スーパー戦隊このすばメガフォース   作:伊勢村誠三

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冒険とロマンを求めこの世界を往く若者たちがいた。
悪の帝国魔王軍に敢然と反旗を翻し、
海賊の汚名を誇りとして名乗るゴーカイな奴ら!
その名は!


浪漫砲を発射せよ!

「里が、燃えてる…」

 

「私が、私はいくらルカさんにこめっこちゃんを人質に取られたからって小並コマンドなんて撃ち込まなければ―っ!」

 

紅魔族の人々が避難している方に戻ると、もう惨状は起こってしまっていた。

里のあちこちに火を付けられ、ぐったりしたルカとこめっこの前にリアが膝をついて叫んでいる。

 

「リア、ちょっとどう反応していいか分からないそれやめて。

それで何がどうなってああなったんだ?あいつの下半身についてるのなんだ?」

 

総一がリアを立たせてそう聞くと、

リアは若干てんぱりながらも顛末を話してくれた。

なんでも紅魔族の里の学校の裏にある謎の工場と呼ばれる遺跡にはかつて、魔王を倒すべく作ったあらゆる魔法を無効化する兵器が眠っており、それを乗っ取ったの事だ。

 

「それは分かったけどなんで小並コマンドなんてもんが出てくるんだよ…。」

 

「ドアのゲートを開くための魔道具とか言って完全にスーファミのコントローラーで…ゲーマーの血がつい!」

 

悔し涙を流して地面を殴るリア。

ノリと勢いで色々やらかしちゃう紅魔族的に同情できるのかそんなリアを里の人々は励ましている。

 

「総一さん、ずっと前から思ってましたけどリアって…」

 

「ああ。けど今はそんなことは重要じゃない。

k重要なのはそこのゲロの女神が「下手なチート持たせて送り出した誰かの置き土産が魔王軍の理になってしまってるって事実だテメエこの屑女神!」

 

「な!なんで私が悪いって決めつけるのよ!

それにゲロ女神ってなによ!私が触れた水は私自身が邪念を感じてない限りは浄化されるって言ったじゃない!

ゲロなんて酔ってないと吐かないわよ!」

 

「じゃあ残飯女神!

一つ聞くけどあのキメラ野郎をディスペルとかでどうにかできないのか?」

 

「無理よ!物理的に引っぺがさないと!」

 

「本気で言ってんのか?

言いたかないけど魔法使いの皆さん今ほとんど役に立たないぞ?」

 

「したがってスピリチュアルなパワーが由来のキーも効果は望めない。」

 

「そんな…」

 

「じゃあ俺たちは、里を捨てるしかないのか?」

 

燃え盛る里を見ながら誰かがつぶやいた。

その沈んだ声に感化されてか、次第に人々はうつむき、

お通夜のようなムードが伝播していく。

 

「今だけ手を貸すわ。」

 

その静寂を破ったのはなんと、敵であるはずのウォルバグだった。

総一と和真の前に立つと一本ずつキーを投げ渡す。

 

「ゲキイエローにゲキバイオレッド…。

前回の三本のうち二本とあわせてゲキレンジャーはコンプリート!」

 

「温泉の姉ちゃん…あんたどうゆうつもりだよ?」

 

「それで雇われなさい海賊。

私の半身を取り戻すまでは味方でいてあげるわ。

取り戻したらさっさとこんな里も出てってやる。」

 

「信じろって?魔王軍のアンタを?」

 

復活したルカが若干馬鹿にしたように言う。

まさか信じるとでも?と、態度で言っているようだ。

ウォルバグは無言で頷いた。

 

「オーケー。上等じゃない!」

 

そう言ってルカはモバイレーツを取り出した。

それに総一、ジョー、リア、ダクネス、アクアと続く。

 

「カズマ、策はあるか?」

 

「足止めだけなら皆さんに温泉の姉ちゃんとあと紅魔族の人たちがいれば十分だと思います。」

 

「ならさらに死ぬ気で働いてあの下半身もげればめぐみんの出番という訳か。」

 

拳を鳴らし気合を入れるダクネス。

 

「でも結局決め手に欠けますよね?」

 

「……かけですが、この里のどこかにあのキメラの下半身を作ったのと同じ物が作った超兵器があると聞きました。

それならもしかしたら…」

 

「決まりだな。足止めは俺らが!いくぞ!」

 

「「「「「「ゴーカイチェンジ!」」」」」」

 

「行くよアンタら!

