スーパー戦隊このすばメガフォース   作:伊勢村誠三

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冒険とロマンを求めこの世界を往く若者たちがいた。
悪の帝国魔王軍に敢然と反旗を翻し、
海賊の汚名を誇りとして名乗るゴーカイな奴ら!
その名は!


魔王城からの家出娘

「ふっ!やぁあああ!」

 

朝の冷たい空気に汗が飛び、刃が舞う。

激戦の翌日にも拘らずジョーは今日も鍛錬をかかさなかった。

 

「おや、ジョー。もう起きていたんですか?」

 

「めぐみんか。お前こそもう動けるのか?」

 

「爆裂魔法を撃てるほどではありませんが、一晩寝ればこんなもんですよ。

私は一回実家の方に戻るので、その旨伝えておいてくれますか?」

 

「ああ。あんなことが有った後だからな。

気を付けろよ。」

 

ジョーと分かれためぐみんはそのまま復興がもう始まっている里を通って実家に向かった。

え?いくら何でも早すぎやしないかって?

そんなことはない。

今回ぐらいの騒動なら紅魔族の技術力をもってすれば5日で直るだろう。

 

「だから!さっさとアクセルに連れて行けと言っているのだ!

貴様らの力ももってすれば簡単なことだろう!?」

 

「いや、それはそうだけどちょっと落ち着いて…」

 

「敬語を使わぬか!

この私を誰の娘だと思っている!」

 

そんな町の一角で何やら騒ぎが起きている。

見ると自称遊撃部隊のニートどもがのされており、

その下手人と思しき茶髪の少女が見覚えのある少女に詰め寄っていた。

 

「あるえじゃないですか。いったいこれはどんな状況なんです?」

 

「あ、めぐみん!久しぶり!いいとこに来てくれたわ!」

 

里の学校での同期のあるえはめぐみんを見ると茶髪の少女を振り払い、

彼女の手を取り茶髪少女の前に差し出す。

 

「あなた近いうちにアクセルの街に戻るのよね?

この子、アクセルに行きたいらしいから連れてって上げてくれない?」

 

「それは構いませんが…えっと、お名前は?」

 

「貴様こそな何者だ?

見た所このアホどもと同じくらいには頭の悪そうな格好をしてるが…」

 

「おい、このアホがそこで伸びてるニートどもの事を言ってるならちょっと紅魔族の本当の頭の良さを見せてやろうか?」

 

「ふん!質問に答えてない時点で阿呆だろうに。

この私は最初に貴様は誰かと聞いたんだ!」

 

「我が名はめぐみん!

紅魔族随一の魔法の使い手にして魔王軍幹部シルビアを屠りし者!」

 

ポーズを決め、高らかに名乗っためぐみん。

茶髪少女は一瞬呆けたが、すぐにその整った顔を憎々しげにゆがめてめぐみんを睨む。

 

「めぐみん?貴様めぐみんと言ったか?あの赤き海賊団の?」

 

「いかにも!少しは私の凄さが…」

 

「なら試してやろう!」

 

そう言って茶髪少女は思い切りめぐみんの横っ腹に蹴りを放つ。

咄嗟に持っていた杖で受けるが、あっさり当たった部分から折れて脇腹につま先が突き刺さる。

 

「ぐぅううっ!お゛!」

 

「め、めぐみん!?」

 

「『クリエイト・ウォーター』!」

 

騒ごうとしたあるえの眉間に詠唱とは裏腹に弾丸と見まごう速度で放たれた水の塊が直撃する。

受け身もとらずに真後ろに倒れて動かなくなる。

 

「ば、馬鹿な!紅魔族でもそんな事が出来る者は…」

 

「当然ね。この私を誰の娘だと思っている!」

 

「知りませんよ!あなたこそどこのどいつですか!」

 

「ふん!これだから浅学菲才の身という奴は…。

いいだろう!聞いて驚け!私の名前は…」

 

「お迎えに上がりましたよ。姫殿下!」

 

茶髪少女のセリフが遮られる。

見るといつの間にか周囲はゴーミンに包囲されていた。

ゴーミン達をかき分けて現れた青い渦を巻くような形の角の怪人が前に出る。

 

「デラツエイガー…貴様ずっとつけてきていたのか?」

 

「滅相もございません。たまたま見つけただけですよ。

さ、オイタはこの辺にして私共と城に…」

 

「帰りましょうとでもいうつもりか?

ほざけ!あそこに帰るなどという言葉を使う物か!」

 

そう言って茶髪少女は腰の剣を引き抜く。

 

「仕方ありませんねぇ。

少々手荒な手段を使うしかなさそうだ…。」

 

そう言ってデラツエイガーも大剣を引き抜き、茶髪の少女に斬りかかる!

 

「カズマ!」

 

「おう!」

 

茶髪少女を飛び越えデラツエイガーの前にアクアと和真が降り立った。

その横からダクネスとリアもやってくる。

 

「みんなどうして!」

 

「俺らも顔出しとこうと思って追いかけたら案の定、って訳だ。

お前らホント暇なんだな。ちょっとは俺らを休ませてくれるとかない訳?」

 

「そうよ!今日は和真に昨日いきなり魔力を吸ってくれちゃった責任としてこき使う予定だったんだから!

