星のカービィ Wish in the Symphony 作:テンカイザー
ただ、その分字数が多くなってしまいました。どうかご了承下さいませ!!(土下座)
研究所のモニターから、ナスターシャは装者たちの戦いを見守っている。
(このままでは、一体どうすれば……?)
戦いを彼女たちに任せ、安全な場所から見守ることしか出来ない自分にもどかしさを感じる。
だが、今は自分のやるべきことがあると割り切り、彼女たちの勝算を考える。
何度も頭をフル回転させ、試行錯誤を繰り返す。
だが、彼女たちの助けになるような物は、未だわからない。
そんな時―――
「ぴぃー……」
部屋の隅で大人しくしていたダイナベイビーが、ナスターシャに近づいて来た。
「おや、どうしましたか?あなたには悪いですが、私には今あなたに構っている余裕は―――」
「ぴぃ……」
すると、ダイナベイビーの顔が悲痛な物へと変わる。
その視線の先には、モニターの向こうで戦っている装者たちの姿が写っている。
「彼女たちが心配なのですね?」
「ぴぃー」
ナスターシャの問いに答えるかのように、ダイナベイビーは鳴き声をあげる。
ダイナベイビーは、装者たちの中でもセレナのことを心配していた。
★☆★☆★☆
彼は突然親と一緒にこの世界に迷い混み、混乱していた。
更にその上、研究所の者たちに捕まり、身勝手な理由で非道な仕打ちを受けた。
更に、自身だけでなく唯一の親までもを傷つけられた。
助けたかった。
だが無理だった。
彼は生まれて数年経つとは言え、まだ未熟な雛だ。
彼にはそれほどの力などなかったのだ。
とても苦しかった。
自由を奪われて、家族を傷つけられて、何も出来なくて……
そんな時だった、偶然研究所がリーパーの群れの襲撃を受けたのだ。
その混乱に乗じて、彼は逃げ出した。
本当は親と一緒に逃げたかった。
だが、非力な彼には親の束縛を解くことが出来なかった。
その上、研究所には大量のリーパーたちが群がっており、このままでは自分も危なかった。
そんな時、親は苦渋の決断を下し、こう言ったのだ。
―――お前だけでも逃げろ
最初は拒否した。
だが、それでも親は何度も繰り返すだけだった。
そして、彼は一人で逃げ出した。
とても悔しかった。
自分が許せなかった。
それも当然だ、親を見捨てたのだから。
その後は必死に逃げた。
行き先もわからないまま、ただひたすら。
だが、リーパーたちはすぐに追って来た。
全速力で飛んだが、数には勝てなかった。
なんども叩きつけられ、噛みつかれ、とても苦しかった。
その時に、彼は翼を傷つけられ、飛べなくなった。
だがそんな時、彼を助けてくれた者がいた。
―――メタナイトだ。
自身を襲っていたリーパーたちを倒してくれた。
更に、研究員たちに無理やりつけられた首輪も切ってくれた。
だが、その時の彼はメタナイトを振り払って逃げてしまった。
無理もないだろう、彼は酷い仕打ちを受けて、その上一人ぼっちになり途方に暮れていた。そこを襲われたのだ、トラウマを間近に植え付けられたも同然だ。
恐怖に支配された彼に、何かを信じることなど出来るはずがなかった。
それからは、またひたすら逃げ続けた。
だが、またしてもリーパーたちは追って来た。
またしても身体中のあらゆる所を傷つけられた。
逃げ回って体力を消耗したこともあり、その時の彼に抵抗するほどの気力は残っていなかった。
もはや彼は、死を待つだけであった。
自身の命が尽きるまで、ただひたすら恐怖に縛られ続ける。
そう思われた時だった。
―――貴方たちッ!そこから離れなさいッ!
誰かが近くに来た。
リーパーに覆われていて、どんな姿かはわからなかった。
だが、何かを切り刻む音や爆発音から、戦っていることはかろうじてわかる。
やがて音が止み、気づけば自身を覆っていたリーパーたちはいつの間にかいなくなっていた。
―――大丈夫ですかッ!?
