星のカービィ Wish in the Symphony   作:テンカイザー

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戦闘描写に不満がある場合は、どうか遠慮なくご指摘お願いいたします。


八星目 格闘家と槍使い

 S.O.N.G.のシュミレーションルーム。

 そこでは今日も装者たちは戦闘訓練を行なっている。

 

 だが、今日は装者だけではなく、別の者も混ざっていた。

 

「本当に大丈夫なの、カービィ?」

「は〜い!」

 

 そう、カービィだ。

 

 何故カービィが戦闘訓練に混じっているのか。

 それは数分前のことであった。

 

 

★☆★☆★☆

 

 

 シュミレーションルームに集まった装者たち。

 これから戦闘訓練を始めようと意気込んでいた所だったが―――

 

「ぽよっ!」

 

 何故かその場に紛れ込んでいたカービィが、突然待ったを掛ける。

 

「どうしたのカービィ?ていうかなんでいるの?」

 

 本来ここには装者たちと監督役の弦十郎、そして観測係のエルフナインしかいないはず。

 響はカービィへ、何故此処にいるのかを問う。

 

「ぽよっ!ぽよっ!」

「ごめん、やっぱり全然わかりませんッ!」

 

 だが、相変わらずカービィの言葉は伝わらない。

 

 そんな時だ。

 

「あ、カービィ!やっと見つけた〜!」

 

 その場に新たな者が入って来る。

 バンダナワドルディだ。

 

「もう、勝手に入っちゃダメだって。弦十郎さんに怒られちゃうよ〜」

 

 どうやらカービィを連れ戻しに来たようだ。

 だが、今の彼は響にとって救いの天使にも等しかった。

 

「あ、バンダナくん!ちょうど良かったぁ」

「へ?響、どうかしたの」

 

 響はすぐにワドルディに話しかける。

 

 ワドルディはやはり迷惑だったかと、響の次の言葉に不安になる。

 

「ねぇ、カービィがなんて言っているかわからない?」

「へ?」

 

 だが、実際に来た言葉は、彼が想像していたのとは違った。

 

「ぽよっ!ぽよっ!」

「えぇ、それはちょっと無理じゃないかな?」

「バンダナくん、どうなの?」

 

 響はワドルディに問いかける。

 

「えぇと、どうやら響たちと訓練がしたいみたいなんだ」

「えぇ……ッ!?」

 

 予想だにしなかった内容に、響は声を漏らしてしまう。

 他の者たちも驚いてはいたが……。

 

「カービィ、あれから響たちと一緒に戦えなくなって落ち込んでたらしいんだ。だから、せめて訓練ではみんなの役に立ちたいみたいなんだ」

「カービィ……」

 

 カービィは本部から出てはならないことを言い渡されてから、ずっと悩んでいたのだ。

 

 カービィにとって響たちはこの星に迷い混んでから出来た初めての友達。友達が戦っているのなら、自身も力になりたい。それが彼の心情であった。

 

 だが、弦十郎の言葉により、カービィは本部から出られない。故に、戦いでは装者(友達)の力にはなれない。

 カービィはずっとそのことにもどかしさを感じていた。

 

 だが、弦十郎から話された自身の立場を、カービィも理解している。

 故に、カービィも弦十郎に迷惑をかける訳にはいかない。

 

 だからせめて訓練では彼女たちの役に立ちたいと思ったのだ。

 

「うむ、本来ならば保護対象の君が戦闘訓練に出るのはあまりよろしくないが、君にはかなりの不自由を与えてしまっているからな……」

 

 弦十郎は、カービィの要求に頭を悩ませる。

 

 保護対象のはずのカービィに万が一怪我でも負わせてしまえば、保護している立場としての顔がない。

 だが、同時に不自由を強いている立場としては、カービィの望みを無下にする訳にもいかない。

 

「司令、私からもカービィの参加をお願い出来ないでしょうか?」

「翼さん……ッ!?」

 

 そこで声を上げたのは、意外なことにも翼である。

 響はあまりにも意外なために、思わず驚いてしまっている。

 そしてそれは他の者たちも同じだ。

 

「翼、理由を聞かせてもらおうか」

「はい、以前バンダナワドルディの話から、カービィは自身の故郷の危機を何度も救ったと聞きました。ならば、カービィも我々と同じく戦士です。本来何かを守るべき者でありながら、守られる立場として扱われるなどきっと耐え難いものです」

 

 装者全員は、以前ワドルディが語ったカービィの活躍を思い出す。

 

 カービィが保護対象というのは、あくまで地球上での立場だ。本来であれば、彼は装者たちと同じ、自身の故郷のために戦う戦士である。

 

 故に、翼は本来なら何かを守る立場であるはず、が守られる存在として扱われるカービィの気持ちをよく理解出来たのだ。

 

