IS×仮面ライダー 炎竜シーズン2 仮面ライダー輝龍   作:柏葉大樹

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 前回の投稿から時間が経ってすみませんでした。プライベートの方で色々と予定があって、落ち着いて執筆したのが10月の終わりから。また、展開の流れから1万字を超える長文になってしまいました。
 長らくお待たせしました。どうぞ。


仮面ライダー輝龍 第4話

side三人称

 「うおおおおお!!」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 大樹が変身したアギトヴォルカニックフォームはイーヴィルアギトにその鉄拳を叩き込む。その一撃は強化されたイーヴィルアギトですらもその場から数メートルほど後ずらせた。さらに、反撃の隙を与えずに2度目、3度目と何度も拳を叩きつけていく。

 

 「ウガアアアアア!!」(イーヴィルアギト)

 

 イーヴィルアギトが持つフレイムタイタンソードの鍔に当たる部分が6本に展開した。その瞬間からフレイムタイタンソードの刃が赤黒い炎に包まれ、その刃をアギトヴォルカニックフォームに振り下ろす。

 フレイムタイタンソードの刃がアギトヴォルカニックフォームの肉体に深々とめり込んだ。

 

 「ぐっ!」(アギトヴォルカニックフォーム)

 「大樹君!!」(アギトシャイニングフォーム)

 

 アギトシャイニングフォームがヴォルカニックフォームに駆け寄ろうとする。

 イーヴィルアギトはフレイムタイタンソードを引こうとするがそれをアギトヴォルカニックフォームはフレイムタイタンソードとイーヴィルアギトの腕をあらん限りの力で動かせないように抑え込んだ。

 

 「翔一さん!このままやってください!速く!俺が正気でいられるうちに!!」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 アギトヴォルカニックフォームはそう言ってイーヴィルアギトが身動きが取れないようにその場に抑え込んだのだった。

 

 「っ!」(イーヴィルアギト)

 「逃がすかよ!!」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 アギトシャイニングフォームはその場で必殺技を放つためにその場で構えた。その瞬間に空中に蒼銀のアギトの紋章が浮かび上がる。

 

 「っ!」(アギトシャイニングフォーム)

 

 アギトシャイニングフォームは紋章に向かって走り出した。そして、そのまま空中へ跳び上がり紋章を蹴り抜いた。加速された飛び蹴りは身動きが出来ないイーヴィルアギトに向かっていく。シャイニングライダーキック、アギトシャイニングフォーム最強の必殺技であるそれはアギトヴォルカニックフォームによって抑え込まれてるイーヴィルアギトに決まった。

 

 「やった、か。」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 斬られた傷を抑えるアギトヴォルカニックフォーム。その視線の先にはシャイニングライダーキックを受けて倒れたイーヴィルアギトが居た。だが、イーヴィルアギトはその状態から立ち上がった。

 

 「ああ、やっぱりか。」(アギトヴォルカニックフォーム)

 「大樹君、ごめん。」(アギトシャイニングフォーム)

 「いえ、翔一さんが謝ることじゃないです。寸でのところであいつ、武器を盾にしていたんで。」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 イーヴィルアギトの様子を見て話す両者。アギトヴォルカニックフォームの言葉を示すようにイーヴィルアギトが持っていた武器は完全に破壊されていた。

 

 「ウオオオオオオオオオオオオ!!」(イーヴィルアギト)

 

 立ち上がったイーヴィルアギトはその場で咆哮をあげた。それは衝撃波を伴い、周囲の建物を文字通り激しく揺らした。その咆哮による衝撃波でイーヴィルアギトの全身を覆う甲殻が全て吹き飛んだのだ。

 土埃や建物の破片を伴った衝撃波を両腕を上げて防いだアギトシャイニングフォームとヴォルカニックフォーム。彼らが両腕を下ろすとイーヴィルアギトの姿はまたも変わっていた。その姿は先程までと違い二人のアギトとそう変わらないくらいの姿に、むしろ基本形態のグランドフォームに近くなっていた。だが、その姿は漆黒のままであり、その双眼も光を写さない漆黒に染まっていた。

