スーパー戦隊このすばメガフォース   作:伊勢村誠三

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冒険とロマンを求めこの世界を往く若者たちがいた。
悪の帝国魔王軍に敢然と反旗を翻し、
海賊の汚名を誇りとして名乗るゴーカイな奴ら!
その名は!


いつもよりゴーカイなチェンジ!後編

1

「悪かったってばアクア。いい加減機嫌直せよ。」

 

机に突っ伏して一しきり泣きわめいたアクアはジト目で睨みながら言う。

 

「……本当に新しいプリースト募集の件は嘘なんでしょうね?」

 

「冗談だってば」

 

「…その、ルカと体が入れ替わったっていうのも…」

 

「「それはマジ(ホント)。」」

 

しばらくは疑わしそうな目線を向けていたアクアだったが、

やがてその内側にある魂を除いて驚いたが、まあ魔王相手なら大体何でもありよね。

と、もう慣れた様子だ。

 

「他にやられた仲間はいるの?」

 

「俺とダクネスが。ジョーとウィズは無事だ。

今は宿に残って連絡要員やってもらってる。」

 

「あんたソウイチ?随分とノリノリじゃない。」

 

「いやぁ、こんな超常現象も貴重な体験でしょ?

だったら楽しめるうちに楽しんどこうと思って。」

 

やっぱりアクアも若干引いた眼で総一を見る。

普段欲の赴くままに行動した挙句に大体厄ネタ持ち込むこいつにだけはそんな目で見られたくない思う総一だった。

 

「それでどうします?闇雲に探すわけにもいきませんし…」

 

リアがそう言いかけたところで衛兵がドタバタと一同の横を通り過ぎていく。

 

「魔王軍だ!魔王軍が出たぞ!」

 

一同は急いでその後を追った。

 

 

 

「きゃー!なにこれ!?」

 

「こ、これがオッパイを触られる感触っ!」

 

そこらじゅうで人が人と、物と入れ替わり大パニックが起こっていた。

駆け付けた兵隊や冒険者もことごとく入れ替えられ慣れない装備に四苦八苦してるうちに倒されてしまう。

 

「随分派手に暴れてくれてますね!」

 

「許せないわ私の可愛い信者たちに向かって!

ゴーカイ…」

 

「まった!」

 

ルカの姿のままの和真アクアを制した。

そして自分のキーとモバイレーツを取り出す。

 

「何よ!」

 

「あからさますぎる。

奴らがとるべき作戦は本来入れ替わって大混乱になったここをもっと大群で攻める事だろ?」

 

「てことは奴らの目的って…」

 

「おとりでしょうね。」

 

リアの疑問をめぐみんが補足する。

総一も納得したように頷くと前に出る。

 

「なるほど。和真が混浴風呂で見た茶髪の男を探すべきって訳か。

ジョーとウィズも連れていけ。こっちは俺たちがどうにかする!」

 

ダクネスのモバイレーツとキーを構える総一。

ルカ、リア、ダクネスも前に出る。

 

「待てよお前ら。その狙いが分かってて態々戦力を二分するのは…」

 

「両方やる方が欲張りな海賊っぽくない?」

 

自分の顔のままいたずらっぽく笑ってウインクするルカに和真は苦笑いしながら頭を抱える。

 

「全くしょうがねえなぁ!任せましたよ!」

 

「ええ!ちょうど鬱憤溜まってたとこだし!」

 

「いい加減元に戻りたいしな!」

 

「よし。リア!お前も準備良いな!」

 

「はい!めぐみん!キー借りるよ!」

 

「「「「ゴーカイチェンジ!」」」」

 

<<<ゴーーッカイジャー!>>>

 

「ゴーカイレ…じゃなくてイエロー!」

 

「え?あ、ああ!ゴーカイレッド!」

 

「…ゴーカイグリーン!」

 

「ゴーカイピンク!」

 

「「海賊戦隊!」」

 

「「「「ゴーカイジャー!」」」」

 

「違和感どころじゃないが…派手に行くぜ!」

 

 

 

「俺らは一回戻るぞ!

もしあいつが幹部級に強いならこの装備じゃきつい!」

 

「待って!私本当に温泉が汚染されてるか調べたいんだけど…」

 

「宿の方調べといてくれ。めぐみん!