「わかった。特別にカービィくんの訓練への参加を認めよう」

 

 悩み続けていた弦十郎は、翼の言葉に折れ、渋々カービィの参加を許可した。

 

 だが、その時カービィは大事なことを忘れていた。

 

「……あ、カービィ、戦うなら"コピー能力"がないとダメだよ!」

「ぽよ!ぽよぽよ〜!」

 

 ワドルディが声を掛けると、カービィは慌てふためきだしてしまう。

 

 そう、カービィは自身が戦うために必要な一番大事なことを忘れていたのだ。

 

 それを知らない装者たちは、カービィが何に困っているのかわからず首を傾ける。

 

「えぇと、なんデスか、その"コピー能力"って?」

 

 切歌は、ワドルディが先ほど言った"コピー能力"なる謎の用語について聞き出す。

 

「えぇとね、皆ももう見たと思うけど、カービィは色んなものを吸い込んで、その吸い込んだものの力をコピーして戦うんだ。それがコピー能力だよ」

「それって、もしかしてあのカービィの姿を変える力?」

 

 調が言ったことにより、一同は以前の戦いで見たカービィの力を思い出す。

 

「なるほど。以前の戦いでカービィが炎の力を見せたとき、カービィは敵の光弾を吸い込んでいた。あれは光弾の炎の力をコピー(模倣)していたのか」

 

 一同は、何故カービィが慌てているのかを、ようやく理解した。

 

「うむ、とすると、カービィくんが戦うには、コピーする物が必要ということか」

 

 全員の答えを弦十郎が代弁する。

 

 そう、カービィが戦いにて本領を発揮するには、コピー能力の素となる物が必要なのだ。

 

 だが、カービィもワドルディも、今はそれに使えそうな物を持っていない。

 

「そういえば、あの時バンダナワドルディが持っていた星みたいなのはないの?」

 

 調は先日の戦いにて、ワドルディが持っていた星形のアイテムを思い出す。

 あのとき、カービィはあのアイテムによってコピー能力を発動していたためだ。

 

「あ、あれは『コピー能力の素』っていって、万が一のために持っていたんだけど、あれは一回きりしか使えなくて、ボクが持っていたのはあれだけなんだ」

 

 ワドルディは調の質問に応える。

 『コピー能力の素』は、文字通りカービィのコピー能力の力を秘めたアイテム。

 だが、ワドルディが持っていたのは前回使ったカッターの素のみ。

 現在彼の手元にはカービィのコピー能力の素なる物は何もない。

 

「ならば、これはどうだ?」

 

 そう言って弦十郎が取り出したのは、グローブである。

 

「これは普段、俺が鍛錬で使っている物の予備だ。これならどうだ?」

「うん、これならイケる。だよね、カービィ?」

「ぽよっ!」

 

 ワドルディの問いかけに、カービィは元気よく返事をする。

 

 そして弦十郎からグローブを受け取り、そのまま吸い込んだ。

 

 すると、カービィの身体が光り輝く。

 やがて光が晴れると、カービィの頭には、先ほどまではなかった赤い鉢巻が巻かれている。

 

―――コピー能力『ファイター』

 

「今度は、鉢巻?」

「これは、『ファイター』の能力だよ」

 

 首を傾ける響に、ワドルディは応える。

 

「ファイター……というと、格闘技を使うのか?」

「正解!流石弦十郎さん!」

 

 能力の特徴を言い当てた弦十郎に、ワドルディは賞賛の声をあげる。

 

「ともかく、格闘戦なら同じ響くんとが良いだろう」

 

 弦十郎の考えにより、カービィの最初の相手は響に決まった。

 

 だが、ここでまたしても待ったを掛ける者がいた。

 

「あ、あの!ボクにもやらせてくれませんか!?」

 

 ワドルディだ。

 

「む、バンダナワドルディくんもか?」

「はい、カービィがやるならボクもやらないと。ボクはカービィの友達だから」

 

 ワドルディは時にはカービィと共に戦う戦友でもある。

 カービィが己を鍛えるのであれば、彼自身も怠けている訳にはいかない。

 

「いいだろう。では、彼と戦う相手がもう一人必要だな」

 

 弦十郎はワドルディの参加を許可する。

 カービィが出るのならば、彼だけ出さないのは不公平だと思ったからだ。

 

 だがその場合、ワドルディの相手となる者がもう一人必要だ。

 

「では私が出よう。二人とは是非手合わせ願いたかった所だ」

 

 そこへ、翼が自ら名をあげた。

 彼女は以前からカービィとワドルディとは一戦交えたいと思っていた。

 そんな彼女にとって絶好の機会だ。

 