 変化したイーヴィルアギトを見た瞬間にアギトの力が警告を発していたのを感じた。

 アギトシャイニングフォームとヴォルカニックフォームはそのままイーヴィルアギトに対してファイティングポーズを取った。ほぼ、直感的にそうした二人だったがそれを見たイーヴィルアギトはそのまま二人に向かってただ歩み始めただけだった。

 一瞬、虚を突かれた二人だったがその瞬間にイーヴィルアギトは二人に触れる程の距離まで詰めてきたのだった。

 

 「何!?」(アギトシャイニングフォーム)

 「っ!!」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 二人のアギトが動揺したその瞬間にイーヴィルアギトは目にも止まらぬ速さで攻撃を加えたのだった。

 宙に浮かぶほどにダメージを受けた二人のアギト。攻撃の瞬間はアギトシャイニングフォーム=翔一もアギトヴォルカニックフォーム=大樹も分かった。だが、分かったがその時には既に数え切れないほどの攻撃を受けた直後だった。

 変身が解除されることは無かったものの即座に立ち上がることが出来ないくらいにダメージを受けていた。そこへさらに追撃を行うイーヴィルアギト。先にアギトヴォルカニックフォームがその追撃を受けた。

 

 「っ!ガハッ!」(アギトヴォルカニックフォーム)

 「大樹君!!」(アギトシャイニングフォーム)

 

 高く宙へ上げられ、地面に強く叩きつけられた。

 受けた傷が回復する能力を持つアギトヴォルカニックフォームでもダメージそのものを完治している訳じゃない。傷がふさがったとしてもその時に受けたダメージは消えずに残っているのだ。

 

 「っ、グッ!」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 地面に倒れ伏せるアギトヴォルカニックフォーム。その身を案じてアギトシャイニングフォームが駆け寄ろうとするがその前にイーヴィルアギトが立ちはだかる。

 

 「...。」(イーヴィルアギト)

 

 無言のままにアギトシャイニングフォームと対峙するイーヴィルアギト。またしてもイーヴィルアギトは瞬時に距離を詰めたのだった。だが、アギトヴォルカニックフォームと違い、距離を詰められたその瞬間にアギトシャイニングフォームはイーヴィルアギトの攻撃を加えたのだった。

 イーヴィルアギトが距離を詰めた瞬間にストレートパンチ、そこから頭部を狙ったハイキック、体勢が崩れた瞬間にフックのコンビネーションと流れるような連撃を放つアギトシャイニングフォーム。だが、その攻撃を受けても微動だにしないイーヴィルアギト。それでもアギトシャイニングフォームは攻撃を叩き込み続ける。戦場となっている街中で鈍い衝撃音が響き渡る。

 

 「ハアッ!!」(アギトシャイニングフォーム)

 

 一際強烈なストレートパンチがイーヴィルアギトの胸部に突き刺さった。

 イーヴィルアギトはその場から数メートルほど吹き飛んだ。吹き飛んで空中へ身を投げ出されたが空中で身をひるがえし、何事もなく着地した。

 イーヴィルアギトはアギトシャイニングフォームを見据えると今度は先程まで受けていた攻撃をそっくりそのままアギトシャイニングフォームへ放ったのだ。その攻撃はどれも重くアギトシャイニングフォームでも防戦一方になるだけだった。

 アギトシャイニングフォームは倒れているアギトヴォルカニックフォーム=大樹の身を案じるが今はただイーヴィルアギトの攻撃を防ぐので手いっぱいだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side大樹

 痛い

 

 まただ。

 

 痛い

 

 また、この感覚だ。

 

 痛い

 

 最初にこの姿に変身した時もそうだった。

 