そして、先ほどまで戦っていた誰かが近づいて来る。
言葉の内容から、自分のことを心配しているようだった。
だが、それでも彼はその者を信じられなかった。
もしかしたら、また痛い目に遭わされるかも知れない。
そう思うと、自然に身体が動いていた。
その者が自身に触れた途端、反射的に翼をバサバサと動かし、振り払っていた。
早く逃げなければ。
だが、衰弱しきった彼の身体は思うように動かない。
このままじゃまた捕まる。
そう思ってると、その者はまた自身に触れて来た。
また暴れ出し、抵抗する。
だが、今度はそれでも自身を放さなかった。
何度も抵抗を繰り返すが、全く放す様子を見せない。
そしてあろうことか、自身を抱きしめて来たのだ。
――― 大丈夫ですよ。私は貴方に酷いことは何もしません。
――― 怖かったんですよね。親とはぐれてしまって、さっきのにいじめられて……けど、私は大丈夫です。私が貴方を守ってあげます。ちゃんと親とも合わせてあげますから。
最初は信じられなかった。
どうせ自分を騙してまた酷いことをされると思った。
だが、その者の手からは、他の者にはない温もりを感じた。
恐怖に縛り付けられていた筈の自身の心も、いつの間にか和らいでいた。
やがて、ようやく久々の安心を得た彼は、身体中からあらゆる重荷が抜け、気づけば眠ってしまった。
次に気がつくと、少し前まで自身を閉じ込めていた場所に似た場所に連れて来られていた。
またしても、恐怖が自身の心を蝕み始める。
――― 大丈夫、ここの人たちは悪いことは何にもしませんよ?
すると、またあの声が聞こえて来た。
そこで、ようやく声の主をはっきりと見た。
周りの者たちよりも小さい、可憐な少女だった。
他の者たちの話から、セレナと言う名らしい。
それからは、その研究所で過ごし始めた。
何度も傷の手当てを受けた。
最初は怖くて拒絶の意を示した。だが、その度にセレナが優しく宥めてくれた。
それから、何度もセレナが自身に優しく寄り添ってくれた。
――― ほら、あーん。
――― 翼の傷は、まだ痛みますか?
――― 大丈夫、何も怖くないですよ。私がずっと傍にいますから。だから、ゆっくりおやすみ……
ご飯をくれて、一緒に寝てくれて、歌を聴かせてくれて……
気づけば、セレナといる内に恐怖心も消えていた。
セレナはとても暖かくて、まるで自分を育ててくれた母親のようであった。
そのセレナが、自身を親に会わせるために、今必死になって戦っている。
ボロボロになって、傷ついて、それでも何度も立ち上がって……
なのに、自分はただ見ているだけ。
このままで良いのか?
――― いやだ
このままセレナが傷つくのを黙って見ているなど耐えられない。
ならばどうするか?
答えは決まっていた。
★☆★☆★☆
「はぁーい!」
メディカルチェックを終えたカービィは、皆が待っているであろう部屋へと戻って来た。
「ぽよ?」
だが、いる筈と思っていた響たちがいない。
すぐさまカービィは違和感を感じる。
「あなたは、もう大丈夫なのですか?」
「はぁーい!」
ナスターシャの問いに、カービィは元気良く答える。
カービィの様子を見て、ナスターシャも「大丈夫だろう」と安堵する。
「ぴぃっ!」
「ぽよ?」
すると、先ほどまでモニターをじっと見ていたダイナベイビーが、カービィへ近寄って来る。
その眼差しは、何かの覚悟を決めたかのようだ。
「ぴぃー!」
ダイナベイビーは、真剣な様子でカービィに鳴き声を上げる。
まるで何私かを訴えてるかのようだ。
「うぃっ!」
一方で、カービィもダイナベイビーの意図を理解し、強くうなづいた。
★☆★☆★☆
辺り一面を、またしてもリーパーの群れが覆う。
先ほど吹き飛ばされたのが戻って来たのだ。
その上、どこから湧いて来たのかわからないが、あきらかに最初よりも増えている。
一同はリーパーの対応に追われるが、その度にダイナフェニックスの攻撃が飛んで来る。
辛うじてやり過ごせているが、体力は消耗する一方。
このままではジリ貧なのは目に見えている。
「くっ、やはり数が多いッ!」
「おい、コイツら鬱陶しいぞッ!どうにかして纏めて減らせんのかッ!?」
「そう思うのなら考えろッ!それが駄目なら口より手を動かすんだッ!」
愚痴を溢すデデデに、翼が喝を入れる。
デデデは不満そうであるが、やむを得んとばかりに再びリーパーたちを見据える。