 こうして、カービィとワドルディ、響と翼、お互いペアを組んで模擬戦をすることとなった。

 

 

★☆★☆★☆

 

 

 カービィとワドルディ、響と翼はお互いを見据え合う。

 全員いつでも来いと言わんばかりにやる気に満ちた顔だ。

 

「カービィ、無理しちゃダメだからね」

「は〜い!」

 

 響は念のためカービィに無理をしないよう釘を刺す。

 カービィは元気良く返事を返した。

 

「それでは、……始めッ!」

 

 弦十郎の合図により、両者とも動き出す。

 

「行くぞ、立花!」

「はいッ!翼さん!」

 

「カービィ、行くよ!」

「ぽよっ!」

 

 互いにペアと合図を取り合う両者。

 

 先に動いたのは翼だ。剣をワドルディへと振り下ろす。

 ワドルディはそれをなんなく躱した。

 

 ワドルディは反撃に槍を突き出す。翼は剣でそれを受け止める。

 

(ッ……!重い)

 

 ワドルディの一撃は、想像以上だ。

 とても木製の槍で突かれたとは思えないほどの衝撃が剣を通して伝わって来る。

 

 一方響はカービィ目掛けて次々とパンチを繰り出す。

 だが、それをカービィは躱していた。

 

(当てづらい……ッ!)

 

 カービィは自身よりもずっと小さい背格好だ。普段彼女が戦っているアルカ・ノイズなどよりも小さい。

 故に、攻撃が当てづらいのだ。的が小さければ当てづらいのは当然の道理である。

 

 次に攻撃に出たのはカービィだ。響目掛けてパンチを繰り出すと、なんとカービィの拳から青い波動が放たれたのだ。

 

―――『スマッシュパンチ』

 

 波動を受けた響は、僅かに後ずさる。

 今の一撃は、それなりに効いたようだ。

 

 翼も後ろに下がり、響と顔を合わせる。

 

 元より油断などしていない。だが、ここからは更に気を引き締めるべきだと確信する。

 

「立花、二人の力は中々の物だ。気を引き締めて行くぞ!」

「はいッ!」

 

 お互いに意を固めた響と翼は、再びカービィたちを見据える。

 

 次の瞬間、翼が素早く踏み込み、素早い斬撃をカービィたちへと見舞う。

 ワドルディは槍を巧みに操り、何とかいなす。

 

 当然それを相方は見過ごしはしない。

 

「ぽよっ!」

 

 カービィは跳び上がり、翼へ向けて斜め下に蹴りを繰り出す。

 

―――『ふみつけげり』

 

 カービィの蹴りは、翼の手に当たる。その衝撃で、翼は斬撃を止めてしまう。

 

 カービィはそのまま追撃に出る。

 今度は横一線に蹴りを繰り出すと次の瞬間、先ほどのスマッシュパンチよろしく、カービィの足から波動が放たれた。

 

―――『ダブルキック』

 

 波動を喰らい、翼はほんの僅かに後退する。

 

 だが、相方がいるのはカービィたちだけではない。

 

「おりゃあぁぁぁ……ッ!」

 

 響は渾身の一撃を床に叩き込み、巨大な衝撃波を生み出す。

 

 衝撃波に飲み込まれたカービィたちは宙へ舞い、体勢が崩れてしまう。

 

「ぽよっ!」

「うわぁっ!」

 

 二人が空中で大勢が崩れた瞬間を、翼は逃しはしない。

 

「はあっ……ッ!」

 

 間髪入れずアームドギアを大剣に変形させ、蒼ノ一閃を放つと、蒼月の孤が二人が地面に着く前に迫って行く。

 

「はぁっ!」

 

 カービィは、咄嗟に両腕を前に出す。次の瞬間、彼の手からスマッシュパンチの時よりも、更に強力な青い波動の弾が放たれた。

 

―――『そっこうメガはどうショット』

 

 放たれた波動の弾は、蒼ノ一閃とぶつかり合い、互いに霧散する。

 

 空中を落下し、狙いが定められない中、カービィは咄嗟の判断と直感により、相手の攻撃をやり過ごしたのだ。

 

 カービィたちは着地し、再び構えた―――その時だった

 

―――ブォーン!ブォーン!

 

『ッ……!?』

 

 だが、突如として鳴り響くアラートの音により、彼らの模擬戦はうち止められた。

 

「何事だッ!?」

 

 弦十郎は通信機を取り出し、事態の確認をする。

 

『ギャラルホルンのアラートです!けど、いつもと違うんです!』

「なんだとッ!?」

 

 通信機の向こうから聞こえた藤尭の声に、驚愕する弦十郎の声が、シュミレーションルームへと響き渡った。




次回も気長にお待ち下さいませ。(おそらく来週以降になると思われます。)
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