 痛い

 

 全身に痛みが走り続ける。

 

 痛い

 

 まだ、変身してすぐは耐えきれないほどじゃない。

 

 痛い

 

 だけど、変身している時間が長引くほどに痛みは増していく。

 

 痛い

 

 痛みが増すだけじゃなく、それに比例してどうしようもない程に怒りが沸き上がっていく。

 

 痛い

 

 怒りはどんどん沸き上がって燃え盛る。

 

 痛い

 

 痛みと共に怒りは燃え上がって俺の理性を焼き尽くしていく。

 

 痛い痛い

 

 まだ、耐えられた。

 

 痛い痛い痛い

 

 でも、あのアギトの攻撃を受けた後からは耐えられる許容量を大幅に超えてしまった。

 

 痛い痛い痛い痛い痛い

 

 落ち着くのを待っていたけど、怒りが収まることは無かった。

 

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

 

 地面に倒れている間も痛みと共に怒りが沸き上がって抑えきれない。

 

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い怒痛い痛い痛い怒痛い痛い怒痛い怒痛い怒痛い怒怒、痛い怒怒怒怒怒、痛い痛い痛い痛い怒痛い怒怒痛怒怒怒怒痛い痛い怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒痛い痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ウオオオオオオオオオオワアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side3人称

 突如として雄たけびを上げたアギトヴォルカニックフォーム=大樹。その肉体からは周囲を焦がすほどの熱気が放出されており、そのまま立ち上がったのだ。

 

 「フーッ!フーッ!フーッ!ウオオオオオ!!」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 アギトヴォルカニックフォームはそのままイーヴィルアギトに飛び掛かる。

 

 「大樹君!?」(アギトシャイニングフォーム)

 「フン!!」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 アギトシャイニングフォームに攻撃をするイーヴィルアギトにつかみかかり、力づくで地面に叩きつけたアギトヴォルカニックフォーム。それだけではなく、そのまま馬乗りとなって何度も何度も拳を叩きつけていく。

 迸り沸き上がる怒りのままに攻撃をしていくアギトヴォルカニックフォーム。それと同時に彼から放出される熱もより熱くなっていく。

 

 「死ね!死ね!死ねえええ!!」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 響き渡る生々しい打撃音。イーヴィルアギトの顔面に亀裂が走り出しており、あらん限りの力でアギトヴォルカニックフォームが自身の拳を叩きつけていることが容易に窺い知れることが出来る。

 全く防御することなくただ攻撃を受け続けていたイーヴィルアギト。だが、アギトヴォルカニックフォームの何度目かの拳をイーヴィルアギトは両手でつかんだ。さらに、アギトヴォルカニックフォームの体勢を崩して倒し、今度はアギトヴォルカニックフォームの頭部に一撃を、パンチを入れた。顔面を地面に叩きつけるように撃ち込まれた拳はアギトヴォルカニックフォームの頭部を地面とサンドイッチさせることで大きなダメージを与えた。

 

 「グッ!ぬおおおおあああ!!」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 背中側で抑え込まれている左腕がミシミシと音を立てるのにも関わらず、力ずくで立ち上がるアギトヴォルカニックフォーム。ミシミシと音を立てる左腕を、イーヴィルアギトに掴まれている左腕をそのまま無理矢理力づくで大きく振りまわしたのだった。

 イーヴィルアギトは振り回される中でアギトヴォルカニックフォームの左腕を掴んだまま両足でさらに関節を固めたのだった。そして、イーヴィルアギトはそのままアギトヴォルカニックフォームの左腕を締める力を強めた。

 

 ボキ!!

