スーパー戦隊このすばメガフォース   作:伊勢村誠三

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冒険とロマンを求めこの世界を往く若者たちがいた。
悪の帝国魔王軍に敢然と反旗を翻し、
海賊の汚名を誇りとして名乗るゴーカイな奴ら!
その名は!


開廷!異世界裁判!

「静粛に!静粛に!これより、

国家転覆罪に問われている被告人サトウカズマの裁判を始める!」

 

やあ皆。1週間ぶり。総一だ。

ついに和真の裁判が始まった。

真ん中の奥、一番偉そうな席には街の裁判長。

検察側にはリアが前に話しかけてた担当検事の眼鏡の女、セナと彼女が集めた証人たち。

 

そして被告のアレクセイ・バーネル・アルダープ。

調べたところに世pると黒いうわさの絶えない人物らしい。

実際に会ってみた感想で真っ先に脂ぎった豚男という感想が来る。

弁護側のこっち…面だけは一級品の女性メンバーをいやらしい目で見ている。

なぜかダクネスだけ驚いた顔で見ていたが。

 

「ねえソーイチ。うまくレンジャーの力使ってあのセクハラ親父殺れないかしら?」

 

「奇遇ねルカ。私もあいつの両目と腐った脳を叩き割りたかったところなの。」

 

「ちょ!二人とも落ち着て!」

 

「纏まる話も纏まんないから黙ってろ。」

 

「そうです!ここは高度な知能を持つ紅魔族に…」

 

「いや、お前すぐ切れるから駄目だ。」

 

そう言い合う俺たちの方を見て和真は不安げな表情をより不安げにさせた。

俺はジョーとリアに視線をやる。

2人は頷いて和真にサムズアップする。

目で『俺たちに任せろ』と言っているのだ。

 

(頼むぞ皆……)

 

和真も頷いた。多分、あいつが思う皆に阿保共(アクアたち)は入ってないんじゃないかな?

 

「静粛に!裁判中は私語を慎むように。

では検察側、前へ!ここで嘘を述べても魔道具ですぐにわかる。

それを肝に命じて発言するように!」

 

まず起訴状が読まれる。

内容は嚙み砕いて言えば『デストロイヤーを倒したどさくさにわざと豚親父の屋敷に爆発寸前のコロナタイトを送り付けたのと、ゴーカイオーの所持』だ。

なんd目御ランダムテレポートを使ってこういう劇物を送るのは法に触れるんだと。

 

「よって検察側は被告人に国家転覆罪を…」

 

「異議あり!」

 

何と起訴状も読み切らないうちにアホ女神が手を上げて立ち上がった。

そして一同の視線が集まると、だくだくと汗をかき始め

 

「じょ、ジョー!なんかあるんでしょ!?」

 

「え!?」

 

急に振られたジョーは一瞬どうしていいかわからなかったがアクアの脳天に拳骨を叩きこんで立ち上がり

 

「あー、彼はこの女にこの国に連れてこられたせいでこの街での生活を、

まあ、今は色々面白おかしくやってますが、望んで始めた生活ではなく、

その日暮らしでいろいろ精一杯。

そんな法律の確認まで頭が回っていなかったはずです。

どうか寛大な処罰を!」

 

そう言い切ったジョーはもう一発アクアの頭を殴りつけた。

俺は素直にジョーに拍手を送る。

即興でよくまああそこまで喋れたもんだ。

 

「あー、弁護側。主張は分かったが、

せめて弁護側の答弁の時に発言しなさい。いいですね?」

 

「おいアクア、お前さっき『異議あり』って言いたかっただけだろ。

空気読め。カズマの首がかかってるんだぞ?」

 

アクアはそう、よね…と珍しく落ち込んだ様子で言った。

本当に分かってるんだろうな?

 

「おほん!では次に被告人と弁護側の発言を許可する。

さっき言った長髪の君は、もういいな?では陳述を!」

 

まずは当然和真から。

流石はズルと卑怯で堂々勝負することにかけては我が海賊団随一の参謀。

まずゴーカイオー…ゴーカイガレオンやその他マシンは乗り物であり、

この国に冒険者に乗り物を所有することを禁じる法律はあるのか?

という事や、自分やゴーカイオーの活躍。

更には魔王に直接とらわれたことさえ嘘でない程度に話しを盛って喋る喋る。

 

しかも嘘発見の魔道具は全く反応しないんだから検察も被告も悔しそうにしている。

俺たちは笑いをこらえるので必死だ。

 

「あー、裁判長、私からもいいでしょうか?」

 

ここで恐らくこちら側で一番街からの信頼のあるであろうリアが手を上げる。

 

「弁護人リア、発言を許可する。」

 

「被告人、佐藤和真さんは、正直善人じゃありません。

けど彼は一見利己的に見えて誰かの為に戦える人です。

そりゃあ敵対してるわけですから魔王軍幹部とも無関係とはいえませんからその魔道具が反応したんでしょうが、それって本気で魔王に挑もうとしてる冒険者なら大なり小なりそうなんじゃないですか?

