スーパー戦隊このすばメガフォース   作:伊勢村誠三

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冒険とロマンを求めこの世界を往く若者たちがいた。
悪の帝国魔王軍に敢然と反旗を翻し、
海賊の汚名を誇りとして名乗るゴーカイな奴ら!
その名は!


逃走劇とダブルショック

1

じりじりと、魔王軍幹部の女、ウォルバグとその後ろからやって来た配下の魔物やゴーミンたちは四人の包囲を狭めながら近づいてくる。

なんとかレンジャーキーの箱の前に集まれた四人だったが、

この船を捨てるという選択肢もこの場で派手にドンパチやるという選択肢もとりたくはない。

 

「リア、一瞬で良いからバリアで方位に穴をあけろ。」

 

「総一さん何か策があるんですか?」

 

「ああ。かつて俺が一番好きなジャンプ主人公が教えてくれたとっておきが!」

 

リアはすぐさま槍を離すと神器の鍵盤に指を這わせた。

奏でられた聖なるメロディがウォルバグの真横にドーム状のバリアが貼られすぐに解除される。

一瞬だけゴーミンが押しのけられ道が出来た。

そこに総一はウォルバクの半身を抱えて滑り込み

 

「逃ーげるんだよぉおおおおお!」

 

「ええぇ!?な、なんて奴!半分はついてきなさい!」

 

ウォルバクはやむを得ず部下を先導し総一を追って行った。

 

「段々カズマと考えることが似て来たな。」

 

「ははは…ま、おかげでこっちの仕事は楽ですけど!」

 

「さーて無賃乗車の罰金は命で払わせますか!」

 

「「「ゴーカイチェンジ!」」」

 

 

 

「ゴーカイチェンジ!」

 

<ジェーーットマン!>

 

レッドホークに変身した総一は追ってくるウォルバクの魔法をよけながら追撃してくる魔物やスゴーミンを撃ち落としながら紅魔の里を目指していた。

あそこは何度も魔王軍を退けているとあって腕利きぞろいだし迎撃装備も整っている。

上手く立ち回れば労力は半分で済む。

 

『警報!警報!上空より魔王軍襲来!

手の空いてるものはすぐにグリフォン像前に集合!』

 

流石は何度も戦ってるとあって対応が早い。

 

「調子に乗るなよ!『ライト・オブ・セイバー』!」

 

放たれた三日月形の魔法斬を引き抜いたブリンガーソードで弾く。

衝撃で一瞬姿勢が崩れるがすぐに体制を整え…

 

「かかったな!間抜けめ!」

 

背中、それも翼のギミックのある脇の近くに激痛が走る。

見るとブーメランのように戻ってきていた魔法斬が通り抜けていく

 

「うぉおおおおおお!」

 

「なぁあああああー!」

 

なんとか残った翼で近くの木の上に落下することには成功したが、それでも勢いが殺しきれず近くの建物の壁をぶち破ってその先に転がり込む。

 

「だぁあああああ!なんだ!?ってレッドホーク?」

 

「もしかしてソウイチですか?こんな遅くに何を?」

 

「お前らこそなんでこんな馬小屋で寝てんだよ…」

 

「う、うちの母屋です!」

 

顔を赤くしながらめぐみんが抗議する。

その間にウォルバグは残ったスゴーミンと共に降りて来た。

 

「ちょっとカズマ!こんな夜遅くに何をやってるの?

同居人の迷惑もかん、がえて…え?」

 

「これは敵襲!アクア!皆を起こしてこい!」

 

しかしアクアはなぜか呆然としたまま動かない。

何やらレンジャーの聴力でも聞き取りにくいぐらいの声でもごもごと何やら呟いてるばかりだ。

 

「あ、アクア?どうした?」

 

「なんでカズンとめぐみんが寝てるのよ?

布団が足りない?

そんなん変身すれば別に寒くなんかないわよね?

なんで?ねえなんで?

なんでどう考えてもその布団で密着してたのよ?」

 

「おい壊れたラジオみたいになってる場合か!

魔王軍幹部来てるんだぞ!これ持ってさっさと行け!」

 

なー!と悲鳴を上げるウォルバクの半身を受け取ったアクアはようやく我に返り奥に引っ込んでいった。

 

「お話は済んだかしら?」

 

「ああ!おかげさまでな。

って、あんたアルカンレンティアの混浴風呂にいた…」

 

「ウォルバグよ。よろしく。

ま、その案を呼ぶ余裕があるか知らないけどね!」

 

<<<<シーーッンケンジャー!>>>>

 

「あら、生きてるってことは持ってたのね。」

 

ウォルバグのつぶやきを無視して四人はポーズを取る。

 

「シンケンレッド!めぐみん!」

 

「同じくゴールド!七海総一!」

 

「同じくイエロー!ダクネス!」

 

「同じくグリーン!佐藤和真!」

 

「天下御免の侍戦隊!」

 

「「「「シンケンジャー!」」」」

 

「参る!」

 

 

 

「こっちこっち!走って!

眠くてつらいかもだけどみんな集まってるはずだから!」

 

まだ眠い目をこすりながらもウォルバクの半身を食べようとしているこめっこを背負ってアクアはめぐみんの両親と共に里の人が集まる方に向かっていた。

その上を風を切りながら大きな何かが飛んでいる。

 

「ガレオン!ジョー達も来てくれたのね!」

 

「んー…おお!おねえちゃん!

