星のカービィ Wish in the Symphony   作:テンカイザー

20 / 27
今回の展開は大分悩みました……。
それと今更ながら、まさか最初のボスがダイナブレイドになるなんて誰も思わなかったでしょう。


十八星目 不死火を振り払う白銀の絆

 再び姿を変えたカービィ。

 その姿を見て、全員が驚愕する。

 

「あれって……」

「今度は、セレナのギアを……」

 

 そんな中、セレナとカービィはダイナフェニックスに向かって駆け出す。

 

「ていッ!」

「はあっ!」

 

 セレナが先に斬りかかり、別の方向からカービィが斬り付ける。

 セレナが斬ればカービィが、カービィが斬ればセレナが、次々とあらゆる方向から二人の攻撃が飛んで来る。

 

 ダイナフェニックスも、四方八方からくる連続攻撃に翻弄される。

 

 ここまで息の合った連携に、セレナ自身も驚いている。

 自分はまだカービィと出会ったばかりだ。それなのに、ここまで息の合った連携を成し得られるのは―――

 

(何でだろう、カービィさんの考えがわかる!)

 

 セレナもマリアと同じく、カービィの考えがわかるようになっている。

 二人の見事な連携は、それ故のものだ。

 

「たあッ!」

 

 戦っているのは二人だけではない。

 響が跳び上がり、またしても渾身の一撃を叩き込む。

 

「グオッ!!」

 

 ダイナフェニックスは嘔吐し、僅かに後ずさる。

 

「やあッ!」

 

 更にマリアが蛇腹剣をダイナフェニックスに巻き付け、拘束する。

 なんとか抜け出そうともがくが、拘束が解ける気配はない。

 

「はあッ!」

 

 翼が剣を掲げると、空に大量の蒼い光が煌めく。

 刹那、大量の剣の雨がダイナフェニックスへと降り注ぐ。

 

 ――― 『千ノ落涙』

 

「グオォォッ!!」

 

 躰中を切り刻まれ、ダイナフェニックスは悲痛の声を上げる。

 

 その時だ―――

 

「今のは……」

 

 先ほどの翼の攻撃で、ダイナフェニックスの翼を覆っていた炎が一瞬晴れたのだ。

 その中に、一際目立つ紅い羽を見た。

 その羽は、見覚えがある物であった。

 

「――― フェニックスの羽!」

 

 そう、それは現在ダイナブレイドをダイナフェニックスへと変えている元凶――― 『フェニックスの羽』である。

 

「グオォォォォォォォォッ!!」

 

 セレナが驚く傍らで、またしても再生能力により、ダメージを回復されてしまう。

 

「くっ、やはり駄目か!」

 

 理解はしているが、再生能力の攻略法は未だ見つかっていない。

 どうすれば良いか悩む中、声を上げる者がいた。

 

「私に任せて下さいッ!」

「セレナ……?」

 

 声を上げるや否や、セレナは一目散にダイナフェニックスの元へ走り出してしまう。

 

(上手くいくかはわからない……それでも!)

 

 彼女がやろうとしているのは、はっきり言って()()だ。成功する保証は無いに等しい。

 恐らくこんな方法では無茶だと止められるだろう。

 だが、他に打つてが無い以上、これしかない。

 

「ぽよっ!」

 

 だが、彼女と志を同じくする者が居た。

 ―――カービィだ。

 

「一緒にやってくれますか?」

「はぁーい!」

 

 カービィは元気良く返事をする。

 

 カービィは現在セレナと心が繋がっているが故、彼女がやろうとしていることを理解していた。それが無茶だと言うことも。

 それでも尚、カービィはセレナを止めはしない。

 それは彼女を信じるが故であった。

 

「ありがとうございます。…では、行きましょうッ!」

「ぽよっ!」

 

 二人は頷き合い、そして同時にアームドギアを掲げる。

 すると、二人のアームドギアは空中へ浮遊し出し、大きく旋回を始める。

 やがて巨大な光の渦が現れる。そこから青く煌めく流星が大量に降り注ぐ。

 

 ――― 『IGNIS†FATUUS』

 

 流星の雨を浴び、ダイナフェニックスは身動きが取れなくなる。

 

(―――今だ!)

