悪の帝国魔王軍に敢然と反旗を翻し、
海賊の汚名を誇りとして名乗るゴーカイな奴ら!
その名は!
1
「大変よ!私とカズマが!」
「俺とルカさんが!」
一風呂浴びてさっぱりとした気持ちで売店で買った酒瓶(以外にも適正価格だった)を持って帰って来たジョーを和真のマントを羽織ったルカと、ルカのジャケットを着た和真に迎えられた。
「お前らこれでも飲んで頭冷やせ。
リア、ウィズ、なんでのぼせる前に出してやらなかったんだ?」
「「違うっ!」」
「いやこれはですねジョーさん…」
「かくかくしかじかこれこれしかじか…」
「あの時のデカい音はカズマが覗きをしようとしたわけじゃないのか!?」
「なんでそんない驚く必要が有るんですか!?
俺だってついていい嘘と悪いう嘘の区別ぐらいつきますよ!」
見事にはもった二人を横目に残る二人の説明を聞き一応納得するジョー。
しかしそれでもどこか疑わしい目で二人を見ている。
「いや、ジョー。多分二人の言ってることは本当だぜ。」
「その声はダクネ…誰だお前?」
現れた彼女を見てジョーは思わずわずかにフリーズしたのも無理ない。
そこにいたダクネスらしき彼女は凛とした表情こそしていたが、
何時もの動きやすさ重視のポニーテールに常在戦場の鎧姿などではなく…
ヘアスタイルは幼気なツインテール。
服装は黒いリボン付きの可愛らしい白ブラウスに真っ赤なスカート姿だったのだから。
「七海総一、ツインテールになりました!」
タン!と、黒タイツに包まれた脚で赤いハイヒールを踏み鳴らす。
「頼むから…頼むからやめてくれ…」
その後ろから上着を脱いだ総一が彼女が脱いだらしい鎧やらなんやらをもってついて来た。
「総一さんノリノリじゃないっすか。」
「前からダクネスにはこーゆーの似合うと思ってたんだよ。
お前にだけ分かるように言うと、
俺はアカメが斬る!ならマイン、シャニマスなら黛冬優子、
フェイトだったら遠坂凛が一番なんだよ。」
「うわぁ…」
流石の和真もあまりの順応っぷりに若干引いていた。
他の面子はもちろん全員ドン引きである。
「お前ら…いったいなんでそんなことに?」
「まあそんなに長くなんねえから話すとだな…」
2
総一とダクネスはいくら天下の害悪アクシズ教とは言え、流石に観光地化している本拠地くらいはまともにしている…かと思いきやそんなことは全くなかった。
ちょっと通りを外れればどう考えても腹部は腹部でも下腹部の欲求を満たす方向の接待がメインの店であふれ、通りは通りでただ当時に来ただけで普段は全くアクシズ教に関わりないはずの連中を悪の道に引きずり込まんとする巧妙な罠であふれかえっていた。
来た時に見た三文芝居なんかはまだかわいい方だ。
「いた!」
「おっと!ごめんよお嬢ちゃん。怪我無いかい?」
「うん、仮面の…お兄ちゃん?お名前はなんて言うの?」
「七海総一ってんだ。東の果てから来た。」
「変わったお名前ね字はなんて書くの?」
そう言って少女は紙とペンを差し出してきた。
総一は最初受け取ってなんの躊躇もなく字を書こうとした。
しかしその紙の上部に『入信書』と書かれたを見て即座に破き捨てた。
幼いころからの刷り込みとは恐ろしい物で、
少女はまるで自分が被害者とでも言いたげに泣きわめいて去って行ってしまった。
「ここは!この街に脳の構造が正常な人間はいないのかっ!」
「レッドレンジャーの格好で子供泣かせたお前が言うか?
