則兄、サンキュ。」(一夏)
コンビニの前で正則が購入したペットボトルの水を渡す。それを受け取った一夏は蓋を開けて中に入っている水を一気に飲む。
「で、大道克己がお前に接触した理由は分かんねえか。」(正則)
「俺の戦う理由はなんだって、そんだけだった。」(一夏)
「お前に何か用があるってことだけは確かだな。」(正則)
正則は一夏から大道克己と会ったこと、交戦したことを聞いた。なぜ、克己が一夏を狙ったのかわからないままだったが。
「お前の戦う理由を聞いたんだよな。それ以外は。」(正則)
「いや、俺と千冬姉のことだけ。特にはなかった。」(一夏)
「そうか、お前の戦う理由を、ね。決まりきってるだろ、お前の戦う理由なんて。」(正則)
克己から一夏への問い、ここに来て思いがけない相手からのもの。それは正則にとって、予想し得ないものだった。それについて正則は決まりきっていると言って一夏に聞いた。
「勿論だろ、大樹が戦ってんだぞ。」(一夏)
「まあ、そうだよな。あいつが戦い始めたってのはでかいよな。なあ、一夏。もし、大樹が戦わなかったら、戦わなかったか?」(正則)
正則の問いかけに一夏は驚きの表情を見せた。
「それは、ないだろ正則兄。大樹が戦わないって。」(一夏)
「まあ、大樹が戦わないってのはありえないだろうけど。あいつがあの時、戦極ドライバーを使わなかったら、そこから戦い始めなかったら、お前は戦ったか。」(正則)
正則の問いに黙り込む一夏。その一夏を見て、正則が話し始めた。
「俺は白騎士事件のこともあったから、なんだかんだ戦ってきた。白騎士事件を引き起こして、世界をめちゃくちゃにした。そこらの有象無象のことなんかどうでもいいが、それじゃ束の夢を叶えられない。早い話が、俺の戦う理由はそん時の贖罪だ。罪の償い、そんなもんだ。」(正則)
正則の言葉に一夏はただ聞いていた。これが問いかけではなく、自分への助言を含んだものだと感じたからだ。
「仮面ライダーとして戦っている人間は誰かしら戦う理由がある。お前が会った鳴海探偵事務所の翔太郎さんはこの街、風都を守るためだ。相棒のフィリップさんは昔、ガイアメモリの製造に関わっていた。その償いとして、今も戦っている。そして、所長の旦那さん、風都署の刑事の照井さんは家族をガイアメモリ犯罪で失い、ガイアメモリを撲滅するために戦っているんだ。俺と同じ、メダルを使って戦う仮面ライダーオーズ、火野映司さんは、まああの人は眼の前の誰かを助けるためだけどな。」(正則)
正則は自分が知る仮面ライダーたちについて話す。一呼吸おいて、一夏の方を見る。
「そして、大樹と万夏ちゃんだ。大樹は大切なもの、仲間や家族、万夏ちゃんを守るために戦っている。その万夏ちゃんは大樹を守るために、な。」(正則)
最後に出したのは一夏もよく知る二人、幼馴染で親友の大樹と双子の妹の万夏だった。
「あの二人は決して世界を守ろうとなんて思っていない。大樹なんか良い例だろ、自分を育てたお前の親父さんとお袋さん、千冬とお前と万夏ちゃんを傷付けるやつは当然として、大切な人以外の優先順位は決して高くない。まあ、眼の前で見殺しにしないあたり、人の良さが出てるけどな。万夏ちゃんはまあ、大樹第一優先だろ、一目瞭然で。」(正則)
正則が話し始めたことは一夏もよく理解していた。それを幼い頃から見ていたからこそ余計に。
「お前の戦う理由はきっと大樹が戦っているからって言うのは間違いじゃないのは俺もわかる。そんなお前に執着する大道克己のことが分かんねえけどな。」(正則)
そう言って正則が立ち上がる。
「まずは、鳴海探偵事務所に戻るか。その後は、千冬といっしょにホテルに行って休んでおけ。また、すぐにNEVERが来るか分かんねえからな。」(正則)
一夏は正則を見上げる。口を開きかけるが正則にあとに続くようにして立ち上がった。
その後、深夜の鳴海探偵事務所には正則、束の二人に翔太郎とフィリップが集まっていた。
「一夏の話からすると大道克己の目的は間違いなく一夏です。ただ、その理由がよくわからないです。」(正則)
「それなら、なぜ風都に来たのかも謎だな。織斑一夏が目的ならここに来る理由はないはずだ。」(翔太郎)
「そもそも、なんでいっくんだったの?接点なんてまったくないでしょ。」(束)
「一夏の話には、どうも大道克己が居た世界でその世界の一夏と接触があったらしい。昼間、俺が戦ったときにはその世界には俺も居たらしいからな。」(正則)
正則が一夏から聞いた新たな情報を翔太郎とフィリップに話していた。
異世界の大道克己がなぜ一夏に接触したのか、その理由だけは詳しいことは分からなかったのだが。
「プロジェクト・モザイカ。一夏君、千冬さん、二人の妹の万夏ちゃんの誕生に関わっている織斑計画と呼ばれたそれは一体何なんだ。」(翔太郎)
「僕もそれには興味を惹かれた。大道克己が織斑一夏に興味を示しているのもその計画が関係しているように思える。」(フィリップ)
