星のカービィ Wish in the Symphony 作:テンカイザー
………なんか出来ちゃいました。まあ、本筋は進んでいませんので。
次こそはマジで遅くなると思われます。多分もう今週と来週の更新は無理だと思いますが、どうかご了承下さいませ。
「それはつまり、ディメンションホールを発生させている、"元凶"が存在しているということですか……ッ!?」
エルフナインは自身の想定の真偽を確かめるべく、ワドルディへ問いかける。
「……ごめん、それはボクたちにもわかんないや」
しかし、ワドルディにはその真偽を答えることは出来なかった。
だがそれも当然だ。
カービィとワドルディは今回の異変に偶然巻き込まれただけ。
元凶など知る由もない。
エルフナインの期待に応えられず、ワドルディは少しばかり申し訳なく感じてしまう。
だが、それでも何も答えられることなどありはしない。
「……そうですか」
ワドルディの返答により、エルフナインは気を落としてしまう。
彼女もカービィとワドルディの境遇は理解している。
故に答えられなくても無理はないこともわかってはいる。
わかってはいても、素直に受け入れることなどできやしない。
彼女には、この事態の真相を解明するという、自身にら与えられた役目があるのだから。
「なに、そう気を落とす必要はない。得られたものだってあったしな」
二人が落ち込む中、弦十郎は励ましの声をかける。
「最近起こった未確認生命体、改めてリーパー及びスフィアローパーによる被害。その原因は我々が住む世界とは違う別の次元、アナザーディメンションへと繋がるディメンションホールの発生。今までわからず仕舞いだったのが、ここまでの情報を得られたんだ。これも充分大きな進展じゃないか。」
そう、弦十郎の言う通りだ。
今までのS.O.N.G.は突然起こった未曾有の危機についてただ疑問ばかりを浮かべることしか出来なかった。
だが、今は違う。
ワドルディがもたらした情報によって敵の正体、その発生源、そして一連の事態を引き起こしている
それは彼らにとって大きな進展である。
その
「この一連の事態に元凶が存在するということがわかったのなら、その元凶を探せばいい話しだ」
「……はい!必ず元凶を見つけてみせます!」
エルフナインから落ち込んだ表情は消え、新たに決意を定め、必ず元凶を見つけ出すことを一同の前で宣言した。
「さて、今回はここまでにしておこう。これ以上はバンダナワドルディくんに悪いしな」
弦十郎はここで、ワドルディからの事情聴取を切り上げることを告げる。
ワドルディも一連の事態の被害者であり、慣れてない環境に突然放り込まれたのだ。とても安心出来るはずがない。
故に、そんなワドルディにこれ以上無理をさせるのは酷だと思ったのだ。
幸いにも、自分たちが一番知りたかった一連の事態に関する情報は得られた。ならばこれ以上は無理をさせる必要はないというのが弦十郎の考えだ。
「……えぇと、ボクこれからどうすればいいの?」
尋問が終わったことを理解したワドルディは、自身に今一番の問題があることに気づく。
彼は異星人であるが故に、地球には彼が住める住居など存在しないし、当然あてなどなにもない。
このままでは自身は途方に暮れ、やがて飢えてしまう未来が目に見えている。
「あぁ、それなら安心してくれ。君は今日からここに住めるよう我々が手配しよう。衣食住はきちんと保証する。あと何か欲しい物があればいつでも言ってくれて構わない。それに、こちらの方でも君たちが元の星に帰れる方法を模索しよう」
途方に暮れていたところ、弦十郎から願ってもない計らいが来た。
ワドルディは喜びを通り越し、驚きのあまり硬直してしまう。
弦十郎がワドルディを本部へ住まわせるのは、彼の境遇を不憫に思ったのは勿論、カービィと同じく彼らを保護するためでもある。
今回の話しから彼らの正体が異星人であることがわかった。
そして、彼らの存在が明るみになればどこかの研究者や裏組織が彼らをつけ狙うなど容易く想像出来る。
故に、彼らの存在を隠匿するためにも本部内に住んでもらうのが最善だったのだ。
「さて、それはそうとして、君には言わなければならないことがあるなカービィくん」
「…ぽよっ!?」
思いもよらぬところから自身を名指されたことにより、カービィは一瞬驚いてしまう。
一方で弦十郎の顔はとても引き締まっており、見る者からすれば尋常ではないほど真剣であることは明らかである。