 

 その時、ダイナフェニックスは翼にも流星を受け、翼を覆っていた炎が晴れる。

 それこそが二人の狙いであった。

 

 すぐさま二人はアームドギアを再び構え、跳び出す。

 ―――目指すはフェニックスの羽だ。

 

 そして、セレナのアームドギアが、ダイナフェニックスの翼―――更にその中に紛れたフェニックスの羽に突き刺さる。

 同時に跳び出したカービィも、セレナの手を握る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして二人は、()()を唄い始める。

 

 ―――Gatrandis babel ziggurat edenal

    Emustolrozen fine el baral zizzl

    Gatrandis babe ziggurat edenal

    Emustolrozen fine el zizzl

 

「これは、絶唱―――!?」

「セレナ、一体何を―――!?」

 

 全員が二人の行動に困惑する。

 それは二人がしていることが如何に危険かを知るが故だ。

 

 ―――絶唱

 シンフォギアに備えられた最大の攻撃手段。

 だが、それは自身さえもを道連れに全てを破壊する、正に()()()()

 

 そして、二人は絶唱が唄い終える。

 刹那、瞬く間にして辺り一面が激しい衝撃と共に光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

★☆★☆★☆

 

 

 

 

 

 

 やがて光が晴れ、全員が視界を取り戻す。

 

「セレナ―――!?」

 

 マリアは瞬時に、自身の最愛の妹(セレナ)を探す。

 

 まず先に眼に写ったのは、うつ伏せに倒れ伏すダイナブレイド。

 ダイナフェニックスではない、元の姿に戻っている。

 そのすぐ近くに、フェニックスの羽と思わしき羽が落ちている。

 

 そしてその傍に、彼女はいた。

 

「セレナァッ!」

「マリア―――!」

 

 力なく膝を地面に付く彼女に、マリアはその名を叫びながら駆け寄る。

 あとから気づいた響と翼も、マリアの後を追う。

 

 セレナの元に着いたマリアは、そっと彼女を優しく支えた。

 

「……マリア、姉さん」

「セレナッ、あなたなんて無茶を―――!」

 

 マリアは眼の奥に涙を溜めながら、セレナに怒鳴りつける。

 彼女のしたことは、とても危険なことだったのだから。

 

「ごめんなさい、これしかないと思って……」

 

 セレナは身体に残る痛みを何とか耐えながら答える。

 

 セレナは如何にしてダイナブレイドを元に戻したのか。

 それは、セレナの絶唱に秘められた特性によるものである。

 

 ―――エネルギーベクトルの操作

 その力により、ダイナブレイドの体内に流れ混んでいた聖遺物の力を、フェニックスの羽へと一点集中させたのだ。

 

「だからってこんな無茶を―――!!」

 

 それでも、マリアは尚もセレナを叱る。

 結果的に成功したとは言え、下手をすればセレナとカービィが重症を負うだけで終わる可能性もあったのだ。

 

「ぴぃー!」

 

 そこへダイナベイビーも駆け寄って来た。

 彼もまたセレナを心配しているようだ。

 

「私は大丈夫です、それより……」

 

 セレナは倒れ伏すダイナブレイドを見ながら、ダイナベイビーに伝える。

 

「お母さんの傍に、行ってあげて下さい……」

「ぴぃー……」

 

 ダイナベイビーはセレナの言う通りにし、ダイナブレイドの元へと駆け寄った。

 

「全くもう、世話の焼ける妹なんだから……」

 

 ある程度叱った所で、今はセレナの治療が先だと割り切る。

 セレナはマリアに支えられながら、何とか立ち上がった。

 

 そこで、全員がある違和感に気づく。

 

「ん?絶唱を唄った割には、やけに負荷が少なく見えるが……?」

「あれ、そう言えば……」

 

 そう、本来絶唱を使えば装者はかなりの重症を負う筈だ。

 だと言うのに、現在のセレナは五体満足で、見た限りでは重症を負った様子は見られない。

 

「―――あッ!そう言えばカービィは!?」

『―――ッ!?』

 

 響の一言で、全員が気づく。

 すぐさま全員がカービィを探し始める。

 

 すると―――

 

「―――ッ!?カービィッ!」

 

 響が瞬時に駆け寄る。

 そこには、仰向けになって倒れ伏すカービィの姿があった。

 

「カービィ、しっかりして!」

 