その中で翔太郎とフィリップは大道克己が一夏に接触した理由に織斑姉弟の出生に関わるプロジェクト・モザイカを上げた。
その言葉を聞いた正則と束はお互いの顔を見合わせる。そして、正則が口を開いた。
「これは、千冬と一夏だけじゃなくて織斑家に関わることです。詳細は織斑家しか知らないですし、そのことについては俺達もあまり触れようとは思いません。フィリップさんならすぐに調べられると思うんで俺と束が知っている範囲のことだけは伝えます。だけど、そのことを...。」(正則)
「二人には言うな、だろ。それは俺達も承知だ。」(翔太郎)
「僕だって他人には言いにくいことだってある。不躾に聞くのはよすよ。」(フィリップ)
「ありがとうございます。これは俺と束の知っている範囲ってだけです。それを踏まえた上でお願いします。プロジェクト・モザイカ、織斑計画と呼ばれたこの計画は人工的に究極の人類、優れた知能と肉体を兼ね備えた人類の到達点を生み出すことが目的でした。その計画によって生み出されたのが被検体番号1000番、千冬とその番となる男の雛形として生み出された一夏、千冬の遺伝子をベースに他の人間との遺伝子と掛け合わされて生み出された万夏ちゃんだった。それを俺と束は千冬から聞きました。それ以上の詳細は俺と束は聞いていないです。」(正則)
正則が聞いた情報を聞き、フィリップが質問をする。
「究極の人類、それを生み出すための計画なのは分かった。大道克己の興味を引くには十分だと考えられる。だが、それで一夏君に興味を示すのはまだわからないが。」(フィリップ)
「とりあえず、次に来たら問答無用でヘキサオーズに変身します。エターナルメモリのマキシマムドライブを使われる前にぶっ潰します。」(正則)
「まさくん、いつになくキレキレだね。でも、油断はできないのは当然だよね。束さんは念の為に大道克己がここの人たちをNEVERにしようとしたときのカウンタープログラムの構築を進めるね。」(束)
「よし、束ちゃんはそれを頼むぜ。次に奴らが出たらそこで決着をつけようか。」(翔太郎)
「じゃあ、俺は一夏に連絡します。あいつも関係がある以上は一緒に戦う必要があります。」(正則)
正則はスマホで一夏の番号に電話をかける。だが、いくら待っても一夏が出ることはなかった。流石に寝ているのかと思い、正則は電話をかけるのを止めた。
風都市内にあるビジネスホテル、そこには一夏と千冬が宿泊していた。シャワーの音が響くその部屋の中で、一夏はベッドの上で大の字になり、ずっと己が戦う理由を考えていた。
(俺の戦う理由は、とっくに決まっている。大樹が戦っているから、大樹に追いつくために。それ以外に何があるって言うんだよ、俺のことをろくに知りもしないで。)(一夏)
一夏は大道克己との戦いを終えた後からずっとその問いかけをずっと思い返していた。それに対して、一夏の答えは変わらないでいたが大道克己が求めているものがそれは出ないことも一夏は理解していた。
「俺の、戦う理由か。」(一夏)
「どうした?ずっと、悩んでいるぞ。」(千冬)
悩んでいる一夏にシャワーを終えた千冬が声をかけた。シャワー上がりの千冬はバスローブ姿で右手には缶ビールが握られていた。
「あ、いや、今回の十三異界覇王に俺の戦う理由を聞かれて。大樹が戦っているから俺も戦っているんだって言ったら、本当にそうかって。」(一夏)
「なるほどな。」(千冬)
一夏の話を聞き、千冬がソファーに腰掛けて缶ビールを飲み始める。
「一夏、大樹が戦わなかったら戦わなかったか。」(千冬)
「それ、正則兄にも言われたさ。」(一夏)
「なるほどな、それでどうなんだ?大樹があの時、戦極ドライバーを、アーマードライダーに変身しなかったら、お前は戦っていたか?」(千冬)
千冬からの問いかけ、正則の問いかけと同じものを投げかけられて一夏は考える。それを見て千冬は微笑みながら缶ビールを飲む。
「お前の戦う理由は、そこじゃない。それは私がよく分かっている。父さんも母さんも、万夏も。それに、大樹だって分かっているはずだ。」(千冬)
千冬からの言葉で一夏は頭の上に疑問符を浮かべる。
千冬は缶ビールをテーブルに置き、一夏の隣に座る。
「少し肩の力を抜け。大樹が戦っている以外に、お前の戦う理由は決まっているはずだ。」(千冬)
そういう千冬の眼差しは弟を見る姉としての眼差しでもあり、恋人を見るような眼差しでもあった。
日付が変わった深夜、隣で静かに寝ている千冬を感じて一夏は自身の戦う理由について考えを、正確にはその戦う理由の根幹について思いを巡らせていた。そのまま、一夏はまぶたを閉じた。眠りに落ちた一夏は幼い頃、自身の出生に関わるある記憶を思い出していた。
眠りに落ちた一夏はかつての幼い頃の記憶を思い出していた。
千冬、一夏、万夏の出生の秘密。それこそが織斑一夏の戦う理由、その起源がそこにあった。
それでは、皆さん。2024年もありがとうございました。来年2025年もよろしくお願いします。