「君は今回我々の許可なく勝手に基地を抜け出し現場へ向かったな。生憎だが、今回の件は黙認出来んな」
「……ぽよぉ」
弦十郎からの指摘に、カービィはぐうの音もでない。
「彼女たちを助けたかったという気持ちは決して悪くない。君が協力してくれたおかげで被害を迅速に抑えられたのは事実だ。だが、君は我々にとって重要な保護対象だ。今回のような軽率な行動は今後許可出来ない」
「……ぽよぉ」
「今回は幸い目撃者はいなかったから大目にみるが、最悪の場合こちらも君たちにそれ相応の対応をせざるを得なくなる。だが、こちらとしてもそのようなことは望んでいない。故に今後は我々の許可なく勝手な行動は控えて欲しい。いいな……?」
「ぽよ…」
弦十郎からの長い説教に、カービィは渋々返事をした。
S.O.N.G.も国家組織であるが故、ある程度の情報隠蔽は出来るが、それにも限界がある。
故に、カービィを外へ出すことは極力控えなければならない。
そしてそれは当然、カービィと同じ境遇である彼も例外ではない。
「そしてバンダナワドルディくん、この件は君にとっても人ごとではないことを理解してもらいたい」
「……はいっ!?」
ワドルディもまた、先程のカービィと同じく思いもよらぬところから自身を名指され驚きの声を上げる。
「君たちがこれまで交流してきた異星人たちがどうであったかは知らないが、この星では君たちはとても物珍しい存在だ。故に、悪意ある者たちが君たちを狙い、最悪の場合君たちは実験材料にされるかもしれない。そういう輩から君たちを守るためにも、君たちにはなるべくここから出ないでもらいたい。その分ここではなるべく自由にして構わない」
「……はい」
弦十郎からの説明を受け、ワドルディは渋々納得した。
ここ本部から出られないというのはほんの少しばかり不服そうだ。
だが、弦十郎が善意から言っている上に、あてもない自分に住居を提供してくれた恩もある。
故に、逆らうなど出来るはずがなかった。
だがカービィは、日は短いとは言え新しく出来た友だちである響たちの助けになれないこともあり、不服そうな顔をしていた。
「大丈夫だよカービィ、私たちはカービィが助けたいって思ってくれるだけで充分だから」
「……ぽよぉ」
カービィの気持ちを察したのか、響はカービィを抱きしめ、励ましの声をかける。
だが、カービィの気持ちが晴れることはなかった。
「あぁっ!!」
「ぽよっ!?」
『ッ…!?』
その時、カービィが尚不満そうにしている中、何故か響は突然大声をあげる。
すぐそばにいたカービィは勿論、その場にいる全員が驚き、全員が響に視線を向ける。
「一体なんだ?」と全員が思う中、
「そういえば、やっぱりカービィって名前だったんだ!」
(……は?)
響が発した言葉は、一同を唖然とさせる。
一方の響は、何故か得意げに喜んでいた。
響たちが初めてカービィと出会ったとき、響は彼が必死に伝えようとしていた言葉を、彼自身の名前だと信じて止まなかった。
だが、他の者たち――特にクリス――は響の言うことをにわかに信じてはいなかった。
そのため、あくまで「カービィ」というのはS.O.N.G.一同――響を除く――の中で仮の名前ということになっていた。
だが、ワドルディによって「カービィ」というのは紛れもなく彼の本名であることが明らかとなったのだ。
今まで周りがにわかに信じてくれなかった自分の勘が当たったことが今ここに証明されたことにより、響は有頂天になったのてある。
「ほ〜らクリスちゃん、私の言ったこと間違ってなかったでしょ?やっぱり私とカービィは最高の友だちだったんだよ!」
周りが唖然としていることなどいざ知らず、響は以前自身の主張を真っ先に否定したクリスに詰め寄る。
一方のクリスは、何も言葉を発しないが、眉がピクピクと動き、右手を強く握りしめぎしぎしと音を鳴らしていた。
そして、クリスのそれは、とうとう限界値を超えた。
「お前はしばらくその口に針でも縫い付けてろッ!!」
「ふぎゃッ!?」
頭の奥底から湧き上がるものを全て右拳に込め、何の躊躇いもなく怒りの鉄槌を響の頭のど真ん中へと振り下ろした。
★☆★☆★☆
翌日のS.O.N.G.本部。
今回は未来も加え、装者たち全員が集まっている。
そして彼女たちは、カービィとワドルディが住んでいる部屋へと向かう。
「カービィ、バンダナくん、会いに来たよ!」
「ぽよっ!」
「あ、みんなこんにちは!」
