星のカービィ Wish in the Symphony 作:テンカイザー
あんだけ次は遅くなるとか言っときながら割と早くできちゃいました。
けど次はマジで遅くなると思いますのでどうかご了承下さい。
あと、前回あるお方から「もっと短くした方が読みやすい」という意見をいただいたため、今回から短くするよう意識いたします。
ひなたぼっこをして……
ウィスピーのりんごをたらふく食べて……
釣りをして……
カービィはいつもの通りきままに過ごし、気づけばプププランドもあたり一面が暗くなり、すっかり夜になっていた。
幻想的な光を放つ三日月と、一面に無数の星が広がるプププランドの夜空。
カービィは月の光に照らされた草原から、神秘に満ち溢れた夜空を見上げていた。
「ぽよ~」
数え切れないほどの煌びやかな星に見とれながら、カービィはおっとりとしていた。
だが、居眠り好きのカービィは、夜空に見とれているうちに意識がだんだんぼやけていき、視界も朦朧とし始めた。
「……うあ~。……ん」
大きなあくびをあげ、今にも意識が暗転してしまいそうなのを何とかふんばり、今日はもう家に帰ってぐっすり寝ようと思ったカービィであった。
―――その時だった
―――ゴッゴッゴッゴッゴッゴッ!
「ぽよっ!」
突如として地面が音を立てながら揺れだしたのだ。
驚きの表情をうかべながら、カービィは慌てふためきだした。
そして………
突如として、何もない筈の空中に白い光の線が現れた。
光の線は出てきて間もなく広がりだし、巨大な星型へと姿を変えた。
星型の中には、全体が青い異様な空間が広がっていた。
だが、カービィはそれに見覚えがあった。
―――『アナザーディメンション』
前に起きた“虚言の魔術師”による事件の際に見た物であった。
自分たちが住む世界とは別にある未知の空間。
目の前に現れたのはその扉のような物であった。
何故急にこんなものが現れたのか?
そのような疑問が浮かび上がろうとしたが、それはできなかった。
「ぽよっ!?」
カービィの身体が突然なにかに引っ張られるような感覚に陥った。
自身の身体が引っ張られる先には、先ほど現れた異空間への扉が見えていた。
そこからは、普段のんきで思考力の薄いカービィでも、想像するのは容易であった。
―――このままじゃすいこまれる!
自身の未来を瞬時に悟ったカービィは、なんとかその未来を覆すべく抵抗を試みた。
だが、カービィを吸い込む力はあまりにも強かった。
そして………
「………ぽよおぉぉぉぉぉっ!!」
カービィの抵抗もむなしく終わり、遂に彼の足は地面から離れてしまった。
そのままカービィは空中をぐるぐると回りながら“異界の扉”へと飲み込まれてしまった。
空間の裂け目に飲み込まれたカービィの姿は、次第に小さくなっていった。
そして同時に、
★☆★☆★☆
「zzz………ぽよ?」
暖かい毛布に包まれながら安眠に浸っていたカービィの意識は、夢の中で自分が何故この世界にいるのかを思いだしながら目を覚ました。
ディメンションホールに飲み込まれた後、気づけばカービィは地球にいた。
そして装者達と出会い、現在はS.O.N.G.本部にて移住スペースを貰い、何不自由なく暮らしていた。それも、弦十郎の粋な計らいによる物であった。
そして、ふかふかのベッドの上でいつも通りの寝覚めの背伸びを行った後、カービィの感情は、必ずあらゆる時にでも湧き上がるある衝動に飲み込まれた。
―――おなかすいた
そしてカービィは、湧き立つ食欲を満たすべく、食べ物を求めて部屋から出た。
カービィはS.O.N.G.において重要な監視対象であるが、弦十郎の粋な計らいにより本部内では基本自由に動けるのである。
しかし、弦十郎を含めS.O.N.G.の者達は想像もしなかったであろう。
―――それが、ある悲劇を生むということを
本部内を彷徨いていたカービィは、美味しそうな匂いを辿り、やがて誰もいない食堂へと辿りついた。
「ぽよ?………ぽよっ!」
そしてカービィは食堂の裏側にある巨大な冷蔵庫をはじめ、あらゆる食材を見つけた。
「ぽよぽよ!」
自身が求めていた食べ物を発見したカービィは、即座に食べ物を手に取り次々と口の中へ頬張っていくのであった。
―――そして、悲劇は始まるのであった
★☆★☆★☆
「疲れたデスよー……」
