IS×仮面ライダー 炎竜シーズン2 仮面ライダー輝龍 作:柏葉大樹
side三人称
場所は風都から変わり、東京。大樹は聖都医大付属病院でリハビリをしていた。十三異界覇王の一人、アナザーオーマジオウこと加古川飛流との戦いで受けた傷もかなり回復しており、日常生活を送るのに支障をきたさないほどまでに回復していた。
大樹の様子を万夏と万夏の母である春奈が見ていた。
「もう大丈夫だね。」(万夏)
「うん、先生も看護師さんも回復具合が早すぎてかなり驚いていたけど。」(大樹)
病室に戻り、万夏と話す大樹。二人は病室にあった大樹の私物をまとめていた。春奈は大樹の退院の手続きをしており、驚異的な回復で大樹は退院することになった。
「アギトの力のおかげかもね。そう考えるとアギトの力って残っているんだね。」(万夏)
「ロックシードに全部の力が移っているっていうよりは俺の中に残っていて、一部がロックシードになっているのかな。」(大樹)
体調も戻りつつある大樹。その中でふと風都にいる一夏のことが頭をよぎった。
「一夏、大丈夫かな。」(大樹)
「どうしたの、急に。」(万夏)
「いや、残っている十三異界覇王のことを考えたら、さ。万が一にも、ありえるかもしれないし。」(大樹)
「う〜ん、一夏兄さんの他に正則さんと束さんがいるんだよ。それにお姉ちゃんだっているし。」(万夏)
万夏の話を聞いて、大樹は少し考える。かつての自分ならば傷の回復を待たずに飛び出ているだろう。だが、多くの戦いを経て、大樹は誰かに頼ることを覚えた。風都にいる一夏のことは誰よりもその強さを理解していた。それでも、万が一のことを想像した時に嫌な想像が脳裏をよぎるのだが。
「仮面ライダーエターナル、不死身の傭兵集団のリーダー。私達に何か似ている人みたい。」(万夏)
万夏の言葉に大樹はハッとしたように万夏を見る。
万夏の発した私達に似ているという言葉の意味を大樹はよく分かっている。
織斑計画、またの名をプロジェクトモザイカ。人類最高峰の肉体と知能を有する人類の最高種を人工的に生み出そうというものだった。人類の夢、究極の人類を生み出そうというこの計画は本来のインフィニット・ストラトス世界での詳細はあまり知られていない。精々が織斑一夏、千冬、マドカに関わっているというもの、特にその計画における成功例が千冬だということくらいである。
本来のインフィニット・ストラトス世界でも謎が多い織斑計画だが、この世界ではかの財団Xが出資した日本に拠点を置くある組織が主導で進めていた。その目的は最強の人類を生み出すこと、世界各地の優秀な遺伝子を使って最強の人類を生み出すことだった。
その計画に関わっていたのが一夏たちの母である春奈=春崎愛理である。科学者としてプロジェクトモザイカに関わっていた愛理は誕生した成功例である千冬のあとに続く二人目の千冬とも言うべき存在を生み出すように命じられていた。その中で春奈は自身の卵子と千冬の遺伝子を組み合わせ、それを自身で出産した。それによって誕生したのが万夏だった。同時期に千冬の遺伝子を元に、彼女の番に足り得る男性を生み出すべく作り出されたのが一夏だった。
当初は一研究員だった愛理=春奈は万夏、一夏、千冬と関わる中で計画の目標である最強の人類が自然に誕生したことを知る。これが後に篠ノ之束だとこの時は知る由もなかった。この時に計画の中止が決まり、成功例である千冬のみを残して万夏と一夏を含めた実験台の処分が決まった。これに愛理と千冬は反抗、当時警視庁で刑事をしていた秋宮切嗣=秋人に助けを求めた。
切嗣=秋人は計画の背後にある組織が強大であることから特状課の課長である本願寺純の助けを借りて、自身と愛理を別人として生きることで追手の魔の手を躱すことを決めたのだった。
それからは追手を掻い潜る中で柏葉一家と出会い、その組織との因縁も終止符を打ったのだった。
織斑計画、プロジェクトモザイカに関わる顛末をこのように大樹は秋人と春奈から聞いた。