 

 何が折れた音が周囲に響いた。

 

 「ッ!痛!!」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 アギトヴォルカニックフォームは体勢を崩し、左腕を抑える。その瞬間にイーヴィルアギトは地面に降り立っており、イーヴィルアギトが掴んでいたアギトヴォルカニックフォームの左腕はあらぬ方向へ折れ曲がっていた。

 

 「ハアッ!!」(アギトシャイニングフォーム)

 

 アギトシャイニングフォームはシャイニングカリバーを召喚、それを二本の剣からなるツインモードへと変える。

 シャイニングカリバーを両手に持ち、目にも止まらぬ速さでイーヴィルアギトを攻撃するアギトシャイニングフォーム。光の斬撃がイーヴィルアギトの肉体に幾筋もの傷跡を着けていく。

 イーヴィルアギトから受けた傷が回復したアギトヴォルカニックフォームは天高く跳び上がり、イーヴィルアギトの頭部目掛けて踵落としを放った。さらに、アギトヴォルカニックフォームはそこから何度も何度もイーヴィルアギトの頭部を踏みつけていく。ドゴッという鈍い音が何度も響き、さしものイーヴィルアギトもこれには無事では済まないと思われた。だが、アギトヴォルカニックフォームの踏みつけを躱してイーヴィルアギトが起き上がった。

 

 「俺にはもう、五代さんしかいない。あの人の笑顔を守るために、あの人を傷つけるものは全て俺が殺す。」(イーヴィルアギト)

 

 そう言ったイーヴィルアギトに対して怒りの感情のままに戦っていたアギトヴォルカニックフォームは冷静さを取り戻した。その話したことから察知できた歪さを見抜いたから。

 

 「へえ。それでそのゴダイって人は生きているのか?」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 そして、ここで一か八かの賭けに出たのだった。それこそ下手をするととんでもないことになりかねない賭けに。

 

 「ああ、五代さんは生きている。だから、俺はあの人を護る。」(イーヴィルアギト)

 「違うだろ。」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 イーヴィルアギトの言葉を遮ってアギトヴォルカニックフォームが話し出す。

 アギトシャイニングフォームはヴォルカニックフォームの目的が分からずにその様子を見守っていた。

 

 「お前はただその人に依存しているだけだ。護る?何を言っているんだ。お前が守りたいのはその心の拠り所を誰にも触れられたくないからだろ。」(アギトヴォルカニックフォーム)

 「違う。」(イーヴィルアギト)

 「おおむねストーカーだろ、あんた。」(アギトヴォルカニックフォーム)

 「違う。」(アギトヴォルカニックフォーム)

 「そもそも犯罪者を、それもとんでもないくらいに危険な犯罪者を数え切れないほど率いている奴の言い分なんて誰が信じるかね。」(アギトヴォルカニックフォーム)

 「違う。」(イーヴィルアギト)

 「お前の守りたいもの、それはあんたの心、あんた自身だろ。」(アギトヴォルカニックフォーム)

 「違う!」(イーヴィルアギト)

 

 ここまでのやり取りでアギトヴォルカニックフォームはあることを言うことにした。自身も過去に、幼い頃に何度も言われた言葉を。

 

 「さては、そのゴダイって人をお前が殺したんじゃないか。」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 その言葉を発してアギトヴォルカニックフォームは自身の中にあるいまだに荒れ狂う怒りの炎を抑えていた。そして、その言葉を投げかけられたイーヴィルアギトは沈黙のままに直立不動になっていた。

 

 (頼むぞ、今のままでただ怒ってくれ。くれぐれも完全に壊れた怒り方はしないでくれ。でないと、こっちが本当に我慢できなくなるし、こっちもうまく戦えるか分からないからな。)(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 アギトヴォルカニックフォームは背筋に冷たい汗が流れたようなそんな感覚を覚えた。

 沈黙したイーヴィルアギト。だが、耳を澄ますと黙っているのではなく、聞き取ることも難しいくらいに小さな声で何かを言っていた。

 

 「..................................................................................」(イーヴィルアギト)

 