あれが寝る前に言ってた宇宙海賊船!?」

 

「ええ!頼もしい仲間が乗ってるの!」

 

船が止まると中から三本の鎖が伸びてジョー達が降りてきた。

 

「アクア!無事だったか。」

 

「めぐみんのご家族も大丈夫そうですね。」

 

ルカにこめっこを預けるとなんとかね、と言ってアクアは伸びをした。

 

「それよりジョーついてきて!

四人の加勢に行きたいわ!」

 

ジョーは無言で頷くとアクアの方に引き返す。

 

「ところでお前らはどうやって奴らの接近に気付けたんだ?」

 

「ああ。なんか撃ち落とされたソウイチがカズマとめぐみんが寝てた部屋に落下して来てそれでね。」

 

「……ん?ちょっと待て。

なんでカズマとめぐみんが同じ部屋で寝てるんだ?」

 

「さあ?同じ布団に入ってたしソーユー事なんじゃない?」

 

「お前…それ、いいのか?」

 

総一からソウジキジゲンの顛末を最近聞いていたジョーは不安げにアクアの顔を覗き込んだ。

 

「いったい何の問題があるの?」

 

「……え?」

 

その目は深淵より濁っていた。

そして口元は糸で縫い付けたみたいに吊り上がっていた。

端的に言って不気味なピエロの営業スマイルの方がまだ温かみを感じるような笑みだった。

 

「だって和真の血が後世に残れば本人以外にその血に連なる全員も私のエインヘリヤルに出来るじゃないの!

一体ごっほぉ!なんのぉごっほごほ門…だいが……」

 

アクアは中途半端に腰を折るその場に胃の中身をすべてぶちまけた。

水分は浄化されるが噛んだだけで消化されていない身はそうもいかず水気の多いおぞましい塊がはきだされる。

 

「…先に行ってるぞ。」

 

見なかったことにしよう。

なるべく視界を削ぎ落すよう走るスピードを上げながらジョーは戦う事だけを考えた。

 

 

 

「火炎の舞い!」

 

「木枯らしの舞い!」

 

「ダイゴヨウ十手打ち!」

 

イエローが魔法攻撃をすべてその肉体と剣で受けきり、攻撃の合間に残る三人が属性攻撃をいれていく。

 

「ふふふ!出来るようになったわねめぐみん!師匠として鼻が高いわ!」

 

「ッ!ウォルバグ…その名を聞いた時にもしやと思いましたが、そうでしたか。

師匠の対決とか紅魔族の琴線に触れまくるシチュエーションを自分から作ったことを後悔してもらいます!」

 

武装を烈火大斬刀に切り替え斬りかかるめぐみんしかしウォルバグは軽快な身のこなしで大降りの乱撃を避けきるとカウンターで腹部に攻撃魔法を至近距離で打ち込む!

 

「全く!しょうがねえなあ!」

 

めぐみんの腰にどこからか伸びた蔓が巻き付く。

和真がモヂカラで作ったが蔦だった。

それが一気に手繰り寄せられるとゴールドとイエローがフォローに入る!

 

「一人で暴れんな!」

 

「そうだ!もっと私が巻き込まれるように暴れろ!」

 

イエローが思い切りゴールドに足を踏まれているがまあ、時間は稼いでくれてるので良しとしよう。

 

「めぐみん、あいつが師匠だとかどうとか今は聞かない。

とりあえず落ち着け。勝てるもんも勝てねえ。」

 

「……ええ。すいません。

師匠があの地ビ魔王に操られてると思うと、つい…。」

 

「そうか…。だったら無理すんな!お前は下がってていい!」

 

そう言って和真は武器をウッドスピアに持ち変え突っ込んでいく。

めぐみんは歯を食いしばった。

ここでもし、自分が爆裂魔法を以外を使えたら。

そう思ってしまう。

 

「めぐみん!」

 

ゴーカイブルーに変身したジョーがやって来た。

手にはあらかじめ受け取っていたのかサーベルを二刀構えている。

 

「ジョー!他のみんなは…」

 

「避難先だ。あの女が敵で良いんだな?」

 

めぐみんはすぐに答えれなかった。

一瞬ジョーがいぶかしんでる間に轟音が響く。

 

見ると里の人間が非難した方向に煙が上がっている。

 

「あはははははははは!良い!良いっ!あんまりにも良すぎるわ!

これが私の真の姿!これが私の真の力ぁああああ!」

 

下半身が鋼の魚のようになった怪人が宙に浮いていた。

それは段々と大きくなり、声が野太くなっていく。

 

「ま、まさかあれって任務できてるって言ってたシルビア?

もしかして下半身以外に取り込んでるのって、わ、私の半身…うそ、でしょ?」

 

「……ちょっと待て。

アンタが魔王軍が送り込んだ幹部じゃないのか!?」

 

「私は半身がこの辺にいるって占いで出たから来ただけよ!

アンタらの船を襲ったのも単独行動をとがめられないだけの手柄が欲しかっただけ!」

 

「じゃあ、あれが手紙で言ってた幹部なのか?」

 

どうすんだアレ。

炎をまき散らし里を破壊しながら野太い笑い声をあげるキメラを呆然と見上げながら一同は固まるしかなかった。




次ーーッ回!第二十八話!

あるえ「里が、燃えてる…」

ウォルバグ「今だけ手を貸すわ。」

総一「足止めは俺らが!」

浪漫砲を発射せよ!

めぐみん「私なんかじゃ…」

和真「お前を信じる!」
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