だが確かにここまで勧誘がしつこいと流石に目立つようにこのエリス教のお守りを持っておくべきか…」
そう言ったダクネスの頭に思い切りゴミの絡まった箒が叩きつけられた。
振り向くと広場の掃除をしていた老婆が下手人だった。
「すいません。エリス教のお守りが見えたのでゴミの塊でもあるのかと思ってしまいましたよ。」
そう言ってダクネスの足元につばを吐き捨てて老婆は去って行った。
総一はダクネスの表情を窺う。
若干頬が赤くなり、肩を振るわせている。
「お前…いくらなんでもドМ過ぎだろ…」
「なあ、ソウイチ。この街の滞在期間を延ばさな「次起きたまま寝言ほざいてみろ!その穢れ切った脳みそ地面にぶち晒すぞこのエリス教徒がぁああああ!」
そう言ってダクネスの胸倉をつかんだ総一はこめかみにゴーカイガンの銃口を押し当てる。
だれも止めない。
何故ならこの場では圧倒的に総一の行いを正しいと思っている連中が大多数だからだ。
「ぷくくくく!なんか手配書で見た顔がいると思ったら、
なーに仲間割れしてるんだか!」
ふり返ると、そこには逆さにしたピエロの面のような顔を持つ青とオレンジの怪人がいた。
「魔王軍!?」
「なんでこんなところに!?」
人々はたちまちパニックになり去って行く。
総一はすぐさまダクネスのこめかみに突き付けていた銃を怪人に向けて発砲する!
「俺の名前はって痛い!痛い痛い!
お前喋べってる途中で撃つな!」
「うるせえ!いまイライラしてんだよ!ゴーカイチェンジ!」
<ガーーッオレンジャー!>
ガオレッドにチェンジしたレッドは装備した籠手状の武器、ライオンファングで殴り掛かる。
うっぷんを晴らすようにしつこく顔面の真ん中を狙い、時折混ぜる足技も的確に拗ねを狙う。
「総一の奴なんて戦い方を!うらやまけしかっんん!
正義の味方の自覚を持て!ゴーカイチェンジ!」
ガオイエローに変身したダクネスも加勢する。
本来はガオイエローにはイーグルソードと言う武器があるのだが、
不器用極まるダクネスは無理に使おうとせず両手の爪で戦う。
「ファルコンサモナー!」
近接をイエローに任せたレッドは武器を弓型のファルコンサモナーに切り替え、怪人の関節を狙い撃つ。
しかし怪人は関節を有り得ない方向に動かして攻撃をよけ、
動揺したダクネスにキックを叩きこみ、レッドの近くまで後退させる。
「ダクネス!平気か!?」
「ああ!このくらい!」
「げんきだねえ!じゃあこれでもくらえ!」
そう言って怪人は両手を絡ませるようにねじり、雷撃を放った。
それに捕まった二人は何度も大げさに振り回され、
地面に叩きつけられ変身解除させられる。
「いててて…おいダクネス大丈夫か?」
そう言って自分とは別の落下音がした方を見て総一は固まった。
見慣れた赤い上着に短い黒髪の男が倒れているのだ。
じゃあ今、その男を見てる自分は?
両手を見ると、剣を握ってる割には奇麗な白く細い指があった。
ここまでの白さは東洋人にはない。
「うそだろ…」
そう言う声も、男性と言うには高すぎる。
向こうも異常に気付いたらしく、こちらを呆然と見ている。
「まさか俺たち…」
「「入れ替わってるー!?」」
3
「総一さんたちもっすか。」
「ああ。参ったよ。」
なんてセリフと話裏腹に総一はどこか満足げな表情で部屋備え付けの道具で入れたお茶を飲んでいる。
「え、ええぇ?いや、ええぇ…?
ナナミさんどうしてそんなに落ち着いてるんですか・
私、自分がリッチーになった時それなりに動揺しましたよ?」
「なーに住めば都みたいなもんですよ。
それにあのピエロぶちのめせば大体もとに戻るでしょうし。」
「なんて身もふたもない…」
もしかしてこの九人の中でさえ一番まともなのは自分なのでは?