 その姿を見て嫌な感覚を覚えるアギトヴォルカニックフォーム。そして、ここまでの様子を見ていたアギトシャイニングフォームも自身の本能が目の前のイーヴィルアギトに対して最大級の警戒をしていることが否が応でも分かった。

 

 「違う、俺は、何も、でも、これで、五代さんは、俺の、俺じゃない、俺だ、俺じゃない、俺だ、俺じゃない、違う、俺は、ただ、五代さんを守りたくて、五代さんだけだった、五代さんだけだったのに、俺には五代さんしか、違う、違う、違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!違う!俺じゃない!俺は!俺は!!」(イーヴィルアギト)

 

 今までにない程に混乱した様子を見せるイーヴィルアギト。その様子を見たアギトヴォルカニックフォームはその様子から自身の言ったことが当たっていたことを察した。そこで完全に大きな隙を見せたイーヴィルアギトとの距離を一気に詰めて限界まで引き絞った右手の拳を突き出した。自らが感じた危機感を払拭するために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 篠ノ之神社から車に乗り、現場へ急ぐ秋人。助手席にはマドカが乗っており、そのマドカの膝には秋人がZ.A.L.V.Aから受け取ったウィッチドライバーとウィザードリングがあった。

 

 「ねえ、お父さん。本当に、うまくいくの?」(マドカ)

 「分からない。でも、大樹のアギトの力を抑えるのは、たぶん。マドカの中に居るファントムの力が居る。その力を安全に使うにはウィッチドライバーと指輪が必要だって僕は玲人さん、大樹のお父さんから聞いた。」(秋人)

 

 車を運転する中で話す秋人とマドカ。マドカの表情はどこか重苦しいもので、一方の秋人の表情も険しいものだった。

 

 (玲人さん、マドカに移植したのは治療の他に大樹のアギトの力に対するカウンターもあるんだろう。でも、単なるカウンターではなく、きっと...。)(秋人)

 

 秋人は車を走らせる中で考えに耽る。そして、ホルスターに入ってある拳銃の重さを感じる。

 

 (きっと、今の大樹に最期の一撃を、あのアギトに最期を決めることはさせちゃダメだ。それは僕がやる。最後の1発で、大樹たちばかりに苦しい役目を背負わせない。)(秋人)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 新宿都庁前、激しい戦いを続けているアギトヴォルカニックフォームとアギトシャイニングフォーム、イーヴィルアギト。だが、立っているのはイーヴィルアギトだけで他の二人は地面に倒れ伏していた。

 

 「あ、あ、あ、あ、あああああああああああああ!!俺は!俺は!!」(イーヴィルアギト)

 

 頭を抱え混乱する様子のイーヴィルアギト。その精神を現すようにその姿はどんどんと歪な物へと変わっていく。その姿はもうアギトのものとは程遠く、昆虫と人が混ざり合い、歪な怪人へと堕ちていった。

 そこへ、車を途中から乗り捨てていたと思われるマドカと秋人がやって来た。

 

 「何、あの怪人。」(マドカ)

 「既に人間では無いか。マドカ、ウィッチドライバーを使えるようにしておいて。お父さんは大樹と翔一君の援護に行く。」(秋人)

 

 秋人はそう言うとホルスターから拳銃を取り出して戦いの場のへと走って行った。

 

 「お父さん!!」(マドカ)

 

 走っていく秋人にマドカが呼び止めるが秋人はそのまま走って行ってしまった。

 マドカは渡されたウィッチドライバーを見つめて、意を決してそれを腰に当てた。

 

 

 

 

 

 

 

 倒れているアギトヴォルカニックフォームに駆け寄る秋人。

 

 「大樹!!大丈夫か!!」(秋人)

 「っ!痛!。」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 声を掛けるもののアギトヴォルカニックフォームは痛みに呻くだけだった。

 

 「秋人さん!あいつは危険だから大樹君を連れて逃げてください!!」(アギトシャイニングフォーム)

 