前世の記憶から一夏、千冬、マドカの出生が普通ではないことをなんとなく予想はしていた大樹は3人の出生の秘密を知っても大きく驚きはしなかった。それとなく予想していたことであり、当人としてはだいたい自分の予想と変わらなかった事実を確認したに過ぎなかった。
なお、大樹の驚きが大きくなかったのには他にも理由があった。
「似ているとしても、さ。万夏たちは人間だよ。決して、怪物じゃない。それはきっと一夏が戦っている仮面ライダーエターナルも。」(大樹)
大樹の中である一線が引かれている。それは万夏、一夏、千冬たちが人間であること。大樹は万夏たちが人工的に、鉄の子宮で生み出された存在でも人間には変わらないという意識を持っている。それはドイツの代表候補生であるラウラに対しても同様だった。
そんな大樹の言葉は万夏にとっては当たり前のことだったらしく、キョトンとした表情で大樹を見つめる。その後、ムスッとした表情になる。
「私はそういうことを言いたいんじゃないの。大樹が私達のことをちゃんと人間だって思っているのは知っているから。」(万夏)
彼女にとってはそんなことを言ってほしかったわけではなかった。だが、大樹の言葉が優しから出てきていることは分かっているのでそれ以上は大樹を責めることはなかった。
車が道路を走る中、大樹は風都にいる一夏のことを考える。朴念仁であるくせに無自覚に人を惚れさせる人誑し、それでいて人一倍正義感が強く、無鉄砲で決めたら猪突猛進で突き進む幼馴染。
自身の境遇から他人の悪意に敏感である大樹は一夏が他人に対して悪意を抱かない人物であることから強い信頼を置いている。だが、一夏の気性から考えると誰かがフォローをする必要があるのも理解している。
相手は風都の仮面ライダーたちを一度は変身不可能になるところまで追い詰めて相手、そのパラレルワールドの存在である。だからこそ、大樹は一夏の身を案じていた。
(正則兄ちゃんに、風都の仮面ライダーたちもいる。大丈夫だといいけど。)
side一夏
「お前ら!!」(一夏)
久しぶりに子供の頃の夢を見た。幼い大樹がまわりにいる奴らに石を投げられている。大樹の後ろには幼い万夏が居た。
まだ、小学生の頃の話だ。千冬姉がドイツで行われた第2回モンド・グロッソで優勝、2連覇したことで名実ともにブリュンヒルデの名を確固たるものにした。それ故か、小学校でそのことをよく聞かれるようになり、俺も誇らしかった。だけど、俺の周りに集まってくる奴ら以外はそれをよく思っていなかった。
俺はそのことをあまり気にしていなかった。当時から身体能力の高かった俺にちょっかいをかける奴らは少なかった。だけど、万夏は違った。
当時の万夏は体が弱く、学校を休みがちだった。千冬姉が家族にいることをよく思っていない奴らはそんな万夏を標的にいじめていた。ただでさえ学校を休みがちだった万夏はより学校を休むことが多くなった。そして、その万夏を守っていたのは両親を失った大樹だった。
いつも万夏の盾になっていた大樹は家族のこともあって、大樹もいじめられていた。それなのに大樹は万夏のことを守っていた。俺はそんな二人を守ろうといじめっ子たち相手に拳を振るうことは珍しくなかった。
まあ、そうするせいで俺が大人に責められることが多かった。
「だから、ダメだって。」(大樹)
そんな俺を大樹が諌めることも珍しくなかった。確かに殴る俺も悪いのは今なら分かる。だけど、万夏が、大切な妹がいじめられているのに何もしないわけにはいかなかった。そして、万夏を守って傷つく大樹を放っておけなかった。だけど、一方の大樹は俺を咎めた。それに対して俺も反発して、そんなのがいつもの風景だった。
高校に上る前、中学に入ってから体調を崩し気味だった大樹が急に倒れた。倒れた翌日、目を覚ました大樹は今までと少し違うように感じた。大樹は自分の育った家で探し物、大樹の父さんと母さんが使っていたという研究用の別荘でアーマードライダーに変身した。そこから、大樹の戦いが始まった。
大樹は傷つきながらずっと戦っていた。世界を守るためじゃなくて、ずっと万夏を守るために。だけど、大樹はどうなるんだ?ずっと万夏を、俺達家族を守るために戦っているあいつはずっと傷付いてきた。その大樹は誰が守るんだ?