こいつが余計なことしないか見張ってろよ!」

 

余計なことって何よ!と抗議するアクアを無視して和真は階段を駆けあがり二人を呼んだ。

 

「なるほどな。ウィズ、行けるか?」

 

「はい!こっち着てからずっと寛いでたんで準備万端です!」

 

三人は装備を整え下の階に降りる。

 

「ふざけるな!アクア様対中身色してるからって調子に乗りやがって!

よくも温泉を駄目にしてくれたな!」

 

「しょうがないじゃない!

あのまま浄化しないままだったら毒でもっと駄目になってたんだから!」

 

……ほんの少し。時間にして約二分足らずの間に馬鹿(アクア)はトラブルを起こしていた。

最早お家芸なのか?と聞きたくなる。と、和真は思った。

 

「ちょ、ちょっとアクア!これ以上はまずいですよ!」

 

「まずかったのは毒の方でしょ!?

感謝しなさい!この本物の水の女神アクア様に!」

 

なだめようとしためぐみんを押しのけバーン!と効果音がつくほどキレイに胸を張って見せたアクアだったが、じわじわと館の店主と客、とくにアクシズ教徒たちのボルテージは上がって行き

 

「ふざけやがってこのクソガキがぁああ!」

 

「この偽物が!」

 

「街から追い出せ!」

 

「嘘つきが!俺らがなんでも魔王軍の仕業だって言えば信じるとでも!?」

 

「本当よ!魔王軍が来てるのよ!」

 

今にもリンチされそうな空気だというのにアクアは信じて!

と繰り返し訴え続ける。

 

「ちょ!カズマ―!ジョー!見てないで助けてください!」

 

「もう無視していっても…」

 

「良い訳ないだろ。さっさと回収していくぞ。」

 

ジョーはライブマンキーからモトファルコンとライブクルーガーを召喚。

アクアとめぐみんを人混みから救出するとライブクルーガーに乗り込みハンドルを握る。

和真もウィズを後ろに乗せてバイクで続いた。

 

「ちょっと何するのよ!

あとちょっとで私の信者たちを説得出来た所なのに!」

 

「お前のじゃなくてお前と同じ名前の女神のだ。

と言うか、それ以前にリンチにされかけてただろ?

お前が一方的に悪いとはいえ、

そこまでされた相手をなんで助けようとする?」

 

「決まってるじゃない!神ってのは信仰あってこそなのよ!

だから私は、なんとしても私を必要としてくれる街を、信者たち守らないとなの!」

 

ここまでくると演技も筋金入りだな。と、肩をすくめて呆れるしかないジョーだった。

 

 

 

「さーて、この山が源泉なのか。」

 

街の水源そのものでもあるそこは周囲を鉄柵で覆われ、

唯一の出入り口である門の前にも二人の屈強な衛兵が控えるなかなか強固な守りだった。

もっとも

 

<<<<ジェーーットマン!>>>>

 

空を飛んで行ける一同には何の関係もない話だった。

無事山に入った一同は変身を解除して武器を片手に山を登っていく。

 

「この太いパイプがそうなのか?」

 

「人がつけたものだし、辿って行けば泉源に行けると思いますね。」

 

山路は急だが、パイプの整備、点検のために一応整備はされているので覚悟した物ほど疲労は強いられない。

 

「はぁ…はぁ…みんな早くないっすか?」

 

「? まあっ前衛食の俺や元ベテラン冒険者のウィズはそうでもないが、お前にはきついか?」

 

「まったくだらしないわね!

本来肉体労働なんかまったく似合わない私でさえぴんぴんしてるのよ?

ルカの肉体だとしてもこんなに運動できないなんて…」

 

「うるせえな!元ひきこもり舐めんな!

大体街の土方にまじって工事してる姿が全く違和感なかった奴に言われたくないわ!」

 

「意外に元気そうですね。」

 

「だな。」

 

そろそろ出発するか。そう思った時、アクアは背後でこんこんと湧き出る温泉を見つけた。

 

「不用意に触るなよ?中身は熱湯…てなんだ?色が黒い?」

 

その中にアクアは迷わず中に手を突っ込む。

 

「あっつ!あつい!これ思いっきり毒だし熱いんですけど!」

 

「汚染された温泉なんだから当たり前だろ!

