魔王神アクア様に祝福を!!   作:白ノ兎

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今回はアクア様の話


アクア様の浄化クエスト〜ワニを添えて

「もう限界!借金に追われる生活……クエストよあのデュラハンのせいできついクエストしかないけど受けましょう!お金が欲しいの!」

 

「あの……1週間前に私が渡したお金は?」

 

「そんなお金もう使い切ったに決まってるでしょ」

 

 この駄女神あれだけのお金を使い切りさらに借金迄あるのね。

 

「わ、私は構わないが。……だがアクアと私では火力不足だろう……」

 

 ちらっとダクネスが私達を見るがカズマさんとめぐみんは無理して危険なクエストを受ける必要性も有りませんし、私はアクアの為に一緒に行く義理もない。乗り気では無い私達にアクアはついに泣き出した。

 

「お、お願いよおおおおおお!もうバイトばかりするのは嫌なのよお!コロッケが売れ残ると店長が怒るの!頑張るから!今回は私、全力で頑張るからあぁっ!」

 

(惨めだ、この自称女神)

 

 カズマさんとめぐみんは顔を見合わせます。

 

「しょうがねえなあ……。じゃあ、ちょっと良さそうだと思うクエスト見つけてこいよ。悪くないのあったら付いて言ってやるから」

 

「分かったわ!」

 

 その言葉にアクアは嬉々してクエスト掲示板へと駆け出した。

 

「大丈夫でしょうかアクア、とんでもないクエスト持ってきそうですが……」

 

「だな。まあ私は別に、無茶なクエストでも文句は言わないが……」

 

「まあアクアだからね十中八九無茶なクエスト持ってくるでしょうね」

 

 私達の意見を聞いたカズマさんは席を立ってアクアの後を追いました。

 

「グレイはクエスト行かないんですか?」

 

「ん……一応パーティーだしね皆が行くなら特別に付いて行ってあげなくも無いわよ?」

 

「そ、そうですか」

 

「何?」

 

「いえ特に何も」

 

「まあグレイが居れば多少辛いクエストもやりやすくなるからな、よろしく頼む」

 

「そこまで言うなら付いて行ってあげるわ」

 

 アクアとカズマさんが帰ってきたのはそれから数分後だった。

 

 ~街から少し離れた所にある大きな湖~

 

「……ねえ……。本当にやるの?」

 

「俺の考えた隙のない作戦の、一体何が不安なんだ?」

 

 アクアが言った。

 

「……私、今から売られていく、捕まった希少モンスターの気分なんですけど……」

 

 ……希少なモンスターを閉じ込めておく、鋼鉄製の檻の中央で体育座りをしながら。

 

(決して使えない女神を湖に投棄しに来たのではない、これで安全な檻の中から水を浄化ができるのだ)

 

「アクア!何かあったら言えよ!檻ごと引き上げてやるから!」

 

 アクアが膝を抱えながらぽつりと呟く。

 

「……私、出汁を取られてる紅茶のティーバッグの気分なんですけど……」

 

 ~このすば〜

 

 浄化装置改め、アクアを湖の際に設置して2時間が経過、しかし未だにモンスターが襲ってくる気配は無い。私達はアクアから二十メートルほど離れた陸地でアクアの様子を見守っていた。

 

「グレイは確かアンデッドの浄化は出来ないんだっけか、じゃあ水の浄化も出来ないか」

 

「ええ、まあね私はアクアであってアクアじゃないからあの子と違ってああいう神聖な魔法は不得意なのよ」

 

「なるほどな〜おーいアクア!浄化の方はどんなもんだ?湖に浸かりぱなしは冷えるだろ。トイレに行きたくなったら言えよ?檻から出してやるからー!」

 

 遠くから叫ぶカズマさんに、アクアは叫び返した。

 

「浄化の方は順調よ!後、トイレはいいわよ!アークプリーストはトイレなんて行かないし!!」

 

「なんだか大丈夫そうですね。ちなみに紅魔族もトイレなんて行きませんから」

 

「昔のアイドルみたいな事を言うな」

 

「私もクルセイダーだから、トイレは……トイレは……。……うう……」

 

「ダクネス、この2人に対抗するな。トイレに行かないって言い張るめぐみんとアクアの2人は今度、日帰りじゃ終わらないクエストを請けて、本当にトイレに行かないのかを確認してやる」

 

「や、止めてください。紅魔族はトイレなんて行きませんよ?でも謝るので止めてください」

 

「流石私の見込んだ男だ」

 

「しかしワニ来ませんね。このまま何事もなく終わってくれればいいのですが」

 

「おまっフラグとしか言えないセリフを……」

 

「カ、カズマー!なんか来た!ねえ、なんかいっぱい来たわ!カズマー!カズマー!」

 

 大量のワニの登場である。

 

 ~このすば〜

 

 ──浄化を始めて四時間が経過──

 

(最初は、水に浸かって女神の身体に備わった浄化能力だけを使っていたアクアだったが、早く終わらせて帰りたいのか、今は一心不乱に浄化魔法を唱えまくっている)

 

「『ピュリフィケーション』!『ピュリフィケーション』!『ピュリフィケーション』ッッ!!」

 

 アクアの入っている檻に大量のワニが囲みガジガジと齧っています。

 

「『ピュリフィケーション』!「『ピュリフィケーション』ッッ!ひぃぃ!ギシギシいってる!ミシミシいってる!檻が、檻が変な音立ててるんですけど!」

 

「凍らせますか?」

 

「やめとけアクアまで凍っちまう、アクアー!ギブアップなら、そう言えよー!そうしたら鎖引っ張って檻ごと引きずって逃げてやるからー!」

 

「イ、イヤよ!ここで諦めちゃ報酬が貰えないじゃない!『ピュリフィケーション』!『ピュリフィケーション』ッッ!!……うあああーっ!メキっていった!今檻から鳴っちゃいけない音が鳴った!!」

 

「あの檻の中、ちょっとだけ楽しそうだな……」

 

「……行くなよ?」

 

 ~このすば〜

 

 ──浄化を始めてから七時間が経過──

 

「浄化は完了したみたいですね」

 

 湖の際にはボロボロになった檻がぽつんと取り残されていた。

 

「ワニたちもどっか言ったみたいです」

 

「アクア、無事か?」

 

「……」

 

「アクア?」

 

「……おい、アクア、アクアさーん?おーい……おいっつってるだろ!おいどうしたんだよ」

 

「……ぐす……ひっく……えっく……」

 

「膝抱えて泣くくらいなら、とっととリタイアすればいいのに……」

 

「全くよ」

 

「ほら終わったのなら帰るぞ。おいアクア話し合ったんだが、今回の報酬俺達はいらないから」

 

「そうだぞアクア、三十万エリスは全部アクアの物だ」

 

「そうですね、今回のクエストは全部アクアの働きですから」

 

「……」

 

「……おい、いい加減に檻から出てこいよ。もうワニは居ないから」

 

「……まま連れていって……」

 

「……?」

 

「なんだって?」

 

「……檻の外の世界は怖いから、このまま連れてって」

 

 ……どうやら今回のクエストでさらにトラウマが植え付けられたみたいね……。

 

「はあ……やれやれだわ」




終わったー!!楽しかったですが…グレイ様活躍させたい!!
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