俺はずっと千冬姉に、父さんと母さんに守られていた。家族に守られた俺は少なくとも双子の兄妹として育った万夏を守ることを決めた。今度は俺が守れるように。
俺は大樹がアーマードライダーに変身してからしばらくして自分もアーマードライダーに変身した。最初は、ずっと大樹に追いつこうと思って戦っていた。だけど、追いつこうと思って戦っても戦っても大樹に追いつくことはできなかった。
「んんん。」(一夏)
朝日で目が覚めた。今まで見ていたのは俺の夢だった。そこでやっと整理できた。
「そっか、俺。大樹のことも守りてえんだ。」(一夏)
俺の大切な親友で、兄弟同然に育った家族。その大樹も俺は守りたかったんだ。追いつきたいって気持ちに嘘はない。だけど、それは大樹に負けたくないってことじゃない。大樹と一緒にいる万夏はいつも笑顔だ。万夏を守るなら、家族を守るなら、その家族を守る大切な親友を守らないといけない。そのために、俺は仮面ライダーになったんだ。大樹に追いつくためと考えていたのはあいつを守るために、あいつのそばに、隣りに立つ必要があったからだ。俺が戦う理由がはっきりすることができた。俺はもう迷わない。
「俺は大樹と万夏を守る。あいつが大切な人を守るなら、あいつを俺が守る。」(一夏)
side三人称
風都タワー、その巨大風車から大道克己は風都の町並みを見ていた。
「克己ちゃん、準備はできたわよ。いつでも行けるわ。」(京水)
克己に声をかけたのはルナドーパントに変身するNEVERの参謀、泉京水である。
「そうか。」(克己)
克己は手に持っていたエターナルメモリを見る。その表情からは彼が何を考えているのか窺い知ることはできない。
風都の町にある全てのモニターがハッキングされた。そして、その画面には大道克己が映った。
「風都にいる仮面ライダーたちよ、俺は異世界からやってきた仮面ライダー。仮面ライダーエターナルだ。」(克己)
映像に映る克己はエターナルメモリを起動すると仮面ライダーエターナルに変身した。
「昨日の襲撃は俺達からお前たちへの宣戦布告だ。異世界で超人たちの頂点に立った俺達からお前たちへの挑戦、それが俺達の目的だ。今日の正午、風都タワーの前でお前達を待っている。」(エターナル)
エターナルは風都にいる仮面ライダーたちへ風都タワーへ来いと伝えた。
事務所にあるラジオからエターナル=大道克己の放送を聞いた翔太郎、フィリップは風都タワーへ向かった。事務所で作業していた正則は束のカウンタープログラムが完成していないことから事務所に残り、作業の続きを行うことに。
風都署に居た照井は刃野たちに指示を出す。そして、風都タワーにいち早く到着したのは一夏だった。
「ああ?あん時のガキか?」(???)
「他の仮面ライダーたちはまだのようね。」(???)
「...。」(???)
一夏の前に立ちはだかったのはNEVERのジャケットを羽織った3人の男女だった。
メタルドーパントに変身するNEVER随一の怪力の持ち主である堂本剛三。ヒートドーパントに変身するNEVERの紅一点、羽原レイカ。トリガードーパントに変身するNEVERのスナイパーである芦原賢。
一夏は彼らを前にしても一歩もひかずに口を開いた。
「あんたらのリーダー、大道克己に会わせろ。」(一夏)
一夏の言葉にその場にいる三人が殺気立つ。いきなり自分たちのリーダーに会わせろという一夏の言葉は彼らの怒りに火をつけるのに十分だった。
「てめえ、生意気な口を聞きやがって!!」(堂本)
《メタル!》
「少し痛い目に遭ってもらおうかしら。」(レイカ)
《ヒート!》
「Game start!」(葦原)
《トリガー!》
堂本はメタルドーパントに、レイカはヒートドーパント、葦原はトリガードーパントに変身する。
一夏はゲネシスドライバーを装着、シルバーエナジーロックシードを起動して仮面ライダー白銀へと変身する。3体のドーパントは白銀は即座に激突した。
都内某所の廃発電所。その地下に鎮座する巨大な何かが目覚めた。
「既に十三異界覇王大戦は破綻している。ならば、この世界を足がかりに我が闇の治世を始めようではないか。」(???)
単眼の何か、最後の十三異界覇王である邪悪創世王邪眼は自身が率いる闇の軍勢を見渡す。これにより長きに渡る十三異界覇王大戦に終局が近づくことになる。
白銀とNEVERの激しい戦い。
白銀とエターナル、魂のぶつかり合い。そして、大樹と万夏の前に最後の十三異界覇王、邪眼が姿を表す。