それを絶妙なタイミングで邪魔してくれて痛い!なんでぶつのよダクネス!」

 

「まあまあ。さっさと終わらせちゃいましょよ!」

 

めぐみん以外の四人はキーとモバイレーツを構えてポーズを取る。

 

「いただき♪」

 

「へぇ!?な、なんだって!?」

 

瞬きする間に和真たちの前通りめぐみんのそばに戻った茶髪少女の手にはゴーカイジャーのレンジャーキーが握られている。

 

「お前!いきなり何すんだ!」

 

「ふん!お前たちじゃどうせデラツエイガーにはかなわないから有効活用するのさ!」

 

茶髪少女はかつてバスコが使っていたラッパ型アイテム、ラッパラッターを取り出すと奪ったキーをセットして吹き鳴らす!

飛び出した五つの光はゴーカイジャーの姿を取って表れた。

 

「全く。オイタが過ぎますよ姫殿下。」

 

「姫殿下?え、ちょっと待ってください魔王軍にとっての姫ってことは…」

 

「まさか、あいつ娘ってこと!?」

 

「あのチンチクリンの!?」

 

「違ぁう!誰があんな童貞陰キャチビの娘だ!

童貞に娘なんているはずないだろうが!」

 

「た、確かに!」

 

「いやアクアさん、確認したわけじゃないでしょ?」

 

「魔王の娘も反抗期?」

 

「なの、だろうか?」

 

とにかく!と怒鳴ると魔王の娘はデラツエイガーを指さし

 

「そいつらを蹴散らせ!」

 

召喚されたゴーカイジャーたちはオリジナルと同じように武器を交換するとゴーミンの群れに向かって行った。

 

「私たちも行くぞ!」

 

「でもダクネスさん!魔王の娘逃げちゃいますよ!」

 

「リア!めぐみん!追え!ここは俺らでどうにかする!」

 

「どけ。俺の任務は姫様を連れ戻すことだけだ。

邪魔しなければ見逃してやる。」

 

「そうはいくかよ!

どっちにしろテメエが知らせたら益々来るようになるだろうが!」

 

「「「ゴーカイチェンジ!」」」

 

<<<ゴーーッセイジャー!>>>

 

「早く行け!」

 

「はい!めぐみんさん立って!」

 

まず和真が正面切ってスカイックソードで斬りかかる。

その肩を蹴ってランディッククローを装備したダクネスとシーイックボーガンを構えたアクアが飛び上がる。

 

「無駄なことを!」

 

デラツエイガーはボーガンのビームを弾いてダクネスを撃ち落とす、

とスカイックソードを素手で掴んで和真をアクアに放り投げる。

 

「カズマどいて!さっさと次行くわよ!」

 

<ターーッボレンジャー!>

 

Jガンを装備して高速移動からの銃撃を浴びせるアクアだが、

それ以上のスピードで振るわれる剣にビームをすべて返され地に伏せる。

 

「ならばパワーはどうだ!」

 

<ゴーーッゴーファイブ!>

 

ダブルベクターを構えて突っ込んでいくダクネス。

デラツエイガーは鼻で笑うと大股日葡踏み出しダクネスの頭を左手で掴むと軽々持ち上げ右の拳を叩きこんで吹っ飛ばす!

 

「な!?あんな重いダクネスがペットボトルみてぇに!」

 

「だ、誰がっ!重い女だぁ…装備が、重いと言い、なおせ……。」

 

なんとか着地したが、メットの顎部分にデカい亀裂が入る程の一撃を受けたダクネスは脳震盪を起こしたようでその場に尻もちをついてしまう。

 

「仕方ねえ!ここは逃げる!」

 

<ハーーッリケンジャー!>

 

ハリケンジャーにチェンジした和真は残る二人も連れてその場から空駆で撤退した。

追おうとするデラツエイガーだったが、背後の爆発音に振り返る。

みるとゴーカイジャーたちがゴー民共を全滅させていた。

 

「ふん!ゴーミンには荷重だったか。

だが、その程度でいきがるなよ人形!」

 

向かってきた五人をすれ違いながら斬り抜き、納刀。

火花を散らして崩れ落ちた五人は元のレンジャーキーに戻った。

 

「まあいい。姫様もまだそう遠くに入っていないはず…。」

 

キーを回収するとデラツエイガーは姫の後を追った。




次ーーッ回!第三十話!

ルカ「ゴーカイジャーのキーを奪われた!?」

魔王の娘「今日から私が船長よ!」

総一「はぁ!?」

ジョー「なんなんだこのガキ!」

ダクネス「なあ、魔王の娘っていつからいたんだ?」

デラツエイガー「黙って部屋にひきこもっていればよかったものを!」

和真「海賊への依頼、高くつくぞ?」

リア「その代わり、絶対成功させます!」

安らぎの為に

総一「紅魔の里最後の祭りだ!派手に、真っ赤で行くぜ!」

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