魔法使いの恐ろしさをあの盗人キメラに見せてやろうじゃないか!」

 

シルビアに向かって飛び出して行く総一たち。

めぐみんに案内されるまま和真は真反対の方向に走り出した。

 

 

 

「全員私に続いてください!」

 

<ドーーッラゴンレンジャー!>

 

ドラゴンアーマーで放たれる攻撃を弾きながら進むリア。

そこを残るメンバーが縦列になって進んでいく。

 

「く、くぅうう!羨ましいぞリアの奴!

魔王軍幹部の攻撃を正面から受けるなど武者震いが…」

 

「バカやってないでさっさと準備しろ!」

 

「全く、お前ぇは本当にぶれねえな!」

 

<<ゴーーッゴーファイブ>>

 

<シーーッンケンジャー!>

 

<ガーーッオレンジャー!>

 

<ターーッイムレンジャー!>

 

リアの型を踏み台にの折るメンバーは次々とジャンプしていく。

 

「ブイランサー!」

 

「ウォーターアロー!」

 

「イーグルクロー!」

 

「ベクターエンド!」

 

「ゴッドブロォオオオオオーーーーー!」

 

五人が一斉に技を放つ。

しかしシルビアはそれを鼻で笑うと軽く払うように腕から衝撃波を放って五人を払いのけた。

踏ん張ってイタリア以外の全員が背後に飛んで行く。

 

「く、くそ!明鏡止水!」

 

ジョーはなんとか空中で身を捻って強引に体制を整えるとアローから分裂する水の矢を放つ。

それは周囲に雨の様に降り注ぎシルビアの付けた日を次々消していく。

 

「行け!今よ!」

 

そこに遠巻きに見ていた紅魔族の人々が次々に上級魔法を叩きこんでいく。

爆炎や土埃が巻き起こるばかりでシルビアには大したダメージがあるように思えない。

 

「ねえ!これこのまま続けるの!?

この行為に意味はあるの!?これ絶対みんなの魔力が尽きる方が早いわよね!?」

 

「口より体を動かせ体を!」

 

<オーーッレンジャー!>

 

「ちょ!待ちなさいよソウイチ!」

 

<ラーーッイブマン!>

 

「はぁ…ルカ!ダクネス!まだいけるな!」

 

<アーーッバレンジャー!>

 

「誰に向かって行ってんのよ!」

 

<ハーーッリケンジャー!>

 

「カズマたちが来るまで耐える!」

 

<デーーッカレンジャー!>

 

魔法の炎を、氷を、雷を掻い潜りシルビアに肉薄する。

全く体力のそこも魔力のそこも見えない敵を前に総一たちはまるで山を崩そうとしているような気分になった。

 

 

 

「ここが謎の工場…本当にスーファミのコントローラーじゃねえか。」

 

謎の工場にたどり着いた和真はリアが嘆いていた通りにコマンドを撃ち込む。

 

「上上下下左右左右ほほーいほいほい。」

 

扉が開き、中に入れた。

おそらくシルビアが破壊しながら出ていったであろう大穴から月明かりが差し込み、十分探し物を探せそうだ。

 

「中は…これスーファミのカセット!?

それにゲームガールにワンダフルスワンまであるじゃねえか!」

 

「カズマはこれらの魔道具の使い方が分かるんですか?」

 

「分かるし使えるっつうか使いたいけど今はそれどころじゃない!

後で里すくったお礼ってことでもらって行きたいけどまずは手がかり探しだ!

なにか、なにかそれっぽい書置きとか有れと対になってそうな道具とか…」

 

そう思って涙をのみながらカセットや本体を払いのけ

 

「くそ!かき分けてもかき分けてもお宝しか出てこねえ!

めぐみん!そっちになんかなかったか!?」

 

「カズマカズマ!見てください!