部屋の扉を開けば、そこにはそれぞれのベッドの上にカービィとワドルディが乗っている。
ワドルディはあれからカービィが住んでいる部屋で一緒に住んでいる。カービィ一人だけが住むには大分余裕がある部屋だったので、丁度良かったのだ。
「…あれ、きみは誰?」
ワドルディは自身が初めて会う未来がいることに気づき、未来に声をかける。
「初めまして。私は小日向未来、よろしくね」
「うん、ボクはバンダナワドルディ。よろしくね!」
未来とワドルディはお互いに自己紹介をする。
「今日はね、バンダナくんとお話しがしたくて来たんだ!」
「?…別にいいけど、何を話すの?」
「えへへ、それはね―――」
「まぁ、ここで立ち話もなんだ。ここは一先ず食堂へ場所を移すのはどうだ?」
響がワドルディと話している中、待ったをかけたのは翼だ。
今彼女たちがいる部屋は七人全員が何とか入りきれているほどで、悠長に話しをするには居心地が悪い。
故に翼は、この場の全員が問題なく入れて、尚且つ座って話しが出来る食堂へと場所を移すことを提案する。
「そうね、それじゃあ話しの続きは場所を移してからしましょうか」
翼の意見にマリアは賛成の声をあげ、他の者も皆心のなかで賛成し、全員部屋からで始める。
「ぽよ!ショクドウ!ショクドウ!」
一方カービィは食堂という言葉を耳にした途端、目を輝かせながら興奮しだす。
「……たく、どこかのバカに負けず劣らずの大食い野郎だなこのピンク玉は」
「ちょっとそれ私のこと!?もぅクリスちゃんまでぇ!!」
カービィの大食いっぷりにクリスがあげた呆れの声に響は前回未来に言われたことを思い出しながらクリスにつっかかるのであった。
★☆★☆★☆
食堂へ着いた一同はそれぞれ椅子に座る。
「それでね、今日私たちが聞きたかったのはね、カービィについてなんだ」
「カービィについて…?」
響は改めて今日ワドルディに聞きたかった内容を話す。
カービィと初めて会ったときから、彼女たちはカービィについて何もわからなかった。
戦いの際に見せた姿を変える力、食堂の食べ物を全てたいらげてしまうほどの巨大な胃袋など、カービィに関する謎は絶えなかった。
カービィに直接聞こうにも、彼は「ぽよ、ぽよ」と彼女たちからすれば謎の言語で話すため聞くことが出来なかった。
だが、今はカービィについてよく知り、尚且つ自分たちと意思疎通が可能なワドルディがいる。
正に今までの謎を解く絶好の機会である。
「……うんわかった。だけど、ボクもカービィについて全部知っている訳じゃないんだ」
『……?』
ワドルディが言うことに一同が疑問を浮かべる中、ワドルディは淡々と語り出す。
「まずそれを話す前に、ボクたちの故郷について話すね。ボクたちの住んでいる星『ポップスター』は、普段はとてものどかで平和な所なんだ。そしてボクたちは、『プププランド』っていう国に住んでいるんだ」
―――プププランド
カービィたちが住む、とても穏やかで呆れ返るとまでいわれるほどの平和な国。
だが、そんなプププランドも常に平和だった訳ではない。
「けどある日、プププランドの大王さまが国中のみんなの食べ物を奪っちゃったことがあったんだ」
『ッ…!?』
ワドルディが語った内容に、装者たちは愕然とする。
それもそうだ、本来国民を第一に思うはずの王が、国民から食料を奪うという悪虐の限りを尽くしたと言うのだから。
「なにそれひどい!ごはんを取るなんてなんでそんな酷いことが出来るの!?」
「……あなたたちの星にもいたのね。そうやって弱者を虐げる強者が」
ワドルディの話しを聞いて響とマリアはそれぞれ反応を示す。
装者の中で一番大食いの響にとって、食べ物を奪われるなど想像するだけでなんとも酷なものである。
一方のマリアは嘗て自分たちが強い権力を持った者たちによって道具も同然にされた忌まわしき過去を思い出す。
過去に自身も権力を持った者に虐げられたが故に、ワドルディが言う大王が誰よりも許せずにいる。
「……まあ、大王さまは今は一応良い人だから大丈夫だよ。」
『…?』
ワドルディが言ったことに、装者たちは疑問を浮かべる。
先ほどの話しから非道としか思えない暴君がいったい何があって良い人になったのか全く想像がつかなかったためだ。
「話を戻すけど、そんな時に突然現れたのがカービィだったんだ。カービィが大王さまを懲らしめてくれたおかげでみんなは食べ物を取り戻せて、大王さまも悪いことをしなくなったんだ」