 アギトシャイニングフォームが何とか立ち上がり、秋人にそう言った。そして、シャイニングカリバーを携えてアギトシャイニングフォームはイーヴィルアギトに向かって行く。

 秋人はそれを見てアギトヴォルカニックフォームに肩を貸して、物陰へと移動する。

 

 「お、小父さん。」(アギトヴォルカニックフォーム)

 「大樹、まだ戦えるかい?」(秋人)

 「ああ、ちょっと休まないとキツイ。って言うよりもある程度冷静に話せるのが短いから。」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 自身の感情が爆発寸前であることを察しているアギトヴォルカニックフォームは自身の体を回復させることを優先することを考えていた。当然ながらその様子は秋人でもかなり消耗していることが見て取れた。

 

 「大丈夫。すぐに終わるよ。」(秋人)

 

 そう言って秋人は物陰から走ってしまった。その表情を見てアギトヴォルカニックフォームは秋人が何をするのかすぐに察した。

 

 「まさか、っ!」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 痛む体に鞭を打ちアギトヴォルカニックフォームは立ち上がった。

 

 

 

 「たあっ!!はあっ!!」(アギトシャイニングフォーム)

 

 アギトシャイニングフォームはシャイニングカリバーを振るい、変貌したイーヴィルアギトに対して光速の攻撃を次々と繰り出していく。だが、変貌したイーヴィルアギトは半狂乱になりながら反撃をする。

 放たれた拳は斬撃を受けて切り裂かれるが即座に再生していく。より強靭になった腕を振るわれアギトシャイニングフォームのシャイニングカリバーが吹っ飛ばされる。

 素手になったアギトシャイニングフォームは変貌していくイーヴィルアギトに光速の連続攻撃を途切れることなく当てていく。

 戦いの様子を見る秋人は攻撃を受けるたびに変貌するイーヴィルアギトの様子から春奈を襲ったあのアギトのことを思い出した。

 

 (やはり、あのアギトも霊石の力で変身しているのか。あの姿、霊石の影響で肉体の再生が著しく高められている所為か。なら、これ以上の攻撃は奴を強化させる手助けにしかならない。やれるとしたら神経断裂弾。でも、最後の1発。確実に奴の霊石を破壊しなければ。)(秋人)

 

 秋人は様子を伺いながら拳銃に装填されている最後の神経断裂弾が弾倉に入っていることを確認する。イーヴィルアギトとアギトシャイニングフォームの戦いを見て、隙を伺う。

 徐々に、徐々に人から遠ざかるイーヴィルアギト。そのイーヴィルアギトの変貌に合わせるようにアギトシャイニングフォームの攻撃も激しさを増していく。

 

 「うわあああああああああああああ!!俺は!俺は!!何てことをおおおおおおおお!!うわあああああああああああああ!!」(イーヴィルアギト)

 

 イーヴィルアギトの脳裏には世界を滅ぼすまでの力を得たその瞬間がフラッシュバックしていた。始まりは、彼が心の支えにしていた五代雄介=クウガが彼の前に現れた時だった。イーヴィルアギト=津上翔一は普通に再会を喜んでいた。だが、五代雄介は違っていた。彼らの世界におけるメのグロンギ、ガリマは長い封印の中で人間とそう変わらない感情を得たのだった。そのガリマは五代雄介と惹かれ合ったのだ。だが、不幸なことに五代雄介に歪な執着心を見せるようになっていた津上翔一がガリマを殺害、津上翔一を操ろうとした警官駿河の手でガリマの遺体は警視庁の元で研究材料として扱われることになったのだ。

 ずっと、ガリマを殺した相手を追っていた五代雄介はどういった経緯で突き止めたのかは分からないがガリマを殺害したのが津上翔一であることを突き止め、彼の元へ真相を確かめに行ったのだ。この時、既に壊れ始めていた津上翔一はガリマを殺害を認め、あろうことかそれを五代雄介を守るためと言ったのだ。これに五代雄介は激怒した。