私たち弁護側は本件は魔王軍と無関係であると主張します!」

 

この日のために寝る時間削って練習したかいがあったなリア。

ステージに立った時と同じ堂々とした良く通る凛とした声は弁護側に鋭く突き刺さる。

 

「で、では次。検察官。被告人に国家転覆罪が適応されるべきであるという証拠を!」

 

検察側の最初の証人は盗賊のクリスだった。

 

「クリス証人、被告に公衆の面前でスティールで下着を向かれたとは本当ですか?」

 

「まあ、そうですけど…あれは「異議あり!」え?ソウイチ?」

 

ここでいろいろ質疑をうやむやにされる前に俺は手を上げる。

 

「俺はその時その場にいた!

そもそも和真がスティールでお前の下着を剥くことになったのはお前がスティールした財布を奪い返そうとしたからじゃないか!

そうだろう?俺は覚えてるぞ!

お前が和真に今自分にスティールしてとったものをどんな物でもくれてやる!って言ったのを!」

 

魔道具のベルは鳴らない。

検察のセラをそのまま睨みつけてやるとビクッ!と大げさに震えた。

現代日本で言うところの6ちゃんねる程度のとこがソースの情報だったからイマイチ信ぴょう性なかったが、こいつビビりだ。

大方このまま和真の心証をだんだん悪くしていきたかったんだろうがそうはいくか。

 

「つ、次の証人!前へ!」

 

次に前に出てきたのはミゾロギ…じゃなかったミツルギ君んとその両手に花だった。

彼らは俺は知らなかったが魔剣をパクられて勝手に売り払らわれたことを話したのだが

 

「異議あり!それはあなたがその魔剣とアクアをかけて勝負とか言い出したからでしょう!」

 

めぐみんが勢い良く立ち上がる。

傍聴人席からも『ふざけんな色男!』『要は女取り合った逆恨みか!』とかやじが飛ぶ。

 

「静粛に!弁護人、その時の様子を詳しく。」

 

「ダクネスもともに発言していいでしょうか?」

 

「許可する。」

 

「そもそもそのミサラギとか言うのがアクアを横から取ろうとして勝手に勝負とか言い始めたのが発端です!

カズマはただその決闘に応じただけです!」

 

「エリス様に誓ってその通りだ。

まあ、やや不意打ち気味の勝ち方だったが…」

 

魔道具はまたならない。

和真の心証も良くはないだろうが、まあ検察ほどじゃない。

むしろ相対的によく見えるほどだ。

 

「よってわれら弁護側は無罪を主張する!」

 

そこまで言い切ると和真も

 

「最後に一言、よろしいでしょうか?」

 

証言台に立ち声を張り上げ

 

「俺は魔王の手先なんかじゃない!誰があんなチビガキの手下なもんか!

そして悪意を持ってコロナタイトを送り付けたりしてない!

もっかい言うからその魔道具をよく見てろ!俺は!魔王軍の手下なんかじゃない!」

 

静寂。魔道具の音はならない。

裁判長はそれを聞き届け

 

「それでは判決を言い渡す。

被告人サトウカズマ、『有罪だ。』有罪!死刑が妥当…え?」

 

裁判長の発言を豚領主が遮った。

そして裁判長が自分の発言に驚くようなしぐさをする。

なんだ?俺は後ろの仲間の方を振り返る。

 

「ちっ!」

 

なぜかアクアが思い切り舌打ちをした。

真横にいたジョーは信じられないものを見る目でアクアを見ている。

しかしその驚きも周囲の罵声に遮られてしまいう。

 

「ふざけんこの公僕!」

 

「なんで今の流れで死刑なんだ!」

 

「てめえ今絶対何かしやがったな!そうだろ!」

 

傍聴人席は暴動寸前の様相を呈した。

こっちでもめぐみんが暴れようとしてリアに取り押さえられている。

 

「静粛に!静粛に!静粛にってんだろうが!」

 

イラついて何度も木槌を振り下ろす裁判長だが、

騒ぎの間接的最大要因がそんなことを言っても収まるはずもない。

 

「まさかこの切り札まで切る羽目になるとはね。」

 

ルカが前に出ようとするがダクネスがその前に立つ。

 

「いや、ルカ。ここは私が!」

 

ダクネスは策を飛び越えると

 

「裁判長!これを!」

 

胸元から金色のペンダントを取り出して見せた。

エリス教のお守りとかではない。

昔映画で見た王族の印みたいのに似ていたそれは

 

「この裁判、ダスティネス・フォード・ララティーナに預けていただけますでしょうか?」

 

「だ、ダスティネスって…」

 

「たしか王家波に発言力も家格も有るっていうあの…」

 

「アルダープ。あなたには借りを作ることになるな。

もし何かあれば、あなたの頼みを何でも聞くと約束しよう。」

 

なんでも。その言葉に豚親父は下品に笑うと裁判長に合図した。

 

「いいでしょう。あなたに免じてその男に猶予を与えましょう。」

 

衝撃の事実と共に裁判の幕はひかれた。

どうにも嫌な感じがぬぐえないまま俺たちはがレオンに戻った。




次ーーッ回!第十一話!

和真「何としても無罪を証明する!」

アクア「絶対あの親父には邪悪な何かがあるわ!」

総一「海賊のやり方でやる。そんだけだ!」

セナ「しっかりと、監視させていただきます。」

ぼっち魔導士(ウィザード)、現る!

ゆんゆん「我が名はゆんゆん!
紅魔族が長の娘にしてやがてその座を継ぐもの!」

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