なんか如何にもな古代文字で書かれた書物が!」

 

「こんな時でもぶれな…ってそれ日本語!ちょっと読ませて!」

 

そのノートは、一言で言えばこの工場の主だった男の日記だった。

転生特典のお陰で研究者の職を得られたはいいが、

国の金使ってせっせとゲーム作ってたのがバレかけてやばいといった旨のことが書かれている。

 

「へー、これ魔道具じゃなくて玩具んですね。

いくつかこめっこに持って行ってあげましょうかね…」

 

「お前こんな時に言ってる場合かよ…。

えーと?『俺の研究に予算付けてやるとか言ってきた。

流石世界を壊す兵器と偽ったゲーム機の軌道オンにビビりまくりだった人たち。

けどどうしよう。魔王に対抗できる兵器とか何作りゃいいの?』」

 

「で、作った簿外真シルビアが合体してるあれと?」

 

「本人の絵心が無かったせいで蛇っぽく見えたけど本人犬のつもりだったらしいぞ…。

しかもバッテリーが合わない欠陥使用。」

 

「浪漫兵器ですか!いいですね!」

 

(この男を雇ってた国はこんなんばっかだったから進んで改造人間になったんだろうな。)

 

このノートの書いてあることを信じるなら、紅魔族のルーツはエピソード記憶をなくす代わりに魔法適性を上げる改造を受けた人々だったらしい。

眼が赤かったりするのは完全にただのカッコつけの注文だったらしい。

 

「えー、なになに?

『なんか我々の天敵である魔術師殺しに対抗するための兵器が欲しいとか言ってきやがった。

ありあわせの部品で適当に作ろ。』」

 

「なんですって!ありあわせでもあるんなら使いましょう!

何かヒントみたいなもの書かれてませんか?」

 

「『やべえ、この兵器やべえ。

ただ魔法濃縮して打ち出すだけのライフルなのにめっちゃすげえ威力。

之こそ世界滅ぼすんじゃねえの?

まあありあわせのそれだから数発撃ったらぶっ壊れるだろうけど。

荷電粒子要素皆無だけどレールガン(仮)と名付けた。

ぱっとみ物干しざおくらいのサイズのライフルなのになんでこうなったんだろ?』」

 

そこまで読んだところでカズマは日記の一番後ろのページを捲り、そこに適当に絵をかく。

 

「なあめぐみん!こんな感じの物里の中で見たこと無いか?」

 

「これは…似たようなののもっと長い奴なら街の服屋が物干しざおにしてました!」

 

「ジャックポット!行くぞめぐみん!悪いが全速力だ!」

 

 

 

「秘剣!超力ライザー!」

 

「トリケラバンカー!」

 

シルビアは二人を纏めて尾の一振りではたき落とし、

魔法使いたちと一緒になってドルフィンアローで援護していたアクアの方に光弾を放って止める。

そして獣奏剣とディーナックルを持って突っ込んで来たリアとダクネスを、そして二人の作ったスキを突いて土の中から現れたルカも簡単にカウンターで吹っ飛ばし、大規模な攻撃魔法で変身解除まで追い込む。

 

「な、なんて奴!」

 

「あの図体で何て小回りだ!」

 

一同、なんとか武器を杖に起き上がる。

それを見てシルビアは嗜虐的な笑みを浮かべる。

このまま鬱憤を晴らすようにいたぶってやるつもりだろう。

 

「カズマからの合図なり連絡は?」

 

「まだだ。だが、それまでんなんとしても!」

 

当たりもしない剣を構え口を一文字に結ぶダクネス。

 

「……皆さん。どうやらこれしかなさそうです!」

 

リアは槍を捨ててしゃがんだまま神器を奏でる。

本来見方を守る為に展開されるバリアがシルビアの周りに張られる。

 

「これは!」

 

「皆さん今です!なんとしてもこいつは逃がさない!だから最大火力をぶち込んでください!」

 

「はぁ!?通じる保証なんかないぞ!」

 

「構わない!私の気力が持つうちに!」

 

そう言うリアは軽やかな指さばきでリズムを奏でるが、内側でシルビアが暴れるたびに苦悶の表情を浮かべ汗をにじませる。

 

「……お前ら、やるぞ!」

 

総一はそう叫ぶとモバイレーツとキーを構える。

残るメンバーもそれぞれ選んだキーを…

 

「ちょーっと待った!」

 

そこに肩で息をしながらレールガン(仮)とめぐみんを背負った和真が走り込んで来た。

 

「二人ともいいとこに来た!お前も加勢を…「ゲキレンジャー!」…なんて?」

 

「激気注入って技あっただろ!?