そこへ、ダイナフェニックスが再び火炎放射を放つ。
全員瞬時に気づき、何とか事なきを得る。
同時に、リーパーたちの大半は焼き尽くされた。
だが、それでもリーパーたちの数はまだ大分残っている。
(例の黒幕が呼び寄せているのか?それとも―――)
密かに考え事をするメタナイト。だが、リーパーが突進してくるのに気づき、瞬時に考えるのをやめ、リーパーを切り裂く。
その時―――
「ぴぃぃぃぃっ!!」
『―――ッ!?』
突然聞こえて来た謎の鳴き声に、全員が意識を持っていかれる。
だが、その中で唯一セレナは、その鳴き声がなんなのかすぐに理解した。
同時に、あり得ないと思う。何故ならそれは、本来ならここにはいない筈の者なのだから。
やがて一同は、声の発声源を見つけた。
そこにいたのは―――
カービィを背に乗せて羽ばたくダイナベイビーであった。
「カービィッ!?」
「はぁーい!」
響が驚きの余り声を漏らし、それにカービィは何故か元気良く返事をする。
一方でセレナは、ダイナベイビーが来たことに驚愕している。
「どうしてここにいるんですかッ!?危ないですよッ!」
ここは戦場だ。
こんな所にいてはダイナベイビーに危険が降りかかるのは間違いない。
すると―――
「―――ッ!リーパーが!」
ダイナベイビーを見つけたリーパーの一部が、狙いを定めダイナベイビーへ飛んで行く。
「―――ッ!?危ないですッ!早く逃げて下さいッ!」
セレナはダイナベイビーへ逃げるよう叫ぶ。
だが、リーパーたちの速さからして、もう間に合わない。
そう思われたその時―――
「ぴぃー!」
何と、ダイナベイビーは優雅に滑空し、リーパーを全て避けたのだ。
「……え?」
最初、セレナは信じられなかった。
だが、ダイナベイビーは今も尚目の前で飛んでいる。
「ぽよっ!」
すると、背中に乗っていたカービィが、手にダイナベイビーと同じ色の羽を持って飛び出す。
そのまま空中で手に持っていた羽を頬張り、飲み込んだ。
次の瞬間、カービィの姿がまた新たなものへと変わる。
緑と白の羽で構成された飾りを頭に被り、目の横に赤い横線が二本描かれる。
さらに特徴的なのは、背中から生えた鳥の如き翼だ。
―――コピー能力『ウィング』
カービィは翼を羽ばたかせ、空を飛び始める。
そして、自身に迫って来るリーパーたちへ向け、翼から羽を射出する。
―――『フェザーガン』
羽はリーパーの躰を貫き、塵へと変える。
更に今度は、斜め下へ向かって急降下を始める。
地面へ近づく度に、カービィの身体が青い光で覆われて行く。
―――『コンドルダイブ』
地面に激突した瞬間、衝撃波が発生し、辺りにいたリーパーたちを吹き飛ばした。
やがて煙が晴れると、そこには無傷のカービィの姿がある。
「カービィッ!大丈夫なのッ!?」
「はぁーい!」
響は瞬時にカービィに駆け寄り、安否を確かめる。
問題なさそうだったとは言え、先ほどまで休養していたのだ。心配にならない筈がない。
それに対し、カービィは元気良く答えた。
「良かったー、もう大丈夫なんだね」
「ぽよっ!」
カービィの様子を確認した響は、安心し笑みを溢す。
一方で、カービィと共に来たダイナベイビーも、セレナの元へ降り立つ。
「大丈夫ですかッ!?」
「ぴぃー!」
心配するセレナに、ダイナベイビーは大丈夫だと言わんばかりに鳴き声をあげる。
「翼の怪我は、もう大丈夫なんですね?」
「ぴぃー!」
よく見れば、以前まであった筈の翼の怪我は、すっかりなくなっていた。
たった今自身の目の前であんな優雅に飛んでいたのだから、問題無いだろうと安堵する。
「でもここは危険です、早く逃げて下さいッ!」
「ぴっぴぃ!」
セレナはダイナベイビーに逃げるように言う。
だが、ダイナベイビーは一向に逃げようとしない。それどころか、この場にいると言わんばかりに鳴き声をあげる。
「もう、どうしたら―――」
「グ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"!!!!」
ダイナベイビーの対応に困っていたその時、ダイナフェニックスが雄叫びを挙げ、辺り一面に火炎弾を放つ。
「―――ッ!?」
「ぴぃっ!?」
セレナは何とかダイナベイビーを抱えて回避する。
すると、ダイナベイビーはセレナから離れ、ダイナフェニックスへ向けて鳴き声をあげる。
「ぴぃー!ぴぃー!」
その様子は、何かを必死に訴えているかのようだ。