そんなことをぼやいていたのは、調と同じくらいの背の高さの金髪にばつ印の髪飾りをつけた少女だ。
―――『暁切歌』
聖遺物『イガリマ』の装者。
今日は彼女達のようなうら若き少女達では本来なら休日である日だった。
しかし、彼女達はいついかなる時も"常在戦場"を心掛けなければならない戦士なのである。
故に、休日も本部にて戦闘訓練を行うのである。
そして、今日はすでに訓練を終えた後であった。
弦十郎による厳しい訓練を終えた彼女達は、すでに心身ともに疲れ切っている。
更にその時は丁度お昼時なこともあり、疲労に加えて空腹までもが彼女達を苦しめていた。
「お腹すいた〜。早く食堂行こ〜」
響は完全に気力を失った顔をし、お腹の底から湧き上がる空腹をなんとか耐えながら言葉を発した。
「ったく、お前は相変わらずの貪欲だな」
「だって師匠の訓練いつも厳しいじゃん。おかげでいつもすぐにご飯を摂取しないといけなくなるんだもん」
「にしてもお前の暴食っぷりは常人のそれを軽く超えてんだよ!少しは遠慮を学べ!」
気怠げにぼやく響に、クリスは遠慮なしにずかずかと文句を言っていた。
相変わらずの乱暴な口調でおかまいなく文句を言うクリスであったが、響はすでにこのやりとりに慣れているため、クリスの言葉を一切気に留めず気怠げに返すのであった。
そして、色々と喋りながらいつの間にか一同は食堂に着いた。
しかし……
「あぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
『!?』
突如として食堂の中から辺りに響いた叫び声によって、全員の意識はすぐさま塗り潰された。
そして、先程まで疲労で悲痛な表情を浮かべていた一同はすぐさまいつもの真面目な表情に切り替え、全員即座に食堂へ駆け出す。
食堂の中へ入ると、そこには先程の声を上げた張本人であろう食堂係のスタッフの女性が、口をぽかんと開け大量の汗をかき、目をぱっちりと開きながら唖然と突っ立ている。
「どうしたんですか!?」
食堂係の元へ全員が駆けつける中、真っ先に声を掛けたのは響だ。
響に声を掛けられた食堂係は、驚愕の表情を浮かべながらなんとか響へ答えた。
「……………食材がぁ――」
「ぽよ!」
「……へ?」
響は食堂係の声をほんの僅かに遮った聞き覚えのある声に疑問を浮かべるのであった。
気になった一同は、すぐさま食堂の奥を覗いた。
次の瞬間一同の目に写ったのは―――
口の中で何かを美味しそうに味わうカービィと、ガラ空きになった大量の冷蔵庫や棚であった。
「………」
一同は食堂係と同じく、驚愕をうかべながら唖然としてしまった。
よく見ると、冷蔵庫や棚がどれも開きっぱなしになっている。
その中には本来ならある筈の食材の姿は一切確認できない。
そして次に、一同の視線は目の前で無我夢中に何かを味わっているピンク球へと向けられた。
「……うぁむうぁむ――」
周りに向けられている視線に一切気づかず、カービィはとても幸せそうな表情を浮かべながら、口の中の物を一心不乱に味わっていた。
その場の全員が、瞬時に悟った。この事態を引き起こしたであろう元凶を……。
にわかには信じられなかった。こんな自分達よりも小さい、両腕で抱き抱えられるくらいの者に食堂のほぼ全ての食材を食い尽くすなど……。
しかし、目の前に広がる現状が、一同の考えを肯定させる。
「………か」
一同が全員唖然としている中、先に声を上げたのは、先程に続いてまたしても響だ。
「…………かか、かかかかかかかか――」
響はがくがくと震えながら声を上げていた。
そして次の瞬間―――
「カぁぁぁぁぁぁぁビィぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!」
「ぽよっ!?」
抑えられない空腹に耐えながら今一番待ち望んでいたお昼ご飯を奪われた憤りを、声によっていっきに解き放った。
★☆★☆★☆
食堂での一件は、一時終わりを迎えた。
あの後装者達は仕方なく外食へと赴くこととなった。
カービィはもう二度と食堂の物を勝手に手を出せないよう厳重に監視されることとなってしまった。
カービィも普段は優しい響の怒りを喰らったことにより、もう二度と勝手に食堂の物を食べないよう心に留めたのであった。