と、疑い始める和真だった。
「しかし触手の怪人にピエロの怪人か。
いったい何人いるんだ?」
「分かってる限り私たちの前に現れたのと、
総一さんとダクネスさんを攻撃したのと合わせて2体。
幹部、そうでないとしてもレンジャーキーを持ち出せる権限を持っているメンバーも和真さんが視姦した人と、茶髪の人とで恐らく二人、ですか。」
ちょっとリアが余分な情報を付け足していたが、
まあおおむね間違いではない。
「とりあえずアクアとめぐみんと合流しよう。
何かあった時にバラバラだと不味い。」
「よし。ジョー、ウィズ!入れ違いにならないように残っといてくれ。
ダクネス、和真、ルカ、リアで行こう。」
宿を後にしてアクアが向かったアクシズ教会本部に向かう。
背筋を走る怖気に思わず二の足踏んだ総一の背を無理やり押して中に入った。
「そこの身なりのよさそうなお嬢さん!
アクシズ教に入信する気はありませんか!?
今ならあなたの財産をアクシズ教のすばらしさを伝えることに使える権利がついてきますよ!」
総一は華麗なスカイハイフランケンシュタイナーで駆け寄ってきたシスターを沈めると足早に奥を目指した。
「わ、私はあんな風に声かけられなかったのに!
本来男のソウイチはスカートでの歩き方に不慣れなはずなのに!」
「お前の喜ぶツボはほんと分かりにくいな…」
落ち込むダクネスを慰めながら歩いていると、死んだ顔のめぐみんが虚空を見つめて立っていた。
「め、めぐみん?アンタ大丈夫?」
「か、かずま…あなたはアクシズ教ではありませんね?」
「いや何当たり前の事聞いてんの?」
一瞬で生き返っためぐみんは安心した笑みを浮かべて和真、の体をしているルカにもたれかかった。
「な、なにこれ?」
「恐らく、手ひどい洗礼を受けたんだろう。
そっとしといてやれ。」
何が有ったかを大体察してげんなりする一同だが、
アクアの居場所だけは聞き出し、代表して和真が懺悔室に入る。
「ようこそ迷える子羊よ…。
あなたのその胸の罪を打ち明けなさい。
さすればきっと神は赦しをあたえてくれるでしょう…。
さあ、言って御覧なさい。
あの気に食わない赤い上着の冒険者の財布をちょろまかしたとかですか?
それともあの長髪の剣士のお古の剣を売っぱらおうと画策したことですか?
はたまた年下の槍使いのお気に入りのシャンプーを勝手に使っていることですか?
さあ、言ってごらんなさい!」
体を半分乗り出し、外に引かえり一同を見る。
何時もは鏡越しにしか見ない自分の顔がいい笑顔で青筋を立てて勢いよくサムズダウンした。
和真は頷き席に戻ると、恐らく壁一枚隔てたむこうにいる女神を半目で睨みながら口を開いた。
「ある知り合いの冒険者の少年の悪事を黙っていました。」
「その悪事とは?」
厳かな雰囲気の中に若干好奇心が入ったのを見て和真はためらいなく切り出した。
「仲間のプリーストが大事にしていた宴会芸用のコップをうっかり割ってしまってけど、
ご飯粒でくっつけてこっそり戻しておいたとか…」
「!?」
「あとさっき言ったの同じプリーストがめったに手に入らない品だと自慢していた高級シャワシャワをちょっと味見するつもりで一口飲んだら想像以上の旨さで全部飲んでしまって…味なんか分からないだろうと思って安酒詰め込んで誤魔化しておいたとか…」
「嘘でしょルカ?冗談よね?何本当に見て来たかのように言うのよ?
まさかあなたも飲んだのあれ?まさか、そんな…」
「そのプリーストがあんまりにもトラブルばかり起こすのでもうエリス教徒である以外の条件はいらないから新しいプリースト募集の張り紙を…」
「この背教者共がああああーーーー!
天罰!天罰食らわせてやるぅううううう!」
その声は教会中に響いたとか、響かなかったとか…。
次ーーッ回!第二十一話!
アクア「本当に新しいプyリースと募集の件は嘘なんでしょうね?」
ルカ(和真)「冗談だってば」
リア「奴らの目的って…」
めぐみん「おとりでしょうね。」
アクア「街を守らないと!」
いつもよりゴーカイなチェンジ!後編
和真(ルカ)「両方やる簿が欲張りな海賊っぽくない?」