それをこのレールガン(仮)に爆裂魔法と一緒に込めて打ち出す!

めぐみんがアクアの分の魔力とダイナマンキーのパワーまで上乗せすれば実質二大戦隊のパワー+α!」

 

そう言って和真は問答無用でアクアからドレインタッチで魔力を抜き取るとめぐみんに移し始める。

 

「聞いたなお前ら!ウチの参謀の勘を信じる馬鹿はいくぞ!

おらアホ女神!お前も和真の頭を殴ってないでやるんだよ!」

 

「「「「「ゴーカイチェンジ!」」」」」

 

<<<<<ゲーーッキレンジャー!>>>>>

 

「体に漲る無限の力!アンブレイカブルボディ!ゲキレッド!」

 

「日々これ精進!心を磨く!オネストハート!ゲキイエロー!」

 

「技が彩る大輪の花!ファンタスティックテクニック!ゲキブルー!」

 

「紫激気!俺流!我が意を尽くす!アイアンウィル!ゲキバイオレッド!」

 

「才を磨いて、己の未来を切り開く!アメイジングアビリティ!ゲキチョッパー!」

 

「「「「「燃え立つ激気は、正義の証!」」」」」

 

「獣拳戦隊!」

 

「「「「「ゲキレンジャー」」」」」

 

名乗り終えると和真にレールガン(仮)を渡されためぐみんの後ろにつく。

和真はレールガンを敷いたから支えるように位置どった。

 

「あの!かっこよくポーズまで決めて名乗ってましたけど私けっこう余裕ないんですけど!」

 

リアの叫ぶ。

それを聞いてゲキレンジャーは左右に分かれてめぐみんの肩に手を置き準備する。

あとはめぐみんが呪文を唱えて引き金を引けばいい。

だが、

 

「…おいめぐみんどうした?」

 

めぐみんはいつまでも引き金を引かない。

いい加減リアが死にそうな顔になっていてもなお渋っている。

 

「私なんかじゃ…。爆裂魔法何てネタ魔法じゃ…」

 

「めぐみお前!何こんな時に弱気になってんだよ!」

 

「里が!故郷が滅びようって時に!

学校で初級魔法に並んでスキルポイントの無駄とか言われた爆裂魔法が切り札ですよ!?

どう考えったって!もし、この一発が駄目なら…」

 

「…おいめぐみん、お前こんな道具使うパチモンの爆裂魔法すらびびってできねえのか?」

 

「カズマ?」

 

「爆裂道を究めるとか大口叩いてた割にそれか!

がっかりだぜ!こんなところでしり込みする腰抜けだったとはな!」

 

和真はあえて全員に聞こえるように声を張って叫んだ。

何やらひそひそと話し始める里の人間たち。

 

「は、ははは。言うじゃないですかカズマ!

いいでしょう!魅せてあげましょう!

本物には及びませんが威力は最高のこの一撃を!」

 

「ああ、お前を信じる!皆さん!」

 

「「「「「激気注入!」」」」」

 

詠唱が唱えられ、空に出現した激気を帯びた魔法陣がレールガン(仮)の後部に吸い込まれる。

 

<FULL!>

 

とメーターに赤い表示が現れた。

だが本来想定されていない激気をいれたせいか砲身が嫌な火花を立ててきしみ始める。

 

「も、もう無理…」

 

リアが力尽き倒れ伏すのとバリアが消えるのは同時だった。

毀れゆくレールガン(仮)から放たれたサンライトイエローの業火は断末魔すら飲み込みシルビアをこの世から完全に消し飛ばして消滅させた。

 

「これにて一件落着。」

 

「くらしのなかにしゅぎょうあり!」

 

チーン!と、こめっこがどこからか取り出したトライアングルを鳴らした。




次ーーッ回!第二十九話!

???「この私を誰の娘だと思っている!」

総一「ま、魔王の娘だぁ!?」

和真「あのチンチクリンの!?」

魔王の娘「違ぁう!」

デラツエイガー「お迎えに上がりましたよ。姫殿下!」

魔王城からの家出娘

めぐみん「魔王の娘も反抗期?」

ダクネス「なの、だろうか?」
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