 響が抱きかかえ、必死に呼びかける。

 だが、カービィから返答の気配は全くない。

 

「まさか、絶唱の負荷の大半を一人で受け負ったのか!?」

「そんな!?カービィ―――!」

 

 翼が推察を言葉にし、響が更に慌て出す。

 

 カービィがセレナを止めなかった理由、それは()()()()()()()()()()()だったからだ。

 

 セレナのシンフォギアをコピーしたカービィもまた、エネルギーベクトル操作を使えるようになっていた。その力により、セレナが受ける筈だった負荷の大半を自身が代わりに請け負ったのだ。

 

「―――今の衝撃は何だッ!?」

「カービィ、みんな、大丈夫!?」

 

 するとそこへ、リーパーたちと応戦していた筈のメタナイト、ワドルディ、デデデの三人も来る。

 どうやら無事リーパーの討伐は終わったようだ。

 

 そして三人も、気を失ったカービィに気がつく。

 

「カービィ……」

「どうやら、また何か無茶をしたようだな……」

「まったく、とんだお節介焼きだな相変わらず」

 

 三人はカービィがしたことを察し、それぞれ言葉に出す。

 

「ごめんなさい、私のせいでまたカービィさんが……」

 

 セレナは謝罪を述べる。

 

 二度までして自身のせいでカービィに無茶をさせてしまった。

 それにより、セレナはとてもやるせない気持ちになってしまう。

 

「言ったろう、カービィの無茶は今に始まったことじゃないと。君が気に病むことではない」

 

 そんな彼女に、メタナイトは励ましの声をかける。

 

「それに、どうやらまだ終わってないようだぞ」

「―――え?」

 

 メタナイトの言うことが理解出来ず、声を漏らしてしまう。

 次の瞬間、メタナイトの目の焦点が自身の後ろに向けられていることに気づく。

 後ろを振り向くと、そこには―――

 

『―――ッ!?』

 

 ダイナブレイドから剥がれ落ちていたフェニックスの羽が、強大な炎に包まれていた。

 

 更に炎は瞬く間により巨大になって行き、鳥の形を形成する。

 

「これは一体―――!?」

「もしや、聖遺物の力が暴走しているのかッ!?」

 

 またしても翼が推測を述べる。

 彼女の推測はまたしても的を射ていた。

 

 ダイナブレイドの体内に流れ込んでいた聖遺物のエネルギーが、セレナとカービィの絶唱によりフェニックスの羽本体に集められたのだ。

 そして、ダイナブレイドという強大な器を失った聖遺物のエネルギーが、現在暴走しているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「―――後は我々に任せろ」

 

 そこでメタナイトが言葉を発し、装者たちの前に出る。

 彼に続いて、ワドルディとデデデも来た。

 

「二人とも、やるぞ!」

「ふん、お前たちがオレさまに合わせるんだぞ!」

「よーし、行っくよー!」

 

 すると突然、デデデの頭の上にメタナイトが乗っかる。

 更に、続いてメタナイトの頭の上にワドルディが乗っかる。

 

 一体何をする気なのか、装者たちは疑問を浮かべる。

 

 すると三人は、それぞれ険しい顔になり、何やら力を溜めるような体制に入る。

 すると、何と三人の身体が白く光り始めたではないか。

 

「行くぞ!息を合わせろ……」

「だからお前たちがオレさまに合わせるんだ!」

「行くよおー!せーので―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ドオォォォォォォォォォンッ!!!』

 

 刹那、三人から巨大な白い光線が放たれる。

 光線は瞬く間に炎の鳥を飲み込み、その場を再び光で覆った。

 

 

 

 

 

 

★☆★☆★☆

 

 

 

 

 

 

 光が晴れると、そこには炎の鳥も、フェニックスの羽も消えていた。

 

「凄い……」

「今のは、一体……?」

 

 装者たちは、先ほど三人が放った技に感嘆の声を漏らす。

 今目の前で起こったのは、彼女たちにとってデタラメに等しかった。

 

 すると、そのデタラメを成し得た三人が、彼女たちの元へ戻って来る。

 

「さて、まだ問題は残っているぞ」

 

 そう言うと、メタナイトはダイナブレイド親子へと視線を向ける。

 

「あ……」

 