ワドルディが話した内容を聞いた装者たちは、国民が救われたことに安堵すると同時に、改めてカービィの凄さを知ったのだった。
だが、そこで疑問を浮かべる者がいた。
「……ん?待て、カービィとはそのときに初めて会ったのだな?」
疑問をあげたのは翼である。
「……え?うんそうだよ。ある日突然春風に流されて来たみたいに現れてね。それでカービィは一部の人からは"春風の旅人"なんて呼ばれているんだ」
ワドルディは翼からの質問に、カービィの二つ名について交えながら答える。
だが、当の翼はまだ疑念が残っているかのような顔をしている。
一体翼が何を疑問に思っているのかわからない一同は首をかかげる。
だが、次の翼の発言によりその疑問は明らかとなった。
「では、カービィは
『ッ…!?』
そう、翼が気になっていた疑念はそこだったのだ。
ワドルディはカービィは突然現れたと言った。
それは即ち、それまで国中の誰もが
ただ国民たちがそれまでカービィの存在に気づかなかっただけという可能性もある。
だが、国民の誰もが手をあげていた大王を懲らしめるほどの力を持つカービィの存在にそれまで気づかないなどあり得ないと、その可能性は否定された。
「……そ、それは」
一方でワドルディは、さっきまでなんの躊躇いもなく話していたのに対し、突然話しづらそうに口篭ってしまった。
「……ぽよ」
「……カービィ、いいの?」
「ぽよっ!」
そんなワドルディに声をかけたのは、たった今話しの中心となっているカービィ本人である。
どうやらカービィは自身のことで話しづらそうにしているワドルディに話しても構わないという意思を伝えたようだ。
一方で、装者たちはワドルディとカービィの様子を見て、もしや自分たちは踏み込んではならない領域に入ってしまったのかと、僅かに罪悪感が沸き始めていた。
だが時はすでに遅く、ワドルディは静かに語り出す。
「……カービィがどこから来たのかは、ボクも、………カービィ自身も知らないんだ」
『ッ…!?』
ワドルディが語った内容に、一同は再び愕然となる。
ワドルディならともかく、カービィ自身でさえ自身が元いた場所がわからないと言うのだから。
「前にカービィから聞いたんだけど、カービィは気がついたらプププランドにいたらしくて、その前までのことは何も覚えてないって言うんだ。もしかしたらカービィは、プププランドどころか、ポップスターとも違う所から来たのかもしれない」
『……』
ワドルディが語り終えた頃、装者たちは皆沈黙した。
完全に想定していなかった。
……否、出来なかった。
自身の本当の故郷を知らない。
それがどういうことなのか、それがわからない者など彼女たちの中にはいない。
特に、同じく自身の出生について何も知らない調と切歌は、その辛さが身に染みるほど理解出来る。
装者たちは、ワドルディが何故口篭ったのかを理解した。
同時に、激しく後悔した。
先ほど湧き上がった罪悪感は、一同の中で確実な物となった。
先に謝罪を述べ出すのは翼であった。
この話しへと切り出したのが自身であるが故に、全ての原因は自身にあると責任を感じていたようだ。
「……すまなかった。まさかそのような事情があろうとは…。私が軽々しく踏み込んだばかりに――」
「ぽよぽよ」
翼が言い切る前に、カービィはいつものような笑顔で声をかける。
まるで「気にしてないよ」とでも言うかのように…。
「カービィは気にしていないみたいだから大丈夫だよ。カービィがどこの誰かわからなくたって、カービィはカービィだからね」
ワドルディの言葉を言い切ると同時に、翼は顔を上げた。
確かにカービィがどこで生まれてどこから来たのかわからない。
だが、それでも彼女たちにとってカービィはカービィだ。
突然現れ、自分たちと一緒に戦ってくれた、とても大食いの、そんな謎の生物であり、今は彼女たちの大事な"友だち"。
「うん、そうだね!カービィはカービィ、私たちの友だちだよ!」
「はーい!」
「これからもずっと友だちだからね、カービィ!」
響は笑顔を浮かべながらカービィを抱きしめ、カービィにあらためて友として誓い、カービィも響の誓いに笑顔で答えた。
こうして、星は改めて歌姫たちとの友情を誓うのであった。
だが、彼らの間で真なる絆の盟約が結ばれるのは、まだ先のお話…。
心理描写って難しいですね……。
本当はコピー能力についての説明も書きたかったんですけど、尺の都合上無理でした。