そして翌日、装者一同は再び本部へと召集されていた。
その場には、エルフナインの姿もある。
「早速ですが、カービィさんについてわかったことを報告します。」
エルフナインが喋った直後、上に設置された大型モニターにが画像が写し出される。
それは、カービィの画像とともに様々な数値などが写しだされた物だ。
数値が何を意味するのかちんぷんかんぷんな一同であったが、すぐさまエルフナインが説明を入れるのであった。
「まず僕は最初に、カービィさんはネフィリムやカーバンクルのような自律可動型聖遺物である可能性を立てています。まだ確証はないのですが、そちらは現在も解析中です」
エルフナインが話した内容は、カービィがまだ未知であるということ。
これまでの彼女たちの経験から聖遺物である可能性を捨てきれない。
だが、エルフナインも言うように確証はない。
前回のスフィアローパーに続き、彼女達はまたしても新たな疑念を抱くのであった。
「次に、カービィさんの力についてです」
エルフナインの台詞とともにモニターの画面が切り替わり、今度は映像が映し出される。
そこに映っていたのは、先日のリーパーもといスフィアローパーとの戦いの様子だ。
そして映像は、カービィがファイアのコピー能力を使った所で一時停止が掛けられる。
「このカービィさんの姿を変える力についてですが、映像を解析した所カービィさんは姿を変える直前に敵の光弾を吸い込んでいました」
その言葉を聞いた途端、彼女達の脳裏に先日の戦いの記憶が甦る。
カービィが敵の光弾を吸い込んだ直後にカービィの姿が変わったことを。
「じゃあ、カービィが姿を変えられたのは、敵の光弾を吸い込んだから?」
エルフナインの解説に、調は疑問を挙げる。
「僕もまだ確証はないのですが、もしそうだとしたら、この力の秘密はカービィさんの体内に存在するのではないかと解析してみたんです。ですが……」
調の疑問に答えつつ、新たな仮説を解説したエルフナインであったが、最後の方で突如声がくぐもった。
そして、またしてもモニターの画面がまたしても切り替わる。
次に映し出されたのは、カービィのレントゲンのような画像だ。
「カービィさんの体内をスキャンした結果、カービィさんには骨はおろか臓器が存在しないんです」
『!?』
エルフナインが放った言葉に、一同は言葉を失う。
モニターのレントゲンには、エルフナインの言う通り舌や喉彦はあるものの、歯がない上に心臓や胃といった本来生物にある筈の臓器が描かれていない。
「ちっと待て!こいつこの間食堂の食いモンほとんどたいらげたんだぞ!それはどうなってんだ!?」
クリスはエルフナインの発言に新たな疑問を挙げる。
その言葉により全員の脳裏に今度はついこの間の食堂での騒動が浮かび上がった。
あのときカービィはその身の丈を遥かに超えた量の食べ物をたいらげたのだ。
では、あの時カービィがたいらげた食材は何処へ消えたのか?
その場の全員が同じ疑問を抱いた。
「それなのですが、カービィさんの体内には小型のブラックホールのような物があるのです」
『!?』
またしても一同が驚愕に染まる。
―――ブラックホール
誰もが聞いたことがあるであろう物。
あらゆる物を飲み込んでしまうという黒い渦。
それが小型とはいえ、カービィという生き物の体内に存在しているのである。
「おそらくカービィさんが体内に取り込んだものは、これによって吸収されているのでしょう。ですが、カービィさんの力の源がなんなのか、それはどうやっても解明出来ませんでした……」
エルフナインは最後は何処か落ち込んだ様子で答える。
自分に与えられた役目を全うできなかったことを気にしているのだろう。
「何、カービィくんは我々がこれまで遭遇したことの無い未知の存在だ。そう気に病むことはないさ」
そんなエルフナインに励ましの声を掛けたのは弦十郎だ。
「弦十郎さん……」
「エルフナインくん。君には引き続きカービィくんの調査を頼む。やってくれるか?」
「はい、任せて下さい!いつか必ずカービィさんの力を解明してみせます!」
弦十郎に励まされたエルフナインは、気持ちを新たにして宣言する。
結局、一同はカービィへ多くの疑念を抱きながら解散となった。
次の更新は間違いなくかなり遅くなりますのでどうか気長にお待ち下さい。お願いします!(土下座)