 五代雄介が激怒することに戸惑った津上翔一。本来であれば、壊れる前の彼であればそのことを知られた時点で罪悪感に苛まれ、五代雄介に真実を話したかもしれない。だが、この時には何もかもが遅かったのだ。

 五代雄介は大切な人を奪われた怒りを津上翔一に真正面からぶつけたのだった。そして、それが引き金となり津上翔一は自身の中の感情が荒れ狂う中で発狂、五代雄介の前にアギトとしての姿を見せたのだ。

 五代雄介は変貌した津上翔一の姿に驚愕を禁じえなかったが即座にクウガに変身したのだ。

 変身した両者の実力は拮抗しており、その戦いはかなり激しいものとなった。当然ながら警視庁に所属する五代雄介の協力者である一条薫もその騒ぎを察知して現場に向かった。当然だが駿河も同行しており、クウガの援護のためにアギトを発砲しようとした一条の妨害を行った。この戦いは結局のところはアギトの暴走ですべてが終わった。その結果、アギトはクウガの霊石を取り込みイーヴィルアギトへと変貌したのだ。

 イーヴィルアギトの精神は既に破綻している。そして、その半狂乱になったその瞬間にアギトシャイニングフォームは強烈なストレートキックをイーヴィルアギトの腹部に打ち込んだ。

 イーヴィルアギトはその場から数メートルほど下がり、動きが止まった。

 

 「っ!!」(秋人)

 

 ずっと機会をうかがっていた秋人がイーヴィルアギトの腹部の霊石を狙って銃の引き金を引いた。

 銃口から発射された神経断裂弾は狙いを外れることなくイーヴィルアギトの腹部の霊石に命中した。

 

 「っ、ギャアアアアアア!!」(イーヴィルアギト)

 

 神経断裂弾が命中した腰の霊石は内部から爆ぜ始めていた。連鎖的に全身へと広がる。傷が出来ると同時に傷の回復が行われるがその次の瞬間には別の場所が爆ぜていく。

 

 「秋人さん!?」(アギトシャイニングフォーム)

 「翔一君。神経断裂弾を奴の霊石に撃ち込んだ。どこまで効果があるかは分からないけど止めを頼む。」(秋人)

 

 冷静にイーヴィルアギトの様子を見る秋人はそうアギトシャイニングフォームに話す。全身から血を吹き出しているイーヴィルアギトは攻撃の矛先をアギトシャイニングフォームから秋人へと変えた。

 

 「うううううううああああああああ!!」(イーヴィルアギト)

 「秋人さん!」

 

 

 

side秋人(切嗣)

 やっぱり、仮面ライダーじゃない、柳韻さんや雪子さんのような力を持っていない僕がこういう場所に出るのは危険なのは承知していた。その所為で命を落とすことも当然理解していた。

 あのアギトがボロボロになりながら僕に向かってくる。あのスピードなら逃げる間もくれないな。

 春奈、愛理。ごめん。最後まで守ることは出来ないみたいだ。

 千冬。何かを隠しているのは分かっていた。でも、それをきっと打ち明けてくれるのを待っていたから。

 一夏。皆のことを守ってくれ。たぶん、頼まなくてもやるだろうけど。

 万夏。大樹と幸せに。いつも笑顔で居てくれ。僕の可愛い娘。

 大樹。こんな不甲斐ない父親でごめん。

 

 「辞めろおおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 大樹?

 

 

 

side大樹=アギトヴォルカニックフォーム

 小父さんが危ない。そう思った瞬間に、小父さんを殺そうとしているあいつに怒りが完全に振り切れた。今までにないくらいに怒りが全身を燃え上がらせる。そのまま俺は右手を固く握りしめた。

 誰にも、もう、俺の家族を失わせてたまるか。マドカ、千冬姉ちゃん、一夏、小父さんと小母さん、いや、父さんと母さんは俺が、俺が守る。家族を傷付ける奴は絶対に許さない!!