 それに気づき、全員が同じ方を向く。

 

 すると―――

 

「あ―――!」

 

 なんと、ダイナブレイドが目を覚ましたのだ。

 

「ぴいっ!」

 

 それに反応し、ダイナベイビーは声を上げる。

 それに気づき、ダイナブレイドは自身の子供を見つけた。

 

「ぴいー……」

 

 ダイナベイビーは涙を流しながら、ようやく再会出来た母親に顔を擦り付ける。

 ダイナブレイドは、その感触を味わいながら、大切な子どもが無事であることに安堵した。

 

「―――ッ!」

 

 だが、すぐさま装者たちの存在に気づく。

 

「クオッ!」

 

 すぐさま立ち上がり、ダイナベイビーを背後に隠す。

 そして装者たちを威嚇し始める。

 

 ダイナブレイドは以前まで人間に酷い仕打ちを受けていた。

 その上自身の子どもまで傷つけられたのだ。

 警戒するのも無理は無い。

 

「私たちに敵意を―――!?」

「違うよ、私たちは酷いことはしないからッ!」

 

 装者たちは何とか誤解を解こうと慌て出す。

 

「ぴいー!」

 

 だがそこへダイナベイビーが前に出て、再びダイナブレイドに声を上げる。

 その様子は、彼女たちについて弁明しているようだ。

 

「…………」

 

 ダイナベイビーの弁明を聞き、ダイナブレイドは威嚇を解く。

 

「クオー」

 

 するとダイナブレイドは、再び装者たちへ鳴き声を上げる。

 だが、今度は先ほどと違い敵意は感じない。

 

「……へ、何?」

 

 だが、装者たちはダイナブレイドの言ってることが理解出来ず、首を傾ける。

 

「たぶん謝ってるんだと思うよ。あと、助けてくれてありがとうって」

 

 そこで、ワドルディがダイナブレイドの言っていることを推測を交えて弁明した。

 

「そっか、どういたしまして!」

 

 響は笑顔で答えた。

 

「それでだ、問題の方だが……」

 

 メタナイトの言葉により、全員が問題に気づいた。

 

「そうだ、このままではあの親子はF.I.S.本部に―――!」

 

 そう、F.I.S.本部はダイナフェニックスの討伐命令を出していた。

 もしダイナブレイドが生きていると知れば、間違いなくただでは済まないだろう。

 良くて実験材料、悪ければ殺処分されるだろう。

 

 そしてそれは、ダイナベイビーも同じだ。

 今はナスターシャが上手く隠蔽してくれているが、長くはもたないであろう。

 

 全員がどうすれば良いか悩み出す。

 その時―――

 

『セレナ、グレイプニルを使うんだ』

「ヴェイグさん……?」

 

 セレナの中から、ヴェイグが声をかけて来た。

 

『コイツ等をミレニアムパズルの中に隠すんだ』

「―――そうか!」

 

 ヴェイグの意図を理解したセレナは、即座に行動に出る。

 

 次の瞬間、セレナのシンフォギアが変化を起こす。

 背中から巨大な羽のような装飾が、全身を覆っている。

 その羽の下からは、花の形をした飾りが垂れ下がっていた。

 

 ―――デュオレリックギア

 

 二つの聖遺物の力を秘めたシンフォギアの形態。

 

「今からあなたたちを誰にも見つからない場所に連れて行きます」

 

 ダイナブレイド親子は、セレナの言うことが理解出来ず困惑する。

 

「大丈夫です、何も酷いことはしません。どうか私を信じて……」

 

 未だにその意図は理解出来ない。

 だが、ダイナベイビーはセレナを信じる。

 ダイナブレイドもまた、ベイビーが信じるのであればきっと大丈夫だろうと思い、セレナにその身を委ねた。

 

 次の瞬間、親子の周りに色とりどりの正方形体が複数現れ、親子を覆って行く。

 瞬く間に親子の姿が見えなくなってしまった。

 

 すると今度は、正方形体の集合が徐々に小さくなって行く。

 やがて手に握れる程の小さな光へと姿を変えた。

 

 そして、その光はセレナの元へ来て、そのまま彼女の中へと入っていった。

 




次回かその次でこの章は終わりにしたいと思います。
グレイプニルギアの描写、こんなんで大丈夫でしょうか……?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。