星のカービィ Wish in the Symphony 作:テンカイザー
デデデがこの世界に来た経緯についてです。
それと今回いつもに比べて遥かに短いですが、どうかご了承下さい(土下座)
「そう言えば、まだわからないことがあったな」
メタナイトはそう言うと、デデデに向き合う。
「デデデ大王、君はどうやってこの世界に来たんだ?」
「……ん?ああ、オレさまか?」
そう、ダイナフェニックスの騒動で後を追われていたため、デデデがこの世界に来た理由を聞きそびれていたのだ。
「わからん!いつも通り城の中で食事をしてたら突然宙に穴が開きそのまま吸い込まれた!そして気づけばここにいたのだ!」
「なるほど、私たちと同じような経緯か……」
メタナイトはデデデの言葉を聞き、更に頭を悩ませる。
「となると、余計に黒幕の意図がわからん。一体何のために我々を呼び寄せたのだ……?」
メタナイトが考えていたのは、黒幕が何故自分たちをこの世界に呼び寄せたのかである。
一体自分たちは黒幕にとってどう言う必要性があるのか、未だ読めない。
一方で、デデデはメタナイトが考え込んでることなど気にも止めず、尚も話し続ける。
「最初は訳がわからずあたふたしたもんだ!そしたらコイツらがダイナブレイドと戦っているのと偶然鉢合わせてな、あまりにも不甲斐ない戦いぶりだったからオレさまが加勢してやったのだ!」
「―――んだとッ!?」
横から話を聞いていたクリスが、デデデの言葉に苛つき詰め寄る。
「そしたらオレさまをこんな所へ閉じ込めたのだ!碌に食事も出さんし、どうなっているんだここは!」
「―――ッ!お前な―――!」
「クリスちゃん落ち着いて!」
デデデのまったく遠慮のない言葉に苛立ちを募らせるクリス。
だが、その苛立ちを解き放つ前に、響がそれを宥める。
「大王さま、そんな風に言うのはよくないですよ」
「えぇい黙れッ!オレさまは大王なんだぞッ!その上この外に出せないとはどう言うことだッ!?」
「この星ではボクたちは物珍しいんです!だからボクたちが狙われないためにもなるべくここにいた方が良いんですよ!」
「黙れ!このオレさまを狙うヤツなど、オレさまが直々に返り討ちにしてくれるわッ!」
「大王さまーっ!」
いくら言ってもまったくデデデは収まる様子はない。
そんなデデデの対応に追われ、ワドルディは困り果ててしまう。
「そう言えば、私もあなたに聞きたいことがある」
そこで新たに声をあげるのは、調だ。
「あなたは以前大王でありながら国に住む人々から食べ物を奪った、とバンダナワドルディから聞いたのだけれど……」
「あ?あぁ、そう言えば昔にそんなことしたこともあったな」
『―――ッ!?』
調の問いに、デデデはなんの躊躇いもなく平然と答えた。全く様子を変えることなく。
「どうしてそんなことをッ!?」
「酷いのデス!大王さまがやることじゃないのデスッ!」
調、切歌の順に問う。
デデデの犯した所業は、とても国民の上に立つべき大王としてとてもあるまじき姿だ。
更に、過去に権力者によって虐げられた経験のある二人にとって、とても許せる筈が無かった。
「美味いものがたらふく食いたかったから、ただそれだけだ」
『―――ッ!?』
一同は沈黙する。
デデデが放ったのは、なんともわかりやすく、なんとも浅はかな理由。
それは、彼女たちの内なるものに火を付けるには充分なものであった。
「そんな、それだけの理由で……」
「なんであなたみたいなのが大王なのッ!?あなたみたいな、人をなんとも思わない、ただ権力を振り翳すだけのやつばかりが、どうして―――ッ!?」
「―――調ッ!」
「…………」
熱くてなっていた調を、マリアが強く叱ることで宥める。
調は一旦冷静になり、言葉を止めた。
一方で、デデデはただ黙っている。
調は、そんな彼の姿を米国政府の者たちと重ねていた。
「実を言うとな、彼は大王であって大王ではない」
「……へ?」
そう言ったのは、メタナイトだ。
彼の言うことの意味が理解出来ない調は、思わず声を漏らしてしまう。
「彼は、我々の故郷でもかなりの実力を持っていたが故に上に登りついただけの、名ばかりの大王なんだ」
「……えッ!?」
思わぬ事実に調は勿論、その場の全員が驚く。
そう、デデデは大王を名乗っているが、あくまでそれらしい身分を取り繕ってるだけの"自称大王"なのだ。
「…だとすると、君たちの故郷の政治を担っているのは、彼でないなら誰なんだ?」
「そもそも我々の故郷に政治と言う物は存在しない。国民は皆おとなしく平和を愛している。故に、我々の故郷では争いが全く起こらない。誰かが国民の上に立って法を強いる必要がないんだ」
『…………』
あまりの話に、全員がまたしても沈黙してしまう。
メタナイトの言うことは、一同にとってとても想像の出来ない物だ。政治が必要のない国など。
「けど、カービィは故郷の危機を何度も救ったんだよね?」
「ああ、いずれも外宇宙からの侵略者による物ばかりだったがな」
『…………』
もはや一同は何も言えなくなってしまう。
あまりにも話の次元が飛びすぎている。
もはや自分たちの基準がおかしくなるほどに。
「だが、デデデも変わったものだ」
『……?』
全員が唖然とする中、メタナイトが発したのは、デデデへのフォローだ。
「確かに彼は過去に悪虐の限りを尽くしたのは事実だ。だが、少なくとも私からすれば彼は充分償ったさ」
「え……?」
先ほどまでデデデに対し怒りを燃やしていた調だが、メタナイトの言葉に首を傾ける。
「彼はかつてカービィに負け、それ以来は悪行はしなくなった。時には我々の星のために共に戦ったこともあった。実際私もカービィも、彼に何度も助けられたものだ」
「…………」
メタナイトの言うことを、にわかには信じられない。
やはり調の中では一度彼をかつて自身たちを虐げた者たちと重ねてしまったこともあり、彼に対する見方を簡単に変えることは出来ない。
メタナイトが嘘を言っているようには見えない。もしかしたら、自身の勝手な先入観でデデデを見てしまっているだけなのかもしれない。
だが、いくら頭の中でそう考えても、胸の奥から湧くモヤモヤが、それをすぐ塗り潰してしまう。
「まあ、今はすぐ信じることが出来なくても無理は無い。だが、少なくとも今の彼は決して君たちに害を成すことはない。私が保証する」
「…………」
「調……?」
調はただ黙っていることしか出来なかった。
確かに少しイラつく態度を取るが、デデデは自身たちがダイナフェニックスの幻影との戦いの際に加勢してくれた。その上、強引ではあったが並行世界へ赴き仲間たちと共に戦ってくれた。
彼がいなければ、今回の事件は収束出来なかったかもしれない。
調はデデデの前へと出て、彼に視線を合わせる。
「なんだ……?」
調の行動に疑問を感じたデデデは、彼女と目線を合わせて問う。
「さっきは流石に感情的になりすぎた。でも、私はあなたを信じられるまで謝らない。でも、これだけは言っておく。
―――これからよろしく」
「……ふんっ」
デデデは素っ気なく声を出し、調から目線を外しその場から離れていく。
「え?あ、ちょっと大王さまぁ〜!」
ワドルディは、そんな彼の背中を追いかけて行くのであった。
一応言っておきますが、多分これが今年最後の更新だと思います。
第3章はまだいつ投稿できるかわかりませんが、どうかお待ち下さいませ。