目には今にも溢れんばかりの涙が溜まっている。
セレナとの約束は、最悪な形で果たされてしまった。
ダイナベイビーの目の前にいるのは、彼が再会を望んだ母親の姿では無い。
セレナは悔やんでいた。彼に変わり果ててしまった母親の姿を見せてしまったことを。
「ぽよっ!」
「―――ッ!?」
すると、突然どこからか飛んで来た青い光が、ダイナフェニックスにぶつかる。
よく見れば、光の正体はカービィであった。
―――『コンドル頭突き』
すると、カービィはそのまま空中へ飛び、ダイナフェニックスの頭上を取る。
ダイナフェニックスは先ほど受けた一撃で標的をカービィに定め、彼を追って飛ぶ。
だがそれは、カービィの狙い通りである。
彼の先ほどの一撃は、自身に注意を向けさせることで、ダイナベイビーから引き離すための物だったのだ。
狙い通り自身を追って飛んで来るダイナフェニックス。
カービィは更に飛行し、ダイナフェニックスから距離を開ける。
しかし、ダイナフェニックスの飛行速度は思った以上に速く、瞬く間に距離を縮められてしまう。
そして、遂に追いつかれてしまい、カービィは突進を喰らってしまう。
「ぽよッ―――!?」
カービィは飛行を乱し、そのまま落下し始める。
落ちる途中でコピー能力も解け、元の状態に戻ってしまう。
そして、カービィは地面へ激突した。
彼の柔らかい身体のおかげか、衝撃は弱かったようだ。
だが、近くにダイナフェニックスも降り立つ。
カービィを見据えたダイナフェニックスは、トドメを指すべく火炎放射を放つ。
だが―――
「はあッ!」
突如として何者かが両者の間に割って入って来る。
―――マリアだ
マリアはエネルギーシールドを展開し、カービィを火炎放射から護る。
「これで、妹を助けて貰った借りは返せたかしら?」
マリアは得意げに笑みを浮かべながら、カービィに向き合う。
カービィはすぐさま起き上がり、彼女の隣に立つ。
そして二人は、再びダイナフェニックスへと向き合う。
「セレナはあの子のために、精一杯頑張っている。何度も悩んで、苦しんで、それでもあの子は約束を果たそうと必死だわ。なら、あの子の姉として、支えてあげない手はないッ!私たちで、ダイナブレイドを助けるわよッ!」
「ぽよっ!!」
マリアの言葉に、カービィは力強くうなづく。
ダイナブレイドは、かつてカービィを助けてくれた。故に彼にとって友達も同然だ。
ならば、友達を助けない手などない。
―――必ず助ける。
今この瞬間、マリアとカービィの思いは一つとなっていた。
ダイナブレイドを助ける、と。
その時だ―――
「ぽよっ!?」
「―――ッ!?何!?」
突然カービィの身体から、淡い桃色の光が放たれたのだ。
やがて光は一点に集まり、濃い桃色のハート型の物体へと姿を変える。
それをカービィは知っている。
―――『フレンズハート』
以前とある事件の際にカービィが手に入れた絆の力だ。
やがてフレンズハートは一人でに動き出し、マリアの方へ向かう。
「これは一体……?」
するとフレンズハートは、マリアの中へと溶け込むように入っていったのだ。
「―――ッ!?」
すぐさま自身の安否を確かめるマリア。だが、特に異常は見られない。
すると、またしても事は起こる。
「ッ!?アームドギアがッ!?」
マリアの握っていたアームドギアが、彼女の意思に反して勝手に宙へ舞い、動き出したのだ。
やがてアームドギアは、カービィの眼前で止まる。
そしてカービィは、迷いなく
さらに―――
――― Seilien coffin airget-lamh tron
次の瞬間、カービィに変化が起こる。
突如として彼の身体が銀色の光に包まれ、同時に周りに何かのパーツの様な物が現れる。
そしてそのパーツは、カービィの身体の至る所に纏わり付き、装甲へと変わる。
やがて光が晴れると、カービィの姿は変わり果てていた。
顔の横にはヘッドギアを付け、左肩は装甲に覆われ、その先の腕は白銀のガントレットが嵌められている。
そして右手には、先ほど手にしたマリアのアームドギアを握っている。
その姿はまるで、
次回、遂に本作のオリジナル能力が猛威を振るう。
のですが、作者はリアルで忙しいため次回の更新は遅れるかもしれません。どうかご了承下さい!!(ジャンピング土下座)
―追記―
色々考えて聖詠を追加しました。
あのカービィが何故聖詠を歌えたのか、それは今後をお楽しみに。