『フリーズ』!『フリーズ』!『フリーズ』!」

 

三回かけてようやく熱くはなくなったアクアが手をさすりながらつぶやく。

 

「こんなオマケみたいなのが真っ黒になってるってことは…」

 

「どうやら当たりみたいですね。」

 

その後は休憩を挟まず進んでいく。

開けた場所が見えて来たところで和真は千里眼スキルを使って人影を探した。

 

「いた!あの時混浴風呂にいた茶髪の男だ!」

 

「よし。カズマ、めぐみん。

攻撃の用意しておけ。アクア、ウィズ。囮になるぞ。」

 

そう言うとジョーは一気に坂道を駆けていく。

四人は慌ててそれに続いた。

 

「おいお前!そんなところで何してる!」

 

「な!あ、あなたこそなんですか?

ここは管理者以外立ち入り禁止ですよ?」

 

「俺は正進怒涛流の剣士。

この街の温泉に毒を垂れ流す不届き者を斬りに来た。」

 

「温泉を台無しに?私が?この温泉を管理している私が?

なんのことだかさっぱりわかりませんね…。」

 

剣を突きつけられてなお、男はひょうひょうとした態度を崩さない。

 

「とぼけるな。俺らの泊まってる宿は日帰り温泉がないのにお前はこの前和真が入った時にいた魔王軍の幹部の女と混浴風呂に入っていただろ?」

 

「本当になんの話をしてるんですか?

なんにせよ、あなたが私を疑ってるって話でしたらどれだけ私を調べてくれても構いませんよ?

どんなに調べても毒なんてでて、こな…」

 

さっきまで余裕だった口調が急に尻すぼみする。

その視線の先には、元冒険者のリッチーがいた。

 

「あ!ハンスさん!おひさしぶりですね!」

 

「は、ハンス?誰の事ですか?私は温泉管理人の…」

何回か魔王城で会ったじゃないですか!

私です!リッチーのウィズです!覚えてませんか?」

 

「り、リッチー?リッチーってあの危険なアンデッドモンスターのリッチーですか?

とにかく!私は毒なんてどこにももって…」

 

「毒と言えば!ハンスさんはデッドリーポイズンスライムの変異種でしたね!

前見見たのと同じ姿という事は、この件は結構前から準備して計画してた事なんですね!」

 

そこまで聞いたところでもうジョーは斬りかかっていた。

袈裟斬りに斬られた胴に紫のゼラチンのような断面が一瞬だけ見える。

 

「やはりか!アクア!」

 

「ええ!『ピュリフィケーション』!」

 

アクアの放った浄化の波動に吹っ飛ばされたハンスは三本のレンジャーキーを落しながら後ろに転がる。

和真も援護で木の上から矢を放った。

 

「痛っ!痛い!こんの人間どもが!

ウィズ貴様魔王に洗脳されてどっかの街に潜伏してるんじゃなかったのか!?

それがなんで首輪つけられて海賊共の仲間になってる!」

 

「そ、それにはいろいろ事情がありまして…。

ううっ!人間だった頃みたいになってた話を思い出させないでください!」

 

「ふん。まあいい。ふぬけにゃようはない。

そうなってるようなら殺していいともいわれてるしな!」

 

そう言ってハンスは落とさなかったもう三本のレンジャーキーを取り出すと、それを一気に呑み込んだ。

 

「お前ら随分レンジャーキーをため込んでるそうじゃないか!

これで味は覚えた!」

 

「味?一体何を…」

 

「スライムの変異種ってことはまさか!

逃げるぞ!早く!」

 

ジョーが納刀してアクアとウィズを抱えると元来た道を駆け下り始めた。

一瞬ぽかんとしたカズマだったが、横に居ためぐみんに引っ張られて我に返る。

 

「は、早く私たちも逃げましょう!相手はスライムです!」

 

「スライムだからなんだってんだよ?」

 

「ああなるに決まってるじゃないですか!」

 

そう言ってめぐみんが指さす先には

 

『あああアあ嗚呼ああ阿吾あああああ啞あああああああああああああああああああああ!!!!!!』

 

「…は?」

 

周囲の木や物を質量と言う質量で押しつぶしながら巨大化するスライムの姿が有った。

 




次ーーッ回!第二十二話!

ダクネス(総一)「なんだあのでっかいスライム!?」

めぐみん「どうするんですかあんなの!」

ウィズ「私にも無理ですあんなの!」

信者の祈りは女神の糧!

アクア「博打上等!アンタにかけるわ!」
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