 視界が炎に包まれる。それでもあいつは分かっている。後は思い切りぶん殴るだけだ。

 

 「喰うらあええええええええええええええええええええええええ!!」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 

 

 

side3人称

 秋人を襲おうとしたイーヴィルアギトに肉薄するアギトヴォルカニックフォーム。その肉体には炎が上がり、右手は燃え上がるだけではなく曠劫と燃え盛り、光り輝いていた。

 

 「うおおおおおおおおおお!!」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 ヴォルカニックライダーパンチ、全てを燃やし尽くす一撃がイーヴィルアギトに炸裂した。

 

 「よし!」(アギトシャイニングフォーム)

 

 空中に浮いたイーヴィルアギトを見たアギトシャイニングフォームはその場で構えた。すると蒼銀のアギトの紋章が1つ、2つ、3つ、3枚の紋章がイーヴィルアギトに向かって並んだ。

 アギトシャイニングフォームは紋章に向かって走り出し、飛び出した。

 

 「ハアアアアアアッ!!」(アギトシャイニングフォーム)

 

 強化型のシャイニングライダーキック、それよりもより強力な必殺の一撃が崩壊していくイーヴィルアギトの霊石に決まった。

 

 「がっ、はっ!」(イーヴィルアギト)

 

 強烈な一撃を受けたイーヴィルアギトは肉体を崩壊させて爆散した。ついにアギトの首魁が倒れた。そのことに胸を撫で下ろすアギトシャイニングフォームと秋人。だが、この勝利の立役者の一人であるアギトヴォルカニックフォームはうずくまったままだった。

 

 「ハア、ハア、ウオオオオオ!!」(アギトヴォルカニックフォーム)

 

 アギトヴォルカニックフォームは咆哮を上げるとその場で暴れ始めた。

 

 「大樹!落ち着くんだ!!」(秋人)

 「大樹君!!」(アギトシャイニングフォーム)

 

 秋人が呼びかけ、アギトシャイニングフォームがアギトヴォルカニックフォームを抑える。だが、それでもなおアギトヴォルカニックフォームは暴れまわる。そのうちに秘めた怒りの炎のままに暴れていく。

 

 「何とかしないと。」(秋人)

 「お父さん、あとは私に任せて。」(マドカ)

 

 手立てを考える秋人に声を掛けたのはマドカだった。マドカの腰にはウィッチドライバーが装着されており、準備が出来ていることが分かった。

 

 「大丈夫、お父さん一人で何てさせないから。」(マドカ)

 

 そう言うとマドカは左中指に指輪をはめて、指輪の飾りを動かした。

 

 「変身!」(マドカ)

 ≪チェンジオーシャン!ザブーン、ザブーン、ザブーン!≫

 

 マドカの足元に青色の魔法陣が現れ、長大な大蛇のオーラが現れマドカの姿を変えた。

 青色のローブに、両手に輝く二つの指輪。頭部はサファイアのような宝石のようであり、魔女の三角帽子を思わせる衣装が目を引く。

 

 「仮面ライダーウィッチ。さあ、行くよ。」(ウィッチ)

 

 マドカ改め仮面ライダーウィッチがアギトヴォルカニックフォームの元へ歩みだした。




 暴走するアギトヴォルカニックフォームを止めるために新たなドライバーを手にしたマドカ。燃え盛るマグマの力を持つ龍を鎮めるべく蒼き龍の巫女がその神秘の力を振るう。そして、

 「まあ、皆まで言うな。」
 
 古の獣と契約を交わした魔法使い。

 「大丈夫、私も力を貸します。」

 数奇な運命をたどった魔法使い。

 「大丈夫だ。俺が最後の希望だ。」

 希望を持ちし指輪の魔法使いが姿を見せる。
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